サトウのご飯と言えば、電子レンジでチンするご飯を想像するでしょう。業界で首位、かつ目的ブレンドに浸透している商品です。しかし、この地位が2位のテーブルマーク(旧加ト吉)に揺るがされつつあります。
追い上げるテーブルマークの秘訣は、データマーケティングに裏付けされたパッケージング。従来、サトウをはじめとする各社は商品の容量を200gにしていました。この200gに意味があるのか?と言えば、企業側の都合、と言うのが正直なところ。育ち盛りの男子高校生は300g以上のお米を食べ、年配になると量が減る。そこで、全世代、性別に食べてもらうためにと、大量生産の都合上200gにしたのです。
レンジでチンするご飯はその簡便さが受けて、数年前までは2ケタ成長を続けていました。しかし、ここ数年の留まりはメーカーの都合の限界が来たのでしょう。
そこでテーブルマークが出した解決策は、150gと250gのサイズを展開したこと。このサイズには理由があります。レンジでチンするご飯の主なターゲット層は50~60代。この層は200gだと多くて余ってしまい、でももったいないという意識があったのです。そこで従来の業界の常識である200gを見直したのです。みごと!
では250gは?こちらは中高年夫婦2人の過程にフォーカスしています。夫が150g、妻が100g。これまでの200gでは、二人では少ないし、2つでは多すぎる。
ターゲットを明確にして、その層がどの程度の量を1回の食事に食べるのかをリサーチ。その結果を用いて、マーケティングミックスの商品のパッケージを再構築したのです。
早嶋聡史
2010年11月 のアーカイブ
決め手は生活パターンの分析
お国が変わると
Black or White? ゴールドコースとのレストランで店員から尋ねられて思わずWhite coffe の意味を聞いた。ミルク入りのコーヒーの総称でした。
国は変わってお隣の韓国。メキシム or ウォンドゥ?メキシムとはインスタントコーヒーのマキシムから転じて韓国ではインスタントコーヒーの代名詞になっています。ウォンドゥは挽いた豆から入れるドリップコーヒーのこと。
上記はいずれもコーヒーショップや喫茶店での店員からの質問。おいおい、インスタントコーヒーは無いだろう?と思うと、韓国ではドリップコーヒーと同様にインスタントの支持者がいるそうです。特に年配中心の客層が多いお店ではインスタントに砂糖とクリームタップリが好まれるとか。
1杯、3000ウォンのコーヒー。インスタントでもドリップでも価格は同じ。スタバなどのシアトル系カフェが韓国に進出してからドリップコーヒーが浸透していますが、年配の方にはインスタントがまだ受けているそうです。
ところ変わればですね。
早嶋聡史
電子書籍
六法全書や会計や税務などの決まりを書いた本、いわゆるバイブル。このような法律や法規は毎年なにかしらの変更があるため、毎年改版されていました。どのくらいの割合が改変されるのかと言えば、おそらく全体の1%程度でしょう。
しかし、ルールに基づいて仕事をする士業にとっては、その1%の変更でも買わざるを得ません。毎年改定される法律関係の出版物は、リピート購入が極めて高いと推察できます。
もし、この業界に電子書籍が新入するとどうなるでしょう?一度購入した書籍は、通常の書籍の50%とか30%で新しい部分だけ差し替えられますよ!あるいは、バージョンアップが可能ですよ!というビジネスモデルにするのです。これまで紙で行っていたので差し替え!という概念は無かったでしょうが、電子書籍であれば可能です。
もちろん、昔から紙が大好きな業界ですので、新しいテクノロジーが受け入れられるのか?という心理的な参入障壁の高さがありますが、いずれは紙で出版して言る業界が淘汰される可能性もありますね。
早嶋聡史
シズル感を表現
2010年は紅茶がアツい。各社が力を入れているせいもあり、紅茶飲料市場の伸びは10%近い。中でもミルクティーの商品強化に余念がない。
そこで4社のパッケージを比較してみると共通点が伺えます。各社青を基調に白を配しています。また、ロイヤルや贅沢などを強調する場合、更に金を追加していることがわかります。
