
CSから新しいサービスを生み出す
2024年6月6日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今月のテーマは「CSから新しいサービスを生み出す」です。CS(顧客満足)はどの企業でも重要だと考え、日々取り組んでおられます。今回はそのCSお客様満足から新規ビジネスのヒントを得られた事例を取り上げます。
さて、改めてCSについて確認です。CS(Customer Satisfaction)は、顧客満足と言い、いかにお客様に喜んでいただきご満足いただくか、そのために何ができるのか考え、実践していくことですね。最近は民間企業だけではなく、自治体(役所)や公共機関でもよく研修をさせていただいています。
お客様は事前期待を持って我々の商品やサービスを購入いただきます。その際に、利用実感が事前期待通りだと「普通」、利用実感が事前期待を下回ると「なんだ、この程度か…」と「不満」となります。利用実感が事前期待を上回って「やっぱり良い!」となれば「満足」いただけます。これはリチャード・オリバーの期待不確認モデルとして有名です。
お客様の事前期待も利用実感も人それぞれです。ご満足いただける基準は様々である点が難しいですね。そこで提供側としては、お客様が求めておられるモノをきちんと把握し、そのニーズにあったモノを提供することを心掛けなければなりません。
昨今、価値観の多様化や成熟した社会におけるニーズの複雑化など、お客様のニーズをくみ取るのは至難の業です。時には「無理難題を突き付けてくるお客様」や「場違いで本来ではありえないであろう要望をされるお客様」もいらっしゃいます。元々悪意のある場合を除き、それらのご要望を「お客様がおかしい」、「お客様が間違っている」と処理してしまっては新しいモノは何も生み出されません。お客様の「ムリな」要望(と我々が思っている)の受け止め方次第で、新しい商品サービス誕生のヒントになりえます。
ここからは事例ですが、私が以前在籍した保険会社では、世界初のサービスをお客様のご要望を基に発明しました。
それはリビングニーズ特約と言うオプションです。保険金は亡くなってから遺族に支払われるのが当たり前だった当時、ある末期がんのお客様からこのような要望をいただきました。「自分は尊厳のある死に方をしたい」。つまり生前に借金や医療費をすっかり完済して、安らかに亡くなりたい、そのために生前に保険金を受け取りたいとの要望でした。それまでの保険会社の常識では亡くなってもいないのに保険金を支払うなんて考えられなかったでしょう。しかし会社はお客様の要望を真剣に受け止め、検討し、いずれ支払うお金なら先に払おうと決めました。これが世界初の生前支払サービス「リビングニーズ特約」の誕生経緯です。今ではどこの保険会社でも付いている特約です。
ひとつの事例ではありますが、お客様からの(ムリな)要望から新たな商品サービスを生み出した例です。
お客様からいただく要望を「そんなバカなこと、できないよ」と受けると何も変わりません。しかし、お客様の立場に立ってどうすれば顧客満足を高められるか真剣に考えると、新たな商品サービスが生まれる、つまりビジネスチャンスにつながると言えます。
お客様からの要望(もしくはクレーム)は宝の山とも言いますが、お客様の声やCSの観点から何か新たなビジネスチャンスがないか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。
次回はCSのさらに上、CXについてご紹介いたします。今、企業はCXで競っているという話です。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
2代目ジャパネットタカタ
2024年6月4日
早嶋です。
KAIL20周年記念の際の講演をベースに書き起こしました。ジャパネットタカタは創業者が65歳の時に、35歳の現社長が継承。創業者は完全に引退すべく、息子には自由に進めるように進言し、2代目は実際に相談せずに事業を進めている。現社長の役員経由で父から「本当に相談しないね」と言われた逸話もある。
現在のジャパネットタカタはスポーツと地域創生で事業を展開するミッションを掲げている。主力の通販事業は「見つける」「磨く」「伝える」というコンセプトに整理して、ほぼほぼ内製化して事業を進める。スポーツ地域創生はヴァーレン長崎を傘下にしたことをきっかけにスタジアムを中心としたまちづくりを行っている。
イベントを中心とした場合、平日の閑散が課題になるが、長崎の立地条件を巧みに活用して修学旅行を通年受け入れる施設として営業を開始している。更に、様々な取り組みも行い平準化をすすめる。オフィスは現時点(24年5月末)で9割が埋まり、商業施設は8割が決めっている。ここは不動産収入が確実に入ることから、残りはその収益を高めるための仕掛けを作ることになる。
