
ダイバーシティとインクルージョン
2019年12月3日
安藤です。
福岡県男女共同参画センター「あすばる」女性活躍推進に向けた企業内研修事業講師担当しています。
ここ数年の依頼は、ダイバーシティ、メンタルヘルス、ハラスメントが一番多いテーマです。
ダイバーシティ研修では、“ダイバーシティとインクルージョン”はセットでお話させていただいています。
まずは、定義についてですが “ダイバーシティ”とは、そこに存在する多様な違い。目に見えている違いは、性別、人種、肌の色、年齢等が挙げられます。目に見えずらい違いといえば、国籍、民族、文化、言語、宗教、信条、性自認、性的指向、経験、専門性、働き方、価値観などがあります。また、他者との関わり方についてもどれくらいの距離感なら心地よいのかというパーソナルスペースの感覚も各自違います。
ビジネスやキャリアに関しては、出身業界や職位、在職年数、収入、雇用形態などがあります。また、性格や考え方、意思決定の仕方や柔軟なのか規律を重んじるのか等のタイプの違いもあります。
“インクルージョン”とは、「一人ひとりの違いを受け入れ、尊重し、価値を見出し、企業の競争優位として活かしている状態」です。言わば、すべての社員が自分らしさを保ち、組織に最大限意味ある形で貢献し、成長し、活躍できると感じられることです。
令和元年度経団連共催において、ダイバーシティ・マネジメントセミナーが開催されました。そこでは、Society 5.0の到来や人口減少等、これから大きな変化を迎える日本社会において、企業が持続的成長を実現していくためには、女性、若者、シニア、外国人、LGBTを含めた多様な人材の能力を最大限引き出し、さらなる生産性公向上を図っていくことが不可欠であること。こうした中、ダイバーシティの実現に向けた取組は、この数年、各分野において着実に進められていること。そして、昨今ではESG投資が世界的に注目されており、とりわけ「S」や「G」の観点から期間投資家が企業の女性活躍の取組を評価する動きが進んでいることが話されています。
*ESGとは企業経営や成長において、環境、社会、企業統治といった観点からの配慮が必要という考え方のことです。 Environment(環境) Social(社会) Governance(企業統治)
また、一般社団法人日本経済団体連合会/内閣府主催でのセミナーでは、現在の「VUCA」の時代においては、かつて求められていた「課題解決型の人材」ではなく、「新たな価値を創出するイノベーション人材」が必要であり、そこには、「ダイバーシティ&インクルージョン」が不可欠である。男性中心のボードメンバーに女性が混ざることにより、リスク管理能力や変化に対する適応能力が向上するとありました。
*VUCAとは、予測不可能な時代
Volatility(変動性・不安定さ), Uncertainty(不確実性・不確定さ), Complexity(複雑性), Ambiguity(曖昧性)
このことが組織戦略の差別化にどう活かしていくのか。3点から考えれます。1点は、優秀な人材の離職防止、エンゲージメントの向上等、2点めは、ビジネスの成長、投資家絵のアピール、新規市場へのアクセスなど、3点目は、企業認知度の向上、企業イメージの差別化等です。特に、多様性は、上記にも書かれているように『新たな価値を創出』してくことに繋がると考えます。
ダイバーシティ、女性活躍推進、ハラスメント,部下指導,メンタルヘルス, ストレスマネジメント, アンガーマネジメント, モチベーションマネジント研修などにご興味・ご関心のある方また、気軽に弊社にご相談くださいませ。
『名選手必ずしも名監督にあらず』は営業も同じ
2019年12月2日
高橋です
毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。
今月のテーマは「『名選手必ずしも名監督にあらず』は営業も同じ」です。
今回ご紹介するのはセールスプロセスの見える化についてです。
先日あるフォーラムに参加したのですが、そこで「セールスプロセス」構築について講義がありました。売れている営業パーソンが何をどういう順番で行い、どのようなタイミングでどんな話をし、ツールは何を使っているのか、全て聞き取りしフローチャートを作るというものです。
組織全体における営業力の強化には、根性論や経験則ではなく、論理的で合理的なノウハウ構築が欠かせません。そのための重要なポイントとなるのが、営業活動の「プロセスの分析」と「見える化」です。セールスプロセス構築を通じて、組織全体が活性化し、お互いが気づきやノウハウを共有して、営業力を全体で底上げしていく方法です。実際、売れている営業パーソンがどうやって成果を上げているのか、その中身はブラックボックス、つまりその人にしかわからない属人化しています。そこを見える化するわけです。
皆さんの会社やお知り合いにも、成績抜群の営業パーソンがいらっしゃることと思います。そんな人に「どうやって売っているのですか?」と尋ねても返ってくる答えはけっこうありきたりだったりします。例えば「お客様の話しを聞くだけ」とか「仲良くなれば」なんて言われてもピンとこないことがありませんか。私が思うに売れている営業パーソンは商談において無意識に効果的なセールスプロセスを構築しているのではないでしょうか、独自のノウハウです。自分が普段何気なく行っていることなので、改めて聞かれても上手く説明できない、他の営業パーソンと共有できないのではないでしょうか。
プロ野球の名選手が野球教室で「こうやって、きたボールをガアーと言ってバアーンと打て!」とバッティングしてみせるのと同じですね、天才にしかわからない。
ではそもそも、セールスプロセスとはどんなものでしょうか。
セールスプロセスは、お客様との初めの接点から契約が成立するまでに、どういったプロセス(課程)を経て、成約に至ったのかについて、段階ごとに整理したものです。一例を挙げると「アポイント」→「ヒアリング」→「プレゼンテーション」→「クロージング」→「契約」→「アフターフォロー」といった、営業活動における一連のプロセスを指します。
当然ですが、セールスプロセスは企業や営業組織それぞれで大きく異なります。したがって私どもはオーダーメイドで個別に企業のセールスプロセス構築のサポートをいたします。
全ての営業社員が、トップ営業パーソンと同じスキル・ノウハウを習得できたら会社の売上がどうなるか、考えるとワクワクしてきますね。
『収益をできるだけ効率よくあげなくてはならない。そのためには、データ志向の営業文化を作る必要がある。データは直感に勝つ。』 デイブ・エルキントン(InsideSales.com創設者 & CEO)
セールスプロセス構築、営業研修、人材育成、チームビルディングなどにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
香港のデモの昔と今と将来
2019年12月2日
早嶋です。
