今の開業を考える

2020年2月18日 火曜日

早嶋です。

多くの業態が成熟期、もしくは衰退期に入っています。しかし、そのような時期でも新規に起業する方もいます。既にその業界で長年経営を続ける方からすると、起業の仕方についてやや不安視する人もいるでしょう。

先日、20年以上独立開業している歯科医院の院長とじっくり話す機会がありました。その歯科医院では定期的に代診のドクターを仲間にいれ治療や医療サービスを提供しています。そして、そのドクターはこれまで何人も独立してきたそうです。

今、歯科医院はコンビニの数よりも多く、昔と比べて虫歯になる子供が減ってきています。景気も低迷しているし、歯科業界もトレンドとしては下り坂です。ドクターが開業した当時1990年代と違い世の中は大きく変わってしまいました。

更に、現在は人生100年時代に突入しました。ドクターが開業した当時の先輩ドクターは60歳で定年して80歳の人生でした。それが今は100年です。60歳で定年しても40年もの時間があるのです。20年の追加は人によっては恐怖でしょうね。

昔の成長期の勢いで収益が出れば良いですが、今はなかなか収益が伸びません。借金して開業してもなかなか減らず、高齢になっても仕事をこなさないといけなくなりました。しかし年齢を重ねると体力の衰えもあるでしょうから、若い時と同じようなパフォーマンスを発揮できるかという不安が多いといいます。

更に20年前と比較して明らかに時代の変化やスピード感が異なっています。レントゲンはアイパッドでデジタル化され、撮ったその場から患者と自由にコミュニケーションしながら患部の確認ができるのが当たり前です。フィルムの世界とは次元が異なります。歯の設計もPCベースで技工士の仕事そのものが不要になっています。削る作業も機械が行い、歯の型を粘土で取る手法も光学スキャナで置き換わりました。デジタル化によって熟練工の技術の差がなくなり、誰でも一定以上のスキルを簡単に安価に早く身につけることができるようになったのです。

100年人生、圧倒的な時代の変化、そしてデジタル化による技術の差異がなくなる今、昔と同じ発想ではそもそも取り残されるのが当たり前です。そのため変化を受け入れ、あるいは楽しむ余裕が必要です。柔軟さが無ければ、きっと次の10年を乗り切ることは極めて難しくなるのではないでしょうか。そんな話が付きませんでした。

歯科医院の平均売上は3,600万円/年といいます。借金が無ければ何とかなるでしょうが、借入が一定あれば結構辛い数字です。不動産が高騰して建築コストも上がっている中、テナントで開業しても開業費用は7,000万から8,000万円かかります。果たしてローンを返済できるのか?ともう少し数字のシミュレーションを行ったほうが良いのではと心配してしまいます。



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