ピンクに染まった10月

2006年11月3日 金曜日

早嶋です。



10月、米国デルタ航空が就航させた航空機は、外装も内装もピンク一色。客室乗務員は、ピンクのシャツを着て、提供されるドリンクはピンクレモネード。他にも米国の多くの企業が、10月は、パッケージや宣伝にピンクのリボンをつけていました。



これは、ピンクリボン活動の一環です。ピンクリボンは乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるシンボルで、80年代からアメリカを中心に盛んになっています。



企業は、ピンクリボンのロゴを商品のパッケージや宣伝・広告に使用して、社会的な活動(乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の重要性を訴えるシンボルのピンクリボン活動を支援すること)に貢献していることをPRします。企業は収益の一部をピンクリボン団体に寄付することによって、ピンクリボンの活動に加担するのです。



「10月は、米国乳がん意識向上月間だ」というブッシュ米大統領の発言をきっかけに、多くの米国籍企業がピンク一色に変わっています。



しかし、実際は、社会貢献のためにピンクに染まっているわけではないようです。米国企業がピンクリボンに魅せられている理由は、その売上増にあります。



米国食品大手のキャンベル・スープは、ピンクリボン活動の一環として乳がん基金に約2500万円の寄付を表明しています。(nikkei-online参照)ただし、キャンベル・スープはピンクリボンに参加した結果、寄付に見合うだけの売上効果を獲得しています。キャンベルスープのパッケージは「白と赤」ですが、10月だけは、「白とピンク」に刷新しました。これによって、多くの消費者の購買が高まり、大手スーパーの売上高前年同月費で2倍に跳ね上がったそうです。



アメリカのブランドを中心にコンサルティングを行っている会社の調査結果によれば、寄付などの社会貢献を実施しているブランドとそうでないブランドでは、90%近くの消費者が社会貢献を実施しているブランドを選択すると言います。消費者自身も社会貢献に参加したという充実感を得られるためです。



米国企業がピンクに染まった理由は、表向きは社会貢献。実際の理由はマーケティング戦略だったのです。このような社会貢献活動を利用するマーケティングをコーズマーケティングといいます。ピンクリボン賛同企業が90年代の半ばは数十社だったのが、今では数百社に膨れ上がっているのは、コーズマーケティングの成果が予想より大きかったからでしょう。



—ただ今、ブログマーケティング実験中。—



実験の詳細は、『ブログマーケティング実験』『ブログマーケティング結果報告』をご覧ください。



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