早嶋です。
生きる意味はなんでしょう。
(結論)
あると考えないで、そんなの無いと思った方がよいのかな。一方で、生きる意味を敢えて見出すとすると、それは生きることそのもので、加えて自分の周りの人々が、本人から何かを与えられる。と考えれば、実は生きる意味とは自分のためではなく、相手のためにあると思うのです。
(とりとめもない問答)
生きる意味を自分に見出した場合、自分が満足する生き方を手に入れることで達成するとする。だとすると自分が満足する世界というのが存在する。もしその世界がイメージ出来た場合、その世界を達成した時か、その世界を維持している時に意味があることになる。
でも、これだとしっくりこない。その世界を手に入れるまではきっとたくさんの時間を要すると思うからだ。生きる意味が結果にあるということは、その結果を成し遂げるための過程においては意味を常に問い続けることになる。そして成し遂げるために生きているとなれば、中々成し遂げることが難しい世界を見出した人は常に満足することは無い。
仮に達成することが出来たとしても、その世界は過去に考えたイメージだ。時間という隔たりは常に僕らの思考を変異させる。それは環境変化が与える影響かもしれないし、取り組む中で自分が成長した結果生じたことかもしれない。いずれにせよ、時間のおかげで、達成した時に、当時考えたイメージと異なる感情を抱くかも知れない。そもそも当時の感情と比較することすら難しい。
だとしたらどうだろう。生きる意味を結果に見出すこと自体が意味がないのかも知れない。だとしたら生きる意味を過程に見出してみる。つまり何かを達成しようとする過程において、人は生きる意味があり、それを続けることそのものが意味となるのだ。
簡単な言葉に置き換えたら、結果に意味を見出すか、過程に意味を見出すかだ。まぁ、どちらが正解とはならないと思うが、僕は結果に意味を見出すことから過程に意味を見出すことに変えて、少しばかり自分を自分として表現することができるようになった。そして不思議なことに過程に意味を見出すうちに、冒頭議論した通り、当初の目標やゴールが変わる対象もあれば、変わらない対象もあることに気がついた。ただ、どちらに傾こうが、過程にフォーカスしているので、常に意味があることになる。少なくとも自分の定義では。
20代の頃は、誰よりも大きく、誰よりも知名度を高くして、誰よりも価値を創出する人になりたいと思っていた。そして当然、行動を続けるうちに、どんどんと野望が大きく、高く、手が届かないところに拡張していく。頑張れば頑張るほど結果が遠くなるのだ。周囲には涼しい顔をしているけれども、当人は勝手につらいと思っているのだ、不思議なものだ。人に対してはビジョンや目標の達成やギャップの分析が重要です。そして実現するための行動が大切です。と言っている。しかし、紺屋の白袴で自分の行動に対して向き合える年齢ではなかった。
30代、家族ができた。世の中のために頑張るぞという壮大過ぎた自分の妄想は、対象がより具現化して家族のために頑張るとなっていった。従来の早嶋聡史と全くことなる発想だ。世の中のためと言いながら、最も最小ユニットの家族と接する時間がなくて、家族が満足していないかも知れない。と考えたのだ。早嶋聡史が世の中に費やす時間が増えれば増えるほど家族との時間が減る。しかし世の中はこれっぽっちも変化しない。なんとも虚しい時間であった。そこで考えを逆転した。世の中のためにという最小ユニットは、やっぱり家族だと。そこにフォーカスすると自分が楽になり、時間も調整もできるようになる。そして冷静に判断して見ると、20代の頃よりも今の方が家族との時間も取れるようになり、一方で当時から考えている社会に対してのインパクトも結果て少しではあるが与えることができている。
今は40代。経験は増えたが、継続的なインプットを続け、時には過去の成功体験を捨てる取り組みを続けている。20代や30代から比較すると、一定の積み重ねがアドバンテージになっている部分もある。一方で、アタマの回転の速さや、行動力や瞬発力は明らかに落ちている。それでも物事が進む感覚を常に持ち、特定の仕事に対しては自分が表に出なくてもコントロール出来ているような気分である。実際はどうだか分からないが、1年程度のスパンで見れば、大きな前進があるのは間違いない。しかし基本は家族や自分を軸に、過程を楽しむ取り組みをしている。
