JTBの新たな敵

2011年4月25日 月曜日

業界が成熟してくると異業種の競争が激しくなります。または、これまで均衡が取れていた互いのポジションが急に崩れ始めることが考えられます。

例えば、旅行業界を例に考えてみます。一昔前はJTBといえば文句なしの1番選手だったと思います。HISという企業が海外の格安航空券ビジネスを開始したとき、住み分けが出来ていました。お金がある人はJTBにまるごとお願いする。お金が無い人はHISで格安航空券を買う。

現在、HISの数字で、海外旅行にいくときにHISを利用する人は数ではJTBをしのぎます。これが意味することは、HISの成長が成熟したことです。もちろん、HISの客単価が小さいので売上ではJTBが上でしょうが、HISは次の手を考えるようになります。

売上は客数×単価。

であればHISが成長を続けるためには、2つ目のファクターである単価を上げる必要があります。こうなるとJTBにとって脅威となります。格安航空券に加えてパッケージやホテルに手を出して単価を上げる戦略を行使するからです。

この例は、これまで互いの均衡のとれたバランスが崩れて真っ向から勝負が始まった例でしょう。

加えてJTBの敵はまだいます。Webの世界によって出現した敵です。楽天トラベル。当時、楽天が旅の窓口を買収したとき、業界の人々は口を揃えて笑ったことでしょう。もともと出張旅行者に限定してWebサービスを提供していた旅の窓口に価値を感じていなかったからです。

しかし、楽天は出張者の会員を着実に伸ばしていきます。そしてHIS同様に、伸びが鈍化した時点で単価を上げるタメに、周辺のビジネスにも手を出すようになったのです。こちらでも2つ目のファクターである単価を上げるため、あるいは1つ目の客数を増やすために、出張専用から総合トラベルへの変貌したのです。

楽天トラベルの場合、Webで完結するからビジネスモデルが異なります。JTBはリアルの店舗を運営しているため、コスト構造がWebショップ専門の楽天トラベルと異なります。

JTBの競争相手は、市場が成熟化したこと、Webが世の中に浸透した事によって、従来の戦い方のルールとまったく違った方法と概念で戦略を寝る必要が生じてきたのです。



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