中国の先行指標

2006年5月17日 水曜日

早嶋です。



国内海運大手3社(日本郵船、川崎汽船、商船三井)の前期業績に頭打ち感が強まっています。報道によれば、5/12に出揃った06年3月期連結決算は、コンテナ船の運賃下落や燃料費増加の影響で、日本郵船と川崎汽船が共に経常減益、商船三井は過去最高益を更新していますが、経常増益率が大きく鈍化しています。近年の海運3社の増収増益は中国特需の強い影響を受けているため、今後の中国の景気動向を知る上での先行指標として考えることが出来ます。



海運大手3社が行っている外交海運のビジネスに使用する船は4種類にわけれれます。消費財などを運ぶ国際規格のコンテナを搭載するコンテナ船、完成車を搭載する自動車船、ばら積みの鉱石や石炭や穀物などを搭載するドライバルカー、そして原油や石油製品、LNGなどを輸送するタンカーです。



これらを全て手がける海運会社は通常、総合海運会社と称し、日本の大手3社を除いて世界にも殆ど存在しません。中国の経済成長と共に海運市場の積載地別の荷動き構成は大きく変化しました。90年代は中国・香港積が20%強であったのに対して、2000年では役2.4倍の60%近くなっています。中国の経済成長によって、物流拠点が中国を軸として動き始めた結果です。さらに、中国特需によりコンテナ船が増加し、海運運賃も高騰していました。



今回、海運3社が頭打ちになったのは、中国特需に陰りが出始めた事が大きな要因だと考えられます。(当然、燃料の高騰や、これまでの海運運賃の値下げといった要因もありますが。)今年1月の中国商務省によると05年の対中直接投資額が前年比0.5%減で99年以来6年ぶりの微減と発表があってます。



中国国内での過剰な設備投資を抑制する動きが出ていることに加え、業種によっては海外からの投資が一巡したことが背景にあります。ただし、今後の投資の見通しは、高い伸びを保っているので、経済が低迷とまでは行かないでしょう。今回の頭打ちは、過剰な生産、設備投資にひと段落し、今後の成長は続くものの、その伸び率が緩やかになる事の先行指標として考えることが出来るのではないでしょうか。



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