付加価値税

2009年6月7日 日曜日

早嶋です。



現在の消費税は最終的な商品(製品・サービス)に対して課税されます。つまり、最終的に利用するエンドユーザーに商品が届くまでの間、何度か税金が払われているという現象があります。



一方、付加価値税という概念は異なります。付加価値税は経済活動に伴って発生する価値(富の創出)に対して、すべての流通段階において一律に課税します。5万円の材木を調達してテーブルを作り、10万円で売ったとします。すると5万円の付加価値を創出したことになります。



付加価値税はこの場合、5万円に対して一定の税率を求めるものです。特徴としても納税する対象者は消費者ではなく、価値を創出した法人や事業者です。



大前さんは付加価値税について早くからその可能性を説いています。付加価値税を5%とした場合、国内で生み出された付加価値の総額はGDPに相当すると考えると、約500挑円。つまり、年間25兆円の税収入が見込めます。一般商品の課税額と大きく変わりませんが、サプライチェーンの段階で何重にも課税される商品などは値段が下がることになります。例えばガソリンです。



付加価値税を導入すると法人税が不要になります。会社経営を行っている方は少なくとも現在の税制に対して不満があると思います。現在の法人税の大枠は、利益が出ればその額の約40%が課税対象です。しかし、その時に使用した資金を経費として認めるか否かや、資産の減価償却を何年に定めるかによって、つまり税務署の判断によって利益額が大きく変動します。



3000万円の製造装置を3年で減価償却すると年間1000万円のコストになりますが、10年間で減価償却すると300万円のコストになります。法人税額を計算すると、大きな違いが生じてきます。



付加価値税を導入すると、外注費を含む仕入代金以外のすべてにおいて、あいまいな裁量行政による課税が入り込む隙間がなくなるので税金の体系がすっきりします。仕入と販売の差額が課税対象になるため、残った利益は株主に配当する、社員にボーナスとして還元する、接待費として使う、資産を何年で償却するかの判断は企業の自由になる、といった事が可能になります。



付加価値税の概念が導入されにくい背景は、制度に関わる方々がビジネスの経験が乏しい事にあるのかもしれません。実際に、経営を行い税金を払っているときに減価償却の概念や複数の過程に関わる税金の複雑さを体験することができます。そして、初めて新しい問題点や課題、そしてそれに対する解決策を考えるからです。



付加価値税が導入されると脱税なんかも減ると思いますが。



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