時間の記憶と記録

2009年3月14日 土曜日

早嶋です。



とある法人営業を行う企業で、管理職の方々とお話をする機会がありました。論旨は営業パーソンの時間管理に関してです。



経営資源にヒト、モノ、カネ、時間などがありますが、時間だけは借りることも、雇うことも、買うこともできません。その代り簡単に消滅します。もちろん蓄積することはできません。時間は永続的に過ぎていき、逆もどりさせることはできません。他の経営資源であれば限界こそありますが、代替することは可能です。



time時間はあらゆることにおいて必要な資源ではありますが、その重要性は口で言うほど大切にされていないかも知れません。それが時間感覚への対応です。人は意外にも過ぎ去った時間を時には過小評価し、時には過大評価しているかも知れません。理由は時間の管理を記憶に頼っていることが考えられます。



実際、直近の一週間をどのように過ごしたのか?思い出してみてください。そして記憶で確かめた時間と実際に過ごした時間を比較してみてください。もちろん、これができた時点で記憶に頼る管理ではなく記録による管理をしていることになります。ですが、ほとんどは思い出すこともなく確認も難しいでしょう。



法人営業の営業パーソンに上記の行動を行ってもらいます。仕事で過ごした時間を大きく次の3つに分けて思い出してもらいます。すなわち、1)会社で過ごす時間、2)お客さんと過ごす時間、そして3)移動時間です。



記憶に頼った場合、1)会社で過ごす時間と2)お客さんと過ごす時間が同程度で、3)移動時間はわずかです。しかし、実際に営業パーソンの時間を一定期間つけてもらい、結果をグラフで表すと、最も多くの時間を費やしているのは皮肉にも3)移動時間か1)会社で過ごす時間です。



1)会社で過ごす時間は、営業会議や資料作りやその他の雑作業です。付加価値を生むものもあれば、付加価値を生まない作業もあります。そこで±0と考えます。2)お客さんと過ごす時間は、商談であったり、ニーズを聞き出したりする仕事なので付加価値を生む時間です。ここはプラスですね。そして、3)移動時間。営業パーソンによっては移動時間に携帯やPCを使って仕事ができる!と言いますが、実際は?です。従ってここをマイナスとします。



記憶に頼った場合、1)会社で過ごす時間と2)お客さんと過ごす時間が多いので付加価値はプラスに傾きますが、記録に頼った実際の時間を見てみると、多くは3)移動時間か2)会社で過ごす時間が多くなります。付加価値はマイナスに傾いているのです。



上記は、20社程度で同様の調査を行っていますが、ほとんどの法人営業の営業パーソンに当てはまります。



ドラッカーは言います。「われわれは、どのように時間を過ごしたかを、記憶に頼って知ることはできない。」と。



時間が足りない!と考える前に、時間を管理することが必要です。そして、時間を管理するためには、まず自分がどのように時間をつかっているのかを記録を使って知る必要があります。



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