早嶋です。
ギリシャ神話の中で、トロイの陥落を予言した女祭司にカサンドラという女性が出てきます。このカサンドラが語源となり、凶事にたいする予言や助言、迫り来る変化に誰よりも早く気づき誰よりも早い段階で声を高らかに発して警告する、という意味合いでカサンドラということがあります。
経営コンサルタントの仕事の役割のひとつも、カサンドラが当てはまります。大小の組織に問わず、危機や変化を認識してそのことを明確に知らせる役割です。
カサンドラのタイミングについては、パラダイムシフトを発見する、イノベーションに没頭するといったところから、普段の組織行動にまでさまざまあると思います。
ウェブ進化論で著名な梅田氏は、特に組織内のカサンドラについて次の5つのポイントを指摘しています。
1)世の中の組織と比べて、恐ろしくゆっくり時間が流れている組織は要注意
2)毎日おなじことの繰り返しで変化があまりない仕事は要注意
3)新しいことを何もしないことを評価する社風は要注意
4)小さいことでも個に判断させずに、判断の責任を集団に分散する傾向のある会社は要注意
5)幹部の顔ぶれを見たときに、その会社の内部のことを知り尽くした人たちばかりが重用されている会社は要注意
上記の5つのポイントは、一生その組織の中で生きていく場合は、関係ないかもしれませんが、その組織が急になくなる、または、その組織の外にでていかなくてはいけない、という事象がある場合は、重要なメッセージだと思います。上記の5つのポイントのような組織の中で生きて行けばいくほど、外部の組織でいくための生命力が衰えるからです。
2007年12月 のアーカイブ
カサンドラ
これからのヒント
早嶋です。
梅田望夫氏の著書「ウェブ進化論」の続篇(完結篇)に相当する「ウェブ時代をゆく」のなかに、これからの時代を生き抜く若者に対して3つのメッセージがありました。印象的だったので紹介します。
1)Only the Paranoid Survive
これはアンディ・グローブ氏(インテルをゼロから世界一の半導体企業まで育てた)の言葉です。そして、上記の言葉は、氏の座右の銘だそうです。特に、Paranoidという単語、日本語に訳すと「病的なまでの心配性」となるでしょう。病的なまでに心配性な人だけが生き残る。そのくらい仕事や生涯自分が信じ続けることに没頭し緊張感をもって対処する人が、激しい競争世界で生き残れる!ということだと思います。
2)Entrepreneurship
MBAのカリキュラムの第一番目に受けるカリキュラムでもアントレプレナーシップがあります。日本語訳の起業家精神となると意味合いは狭くなりますが、真髄は、自分の頭で考え続け、どんな困難なことがあっても、その解決策を見出し、決してあきらめないで進んでいく!といった不撓不屈の精神がアントレの精神に近いと思います。
何かを極めるということは、気が遠くなるくらいの時間が必要で、決して終わりのないことのように思います。しかし、あえて優劣をつけるのであれば、とことんやり続けている人には必ず軍配が上がるのではないでしょうか。
その意味で、The only way to great work is to love what you do.(好きこそものの上手なれ、に相当するでしょうか?)アップルの創業者スティーブ・ジョブス氏の言葉を思い出します。とにかく没頭するためのキーワードは、love(自分の対象を愛すること)を見つけることなのです。
3)Vantage point
直訳は見晴らしの良い場所です。自分がやってみたい分野の最先端で何が起こっているのか?を一望できる場所、という比喩です。自分が行いたい内容の最先端は何処なのか?誰がキーマンなのか?を知っていれば、その人、その場所にコンタクトを取れば、実際に情報収集・交換ができる世界になっています。梅田氏も、この場所を垣間見るのにWebとリアルの世界を活用することの必然性を書いています。
何かを始めたい!何かを知りたい!と思ったら、現在は、その世界で最も注目されている人たちの最新の考えかたや理論を安価に即座に手に入れることができるようになっています。
「大事なのは、『自分はこれをやりたい』というものを見つけること。それが人生で一番大切なことです。もちろん、簡単ではない。自分に何が起こっているのか、何が好きなのか、見つけるのはやさしくない。それでも何とか見つけ出さなければいけない。良くないのは、見つける努力をしないでフワフワ生きていること。それが一番困る。」
これは、ノーベル賞学者の小柴氏がフォーサイト誌のインタビューで応えたときの内容です。自分がこの先、どうなりたいのか?が明確にイメージできるか、しないか。これは自分の生き方を楽しくするための分岐点のように思えます。
エネルギー問題と小麦
早嶋です。
最近、何やらかんやら値段が上がっています。そして、これら近年のインフレは実に特徴的な要素を持ち合わせています。その特徴とはエネルギー問題です。