そして家族という概念に自分の中での親の存在があらためて大きくなった。自分の年令を考えると当然ながら両親の老いがある。幸い、遠くない距離に住んでいるから定期的に会う時間を増やしている。自分や妻や子供の存在、そして自分の兄弟の存在が常に両親の人生に楽しみと生きがいをもたらしている。何のための人生かと問えば、自分だけの人生ではないことがわかってくる。
VC界隈で有名な話がある。漁師に投資する話だ。朝漁に出て、昼ごはんを家族と過ごし、のんびりして夜は早めに寝る。そしてまた朝漁にでる。その生活を見ている投資家が船を買って人を雇って規模を大きくしようと漁師に提案する。漁師は尋ねる。目的は?と。投資家は言う。ドンドンおおきくなれば、お金が勝手に入ってきて、家族と時間をともにして、好きなことに没頭して、のんびりできると。漁師は既に実現しているという。
この話は面白い。まさに僕が考えた20代、30代、40代現在進行系を表現している。実は今が一番ハッピーで、それは常に変わらない。過程にフォーカスしているので何らかの状況の変化はあるだろうが、結果を求めることを過度にしないので、常にココロが安定している。更に、世の中のためという大義名分を家族のため、そしてそれ自身が自分のためという概念を見出したことで、穏やかな毎日を楽しむ余裕ができてきた。一方で、常に行動にフォーカスしているので1年単位の変化を見れば、明らかに理想に近づいている。
結果と過程。社会と家族と個人。最終的な結果を結果目標として設定して、その達成をイメージするために細分化する。それらを通過目標として捉え、その通過目標につながる行動を特定して、その行動を続けることに専念する。大きな組織の大義名分を見出したら、それを組織毎に細分化して、最終的にはチームや行動をともにするユニットに落とし込んでいく。一定期間の間隔で行動が通過目標につながっているかをチューニングし1年程度のスパンで、そもそもの結果目標は正しいのかをフィードバックする。そしてそこで得た議論を基に、結果目標のチューニングを行う。それを組織単位、チーム単位、個人単位で行う。後はそれの繰り返し。
そうか、自分でクライアントに言ってきた取り組みを、企業から早嶋聡史個人に落としただけだったんだ。と妙に納得することができた。
世の中、何かの成果を出すために、その成果に向けて行動を続けた結果、たまたま成果が出ると考えた場合、時間の割合でいけば結果がでるのはわずかな瞬間でしかない。目的を達成するために努力をするというが、長い人生の中でその瞬間のために時間を費やすといのは、ものぐさな私からするといただけない。
世の中のみなをハッピーにするために、自分と最小ユニットの家族とその周りをハッピーにすることを考えて動く。結果、その連鎖が拡張するかもしれないし、実際は分からない。しかしプロフェッショナルとして対価を頂きながら大きな組織にアドバイスをさせて頂く仕事である以上、常に自分のパフォーマンスを高める努力は必要だ。僕の場合は、それが家族と自分自身のココロの安定ということに40になってようやく気がついたのだ。
そこであらためて考えて見る。なんのために生きるのか。結果は、しらんがな。ただもし目的が仮にあったとして、その目的のために取り組むことが目的だったらどうだろう。あまり意味のないことだが、取り組むことが目的なので、その瞬間は達成するまで継続する。つまり長い。生きている間の大半は行動をしていることになるので、満足度も高い。そしてそれは自分のためと捉えるよりも、自分の周りに居る家族の人生に自分がいることを理解する。そうすると生きる以外の選択肢は存在しなくなる。つまり自分のためには、同時に家族のためになると思うからだ。そうやって自分と問答することに解はでないが、実は意味があるのかも知れない。いや意味を見出そうとするから苦しくなるのだ。そう、意味なんて無いのだ。
2021年7月 のアーカイブ
生きる意味
自然災害の続発と生活に不安な社会
原です。
