ブランドと企業の収益性

2009年7月30日 木曜日

ブランディングは企業の収益にどのように結びつくのでしょうか?



強いブランドは価格プレミアムの獲得につながったり、値引き率の縮小を可能にします。これは明らかに企業の収益性に貢献しています。商品スペックが同じでも消費者が先行するブランドを割高で買うようなシーン、日常生活の中でも多々見かけますね。また、強いブランドは値引きをしなくても売れ続けます。日本の女性が多く使っているルイヴィトンのバックはまさに上記を証明しています。



また、価格帯が同じであっても強いブランドは高い先行性を持つためその分シェアを増加する働きがあります。さらに強いブランドは顧客の高いロイヤリティを確保するため、継続的な取引につながります。これらの要因も企業の収益性に結び付きますよね。



もうひとつ。強いブランドは知覚品質が高いといわれます。品質は一般的に客観的で測定可能な機能的品質を差します。対して知覚品質は、顧客が認識する品質や機能の印象です。例えば、初めて訪問した地域でお昼ご飯を食べる時、なんとなく知らないお店に入るよりも、自分が知っているファミリーレストランに入るかもしれません。例えば初めて購入する商品の場合、知らないメーカーの商品よりも知っているメーカーの商品を手に取るかもしれません。これらは知覚品質が働いているのです。上記も企業の収益に影響を与える事は容易に理解できますね。



近年、日本のメーカーを中心にTQC(Total Quality Control)を通して機能上の品質を向上させる動きをしています。そして企業はこの行動が競争戦略の源泉として信じてきました。



しかし、知覚品質という概念で考えると、「おやっ?」と感じます。例えば何らかのスペックが95%のレベルから99%のレベルに上がったところで消費者はその違いが分からないからです。家電量販店に行ってメーカー各社がしのぎを削って開発競争を繰り返しているテレビの画像の性能は、一般消費者である我々にとって違いが分かりませんよね。



そこで自分が選好するブランドを選択するでしょう。成熟社会において、製品やサービスの信頼性や性能などでいいものを作っていても、買い手にその良さや違いが分かる仕掛けを意図的に作らなければ購買につながりにくいのです。ブランディングの最も大きな特徴はこの知覚品質を向上する働きがあることかもしれません。



実際、近年のマーケティングの論文でも企業のROIと知覚品質には正の相関があることが検証された!という内容をよく読みます。



まだあります。インターナルな影響です。社内の影響です。ディズニーランドのキャストは社員であっても契約社員であっても、ディズニーランドの一員であることを誇りに思い高い生産性を作りだします。ひとりひとりの意識が高くなることで企業の収益性につながっているのです。



早嶋 聡史(はやしま さとし)



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