高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は「ビジネスコミュニケーションにおける伝え方」というテーマでお届けします。
コミュニケーション能力を「聴く」と「伝える」に分けて考えてみます。今回は「伝える」編です。
ビジネスにおいても普段の会話でも、こんな人が周りにいらっしゃいませんか?話が長くて、要点がつかめなくて、結局なにを言いたいのか、さっぱりわからないという人。ひょっとしてそのような指摘を受けたことがある方も、いらっしゃるかもしれません。
正確に伝えるためのポイントは4つあります。
1.相手の興味・関心事であること⇒人は自分の興味・関心事でないと、話しを理解しようとしない
2.相手を意識する⇒相手の前提、知識レベル、聞取りスピードに合わせて伝えることが大切
3.言葉のあいまいさを除く⇒「あれ、それ」など抽象的ではなく、5W1Hなど具体的に伝える
4.結論から述べる⇒いきなり各論や詳細ではなく、まず全体像を伝える
『4.結論から述べる』フレームワークとして、PREP(プレップ)法があります。ご存知の方も多いと思います。このような順番で話しますので、頭文字をとってPREP法です。
1.P(Point) まず結論から述べる。「結論としては、○○となります」
2.R(Reason) 結論を導いた理由(根拠)を述べる。「その理由は△△だからです」
3.E(Example) 理由を支える具体例を述べる。「具体的な例として、□□などがあげられます」
4.P(Point) 最後にもう一度自分の主張を述べる。「以上をまとめますと、私は○○と思います」
例えば、このような伝え方です。
P 「私は、今回の企画はB案よりA案を採用すべきだと思います」
R 「なぜなら、A案は当社のターゲットである若年層を取り込む企画案になっているからです」
E 「具体的には、SNSの活用やWeb上のイベントなど若年層がアクセスしやすいからです」
P 「よってA案を採用すべきです」
この順番で相手に伝える時、話し手の頭の中はどのようになっているのでしょうか?ピラミッドストラクチャーという論理思考のフレームワークをイメージしていただくとわかりやすいです。ピラミッドストラクチャーを書き出してみると、その名の通りピラミッド型になります。最もシンプルな形は3段構成で、頂点に結論(先程の例だと、A案を採用すべき)があります。次の段にその結論を支える根拠(ターゲットである若年層の取り込みができるから)がいくつか並びます。そして各根拠を支える具体例(SNSの活用やWeb上のイベント)がその下にそれぞれいくつか並ぶ三角形の形です。
話す前に、まずこの形を頭の中に描き、それぞれ何を言うべきか探し、考えます。この形、とりわけ結論を支える根拠をしっかり相手に示せるようになると、相手の納得感が高まり正確に意図を伝えることができます。
「話がわかりやすい」と言われるようになりますし、商談においてはお客様への説得力が増しますので成果に結びつく確率が上がるでしょう。また上司から「一言で言うと?」と質問を向けられても即答することができます。ズバッと明確に答えることができれば、自ずと評価も高まります。
話す場面だけではなく、書く場面でも同じです。結論を記しその根拠を列挙することで「資料がよくまとまっている」と言われるようになります。商談の場面ではお客様から「まさに、こういう企画がやりたかった」と評価していただくプレゼンテーション資料を作成することもできます。
今回はビジネスコミュニケーションにおける「伝える」をテーマにご紹介しました。
結論を簡潔に述べること。その結論を支える根拠をいくつか提示すること。根拠として納得できる具体例を列挙すること。これらが伝えるための外してはならないポイントです。
営業プロセス、顧客満足、人材育成、セールスコーチなどをお考えの経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
2022年1月5日 のアーカイブ
ビジネスコミュニケーションにおける伝え方
22年の動向
早嶋です。
22年1月5日現在の新型コロナウィルスの感染者は2.93億人で死亡者数は545万人、国内では173万人で死亡者数は18,392人(※1)です。デルタ株が夏以降に拡散し欧州では感染者数が再び拡大。秋頃にはオミクロン株が南アフリカから世界に広まりを見せています。
コロナによる景気の落ち込みを底上げすべく主要国は大規模な金融緩和を実施しており、その結果、株式市場には緩和マネーが流れこんでいます。各国の消費者物価指数を調べて見ると20年7月頃より上昇しておりインフレ圧力が高まっています(※2)。
22年はインフレ圧力を受けて各国の中央銀行は利上げに動きつつあります。大きな方向性としては、金融緩和縮小の動きによりドル高基調になると考えられます。日本経済新聞によると、21年7月以降に利上げを実施した国は30カ国を超えています。
これらの背景は、地球温暖化防止におけるエネルギー問題、コロナによる世界的なサプライチェーンの遅延によるモノ不足が重なり生じていると考えられます。
(地球温暖化防止におけるエネルギー問題)
世界的な人口増加によるエネルギー需要のひっ迫に対して、脱炭素の影響が加わり、原油や天然ガス価格が高騰しています。以下、各国での状況を見て見ましょう(※3)。
ロシアでは9月に完成予定だったドイツとロシアをつなぐ天然ガスのパイプラインが未だ未操業で欧州への影響が大きくなっています。その欧州では気象要因により風力・太陽光発電が振るわず、天然ガスの需要が増え、電力危機の状況です。
インドでも石炭価格の上昇で電力需要がひっ迫。州によっては停電が頻発しています。中国も環境対策で石炭火力の発電を抑制しているため、20年9月からは20の省・地域で計画停電を実施しています。また欧州からの石炭輸入禁止措置の影響も在るでしょう。ブラジルでは渇水により主力の水力発電が低迷しLNG調達に乗り出すも需要がひっ迫しています。
