
経営とアート
2018年7月5日
早嶋です。
近年、大手企業やグローバル企業の経営層ではアート感覚や美的意識を鍛える取り組みが行われています。その背景に分析、理論、理屈、理性を基軸とした経営や意思決定が昨今の複雑な環境下では意味をなさない場合が出てきたからです。このことをサポートするポイントが3つあります。
1. 論理的、或いは理性的な情報処理スキルに限界が見えてきたから
2. 世界中の市場が自己実現のための消費に向かっているから
3. 急激な環境変化によって既存のルールや規制が追いついていないから
◾論理的、或いは理性的な情報処理スキルに限界が見えてきたから
論理的、或いは理性的な情報処理スキルの限界について説明します。大きく2つの要因があります。
まず、大学機関や研究機関の進歩、或いは企業研修等の発達によって、大勢の経営陣やマネジメント層が論理的な情報処理のスキルを身に着けました。その結果、世界中の経営の現場において、いわゆる正解の氾濫が生じています。論理思考は長らく、経営のツールとして必須とされてきました。しかし、論理的に情報を処理するということは、前提や観察した条件が一定であれば、皆が同じ解にたどり着くことを意味します。結果的に差別化の要素が薄まり、極端な話、どの企業も打ち手が同じになってきます。従って、感覚的な解やアートの感覚を取り入れることをしない限り、この状況を脱しにくくなったのです。
もう一つは、論理的な情報処理のスキルに対して、方法論の限界が見えてきました。VUCAというキーワードを聞いたことがあるでしょうか。元は米国陸軍が世界情勢を分析した際に表現する時に使われた言葉です。Volatility:不安定。Uncertainly:不確実。Complexity:複雑。そしてAmbiguity:曖昧。昨今の時代の特徴を表現する言葉を並べられた造語です。
VUCAの時代は論理的に問題解決をすると、経営に対してミスリーディングを招く可能性が出てきています。従来の前提条件は、問題の発生とその因果を比較的整理して言語化、構造化して理解することが出来ました。しかし、問題を構成する因子が急激に増加して、そしてその因果関係もより複雑に絡み合っています。そのような際は、厳密に現状を整理することが難しく、結果的に問題解決のアプローチが使えなくなっているのです。
VUCAの時代に合理性を求めれば、そもそも整理が出来ないため、いつまでも解が整理できず、結果的に経営の意思決定が出来なくなるのです。そこで、合理性の対局である、モノゴトの全体を、直感で捉え解を導き出す創造的な能力が求められるようになっています。
◾世界中の市場が自己実現のための消費に向かっているから
2000年ころからIT革命がスタートして、2007年頃にスマート革命が始まりました。その頃から急激に世の中の経済が世界レベルで成長しはじめています。昔は、世界規模で成長を遂げている地域や国はほんの一握りだったのに対して、昨今は地球規模での経済成長が観察されるようになりました。結果、多くの市場において自己実現を求める傾向が強まっています。
欲求5段階説の提唱者であるマズローによれば、人間の欲求は低位の欲求である生存欲求から上位の欲求である自己実現の欲求に分類できるといいます。経済成長の恩恵により
人々はこれまでの安全で快適な暮らしを追い求める安全欲求から徐々に集団に属する帰属欲求、そして他者から認めてもらいたい承認欲求と進んでいきます。そして最終的には自分らしさを実感できる生き方を実現したい、自己実現欲求へと進展します。
このように世界的に経済が発展すると精密な企業のマーケティング活動を用いて論理的に機能優位性や価格優位性を説いても人の自己実現欲求を満たすには物足りなくなっていきます。そして結果的に感性や感情、美意識が重要になってくるのです。当然、企業にとっても意思決定の最前線にいる経営陣やマネジメントに対しても感性や美意識を磨くことで競争優位を勝ち得る要因となっていきます。
◾急激な環境変化によって既存のルールや規制が追いついていないから
急激な技術進歩の結果、法律や規制が現実の世界に追いつかない事例が多々観察されるようになっています。法律やルールは、何らかの変化が起こると必ず遅行して制定されます。そのため変化の激しい、そしてVUCAで表せられる昨今は、既に明文化された法律や規制だけを拠り所に経営の意思決定を行えば結果的に倫理観を大きく損ねる恐れがあります。旧ライブドアの事件や一連のDeNAの不祥事はまさに上述を示す事例として考えることが出来ます。