11月末に2泊だが香港に行く用事がありました。その中で一連のメディアを騒がしているデモの背景や今後を知りたくて、現地の若者の声を聞きながらどんな現状なのかを自分の考えてとして整理しました。
1. 11月末の香港
逃亡犯条例改正案をきっかけに抗議活動が始まった香港。2019年11月24日の区議会選挙は、民主化運動に前例ない勝利をもたらしました。一連のデモはピークを超えたようですが、中国本土の企業や中国寄りの企業に怒りの矛先が向けられた形跡が未だ街中に残っていました。店頭の落書きは可愛いもので、店舗が破壊され、再び影響を得ないようにガラスのみならず店舗の壁面などは木や鉄などの素材で生生しく保護されています。竹で足場を組み修復している店舗は、街のあちらこちらで観察できました。
特に中国銀行をはじめとする中国大手銀行の店舗は破壊された後を垣間見ることができ、ATMなども含めて被害が相当だったと想像できます。エリアによってはスタバや日経の吉野家、元気寿司、そして博多の一風堂なども被害を受けていました。
背景を調べると、上記の香港FC店舗を運営している企業は、地元飲食大手の美心集団(マキシムズ・ケータラーズ)が運営していました。美心創業者の娘がジュネーブで開かれた国連人権理事会で香港のデモについて批判的な発言をしたことに対して報復的に襲撃されたのです。
同様に吉野家を運営する香港FC店の現地企業は香港政府と警察を支持している親中派企業です。デモに関与する社員を無理矢理解雇するという趣旨の発言があったことをきっかけに攻撃対象になり、同時に香港市民はボイコットしていると現地学生が話していました。
スタバや日本のFC店舗が被害を受けている様子を報道で見たとき、日本への何らかの反感があるのかと思いましたが、完全なミスリードでした。香港という土地柄、多くのグローバル事業を行っている資本が、どのような思想を持ち、どのような組織とつながっているか。また一連のデモに対して、どのようなポジションを持つかを理解しなければ、多くの誤解を招き兼ねないと感じました。
2. 「逃亡犯条例」改正の背景と疑問
そもそも香港政府が「逃亡犯条例」改正を提訴するきっかけは台湾での殺人事件です。2018年2月、香港から台湾旅行中に男が交際相手の香港女性を殺害した疑いが持たれました。男は香港に戻り、台湾で起きた殺人事件に対しての訴追を免れました。理由は、香港と台湾の間で容疑者の引き渡しを行う取り決めがなかったからです。そのため台湾での司法手続きが進まなかったのです。
香港政府は2019年4月に、この殺人事件を理由に、香港当局が身柄を拘束した容疑者に対して、台湾や中国本土に対して身柄の引き渡しが可能にできる条例改正案を立法会議に提起します。その結果、様々な思惑が交錯し、市民の大反発からやがて一連の大規模な抗議活動に発展したのです。
日本での報道を聞く限り、「中国政府が香港に対して何やら強引に・・・」というニュアンスが漂うのではないでしょうか。一連の香港におけるデモ活動を理解するために、いくつかの視点を確認してきました。
3. 歴史的背景
今回のデモ(デモ隊と警察の衝突)は、2019年7月1日、香港がイギリスから中国に変換されて22年を記念する式典の最中、立法会の近辺で勃発しました。
香港は、150年以上の間イギリスの植民地でした。1842年、アヘン戦争の後、香港島はイギリス領になります。その後、当時の清朝政府からイギリスは当該エリアを99年間租借します。これをきっかけに香港は貿易港として発展しました。1950年代には製造業のハブとして更に経済成長を遂げ続けます。同時に、中国本土の政情不安から貧困や迫害を受けた人たちが香港に移り住むようになりました。
1980年代前半、イギリスと中国政府は将来の香港について協議を開始します。この際、中国共産党は返還後の香港は中国に従うべきだと主張しました。中国の立場を鑑みるとある程度理解できる主張です。
そこで、協議の結果1984年に合意されたのが1997年に一国二制度として条件付きで中国に返還されることでした。その条件は、返還から50年間は外交と国防問題以外では高い自治性を維持できるというものです。香港は特別行政区になり独自の制度と国境を持ち表現の自由などの権利等も保障されるように約束されました。
1997年から20年近く経った今、中国の経済は当時想定出来ないレベルにまで成長しています。当然に中国政府からしても香港の立地や世界における役割は当時話合あったときと違って見えるのかもしれません。一方で、香港と同様の役割担うエリアとして上海や深センが代替として成長しているため、昔ほど気にならない存在に写っているかも知れません。
ただ香港に住む人々の見解は、「自由が徐々に減ってきている」ということのようです。例えば、
香港の人権団体は、高等法院が民主派議員の議員資格を剥奪した事例などをあげ中国政府の香港自治への介入を批判
香港の書店員が次々と姿を消す事件
香港の富豪が中国本土で拘束された事件
香港のアーティストや文筆家は検閲の圧力に晒されている
など、その見解を助長する出来事は枚挙にいとまがないのです。
4. 香港人の民主化とアイデンティティのギャップ
香港の民主化についても疑問があったと思います。香港政府トップの行政長官は1,200名程度からなる選挙委員会で選出され、その構成の多くが中国政府寄りでした。
更に立法会議席は香港の有力者に直接選出されるわけではなく、議席の大部分が親中派の議員で占められていました。多くのニュースソースを参照すると有権者に選ばれた議員の中には中華人民共和国香港特別行政区への忠誠を正しく述べることを拒否し、「香港は中国ではない」旨のメッセージを掲げることで議員資格を剥奪された人もいました。
香港に住む多くの人は民族的には自らを中国人だと認識しており、香港は中国の一部と考えているようです。しかし同時に多くの香港人は自分たちを中国人と思っていません。
実際、このようなサーベイを行っている香港大学の学生に直接話しを伺ってみました。自分たちが行ったサーベイでは自分たちを中国人と思う割合は1割強しかいないとのことです。そして、その傾向は世代が若くなるほど大きくなり、香港人としてのアイデンティティを若者ほど大切にしているそうです。彼ら彼女らは法的にも、そして社会的にも、また文化的にも中国と違うと考えているのでしょう。
5. 職にありつけないと思い込む学生
今回の一連のデモ活動は、香港に行く前は政治的な不満に起因するという理解でしたが、香港の大学生と話をして感じたことは、就職や先行きの不安という側面も無視できないということです。
地元の大学生によると、抗議者の8割以上は不公平な社会構造に怒りを示しています。そして9割以上は貧富の格差が不当な水準まで達していると感じています。
考えてみれば、フランス革命以降、多くの政治的な理由で自由や民主主義を大義とする革命が起きていますが、その裏側には常に生活苦や将来への不満がありました。今回の香港デモの参加者の特徴は、その多くが20歳代で、大卒程度の学歴を持っているか、在学中の生徒が大半だという事実です。