ところで日経が調査しているレポートを見るろ、上記の4種類のミルクティーのうち、見た目でどれが一番美味しそうに見えるのか?を調査していました。結果、リプトンが首位で42%、午後の紅茶が37%、紅茶花伝が18%、TeaOが4%でした。特に年齢の高い層は、リプトンのデザインを好んで美味しそう!と答えています。その方々は、パッケージの「贅沢ROYAL」に目がいき、好印象を得ていると言います。
広告業界では、クリエーターたちがシズル感という言葉を使います。CMや広告写真に出てくる食品に生き生きとした感触があり、それを見て食べたい!飲みたい!という気持ちにできる感じをいだかせることが出来たら、シズル感がある!と表現します。
広告のポイントは、その商品を実際に購入に誘うことですので、シズル感を表現することはとても重要です。例えば、温かい料理からは湯気を出し、アイスクリームなどの冷たい感じは白い冷気を漂わせます。また、ビールなどは水滴で飲みたい感覚を煽っています。
ミルクティーの場合、シズル感をリプトンの場合は文字で、午後の紅茶の場合はパッケージで表現しているのでしょうか?人間の感覚を科学してマーケティングに活用する。実に面白いですね。
早嶋聡史
ボジョレ―
18日解禁のボジョレヌーボー。すっかりこの時期の風物詩として日本にも浸透しています。
変わっているのは価格帯。これまで2000円程度の予算の概念が、去年売上を伸ばしたペットボトル入りの商品の出現によって安さが浸透しています。今年は、去年の低価格品の展開が浸透したこと、円高の影響と、安いボジョレーヌーボーが浸透していく感じでしょうか?
イオンは去年好調に売り上げを伸ばした750ml入り980円の商品に、ハーフサイズの375mlを追加して500円のワンコイン商品を発売します。風物詩としてフルボトルはちょっと、という層をターゲットにしているのでしょう。
西友は、750ml入りで690円と去年よりも価格を下げます。去年の品切れを考えて、今年は強気の2.5倍の量を確保しています。
ボジョレ―ヌーボーの日本での市場規模は2004年の104万ケースをピークに減少に転じており、去年はおよそ50万ケースでした。今年は、価格安が浸透してどのメーカーも去年よりも値下げをおこなっているため、市場関係者は去年よりも1割程度は販売数が伸びるのでは?と予測しています。
さて、たまにはワインを買って、ホームパーティーでもしてみませんか?
早嶋聡史
成熟期か?北海道展
百貨店の催事もなんだか飽きてきたのではないでしょうか?昔のようにネットショップが無く、情報が少なかった時代、百貨店での催事、特に沖縄物産や北海道物産、京都などの商材は魅力的に映ったと思います。
百貨店としても何かあったら地方物産を催事して一時的な売上増を!とどこの百貨店でも同じような催事が行われています。近年、百貨店勤務の方々から催事の陰りについて良く耳にするようになりました。どうにも客足が鈍いそうです。
例えば北海道展。一時期は生キャラメル、チョコレート、カニやらイクラ。なんでも飛ぶように売れた商品が今はひっそり。また、顧客のクロスセリングも少なくなり、1点買いが増えたそうです。かつて北海道展は物産展のキング。北の大地を彷彿とさせる商品群、豊富な海鮮、酪農商品、農産物。どこの百貨店でも希少性を演出して高単価の弁当やらスイーツやらを企画しました。築いて見ると、右に倣えで、どこの百貨店も北海道展の大量生産。
昔は、「おお!北海道展!」今は、「また、北海道展」と言った感じかもしれません。北海道展はすっかり成熟期を迎え、間もなく衰退してしまうのでしょうか?となると百貨店は次なるスターを探すべく飛びついたのがネット販売。今後これが加速していくとハードの存在はどうなるのでしょうか?百貨店が多くのネット通販業者と競業を始めていますが、そもそもビジネスモデルが異なります。
早嶋聡史
スタジオアリス
ブログ「人口減ビジネス」(http://www.biznavi.co.jp/blog/archives/1026)で紹介したスタジオアリス。毎日を七五三と捉えて業績を伸ばしています。