通販事業は、従来のビックハイアからリトルハイアにフォーカスしている。商品点数はこれまでの約8,500点から1割の777点まで絞った。リピートする顧客の問い合わせにカスタマーサクセスが応えることができやすくなり、自前の修理部隊の効率等も劇的に上がった。「磨く」ことで「伝える」がしやすくなり顧客のリテンションにもつながっているのだ。
ハウスカードは現在85万人で、年に850万人の取引が行われている。また頒布会、いわゆるサブスク会員も15万人存在する。「見るける」を軸に、毎月の食材をバイヤーが仕入れ家庭に届けている。ここに対してもカタログを軸に4,200名(社員1,200名)のコールセンターできめ細かいフォローとサービスを提供している。もちろん物流も自部門で抱え、購買後のフォローを徹底しているのだ。
2代目の社長は、様々な取り組みを「やってみよう」という感じで高速でPDCAを回して実験し事業化している。長崎の地域開発にも、超VIP向けの会員制レストランを導入している。地方では成り立たないという謎のルールをことごとく破壊して創造しているのだ。
ジャパネットタカタは従業員の半数は女性で平均37歳。特徴は若手でも実力があれば大抜擢される人事だ。現在300人のマネジメント層がいるが、チャレンジして今の立場になっている若手も多い。当然、一部(8%)は昇格もあるが、その方々は腐ることなく、またチャレンジする工夫がある。
例えば、1泊2日の社員(全マネジメント)旅行では、人事と社長が人事テストの理解度テストを全マネジメントに受けさせて上位を入賞するなどの遊び心がある。グループ会社15社のマネジメントが福利厚生や会社の仕組みを理解して、従業員のフォローができるように考えた取り組みで好例となっている。マネジメントであっても16連休を必須にすることで、仕事を個人に貼り付けさせない工夫がある。
会議なども、9時から10時、14時から15時、18時以降は禁止にしている。残業はもちろん、定時内に会議を禁止させることで、考える仕事や作業に追われないように余裕をもたせ、不足する時間を効率的に取り組む社風を生み出している。
安部修仁語録
2024年5月28日
本内容は、2024年5月のKAIL建塾20周年の際の記念講演の抜粋だ。講演者は吉野家HDの立役者安部修仁会長だ。講演を聴いた際の走り書きのメモに、独自の解釈を加えている。
(商品化の原則)
「在っても無くていいものは無くてよい」
「無いより在ってもいい程度のものも無くてよい」
「無くてはならないものを極限まで高める」
日本企業のものづくりは「引き算」よりも「足し算」が多い。既存の商品で可能性があるものを徹底的に極限まで高めて無駄を排除する思想があっても良い。
和食の世界では、料理下手は着味することで味を作る。一方、達人は厳選した素材をシンプルに組合せて味を引き出す。
(時間の活用)
何事も急激な変化は害となる。店舗事業でも10店舗、30店舗、100店舗の成長をある短い期間で成し遂げると歪がでる。仕入れの限界、サービススタッフの限界、教育の限界、マネジメントの限界、運転資金の限界。そのために時間軸を先に伸ばしたシミュレーションが必要になる。
店舗展開する企業に対して、顧客は普遍を求める。いつもの製品、いつものサービス、いつもの価格。無計画な成長はいつもの商品を提供することができないばかりか、内部の不満を爆発させる。人で不足の中での不満、やる気の定価、日々追われて先が見えない日々。
サービス展開で重要なものは目に見えるモノではなく、見えないモノ。従業員の気持ちは即商品の価値に波及する。
(腹落ちさせるコミュニケーション)
トップやリーダーにコミュニケーションが必要な理由は明快だ。GPTを活用すると理論の共有は紙ベースでも機械ベースでもできる。従い、時間と空間を超えて媒体を通じて実現することができる。
しかし、物事の理解を高め、共感を得るためには生のディープなディスカッションが必要。時にトップやリーダーとの1on1など、相手や共感レベルによって試行錯誤は必要だ。共感を得た従業員は、腹落ちして、その概念を同じように自分の部下に対して、自分が理解した言葉で浸透しはじめる。
(成功の秘訣)
成功の秘訣は実はシンプルだ。その取組に対して圧倒的な努力をする。そして、周囲の協力が得られるように徹底的に相手のために行動する。すると最後に神のご加護が得られるものだ。無心に、圧倒的に、一生懸命に。周囲のネットワークが構築され道がひらけないのは自分の都合しか考えていない証だ。
合理性は無いが、成功するまで徹底的に取り組むと必ず成功するものだ。
(問題解決と改善)
問題解決と改善は異なる。
問題解決は圧倒的にスピードを軸に最も重要な課題にフォーカスして解いていく。一方で改善は一定の時間をかけてじっくり行うことが寛容。時間の配分はマネジメントの能力だ。
一方で改善には時期を決める。その時期までは様々な意見に耳を傾け、様々な視点での議論を繰り返す。そして一定の時期が到来したらマネジメントとして役割としての責任を全うする。方針を決めることだ。期限が過ぎたら決めた方針で徹底的に本気になって取り組むのだ。
(組織の仕事)
