
経営人材の不足
2017年4月25日
早嶋です。
2007年にスマートデバイスが世の中に出て、全ての仕組みをスマフォセントリックにすることで、大小の資本のギャップが埋まり、国内や何処かの地域で成功したらそのモデルを一気に他の地域、極端な場合は全世界で展開できるビジネスモデルが出現してきました。
少数精鋭が多くの意思決定を行い、単純な仕組みはシステムやAIが行う。細かなデータ取得は人に変ってIoTによって行われ、煩雑な意思決定はビックデータによってはやりAIが補佐する。
というようなシナリオになれば、世の中人手がいらなくなる。という予測もありましたが、実際の世界はそんなに簡単にシステム化や機会化に進むこと無く、やはり人が行わなければならない仕事は一定量必要です。
一方で、少子高齢化が急速に進み、効率化を実現すべく、作業の標準化や機械化をすすめていますが、企業の投資が追いついていません。特にサービス産業や建設業や製造業の現場と言われる領域では顕著です。加えて、意思決定や重要な案件のマネジメントを担う人材も不足しています。
経済産業省が企業の経営人材育成の状況についてレポートをまとめています。サンプル数は102社ですが、重要な予測を示唆する内容です。将来の経営の担い手やマネジメント人材が不足するという懸念を示しているのです。
大企業を中心に次世代リーダー育成は活性ですが、選抜しても限られたメンバしかいなく、実際にトレーニングを積んでも然るべき人材が不足している企業が目立ちます。上場企業4,000社の多くは将来の経営人材を意識して30代後半から50代前半に対して経営者のトレーニングを繰り返し行なっていますが、今回のレポートでは、その人材に対しても不足している。との企業の傾向が見て取れます。
本日の日経にも同調査についての記事がありました。ーー日経抜粋ーーー
調査によると、幹部候補の社員にあえて厳しい課題に取り組むような人事配置をする企業は56%に達した。育成責任者から一定期間後に助言や評価を伝えるのは3割程度にとどまり、候補の社員との意思疎通に課題が残った。
企業が経営人材の育成過程で重視する経験は「既存事業部門の責任者」が65%、「海外関連会社」が47%だったのに対して、業界団体や他の民間企業など社外への出向は10%にとどまった。
ーーー抜粋終了ーーー
上記を読むと、そうは言っても本格的にトレーニングを行っている企業は全体の3割以下であることがわかります。また、経営の育成においても既存事業の責任者クラスを意識している限り、成熟したビジネスサイクルではそもそも次のビジネスを育てていかなければ、根本的な解決にはならないのではと疑問を持ちます。
いずれにせよ、現場に加えて、マネジメント層に対しての人材不足から、経営者のトレーニングや彼ら彼女らに対しての助言を生業とする仕事は今後も一定以上のニーズはあると考えます。
季節のご挨拶
2017年4月25日
安藤です!