世界の金融が集まる国際都市香港は、金融やビジネスコンサルティングなど知識集約型の事業が高度に発展しています。当然、家庭では教育に熱がはいります。しかし現実は良い大学を卒業したからといって新卒者は希望する職にありつけないのが現状です。
それは次のような理由です。香港にはそもそも世界中から優秀な人材が集まります。また、既にその世界で経験を豊富に積んだビジネスパーソンが揃っています。英語が普通に通用するという理由も、豊富な人材で溢れる環境を手助けしています。そのため例え高学歴の新卒でも良い就職口が簡単に見つかるわけではないのです。
何人かの学生も口にしていました。「一生懸命受験勉強して大学に入ったのに、いい仕事につく希望が持てない」と。香港の大学生は優秀な反面、いわゆる21世紀型の教育ではなく、20世紀型の教育、詰め込み教育、答えありきの瞬発力を鍛える教育の中で育ってきたのです。そのため21世紀型の、真のグローバル化に対応できていない学生が山のようにいると複数の学生と話をして感じました。
確かに、香港の今の状況は学生にとって大変でしょう。しかし、一方で香港では就職が出来ない、或いは高く評価されなかったら自ら起業するか、別のエリアに行き自分の価値を認める企業を探せば良いのにと思います。香港というエリアに固執しすぎて視野が非常に狭くなっている側面も否めませんでした。
6. 急速な人口増加の影響
1980年の香港の人口は510万人程度でした。それが今では750万人を超えています。単純計算で毎年6万人弱の人口が増え続けています。近年は香港でも少子化が進んでいることから人口増加の原因は人口自然増ではなく流入人口によるものです。
実際、2018年は前年よりも7.3万人増加しています。出生数から死亡数を引いた人口自然増は6,300人程度なので凡そ6.8万人もの流入人口の増加があるのです。
流入人口の7割は単程証の所有者といわれます。単程証は、香港人の中国本土の配偶者や中国本土で生まれた子供を呼び寄せる移民政策です。香港返還から既に100万人を超えています。
地元香港人によっては、本土からやってくる中国人が格差を助長していると考えています。中国本土で成功した金持ちが香港にやってきて不動産を買い住宅価格を釣り上げているからです。しかし見方をかえると、単程証は香港の不動産が動くため、結果的に香港政府にお金が入ります。そのため香港政府は単程証により香港の経済活動がプラスになると考えているのです。
若者の不満は就学にもあると思います。香港には優れた教育機関が多数存在します。名門校は当然ながらステータスとなり競争が激化します。これが単純に学力だけの戦いだけであれば納得するでしょうが、教育機関によっては家柄や親の職業を示す推薦状が必要で更に狭き門になっているのです。
香港が中国の支配下になって以降、共産党や中国国有企業の幹部はこぞって自分の子供を香港の教育機関に通わせようとします。そのため転入学やコネ入学などの噂が広がります。実際にそのような事実があるか今回は確認出来ませんでしたが、定員枠があるなかで、元々の香港人はその影響を受けて入学がますます困難になると感じているのです。
7. 好景気の落とし穴
1997年にイギリスから返還された後、香港には中国本土や様々なエリアから投資と同時に観光客が押し寄せます。また中国本土との取引も活発になり好景気に沸きます。
当然、好景気は生活物価を押上げます。香港の平均所得や生活水準は先進国並みなのに対して、2018年の香港のインフレ率は2.4%と発展途上国並といえます(日本は0.9%、韓国は1.4%、そして中国本土でも2.1%、世界銀行の統計情報を参照)。
長期的にはインフレの影響で賃金も上昇するでしょう。しかしデモ活動に参加する若者は年長者と比較して所得水準は低く、急激なインフレによって生活が苦しくなっていると感じているのでしょう。
格差を表す指標として多くの機関が利用しているジニ係数があります。一人ひとりの所得が均等に分配されている場合、ジニ係数は0(ゼロ)に近く、所得の格差が大きくなれば1に近づく指標です。
香港は世界中の金融関係やコンサル関係の仕事が集まり、その結果、世界屈指の各社社会になっています。変換前の1986年のジニ係数は0.45程度でしたが、現在は0.54くらいで非常に高い水準です。先進国で最も高い米国でも0.41です。
全体として景気が良い香港ですが、その波に乗れない人々が多くを占め、特に実質所得が低い若者にとっては非常に生活しにくい場所になっているのです。
8. 世界一高額な家賃と香港政府の関係
香港には750万人が住んでおり、限られた土地に対して住宅の需要が不足する状況が続いています。香港は税優遇があるため金融の中心として栄えてきました。ここに携わる人々と一般の人々では収入状況が全くことなります。
わずかな土地を多数の金持ちが欲しがるため土地や住宅の価格はどんどん転売され更に上昇する仕組みです。当然に低所得者からするととても厳しい環境です。
政府筋の話によれば住宅の半数は香港政府が供給します。所得が低い人向けの住宅です。これらは公共事業に相当するため住宅開発や売買において香港政府にマージンが入ります。
残りの半数は不動産市場によって供給されます。当然、需要過多なため富裕層や海外の投資家により競争状況になります。結果、土地や住宅の価格は常に高等します。当然、投資対象となり、富裕層は更に富を得る構図が出来上がっています。
香港政府は全ての土地の売買に対して関わることになるため、土地や住宅の高等と売買は、政府にとっても格好の収入の糧になっているのです。香港政府は税収のかわりに不動産収入でインフラを整えているため、香港全体の相場が下がれば政府の収入は連動して減少します。富裕層や投資家にとっても相場が下がることは資産が目減りすることを意味するため土地や建物の価格が高騰する方向になるのです。
現在、香港で平均的な人が家を買う場合、平均収入の約18倍の価格が相場です。2019年時点での日本の平均収入が441万円です。香港の相場に当てはめた場合、平均的な住宅相場が441万円✕18年≒7,940万円になるということです。香港は現在、地球上で最も不動産を取得することが難しいエリアになっているのです。
9. 君たちはどう生きるか
これまでみてきた通り、デモのきっかけは犯罪者引き渡し条例の審議でしたが、様々な要因が複雑に絡み合った状況が突如噴火したような状況になっていると言えます。返還後、急速な経済成長の果実を得た40歳代以上の年長者にとっては結果的に差し引きゼロの恩恵を受けたかもしれません。しかし、返還によって思いの外良い思いをしていないと感じる若い世代には不満と将来への不安が募っているのです。
昭和を代表する知識人として知られる、そして岩波書店の取締役になった吉野源三郎の著書「君たちはどう生きるか」の一節に次のような話があります。
雨の中、父を無くした主人公が銀座のデパートの屋上でおじさんと話をしています。主人公は列をなして道を走る車や人々をみて「人は分子のようにちっぽけな存在だ」と思うと話します。自分が育ってきた時に飲んでいたミルクが、はるか遠くオーストラリアの牛から作られ、自分が飲むまでに無数の人が関わっていることを想像します。「あらゆるものが無数の人間同士の絶え間ない関係によって存在することを想い、人間分子の関係、あみ目の法則」と名付けました。