組織や仲間で協力して成果を出すための仕事は、徹底的に標準化する。そのために徹底的に単純にする。そしてその取組が組織や仲間の中に習慣として身につくまで徹底的に繰り返す。
(マネジメントスキル)
マネジメントに必要な要素は3つ。徹底的に顧客と従業員と利害関係、つまり人を大切にすること。そして、マネジメントスキル。更に今のように過去の延長が効かない世界は未来創造のビジョンを構築できる要素も必須だ。
新規事業の旅114 地域を盛り上げる前の分析の視点
2024年5月23日
早嶋です。
新規事業を行う際に、マクロ分析とミクロ分析の視点で過去から現在、そして現在から将来に起こり得る可能性を整理する。マクロ分析ではPEST分析のフレームを使い、ミクロ分析では3Cを切り口に整理することで短時間で一定の情報を網羅して整理することができる。
では、自治体などが自分たちの地域を盛り上げるためには、どのような視点を盛り込むとよいだろうか。ポイントは、企業における自社を地域固有の特性や資源と解釈し、競合を近隣地域や隣接する自治体として置き換えることだ。
(ミクロの視点)
ビジネスでは自社・関係会社、市場・顧客、競合・代替品などの視点で分析するが、この視点を次のように置き換えて分析すると良い。
●自然・文化資源
– 自然景観として、山、川、海、湖、温泉、洞窟などの自然環境を確認する
– 歴史や文化や風習として、そのエリアの歴史、歴史的な建築や史跡、伝統的な祭りや祭事、子守唄に代表されるような歌、独特の言葉や言い回しを含む方言
– 食文化として、食事や産物や名物
– 技術・技能:として、伝統工芸や地元の特有の技術
– 地域住民として、地元のリーダーやアクティビスト、ボランティア団体や地域特有の活動
●地域経済
– 主要産業として、 農業、漁業、商業、工業、観光業、製造業など地域経済の視点
– 上記に付随するデータで、雇用状況、地元の雇用機会や失業率
– 近隣エリアとの経済関連性や昼夜の人口動態や休祝日の人口動態
●地理的優位性やインフラ
– 立地条件や主要な交通インフラ
– 公共交通期間、通信インフラ、文化施設やスポーツ施設、会議場などの公共施設
– 広場や公演、競技場などの施設
– 公共サービスとして、教育機関、医療機関、福祉サービス
– 近隣エリアからの利便性や流通経路の確認
●政治や行政
– 政治や法律として、地方自治体の施設や助成金の状況
– 規制環境として、観光、商業、工業、農業、教育等に関連する法規制
– 環境保護や自然保護などの規制
●経済
– 経済トレンドとして、地域や広域エリア、国内外の経済動向、観光トレンド
上記をPEST分析や3C分析の要領でブレスト、分析、書き出しをしてSWOTの視点で整理することで、
– 強みとして、 地域の独自性や競争優位性が整理される
– 弱みとして、 課題や改善が必要な点が整理される
– 機会として、 成長のチャンスや新しい取り組みが整理される
– 脅威として、外部からのリスクや競争圧力が整理される
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「コンサルの思考技術」
「実践『ジョブ理論』」
「M&A実務のプロセスとポイント」
新規事業の旅113 ワイガヤ再び
2024年5月20日
早嶋です。
これまで、30年間の停滞について、いくつか考え(やや否定的な)を述べてきた(1、2、3)。一方で、徐々にではあるが、若手の起用や管理職への抜擢、異業種との接触強化、スタートアップなどとの協業を取り入れる風土や仕組みも構築しつつある。経営陣も60代から40代に若返りを見せる組織もあり、行動や仕組みを変えている企業も目立つ。しかしながら、日本はようやく30年前のスタート地点にたったのも事実だ。
30年停滞の要因では、組織の意思決定の遅さ、行動力の欠如、トライ&エラーをしない体質を指摘した。そして、組織の高齢化とともに、現場の意見を共有してディスカッションする建設的な場が不足している点も示した。
これらを如実に表すデータがある。米国IBMなどがまとめた調査によると、組織間に置いて上司と部下の距離感(権力格差)が小さいほど、イノベーションは活発に起こりやすいという結果だ。権力格差が地域ごとに小さい国で、スイス、スウェーデン、米国、英国などはイノベーションが活発だ。一方で、ロシア、マレーシア、イタリア、日本などは権力格差が大きく、他国と比較してイノベーションが起きにくい結果を示している。
別の事例がある。航空機は、操縦の際に機長と副機長がセットで機材を飛ばす。過去の事故を調べたところ、機長が操縦機を主で握っている際に主要な事故が起きている割合が高いことを発見したリサーチャーが、詳しく調べた。結果、先程と同じことが示された。つまり、副機長が自由に機長と議論できない結果、不運の事故につながったとまとめられたのだ。
ドラマの世界だが、「白い巨塔」の中でも、先輩や上司のドクターが独裁者となった医療機関の不慮の事故はなくなることがなかった。