原油の高騰によって、世の中の関心事が一斉にバイオ燃料に注目され、化石燃料からバイオ燃料へ!などといったスローガンがあるかのようにバイオ燃料への関心が高まっています。
するとどうでしょう。バイオエタノールの原料となるトウモロコシの価値が上がり、これまで小麦を作っていたところがトウモロコシに転作する動きがでてきます。
この動きは世界レベルで起きています。ブラジルをはじめ、世界中の農地が買いあさられ小麦畑が次々にトウモロコシ畑になっているのです。当然、小麦の生産量が減少するので小麦の値段が上がり、たとえばパンなどの値上げの事態にもつながります。
今回のインフレで、油や生活用品等の価格がほとんど同時でおきた理由は上記のような特色からだと思います。
本日は、午前中で仕事納めでした。午前中に残していた資料作成を行い簡単に資料等の整理を済ませ、ランチをしながら長田と今年の振り返りを行いました。
来年度もよろしくお願いします。
YouTubeと日本の高校生
早嶋です。
日経マーケット・アクセスが最近実施したネット動画に関する調査によると20代の人たちが30代の人たちと比較して、ネット動画の利用が極端に高いという結果が出ています。ここで言うネット動画は、YouTubeやニコニコ動画、Yahoo!動画といったサイトやOCN Theaterなど通信事業者が提供する動画サービスなどです。
アンケートのサマリは、20代の5人に1人はほぼ毎日何らかの形で動画を見ているという結果でしたが、10代はもっと利用していると思います(今回の調査対象は、20代、30代、40代、50代)。
ネット動画の代表選手でもありますYouTubeはサービス開始から1年程度でインターネットの文化からマスメディアのマーケティングまでを変えてしまったといっても過言ではないほど多大な影響を与えています。
そして、その成長に多大なる協力をしたのが、あるいは、現在進行形で行っているのが日本の都市在住の高校生なのです。彼/彼女らは、普段の生活で、●●の動画を撮ったので見て!と言うようなやり取りをしながら、さながら駅の伝言板のように、YouTubeを使ったコミュニケーションをするのです。
ネット上に気軽に簡単に動画を貼り付けてシェアできるというお手軽さなので、その動画が第三者に見られているといった感覚は一切無いでしょう。このようの高校生の行動がYouTubeへのアクセスを呼び、ビデオ投稿サイトでの一人勝ちに至ったといわれています。
事実、YouTubeの創業者であるチャド・ハーレー氏とスティーブ・チェン氏も米国よりも先に日本で人気がでて世界中に広がっていくなど予測もしていなかった、といった内容のコメントを残しています。
最近の若い者は・・・といいますが、最近の若いものは世界への影響力をも持っているのです!
因みに、こんな感じで簡単に動画を貼り付けることが出来ます。
ピーク・エンド効果
早嶋です。
「熱いストーブに1分間手を載せてみてください。まるで1時間ぐらいに感じることでしょう。ところが、かわいい姪っ子といっしょに1時間座っていても、1分くらいにしか感じられません。それが相対性というものです。」アインシュタイン150の言葉の中にこのような件があります。
これは相対性理論の説明でアインシュタインが話した内容ですが、人の記憶も相対的な要素があるようです。この仮説はマーケティングの発想にも応用できると思います。例えば、過去に行った経験にもとづいて、将来の意思決定を行う場面です。
一度、食べたお店が美味しいという記憶が強ければ、再びそのお店に行くという行動は誰もが経験したことだと思います。逆に過去の経験にネガティブな印象を持てば、やはり、再びいこう!という動機は起こりにくくなりますね。
このことに対して、つまり、人が過去に経験した不快な印象をどの程度記憶して、どのように評価するのか?と言う事を実験で調べた方がいます。この実験の結論は、不快感に関する記憶は、最もひどいとき(ピーク時)とその行動が終了する間際の記憶(エンド)が全体の印象に大きく影響を与える、と言うものでした。
上記の効用はピーク・エンド効果と呼ばれています。人が記憶によって過去の出来事に対する効用判定を行う時は、最も大きいときと最後の部分の印象が極めて重要である、ということです。
例えば、これを医療で応用するとしたら?痛みを伴う処置の場合は、痛みを抑えることも当然必要ですが、処置の最後に患者にとって苦痛を伴わない、つまり、むしと心地よい体験をさせるとどうでしょうか?理論通りでは、処置全体の印象はずっとよくなるはずです。
ピーク・エンド効果、つまるところ、終わりよければ全てよし!と言うのは理にかなっているのです。
確実性と不確実性
早嶋です。
昨日の確実性での意思決定では、独立案、拝反案、混合案について書きました。では、確実性とはなんでしょうか?
