隙間時間を科学する

2010年1月27日 水曜日

隙間時間を科学する

これまでビズ・ナビ&カンパニーは20社くらいのクライアント企業に対して営業コンサルティングを提供させて頂きました。そのメニューの中で必ず行うのが営業パーソンの時間の使い方調査です。

といっても難しい分析では無く、夏休みの子供の宿題のように、1日の時間の使い方を2週間にわたって調査するのです。そして、その結果を集計して、営業パーソン毎の時間の使い方の特性を分析します。

出社から退社までの時間をざっくり3つに分けて分析します。社内、移動、商談です。「社内」の時間には、打ち合わせ、会議、資料作成等の事務作業を全てひっくるめます。この仕事はキャッシュを生むかと言えば直接出的ではないので、+か-かを評価した場合、±0です。

「移動」の時間は、営業先までの移動にかかる全ての時間をひっくるめています。こちらもキャッシュを生むのか?と言えば、どちらかというと時間と経費を消費するので-ですね。

そして「商談」です。この時間は、営業パーソンが顧客と接する時間全てをひっくるめます。そして企業がキャッシュを生み出す最も重要や時間でもあります。勿論、その意味で+です。

勝手に+、-、±0と書きましたが、重要なのは、上記の3つに時間の使い方を分類した時の割合です。多くの人が、「商談」が一番多い事を予測するでしょうが、出来ている営業パーソンで3割、平均値で2割にも満たないのが現実です。そして、驚く事は「移動」の時間が最も多くなることです。

理由はいくつかありますが、メジャーな項目は、およそ次の3つに集約されます。

1)その週の客先のアポイントを月曜になってから取る
2)営業活動の管理が極めて短期である
3)営業活動を客観的に指導・評価する管理者が不足している

1)その週の客先のアポイントを月曜になってから取る
解決策としては、単純で営業パーソンの手帳を必ず2週間先まで埋めてもらうように行動を変化させる事です。お客さんにもスケジュールがあります。週の初めにアポイントを取っても、こちらがコントロールできる事はほぼ無いでしょう。そのため、お客さんの時間に合わせた行動になるので、無駄な移動が生じたり、隙間時間が生じたりします。その時間にパソコンを開いて仕事をする!といった言い訳も聴きますが、実際、その隙間時間を効率的に使って仕事を出来る人は、初めからそのような計画性のない行動をしないのが現実です。

2)営業活動の管理が極めて短期である
企業の会計単位が短くなるにつれて、営業の管理期間も短くなっています。しかし営業を開始してから受注を取るまで、やはりある程度の期間が必要です。ましてや法人営業の場合は、お客さんの経営計画に沿った活動が必要になるため、やはり営業パーソンの管理方法もある程度長期的にする仕組みが必要でしょう。この取り組みは企業と業種によって若干異なりますが、長期的な目標と短期的な目標の両方で営業パーソンのパフォーマンスを測ることがポイントです。

3)営業活動を客観的に指導・評価する管理者が不足している
これは営業管理者の問題です。営業パーソンに対して、とにかく数字をあげろ!といった実質的に無意味な発言しかしていない、営業パーソンが外でどのような活動をしているか全く把握していない、どのように営業をしていったらよいのか?自分自身が理解できていない。など、理由は様々でしょう。しかし、営業活動は確立です。着実に売り上げにつながるための経過目標を設定して、その目標をクリアしなければ次に進む事は出来ません。

イメージは野球です。点を取るためには、1塁、2塁、3塁を踏まなければホームに戻る事はできません。勘違いが多いのは、出来る営業パーソンは個々のプロセスを無視しているわけではなく、1塁から順にホームまで戻るプロセスを早いスピードでこなしているのです。となると、営業管理者は、個々の営業活動を上記のようにプロセスに分解して、どのタイミングで何を提供して、何を聴きだすのか?などの行動を示す、といった指導をする必要があるのです。

早嶋聡史






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