今後、日本の組織が劇的にイノベーションを起こしていくには、当たり前にワイガヤが発生しているチームを作ることにあるのだ。確かに、30年前はタバコこそ激しかったが、上も下もなく皆、日本の成長や企業の成長を考えて、一生懸命に自分の意見を交換して議論しながら道を探っていた。この作業を無視して皆が他人毎になった30年だったのかもしれない。
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新規事業の旅112 30年停滞からの学び
2024年5月16日
早嶋です。
大きく昔から変わらない企業は指を加えて眺めている。この構図は10年、20年そして、今でも観察される。事業チャンスはあらゆる組織、規模の大小に関係なく平等だ。新規事業の必要性をただ連呼するだけでは何も生まれない。組織のトップが現場レベルにまでコミットし、試行錯誤を繰り返しリスクをトップが引き受ける。このような組織は、社長=起業家か、現在も成長を遂げている企業の姿だ。
芳しく無い企業は、経営方針が不明瞭、リスクを取る覚悟が経営陣にみられない。これまでの思考の枠組みに収まり、様子をみることで自らの成長チャンスを潰している。守りに徹して組織のクイッぷちを守るのも正論だが、動かないで30年間じっとするのは違う。できない場合は、できる役者にバトンタッチすれば良いのだ。今の日本は、他の国に100歩くらい後に追いやられている現実なのだ。直視しよう。
チャットGPTが去年頃より賑わせているが、成長が止まっている大きな組織は、情報の流出の懸念があるからという理由で、何も調べない内から導入しない。昨日のGPT4o は、ITリテラッシーが低い社員でも、コンピューターを自然言語で、しかも口頭で使える革新があるのに、おそらくそれらを活用するという発想は1mmもないのでは無いかと思ってしまう。
デジタル技術が誕生した際に、例えばレントゲンの写真をアナログからデジタルに移行させる意思決定も、口腔内の撮影をして治療の経過を見る工程をデジタルに置き換える際も、昔の人は難癖つけて現場の導入を10年単位で送らせている。「レントゲンの写真の白黒の色合いじゃないと診断ができない!」とか、「デジタルで口腔内の写真を取ったら加工できるじゃないか!」とか言った具合で。いわゆる「偉い人」の一声に迎合して若い人も声を挙げない期間が続いているのだ。
選挙の電子投票もしかり。昔からの体質の大きな組織は年齢が高いが所以に、変化をしないままでいる。デジタルに反対の一派は、「不正が起きたらどうするか?」と断固反対している。デジタルで行った場合が、不正は回避しやすくなるのに、一度反対を決め込んだら死ぬ前態度を変えないのだ。
ソフトウエアの開発も、ベンチャーがオープンソースを導入し開発スピードとソフト品質を向上させている中、大きな成長をしていない組織の長老は、「誰が作ったかわからないソフトを組み込んでいいのか!」と現場を怯えさせてチャンスを何度も逸してしまう。
大きな成長できない企業の構図は、実はある程度おなじだと思う。経営陣が表では成長、イノベーション、新規事業と連呼している一方で、裏ではトライ&エラーをしない、失敗を許さない、方針を明確にしない。そして、何もよりも悪な思考は既存事業の判断軸で新たな取組を評価してしまうことなのだ。
ここまで読むと、「やっぱりトップが悪いね」とか「そうそう」と若い世代の組織人は頷くかもしれないが、若手の世代にも課題はあると思う。仮に、上が動かないとか、考えないとか思っているのであれば、自分のアイデアを整理して提言すべきだからだ。しかし、ある程度規模が大きくて年功序列の組織ほど、上司と部下のコミュニケーションの実質的なギャップが大きいのだ。結果的に「言っても意味がない」「どうせ却下される」となり、徐々に思考することすら忘れてしまっているのだ。どこかしら組織に属していながらも、組織が目指すビジョンの実現を他人事として捉えているのも罪なのだ。
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新規事業の旅111 30年停滞の要因
2024年5月15日
早嶋です。
日本は30年間成長せず、むしろ一度衰退して、ようやく30年前に戻った。この要因は何だろう。私は組織の意思決定の遅さ、行動力の欠如、トライ&エラーをしない体質だと思う。それは組織が高齢化して実業の意思決定に現場の意見が入りにくくなっている状態が、まさに常態化したことに要因があると思う。
80年代。日本が栄えた頃は、常に答えがあり、欧米が開発した取組を日本は実にうまくコピペした。大量生産大量販売と規模の経済でキャッシュを生み出したのだ。
2000年頃よりコピペが無意味化した。IT化が進み、2007年頃よりスマフォセントリックな経済がはじまった。大きな組織の力で数で戦うのではなく、少数でもITとソフトを組合せると従来と異なるビジネスモデルでレバレッジが取れるようになったのだ。アトムの世界では、何か規模を大きくするために大きな投資が必要になったが、ビットの世界では一度仕組みを作ればプラットフォーム化して一気に世界に展開できる可能性がある。