確実性とは、例えば、aを選べばAになる、bを選べばBになる、このような選択肢の中でどちらを選択する事が合理的か?といった意思決定です。aを選択するとAになることが決定しており、また、bを選べばBになることは決定している意思決定です。しかし、どうでしょうか?
例えば、新しく買い取った土地にスーパーマーケットを作った場合とマンションを建てた場合、どちらが合理的な判断か?を考える場合は、拝反案の意思決定になるので、判断を下す指標としては、それぞれのプロジェクトが生み出すキャッシュフローの正味現在価値で判断することになります。
この判断の前提条件は、どちらのプロジェクトを選択した場合でも、判定時に求めたキャッシュフローが必ず発生するというものです。しかし、実際の世界では、なかなか計算通りにはいきませんね。
つまり、aを選択しても必ずAになるわけではなく、A1になったり、A2になったり、・・・するのです。不確実性とは、このような状況の意思決定で、ある選択を行ったとしても起きる結果事態は確定していないのです。
なお、不確実性のもとでの意思決定は大きく2つに分かれます。1つは、リスクの意思決定です。もう一つは、不確実性の意思決定です。
前者のリスクの意思決定は、aを選べばA1になる確率が50%、A2になる確率が30%、A3になる確立が20%、などと起きる結果は確定していないが、起こる確率がわかっている状態です。
後者の不確実性の意思決定は、aを選択した後に、次の事象(A1、A2、A3など)を確率情報を用いて考える事が出来ない場合です。
リスクの意思決定や不確実性の意思決定に関しては、また、照会しますね。
確実性下での意思決定
早嶋です。
先日、久々にブッフェ形式の夜ご飯を食べました。そのときに考えた内容は、まさに、企業が事業活動を行う時の投資判断と同じプロセスであることに気付きました。
事業活動における投資判断は、経営資源が有限であるため、「企業価値を高める投資であるか?」ということが第一の前提となります。その中で日々発生する意思決定や投資判断を進めていると思います。
ファイナンスでは、投資判断や意思決定の状況に応じてどの投資や意思決定が自社の企業価値を高めていくか?を合理的に進めていくのですが、選択肢の相互関係によって考え方が異なります。つまり、意思決定する要素や投資判断を行うときの相互関係を見極めた上でそれに即した指標を使う必要性があるということです。
その相互関係を分けて考えると、「独立案」、「拝反案」、「混合案」の3つに分かれます。それぞれについて考えて見ましょう。
「独立案」
独立案は、ある制限下で、自由な選択肢の中から選びことが出来る意思決定です。それぞれのプロジェクトが相互に影響を受けないため、どのような組み合わせも可能です。企業活動における制限とは、投資できる額とか、採用できる人数とか、利用可能な経営資源となるでしょう。独立案の場合の意思決定の指標は、効率(=リターン/制約された資源や資本)となるでしょう。
ブッフェの例では、例えば次のようなサラダバーがあったとします。サラダバーの中から好きなサラダを取ることが出来る。しかし、取ることが出来るのは1つの皿に盛れる範囲。この場合の制約は皿の大きさになります。この場合、どのような組み合わせも自由なので、独立案と言う事が出来るでしょう。
さて、あなたはどのようなサラダを盛りますか?リターンを好きなサラダと考えたら、一皿あたりのリターンが最大になるように盛り合わせると思います。リターンを、それこそお金に換算したら、一皿当たりの価格が最大になるように盛り合わせると思います。まさに、無意識下で独立案の最適化を行っているのです。
他の例にも、正月に恒例になっている、中身を自由に選択できる福袋や詰め放題も詰めた商品から得る満足感をリターンとしてたら、制約条件は袋のサイズ。サイズあたりの満足度を最大にするために一生懸命になって詰めるでしょう。
コンビニの棚なども独立案ですね。例えば、陳列できる商品は何でも構いませんが、粗利額の大きな商品や、回転率の高い商品を陳列すると思います。リターンを利益と考えると、面積あたり最大の利益を生むようにどのような商品を陳列するか考える事でしょう。
「拝反案」
拝反案は、選択肢の中から1つを選択したら他の選択肢は選べづに却下される意思決定や投資判断です。例えば、遊休地となっている土地を有効活用するために、スーパーマーケットを誘致するか、又は、マンショウンを立てるか、などの投資判断は拝反案となりますね。選択しは2つですが、どちらかを一方の選択しかできないですよね(1階をスーパーにしたマンショウンとしたら、これは選択肢が増えるだけで結局は拝反案になります)。拝反案の場合の意思決定の指標は、追及する価値の正味の絶対量と言う事になります。ファイナンスでは、このときにNPV(正味現在価値)を利用します(投資判断その1、投資判断その2、を参照)。
