ネガティブ・ケイパビリティと共感について

2022年2月9日 水曜日

安藤です。

「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、 『答えのでない事態に耐える』 のことです。 このコロナ禍で答えのでない事態に遭遇されている方が増えていらっしゃると感じています。

相談場面で、「在宅勤務でのストレス」「転勤」「転籍」「転職」「家庭のトラブル」などの相談もあります。例えば、転勤については、もともと地元採用の方は、地元に家を構えている方が殆どであり転勤は困難である方が多いです。また転籍を選択した場合、転籍の場合は、転籍後は 他社へ売却されると公表もされている場合もあります。そのような不安定な今後に、止めどもない不安、悲しみ、憤り、不信感、モチベーションの低下、今後のキャリアや雇用への不安、生活の不安、収入減のローン返済への不安、学費、介護など、抱えている課題は様々です。だからこそ、他社への売却されるという先行きの雇用の不安を抱きながらも、地元で勤務という選択をせざる得ない方も多数いらっしゃいます。ただし、その条件も定まっていなかったり、変わったりすることもあります。 どう整理したらいいのか答えのない事態のことを相談されたらあなたはどうされますか?

ネガティブ・ケイパビリティに反する言葉は「ポジティブ・ケイパビリティ」です。問題が生じた際に的確かつ迅速に対処する問題解決能力のことを言います。しかし「ポジティブ・ケイパビリティ」 だけでは物事の表面しか捉えることができない場合があります。表面的な表層的な問題のみで解決しても本質的な解決に至っていないこともあります。
不明瞭なこと、わけのわからないことや 手の下しようがない状況は不快であり、居心地が悪く、早々に解答を出したくなってしまいがちになります。    うつ病時には、重大な決断はしないようにアドバイスをするとありますが、ネガティブな思考状態・曖昧模糊な状況には早急に解決せずに、誰かに相談することをおすすめいたします。 相談者は、早く解決したいのはやまやまですが、他者に自分の本当の思いをわかってもらえる、理解してもらえることでモヤモヤな気持ちが少し緩和されたり、メンタル不調にならずに一歩踏み出せることもあります。その場合に、必要となっているのが “傾聴” のスキルです。
その“傾聴スキル” は、相談されたその人の在り方・姿勢そのものがでてきます。自分の価値観を押し付けずに、当事者の方の話を「聴く」ことに徹することです。次に共感力です。私たち人間が、もともと持っている共感という能力です。しかしそれを深く強いものにしていくためには普段のトレーニングと努力が必要になります。共感の反応には、7つあるといわれています。具体的には、①共感的理解 ②共感的探索 ③共感的肯定 ④共感的喚起 ⑤共感的推測  ⑥共感的再焦点化 ⑦共感的解釈です(Greenberg et al)。
いくつか具体的に説明をいたします。①共感的理解の反応は、相談者の話をしっかり感じ受けとめる、そして相談を受ける側は、受けとめていることを伝えることです。 今、相談者が感じていることに焦点をあてて反応します。次に、②の共感的探索の反応は、相談者がはっきり伝えていないこと、これからおこりつつあることに焦点をあてて前に進めていくことです。最後に、③の共感的肯定の反応は、相談者がぐらついている時、または相談者の感情・感覚が他者から否定された場合にサポートをはっきりして反応します。
この共感力を醸成していく過程の中で、常に相談者に寄り添っていく姿勢に今、ネガティブ・ケイパビリティが求められていると感じています。ネガティブ・ ケイパビリティは、真の共感にも繋がっていきます。管理者として、同僚として、先輩として、相談者された場合に 「共に留まる力」 が必要とされ、その時にこの 「ネガティブ・ケイパビリティ」を思い出していただけたら幸いです。
頭で考えるのではなく情動・感情的反応が大切であり、そのことが上司と部下との個人的な関係だけでなく職場風土を明るくし、心理的安全性にもつながるきっかけになると考えます。

何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。




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