セレンディピティ

2008年2月2日 土曜日

早嶋です。



午後からしとしと雨です、いかがお過ごしですか?



イルカも人間同様に音によるコミュニケーションを行っていることは良く知られています。これは、戦後の米国でのこと。対潜水艦兵器の開発に力を入れていた当時、潜水艦の機関音をとらえるための音波探知機を作ることに命題が掲げられました。



開発の過程で様々な実験をしている中、潜水艦以外から出ている音が聞こえる!との発見があります。そして詳しく調査を進めたところ、「イルカの交信」であることが分かったのです。これがきっかけでイルカのコミュニケーションの研究がスタートしたのです。



研究者の間では、このような偶然の発見や発明のことをセレンディピティと呼びます(セレンディピティ:偶然から重大な発明や発見を行う能力や現象)。この言葉は、18世紀の英国の政治家でありSF作家でもあったホレス・ウォルポールが子供の頃に読んだ「セレンディップの三人の王子」が由来です。主人公のセレンディップス(現在のスリランカ)の三人の王子が宝探しに出かけ、失敗を繰り返すも、偶然を活かして当初とは全く別の宝物を手に入れるエピソードにちなんでいます。万有引力、ペニシリン、合成ゴム・・・、これらもすべてセレンディピティの例です。



ソフトレーザー離脱イオン化法の発見でノーベル賞を受けた田中耕一氏も「常識をわきまえて、常識にとらわれない」とおっしゃっていたし、「天災は忘れた頃にやってくる」の言葉の発明者で物理学者でもある寺田寅彦氏は科学者は「頭が悪いと同時に、頭が良くないといけない」と言われたそうです。



クライアントからの相談毎をあれこれ悩みながら考えていて、考えが煮詰まったので、気分転換にマラソンをしているとき、ふと斬新な発想が浮かび、紐が解けていくように解決案が浮かんでくる。これも一種のセレンディピティでしょうか。



一人で考えたことを、数人で集まって話あっているうちに思いもよらなかった斬新な考えが発生する。人の言葉に触発されて脳みそが活発になる。これも一種のセレンディピティでしょう。



問題解決のセオリーに、発散して収束するプロセスがあります。発散するプロセスでは、枠にとらわれないゼロベースの考えであれやこれやと考えます。セレンディピティ、物事を考えて頭を整理するためにとても重要な要素なのかも知れませんね。



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