今、日本は地震・津波・豪雨災害が集中的に発生する大災害の時代に入っています。地殻変動が活発になる時期を活動期と言いますが、1994年に地震学者の石橋克彦氏が、日本列島が活動期に入ったと著書「大地動乱の時代―地震学者が警告するー」を出版されました。そして、出版の翌年に起きたのが阪神・淡路大震災でした。
それ以降、ほぼ毎年地震が日本で続き、東日本大震災が2010年に起きました。
東日本大地震は、約1100年前の大地震の時とほぼ同じ津波領域でした。また、この大地震を起点にして前後50年に起きた自然災害を調べると18年後に南海トラフ地震が起きたほか、富士山が噴火しています。プレートが動き、直下型地震が集中的に起きる時期は50年から100年続くと言われていますが、東日本大震災後も熊本、鳥取、大阪、北海道胆振東部地震が起きました。
さらに、温暖化の影響による豪雨災害も毎年のように起きています。特に、農山村を流れる河川に隣接した地域では、都市を流れる河川とは異なり、一般には治水施設の整備水準は低く、豪雨時には河川氾濫による浸水や流出被害の発生の危険性が高いです。また、土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険箇所などが存在することも多く、豪雨発生時においては、崖崩れ、土石流等の土砂災害の危険性も存在します。このような地域においては、急峡な地形が間近まで迫るなどの地形的特徴により、局地的な豪雨が発生しやすく、加えて、その流出特性から河川の水位上昇が急激に生じやすいのです。
このような局地的な集中豪雨はその予測や観測が難しく、それに伴う河川洪水や土砂災害の発生を事前に予測し、流域住民に対して早期の段階で避難勧告・避難指示などの避難情報を伝達することは現状では困難な場合も多いです。また、突発的かつ局所的に生じる土砂災害に関しては、その発生を察知してからの対応では間に合わないことが多いだけでなく、一次的な被害を免れたとしても、農山村の河川流域では道路や通信網の寸断により孤立状態が生じる危険があります。
私も出身の農山村地域の水害や山崩れによる1次災害と2次災害により、家族、友人、知人を失っており、自然災害の恐怖とそこで生活していく住民の不安を身近に感じています。
このようなことから、農産村地域で生活するには不安事項となり、都市からの人口移入どころか都市へ移出していくことにつながります。
私は、都会と農山村での2拠点生活を実践していますが、大地震だけでなくコロナ感染により都会には住みにくくなり、一方では、山や川の海の津波などの災害を直接に受ける農山漁村も住みにくくなっています。
自然災害は、日本だけでなく世界的な現象であり、SDGsは一時的な流行のキーワードで終わることなく、世界中の国、自治体、企業、組織、人々が長期的に取り組むべき重要課題です。そして、「人」中心の視点から、「人☓自然(地球)」に視点を変え、SDGsの目標に対してできることをビジネスやライフで実行し続けることが必要です。
女性活躍がうまくいなかい、進んでいない
安藤です。
ここ数年、女性活躍推進ということで女性の管理者候補、社員の方へ研修を実施してきました。2019年5月29日に「女性活躍推進法」の一部改正する法律が成立し、同年6月5日に公布された「改正女性活躍推進法」により、これまで努力義務とされてきた常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主についても、一般事業主行動計画の策定・届出が義務化されます。
そもそも、「女性活用」がなぜ言われ始めたのか。理由としては大きく分けて2つあると考えられます。1つは、少子高齢化に伴う労働人口の減少、二つ目は、日本の経済的問題があります。従来日本では、「男は外、女は内」という封建的な考え方が強く浸透しており、あくまで労働の主体は男性でした。しかし、少子高齢化に伴う社会保障費の増加が深刻な問題として顕在化しました。そこで、国力維持のために女性の社会進出は喫緊の課題となり、男女雇用機会均等法(1986年施行)を始めとする男女平等をベースとした積極的な雇用政策を推し進めてきました。女性の社会進出は進んだものの、結婚後も管理職としてキャリアを築く女性はまだまだ少数派で、多くの女性は比較的時間の調整がつけやすい非正規雇用や非管理職に留まり、思うほどの成果を上げられませんでした。また、直近の労働力確保には成功したものの、その弊害として女性の晩婚化や非婚化が進んでおり合計特殊出生率は2020年1.34%といった現状があります。
