宅配の生産性

2017年5月12日 金曜日

早嶋です。

生産性=アウトプット/インプット

宅配の問題は、1)宅配物の増加に加えて、2)再配達の増加があり、宅配業界に撮ってダブルパンチになっている。3)また、10年程度前に改正道路交通法による事業者の路駐の規制も宅配の効率をダウンさせる要因かも知れない。

そこに対して同業界はこれまで、インプットである労働力を増やす方向で調整をしてきた。もちろんITを使った物流の効率化は進み、ロング(※1)と言われる長距離の主幹配送の生産性はかなり高い。一方で、ラスト1マイルと言われるショート(※2)の部分、地域の配送センターから個人宅までの配送効率は、上記2)、3)が重なり、人を増やしても対応が常に後手に回る。

運送業界が人を増やすと言っても、実際の労働力の母数が増えるものではないので、一人あたりの労働時間(※3)が長くなる。業界の配送効率を力技で維持する努力は、最終的にショートで荷物の集配を行う従業員のしわ寄せに行き着く。

世の中の変化から考察する。そもそも荷物を配達する前に再配達を予防するために運送業界は個人に連絡をする。が、最近の若い人は登録なしの電話からの着信はスルーする傾向が強い。また、独居世帯の増加、夫婦共働きの増加も、家庭に人がいない状況を増やしている。結果、再配達の確立が高くなっているのだ。

解決策の方向性として、宅配ボックスの設置と近隣のコンビニでの受取がある。宅配ボックスは、小規模のマンションであれば問題無いが、大規模のマンションであれば、すぐに箱がいっぱいになるなど、また別の問題が起きて根本的な解決ではない。近隣のコンビニのサービスは、わざわざ取りに行くことが面倒になり定着しにくい。

再度、現状の流通をみてみれば、ロングはかなり混載も含めて効率化が進んでいる。となると、非効率なのは再配達があって、1日に何度も同じ場所に行かなければならないという仕組み。スマフォ時代なので、頻繁に利用する家庭に対しては流通会社で共有の連絡システムを確立して、不在の確率を減らす取り組みの方向性などが考えられる。朝、新聞がきて、昼郵便がきて、夕方ヤマトがきて、夜佐川がくる。まさに毎日がショートのオンパレードである。これらの業務を各社で共有化して、1日1回に集荷を集約し、家庭に代表で届けるとすると効率も良くなる。

いずれにせよ人材の投入での力技の方向性は、宅配物そのものの増加、配達員の減少からして、始めから拉致があかない対策だ。受け取る側も、ちょっとだけ利便性を放棄して社会で解決しなければならないと思う。

※1:ロング
例えば福岡の自宅から東京の知人宅まで荷物を運ぶ場合。福岡の自宅から福岡の配送センターまで荷物を運ぶ。そこから都内の配送センターまで荷物を運ぶトラックに荷を載せ替えて運ぶ。この長距離の主幹配送をロングと称す。

※2:ショート
東京の配送センターに届いた荷物は、再度小さな地域を巡回するトラックに載せ替えて知人宅に届けられる。この路線をショートち呼ぶ。

※3:労働時間
同業界の分析をした弊社調べになるが、1日の従業員の集配の平均個数は150個。トラックで横付けが出来ていたときでも平均して12時間程度の労働時間が必要になった。現在は都市部は台車や電動自転車での配送ミックスを実現しているため一部効率は元のままだが、それ以外の地域は12時間の平均より長くなっている可能性が推測できる。

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