2010年代に普及しはじめたクラウドが一気に過去のビジネスモデルを駆逐する。全てを自前で揃え、自分たちで開発する。その発想の対局に、得意なところを自分達で実装し、苦手なところはオープンソースを活用する。積極的に他社と協力した上で、とにかく事業化のスピードアップを図った。一度波に乗ると、その展開は加速度的に早まり、自社の株価も指数関数的に高くなる。今度はその株価のレバレッジを活用して、周辺技術を持つ企業を次々に買収してグループイン。昭和平成の企業が外出ししていた顧客データベースの管理や、使用後のアフターフォローやメンテナンスを内製化して、中間にいる企業を排除し直接エンドユーザーと取り引きする形態を生み出したのだ。昔の発想では、顧客の管理コストも高く、コミュニケーションを取るのも一苦労だった。しかしITやSNSやクラウドなどの要素技術を組合せて活用することで、コミュニケーションコストが一気に下がり、様々な情報が地球の隅々まで届くようになり、情報の民主化が一気に進んだ。
フットワークが軽い動きをする組織は、若手のアントレプレナーが作り上げた組織が多い。お金も資本も少ないなか、アイデアを即実行しながらトライ&エラーを繰り返し知見をためていく。一方で、伝統的な大きな衰退する組織は、仕事をいちいち分業化しているため、全体最適の発想を持ち事業に取り組む人材が極めて少ない。何かするにも複数の組織の確認が必要で、ちょっとした変化を組織に導入するにも、あっという間に半年から1年の時間を必要とする。変革を起こしたいのであれば腹をくくってトップダウンで一気に変えれば良いものの、構造的にできない組織になってしまっていると勘違いしているのだ。
組織の意思決定の遅さ、行動力の欠如、トライ&エラーをしない体質。これは全てその組織が勝手に作り出したバグだ。その会議いらないよね。その承認不要だよね。いきなり成功なんてないから小さく始めると良いよね。と、当たり前に考えればわかることを、当たり前に変えていくことが大切なのだ。結局、組織の上部と下部や現場レベルで、実情が入らなく、情報を遮断する仕組みを作ってしまったのだ。組織の問題なので、組織のトップがその気になれば、時間はかかるが確実に変えることはできる問題でもあるのだ。
新規事業の旅110 30年の停滞
2024年5月14日
早嶋です。
24年3月21日。日経の見出しに「日経平均、終値も最高値更新 812円高の4万0815円」とあった。
「コロナも明けて、いよいよ日本も復活するのか!」と心躍った方もいたと思う。しかし、実際は89年頃に当時のピークで4万円近くになった株価は、03年頃に向けて低迷して1万円を割り、そこから20年近くかけて、ようやく4万円台に回復したに過ぎないのだ。失われた10年は20年、30年となり、ようやくスタートラインに戻ったのだ。
89年12月29日当時で国内の時価総額上位10社はNTT(22.93兆円)、日本興行銀行(13.23兆円)、住友銀行(10.55兆円)と以下、富士銀行、第一勧業銀行、三菱銀行、東京電力、三和銀行、トヨタ自動車、野村證券(6・74兆円)だった。
24年2月22日現在の国内時価総額上位10社はトヨタ自動車(57.45兆円)、三菱UFJ銀行(18.38兆円)、東京エレクトロン(17.25兆円)と以下、キーエンス、ソニー、NTT、ファーストリテイリング、三菱商事、ソフトバンク、信越化学工業(12.63兆円)だ。
80年代のバブルは金融機関主導で、それから一気に金融機関にとって冬の時代が到来する。そして、半導体やソフトウェアなどの企業が日本を牽引するも、全体としては入れ替わりがゆっくり進み、国内の経済代謝が進まなかったとも言える。国内のみの動きをみていると、ときに近視眼になりがちだ。そこで同時期の日本とドイツと米国を比較してみた。
89年の主な株価指数を0とした場合、日本(日経平均)は△50前後まで堕落して、ようやく0に戻ったのが今年だ。米国(米ダウ平均)やドイツ(独DAX)は30年で数百倍から千数倍の規模で伸びていることを知ると驚愕するだろう。ドイツは89年を0とした場合、2000年にかけて300後半まで成長、03年にかけて一旦低迷し0に近づくも、そこから右肩成長で現在は800くらいを示す。米国も同様で89年を0とした場合、30年間安定の右肩成長で現在は1500くらいなのだ。如何に日本が30年間低迷し続け、海外が普通に成長を遂げているのかがわかるだろう。
世界時価総額ランキングの値も、30年前は50位以内に日本企業(主に金融)が多数ランクインしていた。しかし、今は1社でトヨタが30番目くらいにようやく登場する。マイクロソフト、アップル、NVIDIA、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラなど、30年前には存在しないITや半導体関連の企業が時価総額を高めているのだ。