変化が目まぐるしい昨今、法律や制度や規制は、変化に追従する形で常に遅行して議論が開始され、時差を経て制定されます。そんな世界において高い質を維持しながら意思決定するためには明文化された法律やルールだけで判定するのではなく、個人の感覚や美的センスなどを加味することが大切です。
昨今の人工知能の研究を深める企業の多くは、内部に倫理的な議論を進める組織を併設しています。変化とスピードが早い人工知能の世界で経営的な意思決定をする場合、その活用を内部の別の価値観で判断するようにしているのです。このような意思決定を見ると上述のIT会社との格の違いを感じます。
では、再び経営とアートについて考えてみます。アートと捉えると、マーケティングを行う際の広告宣伝のセンスの良さや、商品パッケージの見た目をイメージするでしょう。しかし経営におけるアートは一つ上の視点で捉えると理解が深まります。
例えば合理的で実践的な経営判断の良さは、経済的な利益の追求に加えて、倫理的な側面、企業のミッションに即した判断、従業員の価値を大切にした取り組み、顧客にフォーカスした真摯さ、社会に還元する正しさなど、複数の取り組みを総合的に判断する必要があります。それらの判断基準は全てを合理的に記述して表現することは難しく、ある種の特殊な能力が必要とされます。アートはその側面を持ち合わせた能力なのです。
伝統的な経営はさまざまな経営指標によって管理されて来ました。資本回転率や生産性などです。しかし、これらは全体の経営のごく一部しか表現しておらず、かつ計測可能な側面にしか触れられていません。米国のコンサルタントの1人、エドワーズ・デミングは次のように言っています。「測定できないものは管理できない、と考えるのは誤りである。これは代償の大きい誤解だ。」と。
これらの世界は、本来の日本的な経営に宿った捉え方だったと思います。もともとは個人や組織の判断基準があり、しかしそれが言語化されず、組織で暗黙のうちに守られてきました。そして逸脱した考えは恥という認識で皆が良心を持っていました。この感覚的な部分こそがアートなのです。
参照:世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 山口周著
競争とポジション
2018年7月4日
早嶋です。
競合と競争する場合、業界や地域での立ち位置を意識することが大切です。巷にあふれる事例や理屈の多くは1位の企業になることを前提としています。しかし、1位の企業と2位以下の企業は全く異なる経営のメカニズムがあります。
例えば、コンビニエンスストアの中で首位の企業を思い出してみてください。すぐに、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの名前が出てくることでしょう。どれも同じコンビニですが、中身は全くことなります。
セブンイレブンは、店舗数が約2万店舗で、平均単価が約660円、1日あたり1,000人の顧客が店舗を訪れます。一方、ファミリーマートは約1.7万店舗で、平均単価は約580円、1日あたり約900人の顧客です。ローソンは店舗数が約1.4万店舗で、平均単価は約590円、1日あたり約900人の顧客です。
首位のセブンイレブンは、1日あたりの来店数が10%以上多く、単価も7、80円も高いのです。更に、セブンイレブンは自社開発商品の売り上げが高いので利益率も2社と比較して突出しています。もし、この状況を知らないで下位の企業が首位の企業を追い抜こうと頑張っても、そもそも生き物が違いうので、到底追いつくことは無いのです。
そこで経営を考える際には、業界や地域の中での立ち位置によって、ある程度の戦い方の定石があり4つの分類に分けて考えます。セブンイレブンのように首位の企業をリーダーと呼びます。リーダーに次ぐシェアを維持し、リーダーと真っ向勝負を行う企業をチャレンジャーと呼びます。そして、リーダーやチャレンジャーの次のポジションで、上位企業の戦い方を模倣する企業をフォロワーと言います。更に、例えばヤマザキデイリーストアやポプラのように小さいながらも独自のポジションを持つ企業をチャレンジャーと呼びます。