このままの状況が続けば、更なる少子高齢化は避けられず、労働人口は減少の一途を辿ることが想定されます。そのためには女性が活躍しつつも、結婚・出産等のライフイベントが叶えられるよう国を挙げて推進していくことが急務となり今に至っています。
本日のテーマである、「なぜ女性活躍がうまくいかないのか、進まないのか」については、様々な要因が考えられます。①登用機会を提供しない管理者側の課題と②登用機会はあるが、辞退する女性の課題です。①に関しては、女性には無理、合わない等バイアス、女性部下を持った経験が少ない等の経験、部下管理職を増やすことの経営効果を知らない等の知識スキルがあります。②に関しては、マネジメントとは何かの理解がない、やりたいと思えない、自分にできるとは思えない、家庭と両立が難しい、時間が足りない他です。
そこで、女性活躍推進が企業にとってのメリットが何なのかを理解することで、女性活躍推進は経営戦略として取り組みが必要であることがわかります。5つ挙げられています。
1.優秀な女性を採用できる可能性(日本は高学歴の女性が多い)、2.生産性向上が見込める(女性管理職の割合が10%以上の企業は、女性管理職が10%未満の企業に比べて、ROA(総資産利率率が1.3%も高い):日興ファイナンシャル・インテリジェンス、3.ダイバシティーマネジメント(企業文化の改革)4.企業のイメージアップ 5.公的機関からの優遇(えるぼし認定を受けた企業は公共調達や低金利融資において優遇:両立支援助(女性活躍加速化コース)、
なでしこ銘柄:https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/nadeshiko.html 、
ESG投資:https://www.gpif.go.jp/investment/esg/
そして、女性活躍推進で重要なのは組織の仕組みも変えることです。その仕組みを変えることは、経営効果の実現として、①生産性向上 ②収益性向上 ③優秀な人材確保 ④ビジネスモデル変革に繋がっている組織も多数あります。優秀な女性を企業の戦力に変えたい、ダイバシティー(多様性を活用した)組織づくりを検討中の方は、ぜひ、参考までにご覧くださいませ。
厚生労働省サイトhttps://positiveryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/
*国家資格キャリアコンサルタント1級技能士(国家資格キャリアコンサルタント指導者レベル)を取得しました。セルフ・キャリアドック、企業内でのキャリアコンサルタント取得の方々・目指していらっしゃる方の指導、また、資格に関わらずキャリアコンサルタント育成を検討されている場合は、お声かけ頂けたら幸いです。気軽に弊社にご相談くださいませ。
プレゼンテーションのゴールデンサークル3ステップ
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、数回に分けてお伝えしています。
今回は『プレゼンテーションのゴールデンサークル3ステップ』というテーマでお届けします。
営業のプロセスはどの業種でも概ね次のようなものです。
アプローチ→ヒアリング→プレゼンテーション→クロージング
この中で今日はプレゼンテーションについてお伝えするわけですが、前提としてヒアリングでお客様が抱えておられる問題(不満・不安・不快・不足・不便)について、営業パーソンはもちろんお客様ご自身も分かっておられることが大事です。お客様から「頼むからその提案をしてほしい」とお願いされるぐらい(笑)お困りごと、ニーズを引き出さなければプレゼンテーションはしないということです。
Noニーズ、Noプレゼンテーション
そもそも営業とはモノ売りではなく、お客様の問題解決することですからニーズのないところにプレゼンテーションはありません。
ということで、営業におけるプレゼンテーションとは何をすることと言えるでしょうか?