GDPのランクも日本は米国に次ぐ2位のポジションが2000年頃より急成長を遂げる中国に抜かれ、独、インドなどに追い越されようとしている。更に一人あたりのGDPを見ると97年当時は3.5万ドル程度で4位のポジションだったが、19年現在で4万ドルと微増しているものの、他の国が経済発展を遂げているためポジションは19番目。コロナ後の23年の直近の統計では3.4万ドル程度で34番まで下がっているのだ。
既に日本は成熟国の中でもかなり経済的な発展を遂げれない国に成り下がっているのだ。現実を直視することが成長を遂げる第一歩だ。
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ファイナンス関連の書籍
2024年5月8日
早嶋です。
新規事業は、事業アイデアを考えて、それらを事業プランに落とし、実際に行動に移す。そのためヒト、モノ、カネに関する知識や知見があったほうが良い。ここでは会計財務とした場合、会計ではなく財務に焦点を起き紹介する。
道具としてのファイナンス増補改訂版 石野雄一著
ファイアンスの基本として、価値を金銭で評価する際の考え方をわかりやすく解説。
コーポレートファイナンス戦略と実践 田中慎一・保田隆明共著
ベンチャー企業の価値算定からIR対応まで、広く浅くわかりやすく解説。
スタートアップ投資のセオリー 中村幸一郎著
スタートアップ投資に対しての考えを体系化して整理。
ベンチャーキャピタルの実務 グロービスキャピタルパートナーズ共著
VCの実務を広く体系的に整理。
起業のファイナンス 磯崎哲也著
ベンチャー企業のファイナンスの在り方、考え方、あるいはグランドデザインの大枠を提示
起業のエクイティ・ファイナンス 磯崎哲也著
エクイティファイナンスの勘所を分かりやすく解説
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新規事業の旅109 書店の敵は私立進学志向(アマゾンじゃなかった!)
2024年5月8日
早嶋です。約5500字。
アマゾンの事業モデル誕生以来、リアルの書店が減少している。一方で、子育てが盛んなエリアでは、確実に絵本を中心に書籍販売する実店舗が存続している。そして、一定の教育レベルや生活レベルが高いエリアにはそのような店舗が存続どころか繁盛している。逆に、街中や過疎化するエリアは、街の書店経営が成り行かなくなる。これは私の仮説だが、実態を調べてみた。一部は正しいと考え、一方で別の視点も考察出来た。
リアル書店の存続要因について研究された論文をいくつか読んでみた。特定のコミュニティでは、書店をサードプレイス(第三の場所)として位置づけ、地域の文化・教育価値を支える役割を果たしていることが指摘されていた(※1)。また、このような書店は親子連れが絵本を購入する店舗としても根付いている。また、都市部や教育レベルの高い地域では、単に本を販売するだけでなく、読書会や教育イベントを開催するなどの、コミュニティとのつながりを強化し、書店の経営を支えている事例も報告されていた。
実際、みなさんも肌感覚で書店の減少を感じていることだろう。日本の書店数は過去20年で大幅に減少している。統計を見ると、2003年には約2.1万店あった書店が、2022年には約1.15万店まで減少している。20年間で書店数が半減しているのだ。この減少傾向は主に、都市部や過疎地での書店の閉鎖が続いている。一方で、面白い傾向も見つけることができた。売場面積は徐々に増加しているのだ(※2)。2003年は店舗の平均面積は80.3坪が、以降増加トレンドとなり、2011年(116.3坪)から2012年(107.9坪)で、一旦落ち込む。その後、再び増加トレンドとなり、2022年には132.7坪となっている(※3)。このように、日本の書店数は減少しているが、特定のエリアでは書店が存続し、更に店舗あたりの売り場面積は増加しているのだ。ここには何らかの理由があると考えられる。
そこでエリア毎の特徴を考察すべく、都道府県ごとの書店の統計を調べてみた(※4、※5)。また、書店の数と何か因果が無いかのあたりをつけるために、都道府県別の平均所得を合わせて比較することにした。
書店数が多い上位5都道府県(2019年のデータ):
1. 東京都 – 1,040店舗
2. 大阪府 – 591店舗
3. 愛知県 – 535店舗
4. 神奈川県 – 530店舗
5. 埼玉県 – 486店舗
書店数が少ない下位5都道府県:
1. 鳥取県 – 56店舗
2. 島根県 – 73店舗
3. 高知県 – 66店舗
4. 山梨県 – 81店舗
5. 香川県 – 94店舗
単純に上記を見る限り、人口密度が高いエリアに書店の数が多いことがわかる。そこで都道府県別の平均所得との相関を調べた。書店数が多いエリアは一般的に大都市が多く、平均所得も高めだ。例えば、東京都は全国で最も高い所得を誇り、2020年のデータでは約624万円だ。他の大都市圏、例えば大阪府や神奈川県も同様に550万から600万円程度だ。一方、書店数が少ない県は、例えば鳥取県や島根県などは平均所得が比較的低く、400万から450万円程度だ。これらの所得水準と書店数の減少にはある程度の相関が見られるかもしれない。