■リーダー企業の特徴
リーダー企業は業界のトップシェアを誇ると同時に、強いチャネルを持っています。例えば主要な立地条件に店舗を構えていたり、主要な都市に必ず地域一番店に相当する規模の店舗を持っています。
コンビニの代名詞と言えばセブンイレブンという感じで、業界=リーダーのような認識が一般消費者にはあります。従って、広告宣伝をせずともその認知度から顧客が獲得できる構図を作っているのです。
通常、リーダー企業はその地域や業界の中でシェアを占めています。これはそれだけボリュームディスカウントが様々なところで効くことを意味します。製造業であれば、原料や材料の調達コストを低減することができ、また大量の製造を一気に行うことで単価をぐっと下げることも可能です。流通店であれば大量の店舗があっても物流センターや拠点などを効率的に置けるため、やはりコストを押させることが可能です。
結果的に、他の企業よりも規模のメリットを出しやすく金額を下げて提示しても利益を十分にとれる体制を整えているのです。結果、更にその資金力や技術力、チャネルの力を活用して業界のあらゆる顧客層に対してフルラインナップ戦略をとることが多いです。
■チャレンジャー企業の特徴
リーダー企業に次ぐシェアを持ち、常にリーダー企業に競争を仕掛ける企業です。しかし、上記の特徴をみて分かる通り、実際に真っ向勝負をしても勝ち目は薄いのです。
そこで、チャレンジャー企業はリーダーに勝つ方法として、リーダー企業が比較的強化できていないエリアやセグメントを探して、そこに対して自社の資源を投下してシェアを奪う取り組みを行います。自分たちよりもシャアが低い領域や企業を見つけては徹底的に攻撃してシャア拡大を望みます。
結果的に、全方位的に品ぞろえを行うリーダー企業と対比して、製品の差別化が進み、時には思い切った商品戦略や価格戦略を実行する場合があります。
■フォロワー企業の特徴
フォロワー企業の特徴は興味深いです。リーダーやチャレンジャーを刺激しないで、自分の立ち位置を維持することに徹するのです。基本戦略としては、リーダーやチャレンジャーがあまり好ましいと思わない市場にフォーカスして基本的な収益基盤を作ります。そして、自社で積極的に商品開発やプロモーション開発を行わないでリーダーやチャレンジャーが業界で試した商品や企画を模倣して自社の立ち位置を保持する取り組みを行います。
規模はリーダーやチャレンジャーからすると比較的小さくなるので、全方位のリーダーや、差別化しながらも全方位を狙うチャレンジャーとことなり、ある程度のセグメントを選択して集中する取り組みを行います。
■ニッチャー企業の特徴
ニッチャーはフォロワー企業よりも、もっとセグメントや領域を絞り込み完全に特化した戦い方をします。その市場は魅力的でも、リーダーやチャレンジャーからすると規模が小さい、収益が上がらないようなセグメントを見出し、そこで粛々とシェアを獲得するのです。
例えるならば、リーダー企業は大きな池の大きな魚で、ニッチャー企業は小さな池の小さな魚です。小さな魚ですが、池のサイズが小さいので、他の入り込む余地はなく、小さな魚が十分に収益を出せる状態です。
限られたエリアや分野でオンリーワン企業として活躍します。しかし、注意点はあまり成長しないことです。理由は、池のサイズが大きくなると、周囲からかならず見つけられ、大きな魚がやってきて、気が付いたらパクリと食べられてしまうからです。従って、成長しないというストイックな意思決定をする必要があります。
毎月、多くの経営者とお話することがあります。ある人はいつもニコニコしており、ある人はいつも何かに追われるような状況です。例えるならば銅メダリストと銀メダリストです。
何らかの競技をみていると、銅メダリストは非常に喜ばしい表情をしていることが多いです。一方で、銀メダリストは何故か表彰されていても笑顔が少なく、時には悔しさでいっぱいの時があります。
戦い方として、銅メダリストはニッチャーやフォローで、自分のポジションを業界全体で捉えて戦っているため、そのポジションを最大限に謳歌しているのです。一方で、銀メダリストはあたかもチャレンジャーで常にリーダーを追い越すことに躍起になっています。しかし、1位と2位の壁は非常に厚く、いつまでたっても近づけません。周囲からはすごいねとは言われます。しかし、自分の中では全くその地位を喜ぶことが出来ずに苦しんでいるのです。