この話におじさんは、主人公に語ります。「人間は人間同士、びっしりとつながり、互いに切ってもきれない関係にいながら、そして大部分があかの他人だ。そして、このあみ目の中で得な位置にいる人と、損な位置にいる人との区別があるということだ。」と。
この著書は、満州事変(1931年)の後、日本が軍国化する時代に書かれ、著者である吉野源三郎は軍国主義に向かう日本に生きていかざるを得ない少年少女たちに、「自分で考えて自分で責任を取る大人になり希望を忘れてはいけない」というメッセージを残したと思います。このメッセージは戦後75年以上も経った今でもあらゆるエリアにおいて重要な意味があると思い出しました。
香港然り、日本も予測のつかない状況です。しかしながら資本主義社会というルールの中で生き残るためには、グローバル化し、市場を開放する方向性に向かうでしょう。香港と日本の違いは、香港は急速な上りの格差で多くの若者が苦しんでいます。一方、日本は下りの格差によって同じような状況に陥ってもおかしくありません。
いずれにせよ、自分のアタマで考えて、自らリスクを取って行動して、結果に責任を持つ基本的なスタンスは普遍的に役立つ考え方だと短い視察の中で再認識しました。
2019年11月29日 2泊の香港視察を受けて執筆
早嶋聡史
参照
Why are there protests in Hong Kong? All the context you need https://www.bbc.com/news/world-asia-china-48607723
虫歯と論理思考
2019年11月12日
早嶋です。
虫歯について調べてみた。そもそもなんで虫歯になるのか?そのメカニズムが分かれば、もっと合理的な口腔内のケアができるのではないかと。基本、小さい頃から歯磨きが大事よ!と言われてきたが、他にもケアの方法はなにものかと。
人が糖を接種した際、それを分解する目的で口の中は酸性に傾く。酸は歯の表面に対しては悪で、その状態が長く続けば歯の表面が溶け出してしまう。しかし人間は同時にナイスなツールがあり歯を修復する。それがツバだ。ツバによって酸で溶けた歯の表面を修復するのだ。
通常虫歯が少ない、若しくは無い人は上記の酸による糖の分解とツバによる修復のバランスが取れている人になる。逆に虫歯になる人は、上記のバランスが崩れていると言える。ツバの修復よりも酸が出ている時間が長くなり歯の表面からはじまり最終的に歯に穴をあけてしまうのだ。それが虫歯なのだ。
余談だが、歯科医院の虫歯の治療は歯を削って埋める。というのが従来のやり方だ。これは対処療法的で治療ではない、修理だと思う。内科などでは、病気の根源を調べ、そこを取り除く取り組みを行うが、歯科医院は実は表面的なことしかやっていないのかな?と素人ながら考えてしまった。
さて、虫歯のメカニズムが解ったら、対処の方法が見えてくる。まずは①細菌アプローチだ。これは口腔内の菌を減らす取り組みになる。歯磨きがこの対処に相当する。他にも、細菌アプローチはある。口腔内の悪玉を善玉に変える菌抗体のタアブレットやキシリトールの接種だ。キシリトールは、悪玉菌の活性を抑える働きがあり、細菌アプローチには最適だ。
次は、②酸アプローチ。つまるところ糖の接種を抑えることや制限することだ。いわゆる兵糧攻め。ここは食事制限であったり、食べ続けることをやめることになる。糖の過剰接種は酸を勢いよく出すことにつながるので虫歯になりやすい。このように考えると合理的な食事制限が大切になる。
③修復アプローチ。糖を分解するために酸を出す、従い食べている間はしょうがない。でも、ずっと食べ続けていると、常に口腔内が酸性に傾き、歯が溶けやすい状況になるので、その習慣を矯正する対処方法が考えられる。その手法は、食後はしばらくおいてからガムを噛むことだ。ガムを噛むことでツバも出るので同時に修復を促す効果が期待できる。ここで再びキシリトールが登場する。菌の活動を抑制することで修復と溶ける作用をダブルで抑えるのだ。キシリトールのガムは最強の組み合わせと言えよう。
④表面強化アプローチ。歯の表面にフッ素を塗布するアプローチだ。これはバリアみたいなものだ。高濃度のフッ素は3ヶ月程度は持つようだが、理想は低濃度のフッ素を繰り返し塗布することのようだ。急激な接種は何事も良くないのが理由のようだ。となると、フッ素入の歯磨き粉というので毎日ブラッシングすることで表面強化をおこなうのはイメージが持てる。
歯科医院によっては、唾液の検査をしてくれる。これによって、口腔内のばい菌の量や質が分かり、口腔内の酸性をアルカリ性に戻す力なんかの目安を知れる。メカニズムを理解して、自分の傾向を理解して、自分オリジナルの口腔内ケアを考えるのはなんとも楽しい取組だ。
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伊藤忠の戦略
2019年11月6日
早嶋です。
2019年10月29日の日本経済新聞電子版の記事によると、伊藤忠は保険代理店大手の「ほけんの窓口グループ」を連結子会社化しています。
ーーー日本経済新聞電子版ーーーー
伊藤忠商事は29日、来店型の保険代理店大手のほけんの窓口グループ(東京・千代田)の発行済み株式57.7%を取得し、同社を連結子会社化したと発表した。出資を始めた2014年3月からの累計出資額は165億円におよぶ。伊藤忠は消費者目線でニーズを把握して商品やサービスを創出する「マーケットイン」型ビジネスを強化していく。
ーーー参照終了ーーー
ほけんの窓口は全国に742店舗(6月末時点)あり、107万人の契約者がいます。当然に、保険を販売する目的から顧客やその家庭のライフプランに関わるニーズを細かく把握していると考えられます。一方、伊藤忠はコンビニのファミマを全国に16,500店舗程度展開しています。顧客データを紐付けて、コンビニと融合することでより生活者に近いサービスを提供することが想定できます。
2017年には輸入車販売大手のヤナセを小会社に迎え入れていることを考えても、ほけんの窓口はシナジーを生みそうです。商社として、資源や繊維などの事業が不安定になるなか、新たな事業を展開する意思が垣間見れます。そして、商社が選んだ事業は、顧客の細かいデータと、それを活用して消費者との接点が近い継続する事業です。
デジタル化が進むにつれ、企業と顧客は常に何らかのIDを介してつながることが想像できます。伊藤忠の事業もデジタルトランスフォーメーションに備えていることが伺えますね。
パワーハラスメント防止措置に関する指針の骨子(案)
2019年11月5日
安藤です。
厚生労働省から、令和元年2019年9月18日開催の「第18回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会」の資料が公表されました。
