原です。
日本の夏の風物詩の一つに、風鈴(ふうりん)があります。
私は田舎育ちだったので、夏休みになると屋根の軒下に風鈴をぶら下げ、風鈴の音を楽しみました。
大学からは都会で暮らしはじめ、風鈴をぶら下げる習慣はなくなりましたが、帰省中や旅先で風鈴の音を聞くと、子供の頃に聞いた情緒ある風鈴の音や風情までも思い出し、一時的に子供の頃にタイムスリップした気になれます。
このように、風鈴の優れたところは、「わび・さび」を連想させる形状だけでなく、日本人の本来敏感な情緒的な感覚を刺激するところではないかと実感しています。
つまり、風鈴は長く培われてきた日本人独特の和の暮らしへの関心や美意識を呼びおこす作用を持つ「感性を軸とした製品」と言えます。
一方で、日本家屋が少なくなり、マンションや西洋風の建築が増えました。これらの建築物はエアコンが主流であり、日本式に窓を開け放して風を呼び込むということはしません。なので、若い人たちには「風鈴」を知らない人が増えています。
しかし、最近では、古民家を再生した新たなライフスタイルなど、和の暮らしが見直されてきています。日本人がその伝統的な様式に「癒やし」を見出そうとしていることが背景にあります。
私も災害プロジェクトの起案をきっかけに、オリジナルの風鈴作りに取り組んでいます。風鈴を作ったからといって災害への問題解決にはなりませんが、心の復興にはつながるのではないかと考え実行しました。
今後は、心地よい風鈴の音の解析など科学的な領域も取り入れながら、日本独特の美意識について探求していきます。
成熟化した時代では、モノの豊かさよりも、「心地良さ、癒やし、共感」など、心の豊かさが求められます。感性(右脳)と工学(左脳)の融合による新しい価値の創造が「ビジネスモデル、商品開発、サービス開発、政策形成、企画立案」には必要なのです。
‘モノより思い出’ カテゴリーのアーカイブ
日本文化と感性工学
デルギウディスの赤バック 連載002
早嶋です。
デルギウディス・ローマの赤いバック。出張先、仕事先、普段の出勤。はじめて出会ってからほぼ一緒に時を過ごすバックです。デルギウディスローマは1959年にデルギウディス夫妻によって創業されたローマのバックメーカーです。イタリアは大企業や組織の規模が大きい企業に高額の税金を課した背景があることから、小さな組織やファミリービジネスにとどまる企業が多いです。しかし、規模は小さくても素晴らし製品サービスを生み出し、それを世界相手に商売をする企業が自然と増えていきました。
結婚したての頃、妻とローマに行きました。ゆっくりと時間を過ごしたかったので6泊か7泊かをローマに。観光地をめぐり、地元のカフェで何度もお茶して、人間観察とおしゃべりの日々。非常に良い旅行でした。ローマは、ファッション感度が高く、まちなかを歩くだけで欲しい商品が沢山ありました。ということで、ローマの旅行では私も妻も結構な買い物をした記憶があります。
バックとの出会いはローマ旅行の最終日。買い物は随分したので、最後にローマの街をぶらぶらして夕方の飛行機まで時間をすごうそうと妻と話していました。が、しばらく行くことが出来ないと思うと、なんだかお店の前を通る度に欲しい商品が飛び込んで来ました、最終日が一番買い物をしたのかもしれません。
そんな楽しい時間を過ごしながら、路地裏の細い道を進み、蜂の巣が名物だというお店を見つけてランチをすることに。美味しい蜂の巣料理を食べながら、目の前に素敵なお店がありました。それがデルギウディスでした。お店の真ん中に私が今使っているバックがあり、その赤の発色が綺麗だなと思いながら妻と話していました。妻も同じく気になっていたようです。食事を済ませ店を訪ねます。当然の如く買ってしまったバックでした。
出張が多く、毎日のように酷使すると頑丈なバックでも3年程度でボロボロになります。このバックも傷んできたので、そろそろ買い替えようと思いました。気に入ったものは使い続けたいという癖からネットを叩きました。するとサイトから注文できることをしりました。注文する際に、当時のバックの出会いやこれまでの経緯を残しショッピングしました。すると創業者のお子さんであるアンドレアさんから丁寧な返事がかえってきました。
仕事がら色々な人に会います。バックが目立つので、スモール・トークのネタにすることが多いです。中には私も欲しいという方がちらほら。そんな時は、そのような方の注文をまとめて年に数回はオーダーをかけています。当然、アンドレアさんとのメールでのおしゃべりも継続しています。
Established in 1959 by Marcello Del Giudice and his wife Rita, Del Giudice is an Italian artisan firm that specializes in the manufacturing of leather bags byskilled craftsmen who have been trained and guided by the original founder.
