戦略論②

2008年9月1日 月曜日

早嶋です。



monopoly前回に引き続き戦略論についてです。戦略論①では、企業が多数存在していて互いに競争的であるという仮説に注目しました。戦略論を考えていく上でとても重要な仮説です。企業が1社で独占的に支配する市場であれば、企業に能力が無くとも自社にとって有利な価格設定ができ消費者に不都合な自体が生じます(ここについては3C分析の競合がいない世界を考えると容易に理解できますね)。



企業数が少ない競争環境の少ない市場では、能力の無い人に資源が分配され、市場全体から見ても非効率的な資源の利用が観察される可能性があると考えることができます。ここは、新古典派経済学から導き出される重要な概念です。



50年代、上記の考え方の基に米国では様々な業界において国家的に見て独占的か競争的かが分析されます。そして、独占的と判断された業界は独占禁止法が適用され、強制的に競争環境が促進されました。



当時の米国では独占禁止法の適用について理論的な根拠を与える理論に産業組織論がありました。これらは主にハーバード学派が深めていった理論です。対して、シカゴ学派の学者は、業界の集中が行われた結果で企業が競争に勝ち残った結果として、独占的に非難されるものではないと反論しています。そして、特定の業界の参入障壁が高いのは政府の介入や規制によるものだ!としたのです。



上記の議論は結局、80年代、俳優で大統領となったドナルド・レーガン政権が規制緩和の流れを定着させたことでピリオドを打ちます。ただし、産業構造を重視してきたハーバード学派はシカゴ学派に講ずるために新たな理論武装を行っています。このような状況で登場したのがポーターでした。



これまで国家の観点から政府は市場の独占性や競争性を判断するためにの産業構造を分析してきました。これに変わってポーターは個別企業の観点から産業構造を分析することを行ったのです。ポーターの主張は、新古典派経済学が説明する理想的な完全な競争状態にある産業は、個別企業にとって最悪の産業となると。それは、企業が利益を獲得している業界があれば他の企業がどんどこ参入するので、そのような産業の競争状態は最悪としたのです。



ポーターの主張は分かりやすいですよね。競争の激しい業界の参入を避けて、企業は可能な限り競争環境が少ない産業を見つけ出すか、完全な競争業界にあったとしても、積極的にイノベーションを打ち出して意図的に不完全な競争状態を作って独占化を進めることを提唱したのです。ポーターは、企業の独占化こそが戦略論の基本とといたのです。



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