今回の議題は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部改正する法律の施行について」で、ハラスメント防止の強化の部分がメインとなっています。
法改正事項には、大きく4つあります。
①女性法、②労働施策総合推進法、③均等法、④育児法についてです。
①に関しては、行動計画策定・情報公表義務の対象拡大(301名以上⇒101名以上)、その他(情報公表の強化・勧告違反の公表、プラチナえるぼし、報告徴収等の対象拡大)
②に関しては、国の施策へのハラスメント対策の明記、国、事業主及び労働者の責務、雇用管理上の措置義務の新設、事業主への相談等を理由とした不利益取扱いの禁止、紛争解決援助・調停、措置義務等の履行確保(報告徴収、公表規定精微)
③均等法に関しては、国、事業主及び労働者の責務、事業主への相談等を理由とした不利益取扱いの禁止、
他社の措置義務の実施への協力(努力義務)【セクハラのみ】、調停の意見聴取の対象拡大、男女雇用機会均等法推進者の専任努力義務
④に関しては、国、事業主及び労働者の責務、事業主への相談等を理由とした不利益取扱いの禁止
更に、第20回労働政策審議会雇用環境・均等分化会では、職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案。セクシャルハラスメント等に関する指針の主な見直し事項についても公表されています(2019年10月21日付)
令和元年6月に公布された改正労働施策総合推進法では、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)を、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものと定義されています。
今回提示された指針の素案では、パワハラに該当する例・該当しない例が、「身体的な攻撃」、「精神的な攻撃」、「人間関係からの切り離し」、「過大な要求」、「過少な要求」、「個の侵害」という典型的な6類型に分けて示されています。
また、企業に防止対策を義務づける労働者には、正社員のほか、パートタイム労働者や契約社員などの非正規雇用労働者も含むことなどが明確にされていますが、一方、企業と雇用関係にないフリーランスや個人事業主、インターンなどについては、「行うことが望ましい取組」が示されるにとどめられています。
「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針」については、これからより具体化されるかと存じます。経営者・管理者は、知識として知っておくべき点でもあります。
ハラスメント,部下指導,メンタルヘルス, ストレスマネジメント, アンガーマネジメント, モチベーションマネジント研修などにご興味・ご関心のある方また、気軽に弊社にご相談くださいませ。
真のおもてなしとは 伝説のホテルマンが語る
2019年11月4日
高橋です
毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。
今月のテーマは「真のおもてなしとは 伝説のホテルマンが語る」です。
今回ご紹介するのは日本のトップブランドホテルに長年勤め、現在は人材育成やマナー講師、企業研修をしておられる宮本さん(仮名)です。皇室の方々や誰もが知るカリスマ経営者を担当してこられた伝説のホテルマン、自らが行ってきた実際のエピソードはとても興味深く、ホテルの接客ってそこまで考えて行われているんだと驚きと感動の連続でした。
ホテルに限らずどんな業種であれお客様に対する「真のおもてなし」を教わりました。またリアリなお話しは、話す人の信頼感が増し、聞いた人に刺さり納得感が増すことも体感しました。
さて、皆さんはどんなおしぼりを出してもらった時に、感動しますか?ビニールに入っているおしぼりは特徴がなく誰でも一緒です。宮本さんは朝、その日お越しのお客様の年齢や好み、今日の天気や温度を考えて一本一本タオルを巻いておしぼりを作ります。夏の暑い日でも、まずは熱々のおしぼりを差し出します。お客様はゆるく巻いた暖かいおしぼりで顔を拭いてホッと一息つくのです。それから少し冷ました「追いおしぼり」を差し出します。女性のお客様には少し低く目の温度のおしぼりを出します、やけどをしないようにという配慮です。
ホテルのカフェでも、宮本さんは目をひからせています。何を見ているかというと、お客様がコーヒーを飲まれているカップの傾き加減です。カップが大きく傾いているとスッと近づいて、呼ばれる前にお代わりを注ぎ足します。
担当するカリスマ経営者が来福する時は、事前に秘書に体調など変わったことはないか?確認をするそうです。ある時、秘書情報で風邪をひいておられるとのこと、宮本さんはホテル内の和食割烹の料理長にお願いして特製カリン茶を作ってもらい到着後部屋に入ってすぐに温かい飲み物をお出ししたそうです。でもその時は特に反応なし、すぐにパソコンを開けて「さあ会議するぞ」と英語で各国の幹部と会議を始めるほど多忙らしいです。そんなことがあって、しばらく後、同じようにエレベーターで部屋に案内する時(ちなみにエレベーターの中は至近距離で社長と宮本さんと秘書の3人だけ)「いつもありがとう、君のことはよく覚えているよ」と声を掛けられ、うれしかったそうです。
宮本さんはよく行われるマナー研修や接遇トレーニングに対し、疑問を持っています。というのも、研修では一通りマナーや所作、つまりスキルやノウハウは教えるが最も大切なことが抜けているからです。最も大切なこと、それは「マインド」=思考・考え方・心遣いです。心遣いとはお客様のことを想い、その方ひとりひとりに向けた接客、具体的には目配り・気配り・心配りです。宮本さん曰く、『マナーとは愛である』愛のない接客は、お客様に「うわべだけだな」「形だけだな」とすぐバレます。心のない接客に感動が生まれるはずないのです。
「お・も・て・な・し」が流行りましたが、どの人にも同じではなく、「どうしたらこの方に喜んでいただけるか、満足していただけるか」を常に考え行うことが「おもてなし」であり、最上級の心遣い「マインド」です。宮本さんのお客様に対する接し方は、ホテルのマニュアルにもないし、ビジネスにおいて対価を得られるわけではありません、「マインド」なのです。
この「マインド」は何もお客様対応だけではありません。上司、部下、同僚、取引先、協力業者にも共通して言えることです。スキル・ノウハウがあっても仲間を大切にする「マインド」のない仕事は、協力を得ることもできずパワーが足りません、結果成果を生み出しません。
ぜひマインドとスキルとノウハウがそろった取り組みを心掛けたいものです。
『人生方程式 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力』 稲盛和夫
キャリア研修、人材育成、チームビルディング、マネジメント研修、エグゼクティブコーチングなどにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