季節のごあいさつ 初夏
みなさま、新年度がスタートしてはや一か月が過ぎ、もうゴールデンウィークも目の前ですが、年度前に描いた通りに進んでいますでしょうか。先日、久山町から山に入った処に食事に行きました、新緑が目に鮮やかで川の水も澄んで魚が泳ぎ、のどかな風景でした。
道のわきには八重桜の濃いピンクに混じって、アヤメやフジ、それにムラサキツユクサの紫が目に付き始め、季節が春から初夏に変わりつつあることを教えます。
先ごろ米国タイム社が「世界で最も影響力のある100人」2017年度版を発表しましたが、なんと日本人でただ一人選ばれたのは東京都知事の先駆者部門の小池百合子さんでした。また同誌は小池都知事を「世界の女性の手本」と表現し、高く評価していました。
私は永年に亘って女性の活躍推進に取り組んできました、それだけに今回小池都知事がこのように選ばれたことは、同じ日本人女性として心から嬉しく、誇りに思います。
目を転じて国内では必ずしも同じように評価されてはいないと感じます。女性であるからと言いうだけで認めようとしない風潮はまだまだ根深いようです、私は女性活躍推進に関わる研修で、様々な企業に伺っていますが、そこでもそれを感じることがあります。
これからの日本では「誰が正しいか」ではなく、「何が正しいか」と合理的に考える事がますます重要になってくる、それが女性活躍に繋がる第一歩だと思います。
私は今年に入って今月までに東京でワーク・ライフバランスコンサルタントの養成講座を受講し、ワーク・ライフバランスコンサルタント(働き方見直し)の資格を得ました。ここで学んだことを研修内容にも活かし、更に皆様の役にたてるよう努力してまいります。
≪講座のご案内≫
テーマ:あなた自身のメンタルヘルス
5月19日(金曜日): 19時から21時
場所:福岡市中央区赤坂1-13-10赤坂有楽ビル3F
詳細はこちら → http://www.biznavi.co.jp/news/news_training/1382
Tel. 092-761-6130
安藤美智子
HP:http://www.biznavi.co.jp/
メールアドレス:michiko@biznavi.co.jp
公募型の企画を決める人選って大丈夫か
2017年4月24日
早嶋です。
大企業に勤めていた時の当時の事業部長の言葉を思い出した。忘年会の場所や新社屋の壁の色のように、誰でも意見が出来る単純なものほど発言者が多く意思決定に時間を要す。しかし事業の方向性を決める非常に重要な意思決定程、意見が少なく案外と決定するまでの時間がかからないと。
本日、弊社では久々に公募型の大きなプロジェクトでコンペに参加しました。内容は、県内の商工者に対してマーケティングの支援を行うことです。企画の目玉は、事業者と消費者が提供する商材のギャップを如何に埋め、消費者に購買されやすい商品をつくるノウハウを弊社が提供するかです。そのためのグループインタビューのノウハウ、その内容を分析するノウハウ、それらをフィードバックするノウハウ。そして、実際にテストマーケティングするノウハウを解説させて頂きました。
10分のプレゼンに対して20分の質疑応答。プレゼンを聞いている方々は県の関係者とそれぞれの専門の方々とか。極めて高度な質疑を予測していたが、プレゼンの骨子の最も重要なダイナミックな内容には一切誰も触れず。確認しなくても良いような杓子定規な質問ばかりが飛び交う。
ひょっとして、弊社のプレゼン内容が全く伝わらなかったのか?いや。対象の方々の程度を考慮して徹底的に咀嚼した内容に組み立てたので、むしろツッコミどころ満載の内容になっていたと思う。理解できないことはない。そのような資料であったし、プレゼンの練習も重ねてきた。では、それを前提に何故に本質的な議論をされなかったのか。
ひょっとして、出来レースになっている。まぁ、それは考えにくい。参加者の方々がやっぱり中身を理解できなくて、何か質問しなければならないと思っている。その可能性を否めない質疑内容だったと思う。終いには、質問をする方々同士、つまり審査委員同士で、企画の基本となる前提の確認を行い、用語の説明を行う始末。大丈夫かと思った。
正直、プレゼンする側の要求を求める以上に、プレゼンを判断する側のレベルを実務の分かる標準レベルにして頂きたい。決して高い望みはしない。基本的なプレゼンの要求事項の確認をする。商工者の商売を確認する。その上で企画内容の評価やプレゼンの質疑を行って欲しい。
