
新入社員信仰
2019年10月18日
早嶋です。
今朝の日経に以下の記事が有りました。
ーー日本経済新聞2019年10月18日ーー
大学生のインターンシップ(就業体験)で、運営を代行するサービスが広がってきた。短期で採用直結型のインターンが増える一方、企業の人事担当者の負担も増加。運営に不安がある企業が代行業者を頼っている。学生にとっては「憧れの先輩」が社員でないことになり、入社後の不信感にもつながる。転職予備軍ともなりかねない。
ーー引用終了ーー
そもそも新卒を大量に採用する方向性がフィットしている前提は高度成長期で経済がガンガン伸びている次期です。いまのように、さまざまな局面に対応しなければならない世の中は、新入社員を採用して育成してという流暢な取り組みがそもそもNGだと思います。
もし、それらを行ってでも新入社員を必要とするのであれば、そもそもの目利きや取り組みを自分たちで行えばよいのに、そこに代行を使う発想こそどうかと思います。もちろん私も関与している企業のように、綿密にインターンの仕組みとその後のフォローを考え丸投げではなく、パートナーとして継続的に関与した取り組みは別です。
ジョブ理論では、企業の取り組みの中に成約や販売までの活動に力を入れるため、この活動をビックハイアと呼んでいます。一方、社員からすると実際は入社後がスタートです。しかし、実経済を観察すると購買後、成約後はなんとなく力が抜けてしまいます。本来は、成約してから当人は何らかの問題を解決するわけだからこちらに資源を多く費やす必要があるのですが、本末点等になる傾向が多いのです。
今回の記事は、新入社員を取らないといけない、という人事のビックハイアの呪いを感じてしまいました。
新規事業の落とし穴②
2019年10月16日
早嶋です。
新規事業というスローガンを掲げるも、多くの企業は既存の事業を片手間に新規事業に取り組んでいます。その場合、次のような懸念があります。
「担当者の評価は、従来と変わらず既存の予算達成による」
というものです。従って、どうしてもそこは人。新規事業の重要性は理解しても、やっぱり今の既存事業に力を入れてしまいます。そもそも新規事業はすぐに成果が出るものでもないし、そのような性質であることを評価者や経営陣の理解も有りません。であるならばこれまで通り既存の取り組みを行ったほうが担当者としても合理的なのです。
更に、新規事業というテーマはあっても、どのような方向性の新規事業を行うべきかの戦略が不明なまま担当者に丸投げしえている企業が多いです。戦略が不明なので担当者は手当たりしだい手をつけます。しかも意思決定権は持っていないため、試してはパワポに資料をまとめて経営層に報告。経営層も方針が無いから良いのか悪いのかがわからなくてなんとなく宙ぶらりんの感じでときが進みます。
1年も2年も経過し始めると、流石に経営陣も縛りをかけてきて今度はM&Aだといって、また同じことを繰り返すのです。
新規事業は既存事業と異なります。従い、会社としてどのような方向性の新規事業は取り組み、どのような方向性の新規事業は取り組まないという戦略を明確にするべきです。そして、そこに関与するメンバに対しての評価を既存の事業の評価と切り分けるべきです。また、新規事業は経営陣が本気になって取りくむ事案であって、決して片手間で丸投げしては行けないのです。
インタビューの心構え
2019年10月7日
原です。
事前準備ができたなら、次は当日の心構えです。
一般顧客モニターでの参加者の方は、人前で意見を言うことに慣れてなく、多くの方が緊張しています。緊張した状態では、言葉数が少なく本音がでませんので、冒頭にはアイスブレイク(緊張で固まった雰囲気を和らげること)が必要です。
いきなり、「皆さん緊張しているようなので、緊張しないようにお願いします!」などストレートになげかける言葉は、かえって参加者が緊張してしまうので使用はNGです。
最初の冒頭説明の中では、「今回の皆さんの発言は個人名が口外されないので安心してください」などの個人情報について安心感を与えることが必要です。
そして、本題に入る前に簡単な自己紹介を全員に話していただきながら少しずつ場を温めていきます。自己紹介後には、拍手をするだけでも笑顔が出るなど効果はあります。