中東は石油価格が上がっていることから日米等からの石油増産要請には応じません。増産しなくても利幅が獲得できるからです。日本はここ10年でこの冬場が最も電力需要が厳しい見通しになっています。原油高騰、LNG高騰の影響です。米国はLNG生産能力の限界に達し、不運にもハリケーンが直撃しLNGの生産が停滞しています。米国のLNG輸出が滞ることで他国のLNGひっ迫の要因にもなっています。
COP26などの脱炭素に向けた取組は重要ですが、上記の状況を鑑みると足並みが揃っていないことがわかります。COP26「グラスゴー気象合意」文章の要点は以下です。
・気温上昇を1.5度に抑える努力を要求
・必要に応じて22年度までに30年の削減目標を再検討
・排出削減対策の取られていない石炭火力の段階的削減へ努力
・先進国から途上国に年1,000億ドルを支援する目標未達は遺憾。速やかに達成を。
です。例えば、最後の1,000億ドルの原資はどこがいくら負担するのかなどの枠組みが無く、各国の動きが取りにくい状況にあるのです。パリ協定の1.5度目標に対して、先進国は「維持すべき!」で、途上国は「実現が困難!」という立場です。途上国は先進国に対して「支援が不足している!」と言い、先進国は途上国に「もっと取り組みなさい!」と言っています。先進国は各国の30年目標では1.5度を実現できないので、途上国は上澄みをして欲しいと思っています。途上国は経済成長には石炭火力や化石燃料の活用が必要と主張します。
結果、この状況なので足元では化石燃料への投資が減速され、構造的にエネルギー価格が高騰し、電力不足が懸念され続けるでしょう。各国の大きな方向性は石炭火力と化石燃料の段階的な廃止、ガソリン車からEV車へのシフトに進むのです。
因みに、2018年時点での世界の電源別発電電力量の構成比は38%が石炭、23%が水力、16%が天然ガス、10%が原子力、3%が石油となっています。これらからいても石炭対策は重要ですが、一連のエネルギー事情によるエネルギー単価の高騰とひっ迫はしばらく続くことがわかります。
(コロナによる世界的なサプライチェーンの遅延によるモノ不足)
現在、我々が消費する商品の多くは1つの国や地域で原料調達から製造加工まで行えるほど単純ではありません。様々な原材料や部品を複数の地域や国から集め加工製造して販売されています。そのため一つの地域や国がコロナ対策が出来てもワクチン接種が遅れている国があれば人で不足による原材料調達加工不足が生じ物流が停滞して結果的にモノが不足する状況が発するのです。
21年後半よりコロナとの共存により、電子機器や住居関連の需要が増加しました。しかし物品需要の急激な回復とは裏腹に、原材料や部品。製品の供給不足や遅延が頻発します。現場ではコロナで離れた労働者の確保が追いついていないのです。
供給不足の代表例は半導体です。家電、車、パソコンと様々な商品に組み込みがある半導体の供給遅延は、我々も肌感覚で実感している状況です。更に貿易をする上で船舶やコンテナが不足する自体も影響が大きいです。コロナにより手続きが品雑化しており海上に停滞するコンテナが増えるため回転が鈍っているのです。特に中国やベトナムなどの輸出に関しては時間とコストが増大しています。アジア製の電子危機、家電、家具、衣料品などの世界的な需要増に対応することが出来ず、コロナが見つかり次第中国はすぐに港湾を閉鎖するなどの影響で大幅な乱れが連鎖しているのです。
海上輸送の混乱の原因を考えると、22年に急激に回復するものでは無いことがわかります。また、半導体に対しては需要増が見込まれても生産能力を急激に増強するには莫大な投資が必要なため不足解消にまだ1年はかかると推測できます。
(22年以降の世界で起こること)
コロナから3年目。物品に対する需要は急回復を見せています。しかし、その副作用で原料、部品、製品が供給不足になっています。加えて、海運を中心に物流が滞り、その回復もしばらく見込めない状況です。人手は慢性的に不足しているため価格の上昇と賃金増は今後も続くでしょう。そこに慢性的なエネルギー不足とエネルギーコスト上昇が加わり、全体としてはあらゆるコスト高から回避出来ない状態が続きます。
景気が悪化して失業が増え、購買力が低下し、物品の需要が減るという悪い状態ではありません。しかし、需要が高いのに、供給が不足するという事態に対して本来は企業や店舗は大幅な売上増を期待出来ましたが、それがままなりません。そこでそれらのコストが小売価格に転嫁されインフレが生じる状態になっているのです。変異株であるオミクロンは従来株よりも弱毒性との指摘もありますが不透明な景気の見通しは続きます。
22年以降の最悪のシナリオは、過度な景気対策と上述した状況が続きインフレ圧力が高まる。より一層の2極化が進み経済が混乱する。米国か中国においてバブル崩壊のような症状が起き、世界に波及する。ここに関しては大前研一さんが指摘しているように1918年から20年に起きたスペイン風の世界的流行、その後の過剰な景気対策。そしてその結果、米国のバブル崩壊による世界大恐慌のシナリオになる可能性です。
ハッピーなシナリオはコロナ株がインフルエンザのようになることです。この場合でもインフレ圧力、人材不足、エネルギー高、サプライチェーンの分断リスクは無視できないのでwithコロナ戦略を企業毎に議論しておくことが肝要ですね。
参照
※1 Our World in Data, JHU CSSE COVID-19 Data参照
※2 総務省統計局「消費者物価指数」参照
※3 週刊エコノミスト、週刊東洋経済、日本経済新聞 参照
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