インタビューの質問内容を事前に考えておく
2019年11月1日
原です。
「誰に」インタビューするかを決めた後は、「何を」聞くかを考えておくことが重要です。
案外、企画書の重要な内容を聞けば、インタビューはどうにかなると思われることが多いです。
しかし、慣れない頃は、モニターだけでなくインタビュアー本人が緊張することもあります。それに、人間相手のインタビューでは、質問とは関係ないことを話す人、長く話す人、発言数が少ない人など多様です。また、限られた時間の中でどれだけ多くの言語を引き出し、発言内容の理由など具体的な言語まで掘り下げられるかが重要です。インタビューでの対話の内容がバラバラや薄いと本質的な課題が見えてきません。
以上のことを考えると、インタビューの台本となるインタビューフローを事前に作っておいたほうが便利ですし安心できます。
インタビューフロー作成のポイントは、「どういう順番で、どういう質問内容を聞くと相手は話やすいだろうか。どれくらいの時間配分で聞くとスムーズに時間内に終えることできるだろうか。」をイメージしながらインタビューフローを作成します。
では、どういう順番でインタビューしていけば良いのか。以下に留意すべき3つのポイントを挙げておきます。
①話しやすいことから聞いていく
モニターが話しやすいという理由では、「最近の身近な体験から聞いていく」というのがコツです。過去のことや聞いた話よりも、自分が体験した事例ならモニターは記憶もあり感情を込めて具体的に話すことができます。
②重要度の高いことから優先して聞いていく
モニターもインタビュー時間が長くなればなるほど疲れてくるので対話の質が下がります。重要度の高い質問は、疲れていない前半に行うのが良いでしょう。
また、時間を守ることは重要です。後半に時間が足りなくなり重要な質問だからと閉会時間を超えて質問するのはルール違反です。
③第一印象を聞きたいときは先に質問する
例えば、商品パッケージデザインへのインタビューでは、見た目の第一印象は、インタビューが進んで商品に対する意見など情報量が多くなり先入観が強くなると、第一印象とはかけ離れた意見が出てきます。見た目の第一印象などは、掘り下げる前に先に質問すると良いです。
グループインタビューでは発言数だけでなく発言内容が重要です。
勘違いされやすいことでは、発言数が多く盛り上がることが良いグループインタビューだと思われがちなことです。発言数が多くても重要なことを聞き逃してはグループインタビューの目的から外れます。
つまり、モニター全員から発言数を多く引き出し、発言の内容は考えや理由まで具体的に掘り下げられるかです。
そのためには、冒頭のアイスブレイク後の本題からは、「①モニターが話やすい内容から聞く、②重要度の高い内容から聞く、③第一印象は先に聞く、④時間配分を考えながら進める、⑤閉会時間は守る」を考えたインタビューフローを事前に作成しておくことが必要です。
デザイン思考
2019年10月29日
早嶋です。
■デザイン思考とは
デザイン思考とは、デザイナーがデザインを行う際の思考プロセスを活用した思考方法です。不確かな時代、前例が無い問題や未知の問題に対して解決を図るために有用だと言われます。デザイン思考をビジネスの領域に広げた方はハーバート・アレクサンダー・サイモン(Herbert Alexander Simon)の「システムの科学」が始まりとされます。
”現在の状態をより好ましいものに変えるべく行為の道筋を考案するものは、誰でもデザイン活動をしている”
ハーバード・A・サイモン「システムの科学」より
■デザイン思考 3つの特徴
デザイン思考は3つの特徴があります。1つ目は、問題解決を行う際に重視する要素は対象とする顧客が本当に満足することに集中します。解決方法の正しさやベストの方法などではないということです。つまり、問いそのものが重要で、解決策に重きがあるものでは無いのです。
次に、問いを設定したあ後の流れについてです。基本的には正しい問題を設定する過程と、その後の解決策を導く過程は線形的な取り組みではありません。様々な視点とアイデアを繰り返し組み合わせた試行錯誤の結果である場合が一般的です。従って、一度出た問いや解を繰り返しくブラッシュアップすることが通常です。
そして最後に、デザイン思考では、前例や組織の固定概念やバイアスなどを全て排除して考えることが大切です。少なくとも、そのようなマインドセットを持って取り組むことが特徴です。
これまでのお話を整理すると、デザイン思考とは、顧客が最も解決したい問いを正しく定義し、その解決策を提供するプロセス及び考え方なのです。
■注目される背景
従来は、正しい問いがあることが前提でした。従って、問いを正しく定義することよりも、むしろその問いに対して早く正確に解決することが求められました。しかし、多様化した変化の激しい昨今は問題の本質、正しい問いそのものを捉えることが難しいケースが増えています。
これらはVUCA時代に表現される通りです。Volatility(変動)。変化の質、大きさやスピードなど正確に予測することが難しい時代。Uncertainty(不確実)。更に、これから何が起こるかも予測できません。Complexity(複雑)。そして、数多くの因果関係が複雑に絡み合っています。Ambiguity(曖昧)。物事の原因や関係性がそもそも不明瞭で、掴みにくい場合が多いです。
そして直近から今後にかけても、世界の経済環境が極めて予測困難な状況に向かっています。結果、企業の中でも顧客が抱える真の問題を捉えて、素早く分析して形にできる人材が求められるようになったのです。・その際に活用しやすい思考方法の一つにユーザーを中心に捉えたデザイン思考が注目されているのです。
■デザイン思考の効果
デザイン思考の最大の効果はイノベーションを創出することです。これまでの延長線上ではない、非線形的な全く視点の異なるアイデアが生まれやすくなる思考法です。デザイン思考では、顧客に寄り添って、顧客を中心とした問いを考えることをスタートとします。デザイン思考を実行するためにはチームを見直すことも重要です。チーム間のコミュニケーションが自由度高く遠慮なく行える場作りとその維持が大切です。思考のプロセスにおいてチーム全員が発言し、発言したアイデアの重要度も平等に取り扱う。役割や役職、年齢の上下など、一切捕らわれないチームでを作り、アイデアを出すというマインドがポイントです。
■デザイン思考のプロセス
基本、デザイン思考には5つのプロセスがあります。共感、問題提議、アイデア創造、試作、テストの5つです。そして、このプロセスは一方通行ではなく双方向に行いながら、各プロセスそのものを1回ではなく、複数回繰り返す過程で、顧客の正しい問いと解決策を導き出していきます。
①共感
