新規と既存は共存できるか?

2017年5月1日 月曜日

早嶋です。

新規事業と既存事業を同じ担当者に数字を振り分けた場合、まずもって新規事業が着手されることは無いでしょう。

まず、新規事業と既存事業の仕事内容の理由です。既存の事業は、当然過去からの積み上げですので、担当者は何をすると良いのかが明確にわかります。一方で、新規事業は大きなテーマや数字感程度は与えられていますが、担当者は何をしてよいのか分からず、結局、既存の仕事をこなすことしかできません。

新規と既存はよく1:5の法則と言われます。新規顧客の開拓には既存顧客の維持のコストと比較した場合、5倍程度かかるという経験則です。新規に対してのアプローチは顧客名簿を揃えるところからですし、既存のようにルートセールスをすると交渉のテーブルにつけるなんてことはありません。仮に交渉のテーブルに付けたからと言って、実際に商談に入ったり営業を進めるにはまとまった期間が必要です。

既存と新規の両方を割り当てているにも関わらず、担当者の評価が既存の数字に紐付いていることが多いです。仮に既存を捨てて、ある程度新規にフォーカスしたとて、上記の理由で成果はなかなか出ません。しかし、多くの企業では新規事業を開拓せよと言いながら、既存の数字を落とした瞬間にその担当者の評価も連動して下がる仕組みになっています。普通の真っ当な社員であれば、当然、自分の評価を最大化する方向性で仕事をするでしょう。

新規と既存の数字の配分にも問題があります。既存の数字のように積み上げた数字をある程度計画的に進めることができると経営層は考えるかもしれません。しかし、新規ビジネスはほぼ計画通りいきません。先ずは小さく初めて実績を作ることや、小さな実験を積み重ねて仮説と検証を繰り返すことが必要です。しかし、新規と既存の両方を与えている会社の多くは、既存と同じような計画を新規ビジネスにも求めます。

推察するに、マネジメント側に新規ビジネスに精通した方々が少ないのでしょう。ということで新規と既存を同じリソースで行うのは、基本的にはよくないことだと思います。5月から始まる事業実践塾でも計画を作る際に、新規と既存を両方行わなければならない状況は当たり前のように観察されます。その際に打ち手についても参加企業の事例に応じて議論できればと考えます。

5月8日に事業実践塾の説明会を実施しています。ご興味がある方は無料ですので、お気軽に参加下さい。



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