聴覚とマーケティング

2011年8月22日 月曜日

早嶋です。

SMD(サウンドマーチャンダイジング)、言葉としては聞き慣れないと思いますが、その手法は古くから活用されていました。視覚的に訴える販促が主流ですが、こちらは聴覚を刺激するもの。近年の脳科学では、聴覚は注意を喚起するのに加えて、感情を左右する影響も強いことが分かっています。戦略的に音を使い、科学的なアプローチのもと販促に活用する、それがSMDです。

音と言えばヤマハ。厚さ1.5mmのTLFスピーカーはSMDの可能性を促進しました。JR新宿駅の北通路には、音がなる看板、サウンドサイネージなるものがあります。人が通るたびにセンサーが反応して、CMで流れているメロディーと歌が流れます。通りを歩いていると、「何?」と思わず看板に注目するという仕掛けです。

この広告を手掛けている印象メーカーの検証によれば、消費者がソフトドリンクを選択する基準はCM⇒店頭認知、ということです。従って、CMと看板を連動するサウンドサイネージは、店頭認知を促進する効果を期待しているようです。

仕事がはかどらない時、試験勉強に集中できないとき、何か好きな音楽をかける経験、一度や二度はあるでしょう。BGMによって顧客の気持ちがある程度かえることができれば。このような試みのもと、関西圏の食品スーパーでは次のような実験を行っています。

時間帯、客層に応じて、1日7回BGMを切り替える。例えば、開店時の9時代はモーニング・クラシックとともに来店客がゆっくりと買い物を楽しめるように演出します。夕方のラッシュ時間はJ-POPボサノバなどを流し、効率的な買い物を後押しします。そして夜9時の閉店時間には再度ボサノバを流し時間にギリギリの焦りを解消できるように工夫しています。

これらは同質の原理と呼ばれ、聞き手の気分にあった音楽を提供することで、精神的に良い方向に向かわせる音楽療法の原理も活用されています。

脳科学が発達すると、ビジュアルだけのマーケティングから五感をフルに刺戟したマーケティングがどんどん行われるようになります。そして、いま人の無意識までをコントロールして、無意識に購買を促す方法が真剣に研究、導入されています。ここまでくるとマーケティングって一体なんだろう?と疑問を投げる方も多いかもしれません。

しかし、マーケティングの基本は顧客の創造です。顧客の欲求を満たすことが先決です。様々なテクノロジーを顧客の欲求を満たす方法に活用していけば、その分消費者もよりハッピーになっていくことに違いありません。



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