自己紹介だけでは、まだ緊張感が残っている場合は、もう1つぐらい付け足します。例えば、テーマがスイーツの場合は、「皆さんが好きなスイーツを教えてください。どこのカフェや専門店に行きますか」かなどを質問し、モニター参加者から自由に話して頂きます。
慣れたところで、「それでは本題についてお聞きします。」という流れで進めていきます。
アイスブレイクができないままだと、最後まで場が固く終わることがありますので、必ず冒頭には、アイスブレイクをいれましょう。
ただ、あくまでも本題について話し合う場なので、できるだけ短時間で場を温めることが必要です。あまり凝りすぎて時間のかかるアイスブレイクはNGです。
私の場合は、モニター5人のグループインタビュー時間が120分の場合は、10分ぐらいかけて場を温めています。
本題からは、モニターへの傾聴に徹底して取り組みます。モニターの目を見て、大きく頷きながら「ほぉー、へぇー、なるほど」などを連発しながら話していただきます。
そして、気になることについては、「もっと教えて」とお願いし、具体的になるまで掘り下げていきます。
時には本題から外れた話をするモニターがいますので、その時は、「本題から外れましたね。」と教えてあげることも必要です。
司会者は、車のドライブに例えると、リラックス感のある車内の空間づくりと適度なアクセルとブレーキとハンドル技術により、快適なドライブを提供する役目なのです。
ここまでは、司会を数回でも経験すれば誰にでも出来ます。
しかし、「目的、テーマ、地域、年代、対象者の属性など」が違えば、当然に発言の内容も変わります。穏やかなグループインタビューもあれば、激しく議論するグループインタビューもあります。100のテーマがあれば100の異なるモニターが集まり、その時の状況に応じて100のグループインタビューの進め方が司会者には必要となります。私は、今でもこれでOKと安易に満足したことはなく、グループインタビューの楽しさだけでなく、厳しさと奥深さに対して仮説検証を繰り返しながら精度向上に取り組んでいます。
毎月、弊社内で下記の月次セミナーを実施しています。
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キャリア・ドッグ
2019年10月7日
安藤です。
今回は、『組織活性化の仕組み』として、厚生労働省が促進しているセルフ・キャリアドッグについてお知らせ致します。
セルフ・キャリアドッグとは、定期的なキャリアコンサルティングとキャリア研修などを取り組み合わせて行う、従業員のキャリア形成を促進・支援することを目的とした総合的な仕組みのことです。
企業と従業員両方のメリットがあります。人生100年時代になり、『マルチ人生』というキーワードが
ライフシフトでも言われています。経済産業省の新・社会人基礎力では、『キャリアオーナーシップ』という生き方を提唱しています。
また、職業能力開発促進法10条の3第1号では事業主は、「労働者が自ら職業能力の開発及び向上に関する目標を定めることを容易にするために、業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の内容及び程度その他の事項に関し、情報の提供、キャリアコンサルティングの機会の確保その他の援助を行うこと」とされています。
これからの時代に、従業員にとっては自らのキャリアを考えることで仕事に対するモチベーション向上に
つながり、企業にとっても人材の定着や従業員の意識向上を通じた組織活性化が期待されています。
これからの企業は魅力ある組織作りをしていかなくては採用で人材の確保もできなくなっていきます。
対象者別に下記のような効果が期待できます。
①新卒採用者には、仕事への向き合い方、取り組む意欲の向上 ②育児・介護・休業者には、育児・介護の不安を取り除き仕事と家庭の両立課題の解決を支援する ③中堅社員には、職業人生の後半戦に向かってのキャリアの再構成、④シニア社員に対しては、これまでのキャリアの棚卸しと目標の再設定です。
基本的な進め方としては、
①キャリア研修
・集合形式で研修を行うことで、多くの社員に効果的にキャリアを考えるきっかけを提供
②キャリアコンサルティング
従業員とキャリアコンサルタントが一対一で面談を実施し、個別従業員のか課題を整理し、解決を支援
