貢献

2008年12月29日 月曜日

早嶋です。



今年最後の東京出張、現在JALのラウンジです。今年は、国内線だけで80回近く飛行機に乗っているためJALのステータスカードが一挙に3段階もアップ、最高峰のステータスになりました。



さて、前回に続き、プロフェッショナルの条件、Part2の働くことの意味が変わった、について、最後の章です。



3章:貢献を重視する



『「組織の成果に影響を与える貢献は何か」を自ら問わなければならない。すなわち、自らの責任を中心に据えなければならない。』



『貢献に焦点を合わせることこそ、成果をあげる鍵である。』



貢献冒頭で貢献の重要性を主張した後、ほとんどの人が成果ではなく、組織の権限に焦点を合わせることを指摘しています。組織の中における自身の権限に焦点が行くため、成果に焦点が行かなくなるのです。仕事の中心が肩書きになる。



中小企業の社長さんと話をしていて、部下の方が、悪い内容を報告しない組織は、すぐに無くなるか成長・変革の兆しが無いと感じます。これも、やはり組織の中で権限に焦点が当たる結果、社長に対していい顔をするあまり、本来のほくて気が失われるのです。



『貢献に焦点を合わせることによって、専門分野や限定された技能や部門に対してではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向けるようになる。自らの専門や自らの部下と組織と組織全体や組織の目的との関係について、徹底的に考えざるをえなくなる。その結果、仕事や仕事の仕方が大きく変わっていく。』



ドラッカーは、本章において貢献を3つに分けています。すなわち、1)直接の成果、2)価値への取り組み、3)人材の育成、です。そして、これら3つの領域においてすべて成果をあげなければ、組織は腐り、やがて死ぬと強い表現をしています。つまり、この3つの領域における貢献をすべての仕事にとりいれていく必要があるのです。



1)直接の成果

ここに関しては、誰もが明確にわかるはずです。直接的な成果と間接的な成果があるでしょう。バランススコアカードなどでは全社を間接的な成果につながる指標を業績指標と称していますね。ポイントは、個個人においても直接的な成果が明らかであることは言うまでもありません。



2)価値への取り組み

ここは何のために組織が存在するのか?などの目的をあきらかにし、それについての取り組みの重要性を指摘しています。『組織は常に、明確な目的を持たなければならない。さもなければ、混乱し、麻痺し、破壊される。』



3)人材の育成

組織を次のように表現しています。『死という生身の人間の限界を乗り越える手段である』と。これは、組織自体を存続させない組織は失敗を意味します。次の世代の組織は前の世代の組織が達成したものを当然とし、さらに次の世代によって新しい記憶を作る必要があります。そのためには、組織を変革していきながら明日への変化に対応することが唯一の手段です。それを実行する方法が育成。つまり。育成への貢献も重要となるのです。



この章では、『知識ある者の責任』というタイトルがあります。知識労働者に対するメッセージであり、気付きです。



『知識ある者は、常に理解されるように努力する責任がある。』これは、2章でも紹介したとおり、知的労働者が生み出す産物は、それだけでは何かを生む手のものではありません。その産物と他の産物が融合して初めて物質的な価値を生み出します。そのために、専門的な人たちの間での狭いネットワーク、限られた組織間でのコミュニケーションだけでは意味が薄れるのです。



『人間関係にすぐれた才能を持つからと言って、良い人間関係が持てるわけではない。自らの仕事や人との関係において、貢献に焦点を合わせることにより、初めてよい人間関係がもてるのである。こうして、人間関係は生産的なものとなる。まさに生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。』



章の締めくくりは、よい人間関係をもつ秘訣、コミュニケーションについて触れています。もちろん、そこにも貢献を考えた場合、コミュニケーションはどうあるべきか?を考えることが大切です。



1つは、貢献に焦点を当てることによって、コミュニケーションが可能になります。これは何を意味するのか?事例を紹介します。コミュニケーションに関して多くの問題を抱えている組織では次のようなことがあるのではないでしょうか?経営者から社員へ、上司から部下へ、というコミュニケーションの流れ。上司が部下に何かを言おうとするほど、部下に理解されなかったり、聞き間違いを起こす原因になる。これはなぜか?コミュニケーションは知覚であり、部下は上司が言うことではなく、自分が聞きたいと期待していることを聞き取るからです。



『仕事において貢献する者は、部下たちが貢献すべきことを要求する。「組織、及び上司である私は、あなたに対しどのような貢献の責任を持つべきか」「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力をもっと活用できる道は何か」を聞く。こうして初めて、コミュニケーションが可能となり、容易に行われるようになる。』



2つ目は、貢献に焦点を合わせることによって、横へのコミュニケーションが可能になります。これはチームワークの事を示しています。



『知識組織においては、成果をあげる仕事は、多種多様な知識や技能をもつ人たちで構成されるチームによって行われる。彼らは、フォーマルな組織構造に従ってではなく、状況の論理や仕事の要求に従って、自発的に協力して働く。』貢献に焦点を当てることによって、専門家間の横のつながりや、任務に焦点を合わせたチームへの自発的な参加が実現されるのです。



そして、最後に自己啓発と人材育成の成果の大部分が貢献に焦点を合わせるかどうかにかかっています。



『組織の業績に対する自らのもっとも重要な貢献は何か』を自問することが、どのような自己啓発が必要になり、どのような知識や技能を身につければよいかの指針になります。貢献に焦点をあわせることで、組織の権限、つまり上司、部下といった関係にかかわらず自己啓発が触発され、同時に他の組織への自己啓発の誘導にもつながります。



『知識労働者は、自ら課せられる要求に応じて成長する。自らが業績や達成とみなすものに従って成長する。自らが自らに求めるものが少なければ成長しない。だが、多くを求める者ならば、何も達成しないものと同じ程度の努力で、巨人にまで成長する。』



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