参照:https://www.delgiudiceroma.com/briefcases-and-messenger-bags/leather-briefcase-etoile-de-6-74.html
ファーバーカステルのローラーボール 連載001
早嶋です。
ファーバーカステルのローラーボールペン。商品名はオンドロ。1761年、同社のスカパー・ファーバーはニュールンベルグのシュタインで鉛筆の製造を始めました。そして1851年に鉛筆の形状の標準を世の中に誕生させました。あの六角形のデザインです。それから鉛筆の長さ、太さ、高度、形が徐々に世界に浸透して今のスタンダードな商品が出来上がったのです。
ファーバーカステル社の鉛筆はプロセイン当時のビスマルク首相やフェルナンド・ポルシェ博士にも愛用され現在に至っています。ポルシェ博士はファーバーカステルの鉛筆で数々の名車をデザインされたようです。そしてこのオンドロの六角形の形状はそんな鉛筆元祖のファーバーカステルの偉業を記念してデザインされたペンなのです。
が、私がこのペンに出会ったのは別の経緯でした。それはパイロット社のフリクションボールのリフィルがそのまま改造せずに使えるからです。フリクションボールは、温度変化により色が変わるインクを使用し、間違って書いた文字や線を専用ラバーで擦り熱を与えることでインクの色を無色にすることができます。
鉛筆と消しゴムの関係は、鉛筆の成分が紙に吸着した部分を消しゴムを使って削ることで文字を消します。一方、フリクションボールはインクを摩擦熱で透明にすることで消した感覚を提供するイノベーティブな商品です。これだと消しかすが出ないし、紙が削られることがないので、きれいな状態での書き消しを実現出来る全く新しい顧客体験を提供する商品になりました。日本では2007年に発売され、それ以後驚異的なスピードで販売を続けています。
当初、フリクションボールを好んで使っていましたが、徐々になんだかテンションが下がります。機能は好きでもペンそのもののデザインが気に入らないのです。確かに書き心地と機能性は抜群でメモや相談業務の時、あるいはスケジュール帳の利用には最高の使用感ではありました。が、毎回そのペンを握るために、かなり残念な気持ちになるのです。
ある時、フリクションボールのリフィルの形を見ていると、なんとなくペリカンのローラーボールのそれとにていると感じました。そこで実際に、ペリカンのローラーボールにフリクションのリフィルを入れてみましたが、やはり引っかかってうまく使えません。が、その時からひょっとしての感覚で、熱意持ってフリクションボールのリフィルがそのまま入る形状のイケてるボールペンを探し始めたのです。
出張中、時間がある時は文房具屋に行きました。そして私の経緯と思いを説明しました。それから「フリクションノールのリフィルが入るか確認させて欲しい。もし、入ったら買います。」と。しかし半数の文具屋さんは受け入れてくれず、試させてくれませんでした。まぁ、売り物に何かあったら誰が保証するの?的な感じはわかりますが。
同じ要領で暇を見つけては文具屋に入っていた時、羽田空港に入っているペンショップで実験させていただくことが出来ました。販売員さんもペン好きだったようですし、私のペインも十分に理解して頂けたようです。そして、幾つか持ってきましょう。同じようなリフィルが入りそうなペンがいいですね。と。さすが餅屋、形状を見てどブランドやどの種類が良いのかの当りがあるのです。
そこで出会ったのがこちらのファーバーカステル。当時、限定色として売りに出されたオレンジの商品は定番としてラインナップされているようです。鉛筆が出来て150周年を記念して作られたモデルとか。そちらでそのモデルを購入して使い続けています。
現在は、エンジのペンに赤のリフィル。黒のボディーに黒のリフィル、木製のペンに青のリフィルを入れて使っています。文字を消す際は、フリクションボール純正の消しゴムが単体で売っているので、そちらを個別に使っています。そう今、興味の対象は、そのフリクションボールの消しゴムを納める筒です。やはりプラスチック製でパイロットのロゴが目立ち雰囲気がありません。今度はこちらを何かで削り出してケースを作ろうと考えています。
絵:岩間杏美
参照:http://www.faber-castell.jp/products/rollerball-pens/
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