ブッフェの例では、例えば次のようなシステムだったとしましょう。このブッフェの売りはバイオーダーでピザとパスタが出来る事。サラダやその他の食べ物やドリンクなどは中央のテーブルから自由に取ることができます。さらに、メインのピザとパスタは、注文してから作りたてを都度、届けてくれる仕組みです。
ブッフェで散々食べた後に、最後にピザかパスタをもう一枚!という状況。これは拝反案の選択でうね。ピザを食べれば、もうパスタが入らないし逆もまた叱りです。さて、このときに追加する価値は最後の1品から得られる満足感でしょう。
「混合案」
混合案は字の如く、独立案と拝反案の両方の要素を持った投資判断や意思決定です。通常は複数の独立案があり、それぞれの独立案の中に拝反案が存在すると思います。
この場合の意思決定は、1)独立案の優先順位を効率に基づいて選定して、2)拝反案の意思決定を追及する価値を最大にするものを選択します。
例えばブッフェの場合、どこのブッフェにも行くことが出来るでしょう。お金は沢山もっていれば、はしごする事だって可能です。しかし、お腹という制約条件があります。この場合、お腹一杯になるための人品ごとの満足度によってリターンを最大化するように意思決定を行っていると思います。これは混合案下による意思決定ですね。
アンカリング効果
早嶋です。
昨日は、ヒューリスティックのうち利用可能性ヒューリスティックが引き起こす後知恵バイアスについて書きました。
ヒューリスティックには、利用可能性ヒューリスティック、代表性ヒューリスティック(ヒューリスティックで書いた悪い人の例が代表性ヒューリスティックの例)とアンカリングと調整によるヒューリスティックの3つがあるといわれます。
不確実な事柄について予測をするとき、初めにある値(アンカー)を設定し、その後で調整を行いながら最終的に予測を確定していくヒューリスティックがアンカリングと調整です。このヒューリスティックは、調整の段階で最終的な予測が最初に設定されたアンカーに引きずられるバイアスが生じることがあります。
このバイアスはアンカリング効果と称されます。アンカリング効果を意図的に使う応用例に交渉のテクニックがあります。交渉のときに、相手に対して、意図的にアンカリングを行い(相手に意図的に一定の数値などを提示して、それを基準に検討してもらうようにすること)相手の意識をアンカーに集中させ、提案内容を引っ込めてもらったり修正してもらったりすることです。
これに関して、「交渉において提案を先にした方が有利だ!」とする主張があります。先に提案した方が相手をアンカリングしやすい!という主張です。しかし、必ずしもそうではないでしょう。先にオファーを出したとしても、相手が無視して自分の提案を押し通すこともあるからです。逆に、相手からの逆提案によって、自分がアンカリングに引っかかってしまう場合も考えられます。
交渉においては、先にオファーを出すか否かよりも、どれだけ自身を持って臨むか野方が重要なのです。アンカリングの本質を考えると、先に出すか後に出すかは小手先のことで大きな意味を成さないのです。
日常生活にもアンカリングは潜んでいます。その代表例が価格です。商品を買う場合、おおいに価値に基づく正しい判定をしているのは稀で、たいてい定価や正札の情報から妥当とする価格を判断しています。
希望小売価格が1万円で、販売価格が8千円という表示があったとしたら、希望小売価格がアンカーとなって、販売価格が安いと判断されるのです。
他には、株式市場にもアンカリングが影響をもたらしているといわれます。ファイナンス理論では、株価は将来支払われる配当の正味現在価値であったり、ファンダメンタルズによって決定されます。しかし、投資家は適正な株価水準を知っているわけでもなく、合理的に知ることは難しいです。
そこで株価の売買に関しては、何かのアンカーを頼りにヒューリスティックな判断を行っていると考えられます。この場合、記憶に新しい株価や東証平均、日経平均といった指数で、これらを基準に株価の判定を行っているのです。
後知恵バイアス
早嶋です。
連休前の金曜日、冷たい雨がしとしと降っていますが、ハッピーに過ごされていることでしょう。
さて、次のような経験はありませんか?何らかの事象が起こってしまった後に、「そうだと思っていたんだよね!」とか、「そうなると初めからわかっていた!」などと言う、あるいは聞く、です。自身で体験しないまでも、他人が言っているのは聞いたことがあるのではないでしょうか?