11月15日はお宮参りをして子供の成長を祈る七五三の日。子供写真館を展開するスタジオアリスにとっては繁忙期を迎えていることでしょう。
しかし、スタジオアリスの戦略は極めてシンプルです。まずは繁忙期をずらして季節変動をなくすこと。写真館ビジネスは年中行事に左右されます。ことに七五三撮影は売上高の4割を占める一大商戦です。この構造はビジネスモデルとして良くないことはすぐに分かります。
写真館はハードありきですので、ある時期に集中すると回転率がピークになり、待ち行列ができ、顧客サービスの低下、顧客の不満の発生につながるからです。
スタジオアリスの強みは、顧客が気に入るまで撮影ができる点です。店内で衣装を選び、髪をセットして、着付けをして撮影。画面で気に行った仕上がりを確認してから購入したい写真を選択。何着でもポーズを試すことができます。この強みは、繁忙期に顧客が集中するとまさに仇になりますね。
そこで同社はハッピーバースデー七五三を企画しました。誕生日の前後1カ月に七五三撮影をすると、子供用時計や写真などの複数のプレゼントを付けました。秋のお宮参りには、別途着付けが必要になる分は、最大1万2千円の着物レンタル割引券を付けました。これによって毎日を七五三にしようと試みています。
スタジオアリスでは、秋のピークシーズンを体験したリピート顧客からハッピーダースデー七五三を利用してもらい、着実にサービスが浸透しているそうです。更に、従来の七五三の期間を長くとり、5月中旬からの早撮りと、12月から1月にかけての後撮りも設定しています。このサービスは誕生日前後の撮影が難しい顧客に利用してもらう考えです。
現在、11月のピークシーズンに撮影する顧客は全体の3割程度で文字通り毎日が七五三を実践しています。
スタジオアリスは別に、新しい撮影の機会を開拓しています。ハーフデーバースデー。生後6カ月を記念日と捉えて写真撮影の機会を創出しています。現在は、年間に1万5千件の撮影を獲得しており、このまま七五三につなげていく作戦です。
早嶋聡史
10月のたばこ販売
日本たばこ協会の発表によると10月の国内たばこ販売数量は前年同月と比較して約70%減少の61億本とのこと。10月1日のたばこ増税にともなう9月の駆け込み需要の反動でしょう。しかし、7割減少はすごい変化です。
たばこ業界関係者の市場の推測は、10年度の販売数量は前年度比15%減少の2000億本程度だといいます。健康志向や景気低迷でこれまでの減り幅は4%から5%程度だったので、今回の増税による影響はやはり大きいようです。
この影響は売上の2割強をたばこに依存していたコンビニにもあるでしょう。実際に10月の大手コンビニの売り上げは減少しています。サークルKサンクスとミニストップが約11%減少。この2社はコンビニの中でもたばこの依存度が大きかったのでしょう。ファミリーマートで約10%、ローソンは約3%、セブンイレブンで約2%程度の減少です。
コンビニは、これらの変化を捉えていたので、10月はスイーツなどの新商品に力を入れ新たな顧客の開拓に乗り出しましたが、コンビニの力関係が、そのまま減少の割合になっているようです。
早嶋聡史
ユニクロの世界戦略
ユニクロのシャリーズ・セロンさんやオーランド・ブルームさん。だいぶ板についてきました。
ユニクロがグローバル広告のモデルに海外俳優を起用したのは今回が初めてです。特定の商品に限らず、ブランド全体のPRを長期間、同じ人に担当させる試みも初めてです。
ユニクロの欧米店はまだ数が少ないため、国内のようにCMを流すことは難しいでしょうが、ネットや店頭での露出によって両氏を効果的にマスコットとして活用しているようです。
過去、海外の有名モデルを広告に起用したことはあるようですが、今回はより一般的な知名度の高い俳優を起用することで世界規模のPRを目指す方針です。
今後5年で国内外の販売比率の逆転を目標とするユニクロ。海外の広告戦略も注目です。
早嶋聡史
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