③フォローアップ
組織全体で、個別従業員及び組織の課題を解決
新たなキャリア開発の枠組みをつくる上で、セルフ・キャリアドッグの取組への理解を深めたい方、
キャリア・ドッグ導入をご検討の方、メンタルヘルス, ストレスマネジメント, アンガーマネジメント, ハラスメント, モチベーションマネジメント研修などにご興味・ご関心のある方また、気軽に弊社にご相談くださいませ。
新規事業の落とし穴①
2019年10月5日
早嶋です。
大手企業や老舗企業で複数の事業部を持つ規模の会社に共通の課題があります。「今の稼ぎ頭が成熟、あるいは衰退期にあるが、将来的な対応が先送りされている。」です。もちろん、意識的に新規事業の確立として、中計や事業計画にはM&Aなど含めて記載はあります。しかし、内部の実際の行動や資源配分を見ると実質なにも行っていないことが分かります。
もし、仮に真剣に新記事業を立ち上げるのであれば、それなりのコストと労力が必要になります。従来の既存事業のように事業計画を描いてもそのとおりに行きません。時間がかかる、結果がでない、そのためなんとなく後回しになっています。7つの習慣にある通り、時間がかかる、重要な取組については、計画して時間を確保して確実に行動を積み重ねて行く必要があります。が実際は、時間がかからない重要な取組に資源を費やしてしまいます。
そこにM&Aという武器を近年の中堅企業を含め持ち始めました。が、何の目的でM&Aを行うかが明確にならなければ価値の算定や交渉、買収前調査のリスクを回避できるかの判断など、買手としてできません。方針なくM&Aをしても意味がないのです。
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オービック
2019年10月1日
早嶋です。
システムインテグレーターのオービック。夜な夜なテレビを付けていると昔から変わらないゴルフシーンとオービックの音声が流れています。そのオービックはご承知の通り素晴らしい戦略を持っています。
システムインテグレーターとして大企業や大規模のシステム開発を狙わずに、中堅企業に特価した基幹システムを提供します。開発は外注を活用せずに、全て社内で手掛けています。営業は代理を使うことなく、自社でしかもダイレクト販売です。IT業界は人材の流動が高いですが、オービックは社員の殆どを新卒で賄っています。そしてSEを専門職と捉えないで、営業とSEを分けることなく両方を経験させることによって営業と開発の双方の効率を高める取組を実施しています。
そんなオービックの成績は19年3月の営業利益率は51.2%。主力基幹システムはオービック7です。1997年の発表から従業人規模で100〜1,000人程度の中堅企業に特化したシステムを提供しています。営業とSEの両方の経験を持つ社員が中堅企業の要望を抽出して足し算ではない無駄な機能を省いた基幹システムの設計と提供と開発が人気を得ているのです。
IT調査会社のIDCの調べでは18年度の国内ERP市場の占有率がSAP、富士通に次ぐ3位で、中堅企業に特化したシェアでは1位を誇っています。
システムの内製化、SEと営業の一元化、オービック7に特化した資源リソースの投入。結果、社内にノウハウが蓄積され、それらをベースに開発をするために効率とスピードはともにあがり、結果50%を超える営業利益を叩き出す企業になったのです。
昨今のIT企業の大手は、どうしても売上を確保する必要性から、大型のシステム開発案件を取りにいくようになっています。しかし、自社のリソースだけでは人数が足らず外注を活用するようになります。ここが麻薬で、外注や下請けは自社のコストよりも安く、受ける企業が比較的に多かったことから多様してきました。
その結果、自社で通して開発できる人材が減少して、システム開発のノウハウは下請けや外注業者に蓄積されるようになります。また、昨今ソリューション営業と言われていますが、開発の全体を知らない人間が急に顧客のことを理解して提案してね。と言われても難しいはなし。1,000人単位のエンジニアを抱えるも、上述の事情で経験と知識が乏しい給与の高いエンジニアを育ててしまった。という状況になっているのです。