企業して2年で2億の壁を突破しました。その経営者は突っ走ります。きっと止まることを知らずに常に走り続けるでしょう。その地位を追われたくなく、常に不安な気持ちが先行して、それを拭うためにまた努力を続けます。なにやらすごい脅迫観念があるのかもしれません。リーダー企業はその地位が当たり前で、金メダルを取った瞬間から追われる立場になり、次もとることが当たり前になるのです。
企業において、重要なことは上位の4つのポジションのどれかが良いではなく、自分自身が何を目指しているかを明確に持っていることが大切なのです。
メディアとポピュリズム
2018年6月6日
早嶋です。
リアルから新聞、ラジオ、TV、そしてネット、現在はSNSまで。政治の支持率を得るための媒体が変遷するごとに対象層に対してのアピールの仕方も変わり、なんだか本質的な活用がされていないと感じます。政策の内容や将来の方向異性の議論よりも、いかに群衆から票を取るかが主体になっています。
女性とシニアの支持率は、テレビのワイドショーにかなり影響があると考えます。各種媒体の調査でも主婦やシニア男性は家庭でテレビを見る時間が他のセグメントよりも長い傾向があります。朝から夕方まで民法各局が放映する内容にかなり洗脳される傾向が強いです。
構図としては、シニア男性の考えは、ある時期を越えると徐々にシニア女性に浸透します。現在と違い、内助の功がまだ強く働く世代、従ってシニア女性に影響を与えるためのツールは、まずはシニア男性というわけです。
自民党でメディア戦略を担当している方の見解を読むと、「支持率に反応するのはストレートニュースよりも、ワイドショーだ」というコメントが物語ります。あながち上記の仮説は的外れではないようです。
20代から30代の男性はテレビよりもネットの影響が大きく起因します。この世代はネットでの情報収集が標準的でその依存度も高いです。これは各種調査でも明確に定量的に分析されています。
近年の傾向として面白い現象を感じます。週刊誌の情報が新聞やテレビで取り上げられると政治にインパクトを与えるニュースになるという傾向です。NHKや民法各社含めて、一部週刊誌という表現を含めて、週刊誌の内容を報道することも増えています。
これらを総合すると、週刊誌にテレビ側の人間が情報を持ち込み、それを新聞とテレビとネットに拡散するということで大衆を操作する。という仮説が成り立つのではないかと思います。実際、このような構造をメディア側は常に整理するでしょうから、実際におこなっているよね。と感じるニュースがあとを経たないですね。
実際、群衆、つまり民意はすべてというのは正しいと思います。しかし現在の状況は結構極端な部分も観察できます。中西輝政氏の本質を見抜く考え方で、次のような言及があります。「国民は、自分たち多数派も間違うことがあるという認識を持って、こうしたあえて栄達を求めない真剣な専門家や政治家の意見にも耳を傾け、自分の頭で謙虚に考えていかなければなりません。」と。
実際、国民の一人ひとりが自分の頭でしっかりと考え、自説を持って政治に関心を持つことが重要です。しかし、そのベースとなる情報が果たして正しいのか?と考えると、怖いです。メディアはスポンサーがいて、そのスポンサーは対象そうの視聴率を伺います。したがって、その層の数字が取れる内容に番組を作ることが番組プロヂューサーに求められます。
はじめはネットの世界は自由に情報が流れていましたが、当然企業はネットの世界でも広告費を払い、自社をアピールしたいです。従って情報メディアも同じように対象そうのいいねを欲しがります。結果的にテレビや他の媒体と同じような傾向になるのは仕方がないことです。
が、その情報ソースがベースに民意の考えが形成されるとしたら、怖いことです。だからと言って、いまから群衆の情報リテラシーを高め、二次情報はファクトで確認する。できいる限り足を使って一次情報を信頼する。などと諭すことは不可能です。
となると地域や国がポピュリズムに走ってしまうと、今のメディアの構造、情報収集のメカニズムを考えると良い方向に向かわない可能性が高くなると感じます。