ただし、書店数が多い上位の都道府県は、東京や大阪、愛知など、人口密集地の都市部で、逆に書店数が少ない下位の都道府県は、鳥取県や島根県のように人口密度が低い地域に位置している。特に東京都は、日本で最も高い人口密度(約6,400人/km²)で、そのため書店数が多いと考えられる。一方、鳥取県や島根県は、人口密度が低く、鳥取県は約150人/km²と、人口密度が低いため、商店などの書籍店そのものが成り立たない構造になっていると考えることが出来る。
そこで、単位人口(1万人)あたりの書店の数を確認した(※4)。面白い結果が見えてくる。
店舗数(店)
1 石川県 1.34
2 福井県 1.30
3 香川県 1.16
4 鳥取県 1.12
5 徳島県 1.06
6 京都府 1.05
7 富山県 1.04
8 和歌山県・山梨県1.03
9 栃木県・岩手県 1.02
10 秋田県 1.00
平均 0.78
書店の数は、人口密集地に多いが、単位人口で見てみると東京、大阪、愛知、神奈川などはランク外になるのだ。ちなみに同様の単位あたりの書店数は、人口1万人に対して神奈川は0.58、埼玉は0.66、東京都は0.74と平均の0.78よりも低いのだ。
ここまでのデータから推定できることは、日本海側や四国の地方都市で書店が多い傾向が見られることだ。教育レベルに注目すると福井県や石川県は、学力テストで高成績を収める傾向が強く、読書習慣が根付いていることと相関が高いかもしれないと考えた。
そのエリアにおける教育費や過処分所得の構成比率を見ると何かの関連がわかるかもしれない。統計データから可処分所得に占める教育費の割合に関するランキングと、対応する金額を整理した(※6)。確かに地域ごとの可処分所得や教育費には大きな違いが見られた。
教育費の割合が高い都道府県(可処分所得に占める割合)
1. 東京都
可処分所得: 約650万円
教育費割合: 約10-12%
教育費: 約65-78万円
2. 神奈川県
可処分所得: 約620万円
教育費割合: 約10%
教育費: 約62万円
3. 愛知県
可処分所得: 約550万円
教育費割合: 約9-10%
教育費: 約49-55万円
4. 大阪府
可処分所得: 約530万円
教育費割合: 約9%
教育費: 約48万円
5. 京都府
可処分所得: 約520万円
教育費割合: 約9%
教育費: 約46-47万円
教育費の割合が低い都道府県
1. 鳥取県
可処分所得: 約400万円
教育費割合: 約7%
教育費: 約28万円
2. 島根県
可処分所得: 約390万円
教育費割合: 約7%
教育費: 約27万円
3. 秋田県
可処分所得: 約380万円
教育費割合: 約6.5%
教育費: 約25万円
因みに、単位人口あたりの書店数が多い、石川県、福井県、香川県、徳島県、富山県の可処分所得に占める教育費の割合や金額も見てみた。
(石川県)
可処分所得: 約470万円
教育費割合: 約8.5%
教育費: 約40万円
(福井県)
可処分所得: 約460万円
教育費割合: 約8.2%
教育費: 約38万円
(香川県)
可処分所得: 約440万円
教育費割合: 約7.9%
教育費: 約35万円
(徳島県)
可処分所得: 約420万円
教育費割合: 約8.0%
教育費: 約34万円
(富山県)
可処分所得: 約450万円
教育費割合: 約8.3%
教育費: 約37万円
これらのデータを見てわかるように、人口密集地は可処分所得に占める教育費の割合が10%を超えている。一方地方で他に人口あたりの書籍店の数が多いエリアは、可処分所得に占める教育費の割合が8%前後で、教育費そのもの金額が低いエリアは7%以下であることが分かった。都市部は教育費がかかる構造で、地方は教育費をかけない傾向があるのだろうか。
この疑問は別の視点で解けた。所得が高いエリアは人口密集地に集中しており、このエリアに書店が多いのは人口との相関だ。一方で、地方では人口密集度合いが低くなり、書店の経営は難しくなるかと推定したが、所得レベルが低い鳥取や島根などは、単位人口あたりの書籍店の数が平均の0.78よりも高く1を超えているのだ。
書店の数に影響を与えるパラメーターは、人口密度は間違いない。ただし所得レベルや可処分所得に占める教育費の割合は相関があるとは言い切れない。教育費の絶対額が低い地方でも書店が多いエリアが多いからだ。となると文化や教育の関心度合いが考えられる。所得や人口に関わらず、文化的な背景や教育への熱意が強い地域では書店が比較的多く存在するという仮説だ。鳥取県や島根県、香川や徳島、秋田のように所得が低いにもかかわらず、地域の教育熱が高い場所では、書店が存続しているのだ。
