真のおもてなしとは 伝説のホテルマンが語る

2019年11月4日 月曜日

高橋です

毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。

今月のテーマは「真のおもてなしとは 伝説のホテルマンが語る」です。

今回ご紹介するのは日本のトップブランドホテルに長年勤め、現在は人材育成やマナー講師、企業研修をしておられる宮本さん(仮名)です。皇室の方々や誰もが知るカリスマ経営者を担当してこられた伝説のホテルマン、自らが行ってきた実際のエピソードはとても興味深く、ホテルの接客ってそこまで考えて行われているんだと驚きと感動の連続でした。
ホテルに限らずどんな業種であれお客様に対する「真のおもてなし」を教わりました。またリアリなお話しは、話す人の信頼感が増し、聞いた人に刺さり納得感が増すことも体感しました。

さて、皆さんはどんなおしぼりを出してもらった時に、感動しますか?ビニールに入っているおしぼりは特徴がなく誰でも一緒です。宮本さんは朝、その日お越しのお客様の年齢や好み、今日の天気や温度を考えて一本一本タオルを巻いておしぼりを作ります。夏の暑い日でも、まずは熱々のおしぼりを差し出します。お客様はゆるく巻いた暖かいおしぼりで顔を拭いてホッと一息つくのです。それから少し冷ました「追いおしぼり」を差し出します。女性のお客様には少し低く目の温度のおしぼりを出します、やけどをしないようにという配慮です。

ホテルのカフェでも、宮本さんは目をひからせています。何を見ているかというと、お客様がコーヒーを飲まれているカップの傾き加減です。カップが大きく傾いているとスッと近づいて、呼ばれる前にお代わりを注ぎ足します。

担当するカリスマ経営者が来福する時は、事前に秘書に体調など変わったことはないか?確認をするそうです。ある時、秘書情報で風邪をひいておられるとのこと、宮本さんはホテル内の和食割烹の料理長にお願いして特製カリン茶を作ってもらい到着後部屋に入ってすぐに温かい飲み物をお出ししたそうです。でもその時は特に反応なし、すぐにパソコンを開けて「さあ会議するぞ」と英語で各国の幹部と会議を始めるほど多忙らしいです。そんなことがあって、しばらく後、同じようにエレベーターで部屋に案内する時(ちなみにエレベーターの中は至近距離で社長と宮本さんと秘書の3人だけ)「いつもありがとう、君のことはよく覚えているよ」と声を掛けられ、うれしかったそうです。

宮本さんはよく行われるマナー研修や接遇トレーニングに対し、疑問を持っています。というのも、研修では一通りマナーや所作、つまりスキルやノウハウは教えるが最も大切なことが抜けているからです。最も大切なこと、それは「マインド」=思考・考え方・心遣いです。心遣いとはお客様のことを想い、その方ひとりひとりに向けた接客、具体的には目配り・気配り・心配りです。宮本さん曰く、『マナーとは愛である』愛のない接客は、お客様に「うわべだけだな」「形だけだな」とすぐバレます。心のない接客に感動が生まれるはずないのです。
「お・も・て・な・し」が流行りましたが、どの人にも同じではなく、「どうしたらこの方に喜んでいただけるか、満足していただけるか」を常に考え行うことが「おもてなし」であり、最上級の心遣い「マインド」です。宮本さんのお客様に対する接し方は、ホテルのマニュアルにもないし、ビジネスにおいて対価を得られるわけではありません、「マインド」なのです。

この「マインド」は何もお客様対応だけではありません。上司、部下、同僚、取引先、協力業者にも共通して言えることです。スキル・ノウハウがあっても仲間を大切にする「マインド」のない仕事は、協力を得ることもできずパワーが足りません、結果成果を生み出しません。

ぜひマインドとスキルとノウハウがそろった取り組みを心掛けたいものです。

『人生方程式 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力』 稲盛和夫

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