建築とマーケティングの融合
2017年4月21日
早嶋です。
先日、公共の建物、特に学校や病院等の建築や構造デザインを研究している大学の先生と90分程意見交換をさせて頂きました。公共の建物は、不特定多数の方々が利用し、個々人のニーズも異なる。更に、建築のデザインや予算等を決定する意思決定者は自治体であることが多く、大いに政治力が働く領域でもあるようです。更に、研究の対象となる建築物のサンプルが多くても100程度と少なく、そこから欲しい情報を局地的に読み取る必要があるという制約条件を持っています。
研究の手法として、不特定多数の利用者の欲求を言語化する主な調査方法は、人々の行動観察に代表する手法です。該当する施設や相当する施設に研究員が座り、そこに行き交う人々の行動から様々な仮説を立てるのです。
また、最終的な予算やデザインの決定を行う場合、予めステークホルダーの思惑や意思決定権限の強さなどを分析します。初めの行動観察から導いたデザインや設計が必ずしも採用されるわけではなく、意思決定者の権限や彼ら彼女らの直感的な思いから決定に至るケースが多いからです。
更に、サンプル数が少ない制約条件に対しては、限られたサンプル数の中から目的を達成するであろう少数の建物を選び抜き、様々な仮説を立てる細密調査が基本になります。そこから研究データを取得し、対象となるデザインや図面を決定します。いわゆる少数点形・少数細密調査というわけです。
公共の建築を研究している学者さんは案外と多く、でも図面やデザインを引くことよりも、上記のような対応に対して日々仮説を立てて基礎となるデータや仮説を立てているのです。
この話を聞いて、この研究って、1)大企業のマスマーケティング、2)大企業の新規ビジネスの企画に活用できると感じました。
大企業のマスマーケティングは、基本的な属性には分けますが、かなりざっくりとしているためここのニーズを細かく分類することは難しいです。現在では様々なデータをビックデータ化して2時情報の分析から様々な仮説を立てています。しかし、そこには1次データが不足しているため、行動観察の手法から導き出される推論とビックデータの推論を組みわせることでより仮説の精度が高まるのではと考えました。
次に大企業の新規ビジネスの企画です。新しいビジネスを行う際、まだ試していないビジネスという特徴からサンプル数どころか市場が存在しません。そのような環境から代替する指標を複数ひねり出して仮説をだして小さな実験を繰り返します。この手法はまさに少数点形・少数細密調査のノウハウが使えるのではと思います。
上記仮説を試すべく、ある企業の商品開発で共同研究を行い、異業種の組み合わせで仮説通りの成果が出すことができるか実験したいと思います。
転勤は時代錯誤?
2017年4月20日
早嶋です。
リクルートワークス研究所の調査結果によると年間に転勤を言い渡される人は約40万人いるとのこと。中小企業庁の調査から、日本全体の従業者数は4013万人いることより約1%、100人に1人の確率で毎年転勤を言い渡されているということが言えます。
転勤は明らかに日本固有の文化です。過去からの終身雇用を前提に転勤命令は社員に取って絶対で断れないルールになっています。
そもそも、転勤の理由は、1)社員の調整、2)人材育成、3)マンネリ防止、4)顧客との癒着防止などがあると思います。しかし、そもそも破綻しているように感じます。現在は、ITと交通機関が普及しているので、人を1年単位で転勤させる意味が薄れていると思います。
地方での役割が必要であれば、そもそも地域採用を前提にするべきだと思います。人材育成のツールも転勤を美としていた当時よりも遥かに充実しています。そもそもマンネリ防止のために、わざわざ希望しない社員を単身でどこかに1年以上の期間で移動させること自体が時代錯誤です。顧客との癒着に対しても、怪しいのであれば該当社員を長期休暇させるだけで不正はすぐに見つかります。
独立行政法人労働政策研究研修機構の調べでは、専業主婦世帯は調査を開始した1980年代から減少しており、共働き世帯は逆に増加しています。1995年前後で共働き世帯が専業主婦世帯を逆転して、現在では共働き世帯が1129万世帯、専業主婦世帯が664万世帯です。全世帯数の62%が共働きであることを考えると、夫の仕事の都合で妻も移動するという考えは破綻していますね。もちろんそこに単身しなさいという考えも時代錯誤です。
