経営者VSマーケター

2009年10月7日 水曜日

VS




百貨店でも1万円を切る!このような見出しで記事に出ていた内容は、紳士スーツの安売り企画。理由は単純明快だ。昨年12月から続く販売不振にたいして、特効薬を打つべく価格の安さで勝負して短期的な売上を確保しようというもの。



特売価格を用意しなければ消費者の購買意欲を取り戻せない!このような議論が百貨店の経営会議で議論されている光景が目に浮かぶ。



しかし、マーケターの観点から見たら、この行為はあるまじきもの。恐らく中期的にこの行為が自身の首を絞めることになるでしょう。



ポイントはポジショニング、つまり、百貨店のイメージをお客様にどう捉えて欲しいのか?があやふやなまま策を進めているとこです。字のごとく、あらゆる商品をあらゆる価格で提供します!ですか?もし、まじめに真剣にこのような考えで捉えているのであれば、百貨店の凋落は間もなくでしょう。だって、そんなところ誰が行きたいですか?



私は、少なくとも高級志向よ!という人に対しては、、1万円でスーツを売るような場所は、なんだか私にあわないわぁ。という否定的な印象を与えることでしょう。そして、1万円のスーツを求めて買いに来るお客様は、はじめから紳士服大手のはるやまや青山と比較購買をするでしょう。



世の中、ファストファッションは確かに波に乗っている。そこに百貨店が乗りだしたらどうだろうか?ファストファッションを提供している企業は、自社で企画して生産から販売までを手掛けるビジネスモデル(SPA)を構築している。そしてかつ、そこでも利益を得るモデルを長い間かけて構築している。百貨店はどうか?間に様々なプレーヤーがいて、利幅が薄いモデルになっている。低価格指向のお客様に響いたところで継続的に安い商品を提供できる体力がなければ、結局大手の紳士服やSPAの規模の経済に負ける事でしょう。



結果、誰にでもは、誰からも支持を受けることなく数字がどんどん悪くなる。目に見える結末のようです。



これらの大きな問題の1つの仮説ですが、経営陣がマーケティングの発想を持っていない事にあるのではないでしょうか?経営者は事業の拡大を常に考える余りに、あれもこれもと策を打ちます。確かに、低価格の商品を企画するとそこにスイッチャーと呼ばれる価格に敏感なお客様が集まり瞬間的には売上は伸びるかもしれません。しかし、これをやってしまうとこれまで培ってきたお客様のイメージが一気に損なわれます。



対してマーケターは的を絞ることからスタートします。自社の顧客ターゲットを考えたら、百貨店が激安という文字をいかなる媒体にも載せるべきではない!と反応するでしょう。顧客のイメージに合わせて自社のサービスを限定して特化してこそ、これまでサービスを提供してきた顧客から指示を得られ続けるのです。



早嶋 聡史(はやしま さとし)





【ビズ・ナビへのお問い合わせ】

うーん、この集団に相談してみたい!と思って頂いた方は、お気軽にご相談下さい。

お問い合わせはこちらから。



【関連サイト】

九州でマーケティングのご相談、法人営業のご相談はビズ・ナビ&カンパニーへ。

お問い合わせはこちらから。



九州で店舗M&A、小規模M&Aのご相談はビザインのストラテジックM&Aへ。

お問い合わせはこちらから。



【関連雑誌】

日経ビジネスアソシエのムック本、スキルアップシリーズ「できる人の実践ロジカルシンキング」(最新号) に戦略思考を担当・執筆しています!

詳しくはこちらから。



コメントをどうぞ

CAPTCHA