閾値(いきち)

2007年7月2日 月曜日

早嶋です。



消費者行動論の中で、感覚器官が刺激を感知できる最低レベルを絶対閾値(いきち)といいます。例えば、人の目に留まらないほどの小さな新聞広告は、出しても無駄になるなどです。



上記の結果は有名なリサーチ結果で示されます。新聞の1/4ページ広告は93%の読者が認知するのに対してクラシファイドと呼ばれる三行広告ではその割合が26%まで減少するのです。もちろん、白黒とカラーによっても認知される確率は変わってきます(消費者行動論参照)。このように、絶対閾値についての見識があれば、マーケテインング投資効果(mROI)を高めることが出来るのです。



Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2007年 07月号に「消費者は品質の変化に案外鈍感である」という内容の論文が掲載されていました。この論文は、12年間にわたって46分野241種類の製品について、実際の品質と消費者が知覚する品質との関係を調べています。その結果、消費者が品質の正しい実体を認識するのに平均で5年から7年の時間がかかることを結論つけています。



これはどういうことかといえば、ある商品の品質が改善された、または、悪化したとき、変更があったその年には、消費者の商品に関する意見にはほとんど変化が見られないという事です。



消費者の中で実体の品質が正しく認知される時間は、商品の種類やブランド力、購買頻度によって異なります。例として、冷蔵庫で7.1年、タイヤで9.5年、歯磨き粉で3.9年といった具合です(全て平均値)。



また、消費者は品質の向上よりも、低下をいち早く感じ取る傾向が出ています。ただし、評判が良いブランドにおいては品質の向上に敏感になり、低下に対して鈍感になるそうです。とっても、面白い結果ですね。



このように、商品の実際の品質と消費者が認識している品質の違いを追跡し、両者の閾値を把握することが出来れば、マーケテインング戦略を品質管理とリンクして捉えることが出来ます。ある製品においては品質の向上が意味あるものになりますが、認識のギャップが10年もかかるような製品においては品質向上の意味がない、という意思決定が出来るのです。



自社の商品やライバルの商品について、消費者の認識が現実に追いつくまでの時間がどのくらいかかるかを把握する事が出来れば、いざと言うときに戦略的な行動を起こすことが出来るのです。



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