ハードブレグジット
2017年4月19日
早嶋です。
今朝の日経に英国のメイ首相の緊急声明に関する記事がありました。
ーー日本経済新聞2017年4月19日朝刊抜粋ーー
英国のメイ首相は18日、緊急声明を発表し、下院を解散して6月8日に総選挙を実施する意向を明らかにした。メイ氏は欧州連合(EU)との離脱交渉を巡り「現政府を支持するか民意を問い、より安定した政権をつくる」と強調。EU単一市場から完全撤退するといった「強硬離脱(ハードブレグジット)」方針への支持を訴えた。
ーー抜粋終了ーー
声明では、18日の閣議で2020年予定だった総選挙を前倒しし、19日にメイ首相は承認を求めます。最大野党の労働党のコービン党首も総選挙を歓迎する考えを表明しています。おそらく議会は賛成多数で承認するでしょう。
声明では英国政府の離脱戦略を強調していましたが、いくつか疑問があります。そもそも離脱したい背景は、これ以上移民や難民を受入たくないというのが本音でしょう。欧州ではシリアやイラク、北アフリカから難民を受入れる問題があります。
英国は社会保障の手厚さから難民にとって人気です。正式な手続きを踏めれば難民と認められ、福祉手当(金銭)と無料で医療施設が利用でき、住居が与えられます。当然、難民間では英国は最高だとなり戦時国のみならず、中国からの難民も年々増加しています。
EU加盟国は難民受入を拒否できない法律があり、移民に関しても特別な理由がない限り否めません。従って、英国が移民や難民の受入を拒否、或いは制限するためにはEUの離脱が必要になるのです。
国民はEU離脱に賛成しています。理由は、このまま受入を続けていけば、国民の税負担が更に重たくなるからです。難民の衣食住の費用負担は当然税金です。財政が弱含む英国にとって自国の税金を難民や移民の受け入れ費用に充てることそのものに国民の不満が高まっているのです。これは当然理解できることです。
また、難民の受入は仕事の取り合い、治安の悪化を招くと国民は考えています。英国からすると税金も取られ、仕事も取られ、治安も悪化する。まさに、たまらないという発想なのです。
では、実際に英国がEUから離脱したらどうなるのか。メイ首相が離脱戦略を明確に持っているという点について疑問なのが、仮に離脱したらどうなるのか?というシミュレーションが明らかに不足しているという点です。
仮に離脱が決定したら最も大きな影響は、欧州の中枢マーケットとしての地位陥落です。ロンドンが金融市場から見放されます。現在、世界の3大マーケットはニューヨーク、上海、ロンドンです。この3つの市場が地理的に分散されているため24時間連続的な取引が可能です。
そしてロンドンに拠点を置いている金融機関は英国がEUに加盟しているため、他の27カ国にも個別に許認可を得ずとも自由にビジネスが行なえます。しかしEU離脱後、他のEUの国々との取引がこれまで通り自由にできなくなる可能性があります。
これは金融に関する縛りだけではありません。商業、労働法、医療、環境やエネルギー、製造物への責任体制、通信、航空法や宇宙開発、ビジネスで紛争が起きた際の取り決め、会社法、公共セクターに対しての入札、税法、ITの発展によるデータ保護の取り決め、サイバーセキュリティーに対してのルール、企業間の競争に関しての取り決め、地底財産など凡そ20,000程度のルールや決まりごとを全てオールリセットして決めなければならないのです。
離脱すると確かに、国民の税はこれまで通りで良いでしょうが、その母体となる英国の基盤自体が脆弱になることが予測されます。結果、英国がEUを離脱すると英国の信用力は低下するでしょう。信用力の低下は英国の通過であるポンドの価値下落につながります。今日現在で139円ですが2015年8月の190円台をピークにどんどん下がっています。結果、英国は他の国と取引をする時の購買力が弱くなることから英国の景気悪化につながるのです。
現在、日本企業で英国に進出している企業は900社弱あるようです。EUではドイツに次いで2位の企業数です。また、日本の対英国直接投資は1.7兆円で米国に次ぐ世界2位の金額規模です。つまりイギリスの景気悪化は我が国日本にも何らかの影響があるといえるでしょう。
英国の国民に取って、今回の状況はどちらを選んでもいばらの道で、にっちもさっちもいかないということだと思います。
