マネジメント指標の落とし穴 絶対量と割合

2017年9月14日 木曜日

早嶋です。

管理者が目標を設定する場合、率と量の違いや特徴をよく把握して設定する必要があります。率は、割合にフォーカスして平均を見ることになるので、使い方によっては注意が必要です。レンタカーの安全パックの事例をみてみます。

安全パックとは車を借りた人が事故を起こした場合、安全パックに入ると事故を起こした人が支払う金額がほぼゼロになるというプログラムです。

ある会社では、安全パックの加入率に対して目標設定していました。その目標は55%です。因みに、現時点の加入率は48%で未達でした。そこで内訳を見ていきます。

4月 56%
5月 44%
6月 44%
7月 49%
8月 46%

4月が56%で、他の月の実績は44%から49%です。因みに、レンタカーの窓口では対象の顧客に対して100%安全パックを案内していました。それなのに4月だけ当初の目標を達成していたのです。

理由を聞くと、5月の下旬まで安全パックの価格が700円だったのです。そして本社の方針で5月の下旬より価格が1000円に値上げになったのです。これらの状況を確認する限り、店舗での声かけに変化がないことから、加入率が低下した要因は値上げにある。と捉えた方が合理的です。

そこで、本社は9月から再び700円に値下げをしました。すると現在、9月の1日ベースの加入率は凡そ55%から58%になり目標を超えています。

しかし、そもそも何故加入率を指標にしたのでしょうか?

例えば、安全パックから入る収益を見て見ましょう。これは単純に売上相当になると考えると、1000円に上げた場合、加入率は下がるものの、全体の収益は上がっていることが分かります。

仮にこの店舗は1日平均40人の顧客が安定的に来店してレンタカーを借りているとします。すると、

700円の場合:40人✕55%✕700円=15,400円
1000円の場合:40人✕48%✕1000円=19,200円

つまり、700円から1000円に値上げした場合、加入率は低下しますが、安全パックの収益は増加することになります。

もし、この店舗が収益そのものを伸ばしたいのであれば、700円から1000円にして加入率は低下しましたが、作戦成功となります。一方、もし本当は皆に入って欲しいのであれば、加入率の低下は作戦失敗です。ただ、皆に入ってもらいたいのであれば、基本料金にベース含めた価格設定を提示すべきという考え方もできます。

ということで、この店舗のマネジメントは何のために安全率を設定しているかを把握していないまま、率だけで現場をコントロールしていたことになるのです。



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