日本ハムの戦略

2020年1月14日 火曜日

早嶋です。

日本ハム株式会社は1945年設立、資本金が360億、直近の売上が1.2兆円の企業で国内首位、世界6位の食肉加工メーカーです。売上比率に占める割合(日本ハム総合報告書2019参照)は、

・食肉 57%
・調理加工品 18.9%
・ハム・ソーセージ 10.4%
・その他

です。

99年の売上は8,000億台でBSE問題などがありましたが凡そ20年の間、成長し続けています。日本ハムの特徴は食肉生産、加工、販売までを垂直統合していることです。豪州では生産肥育も手掛けています。一方、競合他社は商社が資料生産や原料調達を行い垂直モデルを補完する事業モデルです。因みに、

・三菱商事と伊藤ハム米久HD
・伊藤忠商事とプリマハム
・三井物産とスターゼン
・丸紅とエスフーズ

などで、他は全農グループが日本ハムと同じような事業モデルと言えると思います。規模では、

・日本ハム・・・1.2兆円
・伊藤ハム米久枝HD・・・8,500億
・プリマハム・・・4,100億
・スターゼン・・・3,500億
・エスフーズ・・・3,400億
・JA全農ミートフーズ・・・2,500億

です。

食肉加工メーカーとしてみると1兆円超えでダントツですが、国内の食品や飲料メーカーと比較すると、サントリーHDは2.2兆円、アサヒグループHDは2.1兆円、キリンHDは1.9兆円、明治HDは1.2兆円、味の素は1.1兆円、ヤマザキ製パン1兆円、コカコーラ9,000億円なので決して安泰の規模でもありません。

日本ハムの海外売上高比率をみると10%程度です。理由は、国内で垂直統合を進めた結果、他社のように商社との付き合いやネットワークが弱く海外進出の足かせになっているからです。

因みに他の日系メーカーの海外進出のパターンは、自力で海外の市場を開拓するか、M&Aをしてチャネルやブランドや事業ごと取得するかのどちらかです。日本ハムは結果的に国内食肉マーケットに特化して、かつ豪州で生産肥育をして処理して加工する拠点はもっている。ただ主に日本に輸出して第三国に輸出する仕組みはわずかです。

日本国内の人口推移をみれば明らかで、今後日本の胃袋は縮小しますので、日本ハムとしての海外への展開は必須です。もちろん、国内で食肉以外の取り組みを充実したとて、胃袋市場は同様に衰退ですので長期的には海外への展開を考えないことは衰退を意味することになると思います。

そのような中、日本ハムは植物性の材料を使う植物肉への市場参入を表明しています。これは大豆を主原料にしたハムやソーセージ風の商品を製造して販売する新規事業です。

動物保護や健康志向、動物を育てる際のエネルギーを鑑みた場合、植物肉の方向性は強まりますが、食肉大手の日本ハムとしては新事業を国内で始める限り大きな経営課題にメスを入れることにはならないと思います。

上述した通り、海外のチャネルを発掘するか、ブランドをM&Aするかなどの戦略を取らなければ将来的な企業価値は上がらないでしょう。



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