確実性下での意思決定

2007年12月24日 月曜日

早嶋です。



先日、久々にブッフェ形式の夜ご飯を食べました。そのときに考えた内容は、まさに、企業が事業活動を行う時の投資判断と同じプロセスであることに気付きました。



事業活動における投資判断は、経営資源が有限であるため、「企業価値を高める投資であるか?」ということが第一の前提となります。その中で日々発生する意思決定や投資判断を進めていると思います。



ファイナンスでは、投資判断や意思決定の状況に応じてどの投資や意思決定が自社の企業価値を高めていくか?を合理的に進めていくのですが、選択肢の相互関係によって考え方が異なります。つまり、意思決定する要素や投資判断を行うときの相互関係を見極めた上でそれに即した指標を使う必要性があるということです。



その相互関係を分けて考えると、「独立案」、「拝反案」、「混合案」の3つに分かれます。それぞれについて考えて見ましょう。



「独立案」

独立案は、ある制限下で、自由な選択肢の中から選びことが出来る意思決定です。それぞれのプロジェクトが相互に影響を受けないため、どのような組み合わせも可能です。企業活動における制限とは、投資できる額とか、採用できる人数とか、利用可能な経営資源となるでしょう。独立案の場合の意思決定の指標は、効率(=リターン/制約された資源や資本)となるでしょう。



ブッフェの例では、例えば次のようなサラダバーがあったとします。サラダバーの中から好きなサラダを取ることが出来る。しかし、取ることが出来るのは1つの皿に盛れる範囲。この場合の制約は皿の大きさになります。この場合、どのような組み合わせも自由なので、独立案と言う事が出来るでしょう。



さて、あなたはどのようなサラダを盛りますか?リターンを好きなサラダと考えたら、一皿あたりのリターンが最大になるように盛り合わせると思います。リターンを、それこそお金に換算したら、一皿当たりの価格が最大になるように盛り合わせると思います。まさに、無意識下で独立案の最適化を行っているのです。



他の例にも、正月に恒例になっている、中身を自由に選択できる福袋や詰め放題も詰めた商品から得る満足感をリターンとしてたら、制約条件は袋のサイズ。サイズあたりの満足度を最大にするために一生懸命になって詰めるでしょう。



コンビニの棚なども独立案ですね。例えば、陳列できる商品は何でも構いませんが、粗利額の大きな商品や、回転率の高い商品を陳列すると思います。リターンを利益と考えると、面積あたり最大の利益を生むようにどのような商品を陳列するか考える事でしょう。



「拝反案」

拝反案は、選択肢の中から1つを選択したら他の選択肢は選べづに却下される意思決定や投資判断です。例えば、遊休地となっている土地を有効活用するために、スーパーマーケットを誘致するか、又は、マンショウンを立てるか、などの投資判断は拝反案となりますね。選択しは2つですが、どちらかを一方の選択しかできないですよね(1階をスーパーにしたマンショウンとしたら、これは選択肢が増えるだけで結局は拝反案になります)。拝反案の場合の意思決定の指標は、追及する価値の正味の絶対量と言う事になります。ファイナンスでは、このときにNPV(正味現在価値)を利用します(投資判断その1投資判断その2、を参照)。



ブッフェの例では、例えば次のようなシステムだったとしましょう。このブッフェの売りはバイオーダーでピザとパスタが出来る事。サラダやその他の食べ物やドリンクなどは中央のテーブルから自由に取ることができます。さらに、メインのピザとパスタは、注文してから作りたてを都度、届けてくれる仕組みです。



ブッフェで散々食べた後に、最後にピザかパスタをもう一枚!という状況。これは拝反案の選択でうね。ピザを食べれば、もうパスタが入らないし逆もまた叱りです。さて、このときに追加する価値は最後の1品から得られる満足感でしょう。



「混合案」

混合案は字の如く、独立案と拝反案の両方の要素を持った投資判断や意思決定です。通常は複数の独立案があり、それぞれの独立案の中に拝反案が存在すると思います。

この場合の意思決定は、1)独立案の優先順位を効率に基づいて選定して、2)拝反案の意思決定を追及する価値を最大にするものを選択します。



例えばブッフェの場合、どこのブッフェにも行くことが出来るでしょう。お金は沢山もっていれば、はしごする事だって可能です。しかし、お腹という制約条件があります。この場合、お腹一杯になるための人品ごとの満足度によってリターンを最大化するように意思決定を行っていると思います。これは混合案下による意思決定ですね。



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