所得レベルが低く、人口も少ない、そして可処分所得に占める教育費の割合が少ない日本海側や四国の地方都市、それから東北では書店が多い傾向が見られる。しかし、このようなエリアの教育レベルは低くはない。福井県や石川県は、学力テストで高成績を収める傾向が強く、読書習慣が根付いていることと相関が高いかもしれないと考えた。そこで進学率の統計を見ている時に面白い発見をした。書店の数は、私立学校の進学率と緩やかに反比例しているということだ。都道府県ごとの私立学校志向を調べてみると、以下のような順位が分かった(※7)。
私立高校への進学率が高い都道府県(2021年のデータ)
1. 東京都: 進学率56.9%
2. 大阪府: 進学率48.0%
3. 福岡県: 進学率43.1%
4. 奈良県: 進学率42.9%
5. 愛知県: 進学率42.8%
特に都市部において私立学校が教育選択肢として広く受け入れられており、私立への進学率が高いことが確認できる 一方で、私立高校などの進学率が低い都道府県は、主に地方や過疎地に集中している。逆に、国公立学校への進学志向が高い都道府県の上位には、以下のようなエリアがある(※8)。
1. 新潟県:国公立進学率が最も高く、全体の進学率は99.57%
2. 石川県:99.43%で、非常に高い進学率を誇る県の1つ
3. 福井県:99.31%、北陸地方の他の県と同様に国公立志向が強い
4. 岩手県:99.30%、国公立学校への進学が主流の地域
5. 富山県:同じく99.30%、国公立志向が強い地域
これらの地域では、特に公立・国立学校への進学率が高く、私立進学が少ないことが特徴だ。多くの住民が国公立学校を選ぶことで、教育費が抑えられ、文化的な価値観が地域に根付いている可能性が高い。書店の数や図書館の利用率も高く、地域全体で教育と文化に対する関心が高いのだ。先に示した単位人口あたりの書店の数は、新潟は1.02、石川は1.34、福井は1.30、岩手は1.02、富山は1.04だ。平均が0.78なので、一定の関係を確認できる。
全体の議論を整理してみよう。書店の敵はアマゾンではなく、私立進学志向だったのだ。まず、人口密集地では書店の数は多いが、単位人口あたりの数は少なかった。東京、神奈川、大阪、京都といった人口密集地では、書店の絶対数は多いものの、人口1万人あたりの書店数は全国平均の0.78を下回るか、ほぼ同水準に留まっている。これらの地域では、教育に対する支出が多いものの、書籍の購入に対する余裕や時間が限られていることが考えられる。単位人口あたりの書店数が多い地域は教育熱心で私学が少ない特徴から国立志向が強いのだ。石川県、福井県、富山県、岩手県などの地方では、1万人あたりの書店数が1を超える地域が多く見られる。これらの地域は、教育熱心な家庭が多く、かつ国公立学校への進学志向が強いことが特徴だ。これにより、家庭が私立学校や塾などの高額な費用を支払う代わりに、図書や文化的な支出に対して余裕を持つ傾向が見られるのだ。私学志向の強い都市部では教育費が高く、図書購入に費やす余裕が少ない。それから読書する時間を塾や私学の勉強に回しているとも考えられる。東京、神奈川、大阪のような大都市では、私学志向が強く、教育費の多くが塾や私立受験対策、私立学校の学費に割かれている。これらの地域では、可処分所得が高くても、教育費が10%以上に達しており、書籍や図書に回す予算や時間が不足している可能性があるのだ。私学志向が強い都市部では、教育が競争的になりがちで、デジタル化も進んでいる。対して、地方では書店や図書館の利用が文化的活動として根付いており、公教育の質が高いことで、私学に頼らない教育スタイルが一般的だといえるのだ。
地方に書店を増やし、文化的な施設を増やす。生成AIやロボットが人間のライバルになる頃、都市部での過度な学歴競争は無意味なものとなり、文化や感情を育んで人間らしく育った地方の国公立志向の子どもたちが未来を創造する世界がくるかもしれない。
※1:https://link.springer.com/article/10.1007/s11769-023-1393-6
※2:https://www.nippan.co.jp/news/data2023_20231113/
※3:https://www.ohmae.ac.jp/mbaswitch/e-books
※4:https://ryutsu-gakuin.nippan.co.jp/n-column-cat2-9/
※5:https://realsound.jp/book/2022/12/post-1206831_2.html#google_vignette
※6:https://ecitizen.jp/Ssds/Indicators/_D0311501#google_vignette
※7:https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/737617/
※8:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/db_top/link/performance_link/mext1_3_2.html
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