「プレゼンテーションは商品説明ではありません。お客様の問題をいかに解決できるか示すのがプレゼンテーションです」
さて、プレゼンテーションには3つのステップがあります。私はこのステップをゴールデンサークルと言っています。
ちなみにご存じの方も多いでしょうが、ゴールデンサークルと言えば有名なサイモン・シネックのTEDでのプレゼン(大勢の前でする講演やスピーチの意味)です。このプレゼンでシネックは人を動かす極意をAppleやキング牧師を例にゴールデンサークルとして教えてくれます。このプレゼンはオススメです、よかったら一度ご覧ください。「TED サイモン・シネック ゴールデンサークル」で検索すると字幕付きの動画がいくつか見つかります。
営業のプレゼンテーションも人を動かすという点は全く同じです。お客様に契約や購入という行動をとっていただくためにプレゼンテーションするわけですから。
営業のプレゼンテーションの3ステップは ➀Why → ②How → ③What です。順番に見ていきましょう。
➀Whyはニーズの復習・目的・願望です。お客様は「なぜ、この問題を解決したかったのか?」「解決できると、どんな好いことがあるのか?」「最終的にどうなりたいのか」をお客様に確認します。ヒアリングの内容をもう一度思い出していただくわけです。
➁How はWhyを達成する方法を説明します。「こうすれば、解決できます」「このようなやり方がいいです」と解決方法や解決できる根拠を説明するのです。
③Whatではじめて商品・サービスの説明です。「だから、当社のこの商品・サービスをご提案します」「価格は○○円です。仕様は△△です」How を行うために当社の商品・サービスが必要ですと伝えるのです。
この順番を逆にするとどうなるでしょう?
まずWhat自社の商品・サービスの説明から始まります。自社商品の優れた点をアピールするわけですが、お客様の心の中には「なぜこの商品が必要なんだっけ」「これで本当に問題が解決するのかな」「なんだか押し付けられているような気がする」「本当にこの商品じゃないとダメなのか?他社にも同じようなものがあるのでは」「比較してみよう」と次々、今買わない理由がわき上がってきます。だから「少し考えます」となって決まらないのです。これがモノ売りの営業です。
今回はプレゼンテーションの効果的な方法として、ゴールデンサークル3ステップをご紹介しました。皆さんは普段どのようなプレゼンテーションを行っておられるのでしょうか?
次回以降、さらにプレゼンテーションで役に立つスキルを紹介したいと思います。またこのような営業に関する実践的な研修や勉強会を行っていますので、ご興味のある方はお問い合わせください。
営業プロセス、顧客満足、人材育成、セールスコーチなどをお考えの経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
雑談と組織の心理的安全性
◇サイドチェンジを増やすには? 〜オフト監督の鋭い洞察〜
原田です。
昔、WEBの記事で読んだ話です。元サッカー日本代表監督ハンス・オフト監督の発言にインパクトを受けました。記憶はおぼろげですが、下記のような内容だったと思います。
ある日、二人のコーチがグランドで熱心に話し合っていました。試合で、左右のサイドバック間のサイドチェンジを増やすにはどうすればいいか?という話です。そこへ、オフト監督がやってきて答えます。
オフト監督の答えは「左右のサイドバックを仲がいい選手にする」でした。
◇仲がいい選手であれば
この記事を読んでとても関心しました。確かに、仲がいい選手であれば、日頃からよく話をします。コミュニケーションの量が多いです。サイドチェンジという課題が出されれば、二人で考え、自主練習もするでしょう。練習以外の時間も、ご飯を食べたり、テレビをみたりしながら、話題になるでしょう。そうなれば、いろいろなディティールが話しあわれ、試合で実行されることになるでしょう。
仲が良ければ、試合でも思い切ってパスを出すことができます。多少、強引なパスをしても、あいつだったら大丈夫だろうという安心感があります。失敗しても、ドンマイと言ってもらえます。気持ちもすぐに切り替わります。
これがあまり仲がよくなければ、あるいはベテランと新人であれば、なんでそんなパスするんだよ、とか言われる心配をすることになります。そうなれば無意識のうちにパスを出すことに躊躇します。これでは、いくら練習しても実戦ではなかなか実行できません。