いつの世も、今すぐ取り掛からなければならない重要なことに資源と時間と労力を割き、重要だけで時間がかかる教育や内製化は後手に回した結果が露呈しているのです。そこに対してオービックは着実に大手とは違った正攻法で現在の業績を保っている。と考えれば、やはり正しい手法を、着実に、当たり前にこなす難しさと大切さを改めて考えることができる事例だと感じました。
オービックは、今回取った戦略に対しては、2000年頃のITバブルの影響がありました。過去、中堅企業から大手企業に販路を伸ばす意思決定をしていました。大型案件では売上は期待できたのですが、都度特殊開発になる難しい案件が続きますので、多数のエンジニアが必要になり外注を始める結果になりました。
大企業の受注はシステムに対しての要求や要望が高く、システム会社はそれに対応する必要がでてきます。一方、従来の中堅では出てくる要望は事前に予測がつくし、ある程度対応するノウハウも見についています。結果としてトップである売上は高まりますが、実益としての利益が目減りしていくという苦い経験を教訓にしたのです。
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参照:日経新聞 ビジネス欄 2019年9月
創業71年 変えるモノと変えないモノ
2019年9月29日
高橋です
毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。
今月のテーマは「創業71年 変えるモノと変えないモノ」です。
ご紹介するのは伝統工芸「久留米絣(くるめがすり)」を製造販売する下川織物さんです。私共が提供する異業種交流研修「武者修行研修」のフィールドワークにて工場見学し、絣の製造工程を拝見しました。下川さんから会社の現状や課題、今後の展望など質疑応答を交え1.5日間、熱い議論を交わしました。総勢27人の大人の社会見学です。
まずは下川織物さんについてご案内します。昭和23年(1948年)創業、福岡県八女市で括り(くくり)技法という伝統技法で多彩な柄を表現する織物を作り続けています。その確かな技術は第6回ものづくり日本大賞経済産業大臣賞を授賞したことからもわかります。
下川さんは3代目、ご自身も職人として工場に立つかたわら、経営者として新しいビジネスモデルに取り組み、久留米絣の伝統(ローカル)を保存継承しつつ、さらにグローバルに海外展開する「グローカルコミュニケーター」という独自のスタイルを確立されています。
工場に近づくにつれガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンと大きな音が響いてきます。中に入るとけたたましい音とともに、オイルとほこりの混ざったニオイが懐かしさを感じさせます。映画やテレビで見たことのある、いかにも年代物だと解かる歯車やベルトが回り、縦糸を前後にガッチャンガッチャンしながら、横糸が左右にビュンビュン往復し、織り込まれた絣が出来上がっていく様子は大迫力です。この機械は100年前に開発された紡織機でいまだに現役で活躍しています。(トヨタの技術者も見学に来たそうです、会社のルーツですから)職人さんが時折機械を止め、糸を入れ替え、また動き出す、赤色や藍色の糸が織り込まれていくと色が深く濃く、そして柄が浮き上がり絣になっていく様がとても美しく感じられました。
さて、テーマの「変えるモノ」「変えないモノ」とは何か。
「変えないモノ」はズバリこの機械です。下川さんは機械も製造工程も決して変えません。ここを変えるともはや久留米絣ではない物になってしまうのです。よって職人さんたちにもそこに変化を求めません、昔ながらの技を忠実に守り次世代に継承してくれることを求めます。つまり生産量を増やしたり効率化するという選択をしませんでした。
一方「変えるモノ」はビジネスモデルです。SNSと伝統工芸で新しい集客の仕組みを確立しました。
以前は問屋に卸していたのですが価格の条件が厳しく、利益率が低かった。しかし、伝統技法を守るため生産量を増やすのではなく利益率を高める必要があり自社で販売する戦略にシフトしました。