顧客中心の考え方ゆえ、顧客を理解することからはじめます。そのための方法は対象顧客のことを調べ、次に実際に観察します。顧客がどのような行動を繰り返し、どのような思考をしているのかなど、顧客に共感を示しながら観察します。そして、気がついた点や気になる点を顧客にフィードバックしてインタビューを行います。この行動観察と実際のインタビューを通して顧客が気がついていない問いを発見します。
②問題提議
事前調査と観察とインタビューより、洞察を繰り返しながら、顧客の真の問について整理します。顧客がおかれている特定の状況から、顧客が実際に成し遂げたいと思っている状態を見出すことで、ギャップを発見します。この際に発生するギャップを問題として、正しい問いとして定義します。
③アイデア創造
問に対しての解決策を考えます。その問題を具体的に深堀りし、そもそも特定の状況から成し遂げたい姿に行けない理由などを様々な視点やアイデアで深堀りします。チームで議論を繰り返しながら、大量のアウトプットを出す過程で結果的に創造的なアイデアが持つことを理解します。
④プロトタイプ
沢山の量(アイデア)が出たら、次はその複数のアイデアを早い段階で実際に試してみます。その際に有用になるのがプロトタイプです。短時間で予算をかけずに、対象顧客がイメージできるプロトタイプを早い段階で作成して、テストを繰り返します。
⑤テスト
プロトタイプを実際の顧客に試し、様々なフィードバックを取り続けます。このフェーズで有用な情報を入手したら、再び上記のプロセスを共感から繰り返していきます。試行錯誤と実際の顧客インタビュー等を通じて最高の問いを見つけ出していくのです。そして、これまで成約や販売に目を向けていた視点を、購買や1回の顧客体験を通じて、生涯に渡り取り組むんだという視点を持ってテストマーケティングを繰り返します。
■よくある落とし穴(誤解)
で、結局なにが違うの?と思った読者は多かったのでは無いでしょうか。今まで行ってきたこと、これまでチームで取り組んだことと何ら変わらないという感想を持ったのでは無いでしょうか。以下4つに絞って、デザイン思考にありがちな誤解を説明します。
○顧客(ユーザー)中心の誤解
顧客を中心に考えることは、今や管理者に取って当たり前だと思います。だれでも意識して取り組んでいるでしょう。しかし顧客中心は、「顧客が言うことを聞いて、それを実現する」という単純な取り組みでありません。有名な事例で、ラインの発明をしたフォードは、顧客の声を聞いた時、「より早い馬が欲しい」という声を聞いて、今の自動車の土台を着想しました。
顧客中心というのは、ユーザーの声をそのまま形にすることではありません。その本質はなにかを理解して、それを形にすることを意味します。そのためにユーザに共感を示すプロセスが重要になるのです。そもそも顧客は自分が一体どのような状態を望んでいるかを正しく言語化できません。そのために企業が顧客のことをより深く理解して、顧客の考えていることを正しく言語化するお手伝いをすること、そしてその状況から本質的な問いを整理っすることこそ、顧客中心という概念なのです。
○デザイン思考の5つのプロセスの誤解
5つのプロセスを見ると、この通り行えば実現できるとついつい考えてしまうでしょう。しかし、最初の共感でいきなり壁にぶち当たります。デザイン思考におけるプロセスの重要性は、単に、このプロセス通り行うことではなく、このプロセスを意識して取り組むことにあります。
はじめは試行錯誤しながら、このプロセスを行き来するでしょうが、状況に応じて柔軟に対応することもあります。デザイン思考の原則を意識さえしていれば、実際、どんな取り組みを行っても構いません。プロセスを度外視して実行した場合、今行っていることがわからなくなります。そのときは、「5つのプロセスのうち、今はどこ?」と認識することで、デザイン思考のマインドセットに戻ることができるようになります。。
○手法ではなくマインドセットだと理解する
デザイン思考と聞くと、やはり手法と捉えることが多いと思います。しかし、実際はマインドセットそのものなのです。この理解を得ると、複数の参考図書や記事を呼んでもスーッと自分のなかに溶け込んでくると思います。
○今の世の中は正しい問いが大切
実は、解決策はどうにでもなります。これまでは問があることを前提に、正しい解決策を如何に早く正確に提供するかが勝負でした。しかしVUCAの時代は正しい問いがみつかりません。企業が行う差別化は、どの企業よりも顧客の問題解決における正しい問いを発見して、その問いを解決することで行います。
昔の言葉です。「目の付け所がシャープです。」これは解決策そのものを評価しているものではありません。目の付け所、つまり顧客本位の真の問を見つけたことがすばら良いのです。結局は、そのためのマインドセットがデザイン思考に表現されているのです。
参考図書
『デザイン思考が世界を変える』 早川書房、ティム・ブラウン著
『発想する会社!』早川書房、トム・ケリー著
『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 クロス目で・パブリッシング、左宗邦威著
『クリエイティブ・マインドセット』 日経BP出版、デイビッド・ケリー、トム・ケリー著
『デザイン思考の教科書』 日経BP出版、アネミック・ファン・ブイエン、ヤープ・ダールハウゼン、イェル・ザイルストラ、ロース・ファンデル・スコール著
アフターデジタルという発想
2019年10月28日
早嶋です。
デジタル化の時代は、全てがオンラインにつながります。つまり、人が何かをする際は、その人のIDや何かその人を特定できる何かにひも付けられ、その前後の全ての行動履歴が蓄積されている状態が当たり前になるのです。そして、その状態がデフォルト(通常)で、そこに従来のオフラインが混じり合います。しかしオフラインの状態であっても何らかの工夫でその履歴もデジタルにIDに紐付けられて蓄積されるようになります。その意味でオンラインとオフラインの区別がなくなる状態が真のデジタル化の状態と言えます。
デジタル化の時代を見越して企業は大きな変革が必要になります。企業戦略レベルでは、従来の主体を企業本位にするのではなく、新の顧客や社会本位の会社に変えることが大切です。例えば従来のオンラインのメーカーなどは、「技術革新に邁進して最高の技術を提供し続けます。」と企業が主語になったミッションを掲げています。しかしデジタル化が到来すると、顧客との接点が単発的なものから連続に変わります。これは一回の取引がゴールではなく、その前後における全ての接点を意識して顧客体験を高める取り組みが大切になることを意味します。結果的にこれまで以上に企業は顧客や社会に寄り添う必要が出るのです。
従い、特定の状況や特定のおかれた顧客の状態において企業は価値を提供する発想に切り替える必要があります。従来のように一回の成約にフォーカスしてPLを立てる意識では、デジタル化の波に対応できなくなります。そのため従来のような機能別の組織や事業別の縦割り構造、そしてエリア別の組織運営等では、顧客に最高の体験を提供し続けることができません。必ず限界が出るのです。今後は成約をゴールとして捉えるのではなく、一見さんとの出会いをスタートと捉え、商品の販売後も継続的に顧客との関係を大切にする発想が必要になります。
