地方・中小企業のファイナンス

2010年5月11日 火曜日

日本経済の構造的な仕組みに都市と地方の格差、大企業と中小企業の格差があります。内需の拡大を目指すならば、地方と中小企業の発展はやはり必要でしょう。

地域の金融機関が資金注入を行い、地方の中小企業に対して円滑にファイナンスする制度が整っています。可能性があるがファイナンスが追いつかない中小企業は多数存在します。その意味では、地域の金融機関は資金の提供先を決め、地域のお金を循環させる重要な役割を担っています。

しかし地域金融機関の実体は、貸出による預金の地元還元率が預金量の5割~7割程度で、郵便局の貯金や簡易保険に対しては、地元の資金還流がほとんどなされていません。

地域の資金を地域に還流させることは、地域の活性化につながる一つの道であることは確かです。しかし地域金融機関も営利企業です。業績が振るわず、貸出金利を十分に取れない中小企業に対して貸出を集中するよりも、国債や利回りが高いREIT、外債、株式投資などに資金を集めて、リスクを取らないで少し高めのリターンを求めた方が得策と考えるでしょう。

しかし、この循環が悪影響を起こしています。資金の貸し渋りと貸しはがしが進むと、ますます地方と都市、大企業と中小企業の格差が広がります。地元企業の信用リスクが高くなります。貸出の増加が容易でなくなるのです。

だから地方は、中小企業は、・・・とぼやいても仕方ありません。銀行だってお金を貸したいのは事実です。しかし、貸せる条件が満たせない地方、中小企業が多いのです。地方のビジネス、中小企業のビジネスと言えども、将来のポテンシャルが明確でそれなりの事業計画が整備されており、過去のお金の動きが見える財務書評、もっと言えば、中小企業の会計指針に準拠した決算書、企業の実体が見える定性的な資料があれば金融機関と交渉する事が十分に可能です。こちらは経営者がもっと仕組みを知り、経営を学ぶ必要があります。



早嶋聡史





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