グレーマーケット
2017年4月18日
早嶋です。
Web検索をしていると時折、高級時計のディスカウントショップと出くわすことがあります。キラキラダイアモンドを散りばめたロレックスが定価の3割引で販売している。タグホイヤーの新品が破格の値段で売られている。こうした市場はグレーマーケットと呼ばれ高級時計市場からすると厄介な存在です。
先月のバーゼルワールドではモヘ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)の腕時計部門を率いるジャン・クロード・ビーバー氏は、グレーマーケットを「業界のガン」と呼んでいます。高級部門の小売にとって、評判、憧れ、夢、価格が安売りによって崩れる事によって、ジワジワと信頼が損なわれるからです。高級品のディスカウントは、一見、購買者が増えますが、一度価格に走り始めると、それがジワジワブランドの価値の崩壊につながるのです。
ロイターの記事によれば、グレーマーケットに出回る時計の供給元は複数あり、売れ行きの悪い商品を処分したい公式の販売代理店、輸入代理店、更にブランド本体が直接提供することもあるとのこと。
一方で、グレーマーケットに対してメーカーの利点もあります。時計が売れることでメーカーは利益を確保できることです。また、そのようなサイトがネットに広告宣伝を出すことで自社ブランドの時計が無料で露出する。つまり宣伝広告としての効果が見込めることです。
多くのメーカーは時計の在庫を適正に管理しているでしょうが売上至上主義に走ったブランドが少なからずとも出現しています。2009年の金融危機の後に中国での高級品の需要が一気に高まりました。当然、高級市場の代表選手であるスイス時計も注目されます。メーカーはこれに追随する形で生産量を増やし小売価格を上昇させました。
しかしいわゆる中国人の爆買いは終焉を迎えます。日本同様に欧州を訪問する買物目的の観光客が激減しているのです。中国当局が過度の関税をかけたことが理由です。高級時計や宝飾品などを傘下におさめるスイスのリシュモングループは昨年の9月の株主総会で直近5ヶ月の成績は為替の影響を鑑みても14%の大幅な減少と報告していました。世界的なエリアでは日本が25%減、欧州が18%減、中東アフリカが10%減でした。
一方で国境を超えるECである越境ECは伸びています。現地に赴かなくても商品を検索することで品物が買えるし、越境ECには当局は注目をしていません(ネットの世界はあえて監視しているが今のところ口を出していない、という表現が正しいかもしれませんね。)。
高級時計と言ってもある程度生産数を増やした企業は急に生産量を調整することは難しいと思います。時計の製造工程は多く、段階を追って組立ていきます。高級時計は製造工程も複雑で製造計画の期間が1年から2年のものもあると聞きます。従って徐々に生産量を増やしたメーカーが、急に生産量を減らすことができない可能が考えられます。
そこで考えられる仮説は、在庫として溢れた商品の一部がグレーマーケットに流れているのではと。そして、越境ECの伸びとともにグレーマーケットが成長しているのです。
百貨店のコンサルをしている時の数字感覚ですが、売上100に対して2割がメーカーに、販売店は最大4割超えるマージンでした。しかしどんなにビジネスが苦しくても、メーカーは公式販売店に対して値下げをすることを許しません。ブランドイメージを徹底的に管理するためです。百貨店はそのような場合は、公のルートでは値下げをしませんが外商の得意顧客には15%から2割のディスカウントをして数字を確保していました。百貨店以外の代理店はそこまで外商のような上得意客を抱えていません。そこで自社の資金繰りを良くするためにグレーマーケットに商品を流したのではないかという可能性です。
スイスの時計輸出を見れば昨年は10%の減少、今年も初めの3ヶ月程度で8%の減少ですので、急激に商品が売れなくなっているという事実は本当のようです。
グレーマーケットのビジネスモデルは案外と巧妙です。基本は在庫をもたずに注文があった場合に秘密ルートから商品を調達するのでリスクを持ちません。商品は合法的な正真正銘の商品。ただ正規ルートでの販売いではないためブランドは腕時計の修理を拒む傾向があるようで保証性がつかないのが一般です。そのため販売店舗が独自tの保証や修理サービスを付けて顧客の獲得を狙っています。