これは、後知恵バイアスと呼ばれます。結果を知ってしまってから、あたかも事前にそのことを予見していたかのように考えてしまうバイアスです。この概念は、以前紹介したヒューリスティックのうち、利用可能性ヒューリスティックが引き起こすバイアスだといわれます。つまり、ある事象が出現する頻度や確率を判断するときに、その事象が生じたと用意に分かる事例を思い出して、それに基づいて判断することです。
後知恵バイアスに関して次のような実験で確認されています。一定の被験者に対して、「アガサクリスティーが書いた本は何冊ですか?」という質問を投げかけます。このときの平均値は51冊。後日、被験者に正解の67冊を知らせ、自分がした予測を思い出すように言ったところ、その平均値は63冊になったのです。
結果を知ってから、正解により近い予測を行ったと考える人が増えたのです。ある事態が起きた後は、そのことが事実として印象に残り、事前に予測していた内容を過大評価するのです。
損失回避
早嶋です。
本日は、長崎の有家(ありえ)というところで終日仕事でした。海の向こうには天草、山側は普賢岳、青と緑コントラストがとってもきれいなところです。
今朝の日経に「白熱電球の製造中止へ」という記事がありました。ご覧になられましたか?これは、温暖化対策の一環として、家庭やオフィスの照明で使われる白熱電球について、電力消費量が大きくエネルギー利用効率が悪いことより、国内での製造・販売を数年以内に中止するという記事です。
京都議定書の約束期間が来年から始まるのを受けて、家庭やオフィスで発生する温室効果ガスを少しでも減らす動きの一つですね。
白熱電球が製造されなくなれば、電球形の蛍光灯が代替品になるでしょう。現状はといえば、蛍光灯タイプの販売価格は白熱電球の10倍以上と高いので現在の普及は白熱電球の1/5程度です。
ただ、白熱電球と蛍光灯形の電球のライフタイムでのコスト計算をすると蛍光灯タイプの電球の方がコストメリットがあります。それは、消費電力が凡そ1/5、寿命は10倍になるからです。
例えば60形の白熱球と蛍光灯形電球を比較してみましょう。白熱球の価格を100円、蛍光灯形を1200円とします。寿命は、白熱電球の10倍の10000時間なので、同じ寿命で考えると白熱電球の10個分なので価格は、1.2倍高いことがわかります。そして、消費電力を考えると、白熱電球は54Wに対して電球形が10W、約1/5の電気代。
つまり、価格は1.2倍かかりますが、電気代は1/5ということなので、電球形の方がコストメリットがある事が分かります。
それなのに何故、普及が1/5程度なのか?理由は2つあると思います。1つは、消費者が上記の理屈を知らないこと。もうひとつは、上記を理解していても、1つの電球を買うのに白熱電球の12倍のお金が一気に出て行くこと。です。後者の理由は、損失回避性という行動で知られています。人は、将来の価値よりも、現在の損失の方にウェイトをおいて考えるのです。
さて、皆さんはどちらの電球を使っていますか?
最新記事の投稿
最新のコメント
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月