その戦略がSNSによる情報発信と工場見学でした。下川さんはブログ、Facebook、Instagram、YouTube、Twitter、Tumblrと6つのツールを使って職人目線で情報発信し続けています。そして興味を持った人が実際に工場見学に訪れます。日本中はもとより、海外からも見学に訪れます。国内外デザイナー、企業、自治体、学校、もちろん繊維業界。そしてメディアの取材もテレビ、ネット、雑誌、新聞、数知れず。そこから工場での直販やネット販売、小売業とのアライアンスへ発展しました。
影響は広がりフィンランド、スウェーデン、オランダ、パリ、ニューヨークでイベントやプロジェクトに招かれ日本の文化を発信しています。
また職人さんの働き方も変えました。職人と言っても近所の奥さんとか知り合いの知り合いとか口コミや工場見学を通じて集まった人たちです。子供がまだ小さいお母さんは子供が学校から帰ってくる14時までだったり、1時間単位で出勤できるようそれぞれのライフスタイルに合わせた働き方ができます。
そして起業家支援をすること。絣に興味を持った若い人や商売を始めたい起業家を支援することにより、スモールビジネス同士のつながりから絣の新しい可能性を一緒に広げたいと考えています。近くに絣で作った洋服やランチマット、テーブルクロスを製造販売するお店もでき全国から注文が届いています。
下川織物さんは100年企業を目指しています。この伝統を継承し次世代につなげ、さらに海外に久留米絣を広め、たくさんの人がかかわるコミュニケーションが生まれることを期待しています。
職人として「変えないモノ」と経営者として「変えるモノ」、大切にしたいモノを守りつつ時代の変化を柔軟に取り入れる下川さんのチャレンジから多くの学びと刺激をいただきました。この後、われわれの研修プログラムではさらなるイノベーションを起こすビジネスモデルを下川さんに提案する予定です、乞うご期待!
『生き残るのは、最も強い種ではない。最も賢い種でもない。環境の変化に最も敏感に対応できる種である(チャールズ・ダーウィン)』
異業種交流研修、イノベーション研修、ビジネスモデル構築、エグゼクティブコーチングなどにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
ビックハイアとリトルハイア
2019年9月13日
早嶋です。
メーカー。原料を調達して製造する人や企業を指す言葉。1980年代はモノを作れば売れていたが、今は売れない。顧客が買うためのメカニズムを知らなければモノが響かないのだ。時代の変化により企業は戦略を変えていく。
メーカーの考えとしては、通常上流過程に資本を重視して、川下にいくほど資本を薄くする傾向がある。例えば研究開発、企画、調達、製造、販売、フォローという流れがある場合、メーカーの花形は研究開発や企画だ。企業によっては販社機能を小会社にしたり、販売委託したりしている場合がある。また、フォローやメンテナンスに至っては自社の資本が薄い関連会社や業者に任せる場合もある。
企業は顧客に商品を提供した時点で収益が立つが、顧客は商品を購入する瞬間から自分が抱える問題を解決する。ジョブ理論の考えでは、前者をビックハイアと呼び、後者をリトルハイアと呼び。メーカーは伝統的にビックハイアを重視しているが、近年のIT企業はリトルハイアに重きを置く。
昔と違い、顧客1人1人のデータをより簡単に、と言っても昔と比較して、取得し分析できるようになっているからだ。IT企業はそのデータを活用して次の顧客の購買行動を予測して先回りした提案をおこなう。メーカーは、顧客のデータを取るために、未だにコンサルティング会社に依頼して分析している。当然スピード感も質も異なってくる。
成熟した社会では、販売だけでは収益は右肩下がりになるので、販売後の収益を継続するビジネスモデルが当然ながら収益が安定する。当たり前だが気がついていないメーカーが多い感をうける。
Yの存在
2019年9月12日
早嶋です。
1980年代ころまでは、米国や欧州を中心とした国を模倣することで日本の産業は伸びてきた。
例えば、当時のゴールがYで、その解決方法がaX+bだとします。企業によってXに何を入れるか、変数のabに何を当てはめるかは企業や業界によって異なっていましたが、基本的な解決方法は一様に認識されました。したがって、誰よりも早く正確に代入してゴールにたどり着く企業が正解とされました。
