大企業と小企業の役割逆転

2015年4月28日 火曜日

1985年にマイクロソフトのウィンドーズバージョンゼロがリリースされ、10年後の1995年はウィンドーズ95が発売。パソコンが企業の中に普及し始め、全てのやりとりが徐々にPCになっていく。

2000年には企業の中では一人1台が基本になり、それまでの仕事の流れが大きく変わり始める。2007年ころよりスマフォンやスマートパッドなどのスマートデバイスが世の中に普及し始めデータはクラウドに置かれ、アプリやサービスも何もかもを意識せずに活用できるようになる。

今はクラウドの環境を活用してその世界で一流クラスの能力を持つ人員をパートタイムで切り出して仕事をすることも可能になっている。加えて、ソフトの作成もハードの作成もネット環境で指示ができる能力さえあれば自由にできる時代。

そんななかで組織構造の変化が追いついていないように感じる。これだけ自由に仕事を進めることができたら、これまでのようにいくつかの仕事を分業するよりも、一人の、あるいは数人の人間が全体を企画してあとは、それ専門のチームにお願いするような仕事のスタイルがもっと増えても良いのではと思う。

大企業は、専門のスタッフをそれぞれ持っていましたが、国内の仕事環境が成長からステイ、ダウンになると、その専門スタッフを賄う仕事ができません。だからと言って、そのスタッフは他の仕事をアウトソーズするわけにはいかず、適材適所が実現されずに、別の仕事をしぶしぶ行う。

一方、早くからその状況に気がついた企業は、自分たちのバリューチェーンを見直し、得意なところにフォーカスして、苦手な部分や収益を上げにくい部分は一部あるいは全部を切り出してアウトソーズするようになる。昔は通信や物流のコストが高く自由にコミュニケーションが取れませんでしたが今はある程度自由にできるため一つの組織で全てを完結させる理由もさほどなくなる。

結果、専門的な仕事を国内外から集めて行うようになるため、より専門的な人材があつまり、効率も質も高まる。大きな組織が自前で全てを行うよりも安く質が高くそして早く外注できるようになってきました。

従って規模の大きな組織や資本の大きな組織で、自社のバリューチェーンにメスを早い段階で入れたか入れないかは現在の明暗を大きく分けています。成長スピードでは、一桁も二桁も違うくらいの差が付いているのです。

はじめから小さな組織は、そのようなスタッフがいなかったが、クラウドやネットの仕組みを活用して優秀な人材を都度都度確保できることを知っているので、企画や一部の得意な部分に仕事をフォーカスして収益をあげられる仕組みができてくる。規模が小さい、あるいは新規的な取り組み、テストマーケティングなど、これまで費用がかかりすぎて躊躇していた分野の仕事が比較的現実的な範囲で可能になりました。

そうなると大企業が継続的にイノベーションを行うためにはより専門的な人材が分業するのではなく、全体の構造を捉えて、大きな視点を持った取り組みが必要になります。そして従来の大企業でこれらの仕事ができなくなれば、大量生産といった規模の経済に徹していかないと価値を見いだせなくなります。

また、優秀な個人や組織はスピンアウトして、ここの強みのみを商品として提供する役割に徹することでイノベーションを継続的にリードし続けることが可能になります。

実際、上記のような変化は身近で観察できます。従来通り大企業は安定しているという思想のもと何も努力しない方の時給はどんどん下がって行くでしょう。



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