「1回の購買をゴールと捉えずに、1回の購買からスタートがはじまり、顧客の生涯に渡って良きパートナーとして、顧客の体験を最大化するように寄り添うこと」これが企業が考える顧客や社会とのつながりにおける考え方となるのです。大きな違いですね。これから【ビジョンの変化】【STP戦略の変化】【ビジネスモデルの変容】の3つの視点から整理します。
【ビジョンの変化】
このように考えていけば、企業のビジョンが変わります。多くの企業が、「企業の価値や企業が成し遂げたい姿」を掲げています。もちろん顧客にフォーカスしたビジョンも沢山あります。しかし、「顧客を一番に考えて貢献する」などのようにやや抽象度が高い表現になっています。未だに自社が提供する商品(製品やサービス)が固定してい、それらを顧客に届けることをビジョンにおいている企業もかなり多いです。結果的に皆が頑張って、良いものを作り提供するという風土が染み付いているのです。
しかしデジタル化の世界では、単発の購買体験で完結しません。上述したように、何らかの顧客との接点をスタートとして、その顧客に寄り添う形で継続的に顧客体験を提供する企業が勝ち残るようになります。従ってビジョンの掲げ方に対しても、「どのような顧客にどのような顧客体験を提供しつづけ、どのような状態になって頂きたいかを追求する」というような内容に変更することが大切です。
その意味でビジョンの主語が企業から顧客や社会に変わるのです。ビジョンの変化は強烈です。常に顧客との接点を重視し、そこに常につながっている状態を創り出す。そうすることで生涯に渡り顧客に寄り添うことが可能になります。その状態をビジョンに明確に掲げ言葉で表現するのです。
【STP戦略の変化】
デジタル化が当たり前になると、マーケティングのSTPの概念も変わります。これまでターゲットを特定する際は、直接特定することが技術的に難しくコストがかかったことから、代替指標を使って顧客を捉える考えが一般でした。その結果、もっとも多く浸透して活用された指標が顧客属性でした。マーケティングで重要な概念は、「誰が、なぜ、なにを買っているのか?」です。これらを特定するために、本人も知らない「なぜ」の追求をすることがマーケティングの永延の命題でもありました。しかし企業規模が大きくなると、どうしても「なぜ」の追求には費用がかかるため、結果的に「誰が」にフォーカスが当たってしまったのです。
デジタル化が当たり前になると、個人が完全に特定されます。従って、従来のように属性にフォーカスすることなく、個々人が完全にデータでも把握できるようになります。これまでは「誰」というこを理解することに費用を投じていたのが、みんなが基本オンラインにつながることによって、個人の特定が当たり前になります。するとマーケティングの重要な概念の内、「誰が、なぜ、なにを買っているのか?」のなかで再び「なぜ」に注目があつまるようになります。
実際、個人が特定されても、個人も何故購入しているかを正確に考えて行動しているわけではありません。そのためデジタル化になっても「なぜ」の特定は課題として残り続けます。しかし、個々人の行動履歴や購買履歴等からこれまで見えなかった推測が可能になります。行動です。IoTやモバイル、そして5Gなどが揃うと、常に具体的な個々人のデータがデータベースに蓄積されます。すると、これまで点で見ていた属性から完全に個々人の連続的な変化が見えるようになります。これらを工夫して調べることができればより「なぜ」にちかい個々人の特定の状況が見出しやすくなるのです。
ジョブ理論では個人を属性で捉えるのでなくペルソナで捉えていました。デジタル化が完全に進めば、ペルソナは完全に特定の個人にフォーカスできます。そして、個々人のジョブをより明確につかみやすくなるのです。個々人の特定の状態の前後が明確になるためです。結果的にSTP戦略がこれまで顧客志向と表現されていた概念が、個々人の状況に志向する捉え方が強くなるのです。
まさにジョブ理論の概念ですね。ジョブとは特定の状況で顧客が成し遂げたい姿です。彼らを顧客が解決したい用事(ジョブ)と捉えて企業は解決を提供することの重要性を整理しました。ジョブは完全なる「なぜ」と結びつかない場合もありますが、「誰が」「何を買った」という情報以上に個人の「なぜ」を推測する情報としてはリッチになります。当然ながらそのジョブが見いだされれば企業は解決策としての商品(製品・サービス)を提供しやすくなるのです。
【ビジネスモデルの変容】
現在のビジネスモデルの基本体系は企業内部ではバリューチェーン(VC)、業界全体ではサプライチェーン(SC)に代表されます。VCでは上流の研究開発から始まり、商品企画、そして製造、販売、アフターフォローと続きます。それから全体に関わるVCとして人事や財務やマーケティングなどの機能がそなわります。このVCの流れを見ると、効率的に商品開発を行い、製造し販売するかにフォーカスがおかれています。一方で、販売した後のフォローや、そこでの顧客体験に紐づくデータが上流工程の研究や開発に生かされていないことも分かります。
上述したたデジタル化の発想を、現在のVCで実現する場合、かなり制約条件が高いことが分かります。アフターデジタルでは企業が大切にするのは一回の販売や成約ではなく、1回の顧客接点から始まる顧客体験をいかに継続的に続けていくかです。そのために、企業は意図的に顧客接点を増やし、管理して、それらの情報をもとに顧客の困ったことを解決する取り組みが大切になるからです。
ジョブ理論で言うところのビックハイア(1回の大きな購買)からリトルハイア(購買後に続く小さな購買の連続)にビジネスモデルを変えていくことです。サブスクリプションがデジタルとの相性がよい最大の理由は、毎月定額の固定金額を得ることで、企業は継続的に顧客とつながり、顧客が日常的に商品を使用してる状況を把握することができます。企業は継続的にその情報を活用してより便利で快適な顧客体験を提供することを掲げ商品開発を行います。
上記の変化はKPIの変更も意味します。従来は、販売につながる指標をKPIとしていました。売上や利益等々です。そして顧客型の指標としては満足度を活用していました。しかしいずれも瞬間的な指標でその後に継続するものではありません。アフターデジタルでは、KPIそのものの発想も変えることがポイントです。
例えば、継続的な顧客の接点を示す顧客のロイヤリティです。一回の購買金額ではなく、生涯に渡る購買金額であったり、退会せずに継続的に使用する顧客の数であったりです。満足度も、1回の購買体験や消費体験から得られたものを高める取り組みですが、継続性を見たいのであれば、推奨度を指標として掲げることも大切です。推奨度とは、同じような問題を抱えている顧客が自分が親しい友人や知人に対して同様の購買や顧客体験をすすめるかという指標です。
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