したがって、優秀な社員は記憶力や処理能力になり、必然的に大学の偏差値が高い人間が良しとされ、大学=就職を左右するという指標が当たり前になっていたと思います。
2000年ころの日本は、経済の成長がとまりGDPも世界と戦えるようになり、他の模倣していた国に近づきます。それでもまだまだYをゴールとした場合のやり方に工夫を凝らす必要がありました。ただ、ゴールを満たす公式がaX+b以外にも存在するということがわかってきまっした。したがって、Yを目指すために、現状と将来の姿をひたすら分析して、ギャップをみつけ、そのギャップを埋める方法を探して解決することが優秀とされました。
80年代と異なった点は、記憶が必要なくなったことです。データベースが整理されはじめメモリが安価になりました。またPCの処理能力が早くなったことで、人間自体の処理能力はあまり重視されなくなります。しかし、一方で上述したような問題解決能力がもてはやされる時代になったのです。
それから20年経った今、今度はYが見えなくなりました。あまりにも早いパラダイム・シフトの繰り返しで大企業はどこをゴールにするのかがわからなくなります。そんな時にYを目指します!とYを構築していきます!と導く先を示すことができる1人とか数人が居る会社には、急激にお金と人があつまりはじめ、すごい勢いでYを実現するようになります。過去と違って、Yを模倣しようと思って参入した二番煎じの企業は、スピードの早さから太刀打ちができないのです。
今求められる能力は、敢えて言えば、Yを作ること。完全に先を構想して、そこに対して社会を方向づけする力でしょうか。構想するという概念がただしいかどうかわかりませんが、Yを作り出す、とかYを示す力は大切ですね。
Yを示すことができれば、多くの企業の社員は、問題を定義でき、解決策を考え、実行に写せます。Yの存在は偉大だと思うのです。
5Gと世の中の標準化
2019年9月9日
早嶋です。
新しい商品が上市され、その商品が一定以上の認知を得て市場から受け入れられると、今度は次々に模倣する企業がその市場に参入します。したがって、その商品の品質レベルが一気に上がります。その御蔭で、市場からも更に購買意欲が高まります。しかし、ある程度一段落すると、やはり最初に参入した企業やなにかしら特徴ある企業以外は違いが出せないので、徐々に合従連衡がはじまり、市場におけるプレーヤが整理されます。
上述は業界や事業のライフサイクルで語られる一節です。ここ数年SNSが人気になり、皆が気軽に投稿したり、投稿したコンテンツを簡単に見ることができます。
例えばマラソン。誰もが2時間台で走る姿をテレビやネットでみると、しなやかなカモシカのような足、細いキャシャなからだで軽装で走る姿が目に焼き付きます。そして勘違いして、自分も走れると思い込み、トレーニングもしていない初日から5キロ、7キロとジョギングしてしまいます。いがいと行けるじゃんと思いながら、過度にトレーニング量を続け、結果、膝や腰や首を痛め走れない体になる。
例えばヨガ。同じように、ヨガの流派やコンテンツがは触れている昨今、流行にのって誰でも簡単にできるように勘違いします。実際は、相当の時間と精神でトレーニングをしてできるポーズなども、素人からすると簡単だと思います。それが盲点でやはりヨガを個人で行いながらケガが頻発する事例をききます。
企業の場合は、それなりの資本力があるので、参入する際にやけどをしない程度の研究や準備はしているでしょうが、素人の場合はことなります。なんの準備もせずに取り組んで大きなケガをするのです。
そもそもランニングやヨガなど一見誰でもできるような取組も、多数の流派があり、多数の理論が存在して、全体を俯瞰して整理している人が少ないです。そのため皆がバラバラの取組で、バラバラの発想で、時には雰囲気で行っている方々も多くいます。
世の中、5Gになり、IoTが普及し始めると、例えばランナーやヨガをされている方がの行動や動作などをセンシングしながらデータを蓄積する。そのデータと病気やケガなど様々な因果と結びつけるなどの取組が始まれば、標準化やもっと素人でも確実にトレーニングができる世界がやってくる可能性があると思います。
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