死亡前死因分析

2007年11月10日 土曜日

早嶋です。



プロジェクト管理にリスクはつき物です。と言うと、あきらめた感じも受け入れますが、そもそものリスクの定義は、損失を発生するかもしれない確率の大きさであったり、その不確実性と言う事ができます。



すると、プロジェクト管理の中でいうリスクマネジメントは、1)リスクを低減させる損失発生の未然防止の観念と、2)万が一発生した場合に、いかに損失を最小限にとどめるか、の2つがあります。



今月号のHBRにリスクマネジメントに関するコラムが載っていました。タイトルは、「Performing a Project Premortem」、失敗する前に失敗の原因を探る、といったタイトルです。



プロジェクト管理の中で、リスク分析とリスク対策は重要なフェーズです。上記のコラムでは、リスク分析の手法に、あたかも恐れていた事態が実際に起こってしまったと仮定して、その原因について考える事により、リスクを防ぎ解消する確率が30%も向上することが書かれています。そして、その手法を体系化したのが「死亡前死因分析」です。



「死亡前死因分析」は、たいていの失敗したプロジェクトは、チーム・メンバたちが計画段階で、「おやっ」と感じていたにも関らず、報告しなかったことが原因ではないか?という仮説からスタートしています。



そのため、そのプロジェクトに対して、ひそかにここは危ない!と思っている人たちが、何も臆することなく率直に公言できる条件が整えば、プロジェクトの成功確率が高くなるはずだという展開になっています。



「死亡前死因分析」は、プロジェクトを開始する時点で行います。その目的は、「死亡」、つまりプロジェクトの失敗要因を探ることではなく、「生存」、つまりプロジェクトの成功確率を上げることにあります。



そのため、スタート時点で、「プロジェクトは既に失敗した」と仮説を立て、何が原因で失敗したのかを議論するのです。流れは、次のようになります。



1)プロジェクト・リーダがプロジェクトの全体像を説明します。いわゆるキックオフミーティングです。



2)その直後に、プロジェクト・リーダが「プロジェクトは大失敗に終わった」と宣言するのです。



3)それから、メンバー全員が思いつく限りの失敗要因を紙に書きだします。普段、なかなか言えないことをドンドン書き出すのです。



4)そして、書き出したメモをプロジェクト・リーダが読み、全員で共有して終了。同時に、これらを全て記録します。



5)プロジェクト・マネージャーは、上記の記録を全て把握して、必要に応じて計画を修正変更するのです。



難しい作業は一切無く、比較的、簡単に行える分析方法です。これで、リスクを防ぎ解消する確率が30%も上がるのだから、やらない手は無いですね。



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