吉野家のテストマーケティング

2012年8月25日 土曜日

早嶋です。

吉野家の牛丼は新橋に務めるサラリーマンがターゲットかのように、基本は一人でさっさと食べるスタイルが主流。うまい、はやい、安いに代表されるQCDを満たした商品です。しかしこの層に訴求できる立地条件や店内のレイアウトや机の配置などは一方ではファミリー層に不向きでした。また、従来のサラリーマンを狙った商圏では現在の店舗でほぼ飽和状態。これ以上の成長が見込めません。

8月1日に新装開店した川越的場店は違います。これまでのターゲット外であった家族連れや女性客を意識した店舗設計になっているからです。テーブル席を多く配置して、小鉢メニューを充実させています。従来の男性客から女性、ファミリーを意識したテストマーケティングとしての位置づけでしょう。この店舗が成功すれば、今後の店舗展開が生活圏にフォーカスされます。これまで1500店から1600店で飽和とされていた店舗が、ターゲット層の広がりによって一気に2000店舗くらいは対応できるようになるでしょう。

◯ターゲット:
女性&ファミリー層、これまで入りたくても入れなかった!というような子連れのママ。

◯商品:
器を白で統一した小町セット。小さめの牛丼に小鉢が2品。小鉢は野菜を韓国風にアレンジしたビューティーナムルやまろやか山芋豆腐など、健康志向をうたった6種類からの選択。総菜は店での仕上げにこだわる。製造工場から下準備をした野菜を調達して店内で調理。

◯価格:
小町セットでワンコインからお釣りがでる490円。

◯流通:
JR川越線的場駅徒歩5分。生活圏に密着した立地。白壁にレンガ風のタイルを貼った外観とオレンジ色の背景にミドリ色で吉野家と描いた新しいサインボード。店内は白木の床にLED照明を組み合わせ、清潔感を演出。広さ100m2の中央に厨房を配置して左手に10人分のカウンター席、右手に20人分のテーブル席。子供も安心して座れるようにテーブルの角を取って安全に配慮。乳児でもあやしながら食事ができるテーブルでトイレにはおむつ交換用のベビーシートを設置。

◯販促:
店舗前看板には、「テーブル席あります」「お子様セット」というのぼりを立ててファミリー層を誘引。入り口にも小鉢のポスターを提示。



コメント / トラックバック4件

  1. 椿事 より:

    長く、サラリーマンの応援団的運営を頑固にも続けてきた吉野家にとっては、ファミリー層へのアプローチは、大きな挑戦ですね。
    食品業界は、胃袋シェアの取り合い。となると、小さなくなるシェアは、手作りの家庭料理なんだろうな。
    何か凝った、趣味的な料理は家でするが、ふだんの食事は中食、外食で済ます。そんな家庭が増えそうです。

  2. biznavi より:

    時短が流行っていますね。今朝も、ドレッシングは万能の調味料だと報道がありました。僕には手抜きにしか見えない。
    但し、マーケットとしては外食、中食が拡大しているのは事実。だからこそ、タニタのような当たり前の食事を提供するお店に火がつく。これもうなずけますね。

  3. 椿事 より:

    なるほど。タニタ食堂ブームは、ファストフードブームの裏返しの現象なんですね。

  4. biznavi より:

    裏千家と表千家のような関係ですね!風が吹けば桶屋が儲かる。

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