ブランド・コントロール

2006年12月12日 火曜日

早嶋です。



「ブレゲ」「ブランパン」「クラスヒュッテ・オリジナル」「ジャケ・ドロー」「レオン・アト」「オメガ」「ロンジン」「ラドー」「ユニオン」「ティソ」「バルマン」「ハミルトン」・・・。



さて、何の集まりか分かりますか?



はい、時計です。時計にそこまで興味がない方でも、ブレゲやオメガを見て推測がついたと思います。しかし、ご存知でしょうか?上記のブランドは全て同じ会社の傘下に収まっています。



その世界最大の時計コングロマリッドはスウォッチです。えっ?という方も多いですよね。スウォッチの一般的なイメージとしては、プラスチック製のフレームに多様なデザインが特徴で数千円程度のファッション時計、といったところが強いですから。でも、実は違います。



スイスの時計業界を調べると、まずスウォッチ・グループの存在なくして語ることができないくらい影響力があります。



今回、スウォッチをテーマにあげたのは、スウォッチの一般には知られていないブランド戦略について紹介したかったからです。



まず、スウォッチといった安価な時計と、上記にあげた高級時計の関連性なんて全くありません。更に、オメガやロンジンなど、其々のブランドを見ても、同じグループに属しているなんて、よっぽど知識が無い限り分からないと思います。



実はこのことが、スウォッチのすごいところです。これは、マーケティング用語で言うブランド・ポートフォリオになります。複数のブランドを管理することによって超金持ちから、発展途上の若者まで、世界中の様々なニーズに応えることに成功しているのです。また、単にニーズに応えるだけではなく、景気に陰りがでて高級時計が売れなくなる傾向のときは、安価なブランドによってその顧客を吸収できるといったことも可能になります。



もちろんスウォッチは上記のようなブランド・ポートフォリオを一朝一夕で作り上げたわけではありません。むしろ大胆なM&Aを繰り返した結晶ともいえると思います。各ブランドの管理は、それぞれにブランド・マネージャーを配置しています。そのブランド・マネージャーにはブランド・コンセプトからマーケティング、販売にいたるまで全責任が与えられています。その一方で、物流や経理といったバックヤードの部分はブランドの範囲を超えて統一するといった効率を追求しています。



顧客に対しては、全く別ブランドを打ち出して多様なニーズに応えながら、部品や生産管理、物流といった面ではグループ内で統一することによってコストメリットを獲得しています。



日本のように、1つの会社=1つのブランド、もしくは、1つのブランドでさまな商品を展開している場合、そのブランドを聞いても強烈なインパクトを与えられない場合があります。



日本型のブランド・コントロールは、M&Aなどで買収をした場合、買収された側のブランドが消えたり、足して2で割ったようなブランドになったりする場合が多いです。近年の銀行は最たる例です。この様なブランド・コントロールを行っている限りでは、個々の消費者のニーズに応えられなくなるでしょう。今後、M&Aなどで、経営統合はしたもののブランド戦略に失敗するという企業が多く出てくるのではないでしょうか?



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