ここいっときの高級時計の過剰なブームが急に止みブランドは生産過剰に。在庫を抱える販売店はちょっと魔が差したか、生きるために仕方なかったのか、グレーマーケットに商品を流す。そして中国の爆買いから越境ECのシフトとともにグレーマーケットは急成長。顧客は正規ルートで満足を得るか、メーカーの保障はないけれども3割前後の値引きで高級時計を手に入れるか。高級時計業界も目まぐるしく経済が動いていることがわかります。
人口構造の変化2017年
2017年4月17日
早嶋です。
マクロ環境分析の考えの中に社会的な変化をみる視点があります。マネジメントの発明の大家であるドラッカーは度々人口構造の変化に関するコメントを残しています。
総務省が人口推計を発表しました。現在の総人口は1億2千693万人。6年連続で減少しており昨年よりも16万人減っています。年間の死亡者数から出生数を引いた自然減は29万6千人で統計を取りはじめてから最多となっています(上記の差異がある部分は外国人が帰化している部分等)。
現在の日本は、凡そ100万人の出生があり、130万人の死亡者数がある。2007年以降10年連続で自然減が続き、今後も高齢者の増加からこの傾向は継続。そして自然減の減少幅は更に拡大すると考えられます。
人口構造の変化は市場と雇用に大きな変化をもたらします。現在は高齢者の増加と若年人口の減少です。従って市場の変化としては、国内市場の縮小、若年市場から高齢者中心の市場に変化します。雇用の変化としては、労働可能年齢が延長され、雇用形態が多様化される、特に製造業の雇用減少に伴い知識労働者が更に増えることが予測できます。
労働者の担い手である15歳から64際の生産年齢人口は現在、7600万人。総人口の6割です。終戦直後の同比率と近づいているのです。一方で高齢者、65歳以上の割合は27%越えで過去最高です。
入国と出国の差分である社会動態は13万4千のプラスです。入国者数は336万人。内訳は正確ではないが生産年齢人口の幅に属するとしたら4.5%(336/7600)に相当します。移民に対してはグレーですが外国人労働者受入策の効果、結果長期滞在をする外国人が増加しているといえるでしょう。
EC決済におけるスマフォとクレジットカード
2017年4月14日
早嶋です。
国内でのクレジットカード利用が増加しています。
ーー2017年4月14日日経新聞引用ーー
2016年のクレジットカードのショッピング支払額は初めて50兆円を超えた。ネット通販の市場拡大に加え、税金、医療費の支払いなど、カード払いの対象が広がっていることが背景にある。
ーー引用終了ーー
去年からの伸びが約8%でその要因はネット通販です。アマゾン、楽天などに代表される通販は、代引き、コンビニ支払いもありますが、その場で完結できるカード決済が便利とあり増加しているのでしょう。同記事には三井住友カードのコメントがあり、前年比で毎月20%近いEC取引が伸びているとありました。
また、ふるさと納税や自動車英などの税関連でも利用が増えているようです。更に、医療現場においてもクレジット決済が普及しつつあり、高齢者の利用も目立っています。マクドナルドも2017年の後半頃より全国の店舗での利用を開始します。これはインバウンドの人がより便利にすることが背景だとおもいますが、10年前と比較してカード利用ができるシーンが増えているのです。経産省が発表する一般消費者向けの電子商取引の市場規模は13.8兆円。この市場は今後も省人力化の影響で増える見通しです。
一方、中国やインドのトレンドはクレジットカードを飛び越してスマホ決済に向かっています。現在中国では8億人がスマフォ決済を利用しており、2016年のスマフォ決済額は600兆円で前年比の2倍です。金額も、伸び率も日本の13.8兆円から比較すると桁違いです。
中国でのスマフォ決済の2強はテンセントとアリババ。テンセントはウィーチャットペイという名称で決済ユーザーの総合計は8.3億人。小売店やネット通販、振替、振込、公共料金の支払いでよくつかあれています。一方のアリババはアリペイという名称で決済ユーザーの総合計は4億人。こちらもネット通販、小売店、振替、振込、公共料金の支払が主な使途です。現味、2014年はウィーチャットペイや8%のシェアでアリペイが79%でした。2016年はウィーチャットペイが38%、アリペイが50%とテンセントが追い上げている構図です。