試合でチャレンジの回数が増えれば、経験値も積み重なり、成功する確率が高くなります。パスの精度も上がります。より効果的なサイドチェンジができるようになります。
ここで重要なことは仲がいいというインフォーマルな関係があることで情報の交換量が増えることです。そして、気心が知れているので、実戦で思い切ったパスを出せる、つまりチャレンジが増えることです。
◇Googleの提唱する心理的安全性
皆さまご存知のGoogleは、様々なプロジェクトをチーム単位で実行しています。世界中から頭の良い人たちが集まったGoogleのなかでも、すば抜けて生産性の高いチームがあります。
では、そのチームに共通する特徴は何か?その研究成果を、Googleは自社サイト「re:work」で発表しています。
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/
Googleの結論は、下記の5つです。
①心理的安全性
頼りなさ、恥ずかしさを感じることなくリスクをとれる。
②信頼性
クオリティーの高い仕事のため、お互いを頼りにできる。
③構造と明瞭さ
チームの、ゴール、役割、実施計画が明確である。
④仕事の意味
チームの一人一人が、個人的に重要なことに取り組んでいる。
⑤仕事のインパクト
我々がやるべき仕事だと確信をもって取り組んでいる。
生産性の高いチームのメンバーは、この5つの特徴を持っています。そして、この5つのなかで、心理的安全性が全てのベースになっているということです。
◇どう実行すればいいか
心理的安全性が大事なのはわかります。では、どうやって実行すれば良いのでしょうか?この短い説明文だけではわかりません。他に記事を読んでも、抽象的な概念の説明だけで腑に落ちません。そう思っていたら、経済産業省の職員が、メルカリに出向し、体験した話の記事をWEBで読みました。この文章で、その要約を書きますが、とても良い記事なので、きちんと読んでみられることをお勧めします。
https://www.businessinsider.jp/post-195307
以下、要約です。
メルカリでは、チームのメンバーは、毎週一回は30分の1対1のミーティングを上司と行います。30分、1対1で何を話すのでしょうか?
そこで話されていることは、他愛もない話です。多分、この前新しくできたラーメン屋さんが美味しかったとか、この間観た映画が面白かったとか、本当に他愛もない話だと思います。
この他愛もない話をすることで、部下と上司の心理的な距離感が縮まります。お互い仕事の立場を離れ、一人の人間として接することができます。相手の人間像が広がりを持って見えるということです。そして、部下の上司に相談する心理的ハードルが下がります。心理的ハードルが下がれば、部下からの情報がいち早く上司へ入ります。アイデアが共有され、トラブルが防がれます。不完全な形でも情報は伝わります。組織の生産性が向上します。
「早くて柔らかい組織」が実現されるということです。
もちろんこの他にも、心理的安全性を担保するだけでなく、チームの生産性を上げるために、様々な工夫をされていると思います。当たり前ですが、心理的安全性だけではダメです。ただのぬるま湯になってしまいます。チームの目標と、他の4つの特徴が必要です。
この記事を読んだ時、それまでよくわからなかった心理的安全性の概念が、自分なりに理解できました。同時に記憶の片隅にあった、オフト監督のサイドバックの話を思い出しました。
◇雑談は重要
コロナ禍のなか、リモートワークや、オンラインミーティングが当たり前のことになってきました。しかし、このオンライン上で、ちょっとした「アイデア」や、現場での「気づき」などの情報が交わされるでしょうか?また、後に大きなトラブルになるような、ちょっとした「出来事」の報告があるでしょうか?流行りの「DX化」が解決してくれるのでしょうか?
組織の生産性を上げる要因は、人間の感情です。組織の風土です。一見無駄に思える雑談の時間は大切です。リアルで接する機会が減るからこそ、また新たなチャンスが生まれる時代だからこそ、なんでもないような雑談の時間を作ること、そして組織の心理的安全性を作ることが重要になっていきます。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
最新記事の投稿
最新のコメント
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月