スタジオアリス

2010年11月16日 火曜日

ブログ「人口減ビジネス」(http://www.biznavi.co.jp/blog/archives/1026)で紹介したスタジオアリス。毎日を七五三と捉えて業績を伸ばしています。

11月15日はお宮参りをして子供の成長を祈る七五三の日。子供写真館を展開するスタジオアリスにとっては繁忙期を迎えていることでしょう。

しかし、スタジオアリスの戦略は極めてシンプルです。まずは繁忙期をずらして季節変動をなくすこと。写真館ビジネスは年中行事に左右されます。ことに七五三撮影は売上高の4割を占める一大商戦です。この構造はビジネスモデルとして良くないことはすぐに分かります。

写真館はハードありきですので、ある時期に集中すると回転率がピークになり、待ち行列ができ、顧客サービスの低下、顧客の不満の発生につながるからです。

スタジオアリスの強みは、顧客が気に入るまで撮影ができる点です。店内で衣装を選び、髪をセットして、着付けをして撮影。画面で気に行った仕上がりを確認してから購入したい写真を選択。何着でもポーズを試すことができます。この強みは、繁忙期に顧客が集中するとまさに仇になりますね。

そこで同社はハッピーバースデー七五三を企画しました。誕生日の前後1カ月に七五三撮影をすると、子供用時計や写真などの複数のプレゼントを付けました。秋のお宮参りには、別途着付けが必要になる分は、最大1万2千円の着物レンタル割引券を付けました。これによって毎日を七五三にしようと試みています。

スタジオアリスでは、秋のピークシーズンを体験したリピート顧客からハッピーダースデー七五三を利用してもらい、着実にサービスが浸透しているそうです。更に、従来の七五三の期間を長くとり、5月中旬からの早撮りと、12月から1月にかけての後撮りも設定しています。このサービスは誕生日前後の撮影が難しい顧客に利用してもらう考えです。

現在、11月のピークシーズンに撮影する顧客は全体の3割程度で文字通り毎日が七五三を実践しています。

スタジオアリスは別に、新しい撮影の機会を開拓しています。ハーフデーバースデー。生後6カ月を記念日と捉えて写真撮影の機会を創出しています。現在は、年間に1万5千件の撮影を獲得しており、このまま七五三につなげていく作戦です。


早嶋聡史






コメント / トラックバック2件

  1. ぐるぐる より:

    スタジオアリス、賢いビジネスですね。結婚式場も、大安や土日への過度の集中をずらすため、ただ値下げだけでない、いい工夫が欲しいところです。
    我が家は、21日(日)が次女の七五三でして、スタジオアリス初利用の予定です。長女は街の写真館でした。どんなサービスやら、楽しみです。

    話は変わるのですが、昨日、テレビ東京で、「京都科学」という会社のレポートを見ました。医学生向けの実習用人体模型を作っているんです。戦後すぐの創業時は、仏像の修復などしていたそうです。時代に合わせて自社の強みを適合させていく、ことが生き残りのカギですね。オムロン創業者、立石一真さんの評伝、『「できません」と云うな』を読みました。京都の企業は、ほんとユニークです。

  2. 早嶋 より:

    コメント、ありがとうございます。
    是非、実際の撮影体験をお知らせください。おそらくピークシーズンですので結構待ち行列ができているのでは?と推測します。
    京都科学のレポート、WWSで見ました。学校の教育用の人体模型から始まり、バブル当時は博物館の模型。本物をそっくりプラスティックで成形する技術を今度は医療の学習用の教材に用いる。仏師の細かな技がハイテクの現場を支えている、しびれる映像でした。

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