2007年にアップルがスマートフォンを発表してから世界が大きく変ってきています。現在のビジネスの多くは、スマフォを中心としたビジネスモデルになり、全ての行動をスマフォを中心に行えるようになりました。加えて物流が発達してリアル店舗に行かなくても消費者は購入が可能になります。
2014年の世界のB2CのEC市場の規模は1.3兆ドルでした。これが2017年予測では2.5兆円、2019年予測では3.6兆円ですので日本のEC化のスピードよりも遥かに国外は進んでいることがわかります。特に国別でみると中国が6720億ドルの市場規模で、米国が次いで3406億の規模です。日本のEC市場規模は約900億円ですので国外の規模感との差がわかります。
今日の日経はクレジットカード会社に取っては追い風のようなコメントがありましたが、中国の勢いを見ればIT会社がスマフォ決済の仕組みを導入しシェアを取りにいくことも考えられます。手数料が安く、手続きと利便性が良いからです。
ネット、決済、物流。昨日も小売に関してのコメントを載せましたがわずか数年でどんどんと世界が変っています。
小売業界の明暗
2017年4月13日
早嶋です。
2018年2月期、主要な小売業57社の8割弱で純利益が増加。セブンアイなど3割の企業が最高益になる見通し、と日経にありました。消費者の傾向が継続的な節約志向はあるものの、健康、安全に対しての価値を認め単価を引き上げているのが背景にあるようです。
以下、2017年4月13日の日経新聞抜粋ーーーーー
イオンは12日、18年2月期に売上高にあたる営業収益が前期比1%増の8兆3000億円、純利益は33%増の150億円になる見通しだと発表した。総合スーパーを運営するイオンリテールの岡崎双一社長は「顧客は価格だけでなく価値を評価している」と話す。
「高め消費」を取り込もうと旧ダイエーの店舗を総菜やワインを取りそろえた「イオンスタイル」などに転換する。プライベートブランド(PB)商品は低価格品だけでなく、安全認証を受けた魚や自然肥料で育てた肉など高価格品が好調だ。
ーーーー終了
総務省が発表するエンゲル係数も2016年に26%とおよそ30年ぶりに高い水準になっています。この数字の背景は共働き世帯の増加によって惣菜や冷食の需要が増加したことがあります。また、高齢化層は食やファッションの消費は全体として細っています、健康配慮の商品、家の中を快適にする住居関連で付加価値が高い商品は好調になったのでしょう。
結果、業態としてはコンビニ、スーパーには追い風、生活雑貨も機能や付加価値を提供する企業は追い風になったのです。もちろん企業も努力をしており不採算事業を縮小して不可価値品を揃えている企業が結果業績をあげています。
◯セブンアイ。不振だったスーパー事業で不採算店舗を閉鎖、総菜に力を入れた。
◯イオンも同様の取り組みをしている。
◯ローソンは健康志向の商品が最高益を牽引している。
◯家具のニトリは大都市の百貨店の進出をおこない高価格帯の商品が伸びた。
今後の小売業のマクロ環境は、1)ネット通販、2)人手不足、3)物流費の高騰をどのようにマネジメントするかが課題になりそうです。
インバウンドの爆買いはリアルからネットの世界に移行して越境ECが活況です。百貨店などリアルの投資を続けた業態はネット通販の変化に大きな打撃を受け続けるでしょう。一方で、ネットが扱いにくい生鮮や総菜は、先に延べて健康、安全とあいまって今後注力するジャンルの1つになるでしょう。
人手不足について無人レジの導入や高度化した物流センターに投資をした企業の先見の目というか戦略の勝利ですね。無人レジ関連ではテラオカや東芝テック、NECや富士通フロンテック、富士電機やOKIなどには追い風になりますね。一方、物流センターでは、前回起きたアスクルの火事を受けて大規模倉庫の3割が消防法違反だったので、業界には追い風ながらも追加の設備投資を余儀なくされます(当たり前の投資だが、安全面で)。結果、規模の経済で資金的に余裕がある企業が更に設備投資を行い業界の再編が進むでしょうね。
最新記事の投稿
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2025年8月
- 2025年7月
- 2025年6月
- 2025年5月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月