再建のシナリオに思う

2010年1月28日 木曜日

本日は朝から長崎で仕事でした。

さて、「JALと支援機構の再建計画によれば3年後の営業利益は1100億円以上」としていますが、実現は厳しいと感じます。

再建計画の大きな方向性は、「安売りを前提として利益を出す計画」と読み取れます。この方針は問題だと思いす。公的資金を注入したJALが値下げをすると、競合であるANAも追随して価格を下げるしかないからです。飛行機に乗る人にとっては嬉しいかも知れませんが、無理な競争が働けば企業は苦しむだけで共倒れの可能性だってあるでしょう、勿論、最悪のシナリオですが。これに対してANAのトップは、国土交通省に対して公正な競争条件の確保を要望しています。極めて正当な要望だと思います。

欧州には公的資金を受けた企業は不正に価格を下げられない規制があります。しかし大手2社しか存在しない日本にはそのような規制は有りません。政治主導を掲げている以上、上記の競争に関わるルールを明らかにするべきでしょう。

そもそも政府が関与する目的がいまいち不明な気もします。もし国の介入が正当化できるとすれば、1)銀行の公的資金のような連鎖倒産を防ぎ金融システムを守る目的、2)GMのように従業員が多く地域経済に多大な影響を与える場合、3)一企業でなく国が産業自体を強化する場合、などがあるでしょう。

今回のJALの支援はどれにも該当しないと思います。となれば過剰な支援といわれてもおかしくありませんね。オプションとして、法的整理ではなく、私的整理でも良かったと思います。公的資金と債務放棄額が少ないからです。また、破産処理も可能だったのではないでしょうか。実際、過去米国のパンアメリカン航空では破産処理を選択しています。効率の悪い企業は一度、退場するという考え方を取られたのです。因みにパンアメリカン航空は、JAL同様、国を象徴する航空会社でした。

上記意をぜーんぶ譲っても、やはり企業年金の話は甘すぎます。昨年の暮れにまとめられた支援機構の計画と比較して、今後の計画は公的資金の額も銀行の債権放棄額も大きくなっています。勿論、公的資金は我々が負担するお金です。しかしながら、企業年金の削減幅は退職者で約3割、現役で約5割のままで、ステイです。やはり違和感を感じますよね。

早嶋聡史





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