ハーレーの電動化
2018年6月4日
早嶋です。
「電動二輪はエレキギターみたいなものだ。」日本法人のグレッグ・ウィルス社長はハーレダビッドソンの電動車の展開についてコメントしています。感覚的には、ハーレは伝統を重んじる最も遠い自動二輪の会社ですが、既存オーナーが欲すると自信満々です。
ハーレダビッドソンは数年前に「プロジェクト・ライブワイヤー」を発表しています。電動モーターのトルクとアメリカンの組み合わせは実は相性が良いそうなのです。しかし難点は走行距離を確保できることでした。
今朝の日経新聞を見る限り、その問題もクリアして2019年を目処に商品化が決まるようです。ハーレーは電動化の業界で世界のリーダーを目指し、2010年から始まったこのプロジェクトがいよいよ集大成を迎えます。しばらくバイクに乗っていませんでしたが、こちらはなんとなく購買欲が湧いてきます。
売れる商品・サービスづくり
2018年6月2日
シニア・コンサルタントの原です。
弊社は、2018年度事業として福岡県内の中小企業20社を対象に、マーケティング支援の一環としてグループインタビュー調査を実施します。昨年度も同様の事業を実施し、参加企業や関係者の方々から好評だったこともあり、継続実施に至りました。
事業実施の目的は、商品・サービスが思うように売れない原因を探り、企業に原因と解決策となる仮説を提案することで、売れる商品・サービスを創りだすことです。
私は、新規事業(商品開発・サービス開発)のコンサルティング業務を支援することがありますが、経営者の想い、企業の技術力、原材料のこだわり、商品・サービスの価値がお客様に分かりやすく伝わっていないために、本来は売れる商品・サービスが売れていないという残念な結果を目の当たりにします。
更に、「お客様は誰で、お客様は何を求めていますか?」というシンプルな問いに対して、具体的に即答できる企業が少ないことも実感しています。
そこで、企業側の価値を整理し、お客様の生の声を分析して企業とお客様との価値のギャップを発見することの必要性を企業に提案しています。
提案内容は、ギャップ発見でのマーケティング技術に「グループインタビュー調査」があります。
ターゲット層や一般消費者を5名程集め、あらかじめ聞きたいテーマについてインタビュアーが座談会形式でヒアリングしていきます。
例えば、「その商品が、なぜ、ほしいのか?なぜ、ほしくないのか?」といったことを聞きながら原因を掘り下げていきます。
そして、ヒアリングした言葉をテキスト分析することで、売れない理由の本質的な原因を発見し、マーケティング戦略となる仮説提案を行います。
私は、支援した企業から「目からウロコ」となる言葉を受けます。つまり、「お客様は誰で、お客様は何を求めていますか?御社の商品・サービスは、お客様のウォンツを満たしていますか?」を問い続ける仮説と検証の繰り返しが重要なのです。
インタビュー調査についての相談は、弊社にご連絡お願いします。
▼2018年度「福岡県 売れる新商品・サービスづくり支援事業」の詳細は、下記リンク先からもご覧になれます。
是非、セミナーや事業へのご参加をよろしくお願いします。
適性診断ツールを活用したキャリアコンサルティング
2018年6月2日
安藤です。
2018年、6月に入り新卒者のメンタル不調等の話を聞くようになりました。新規大卒就職者の産業分類別就職3年後の離職率の推移データーを見ると、宿泊業、飲食サービス業、建設業、小売業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉業、サービス業(他に分類されていないもの)は30%を超えています。データはこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000177703.pdf
厚生労働省が発表した平成25年若年者雇用実態調査の概況では、初めて勤務した会社を辞めた理由として、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった22.2%」がトップになっています。その他は「人間関係がよくなかった19.6%
」、「仕事の不一致18.8%」、「賃金の条件」なども離職理由として挙げられています。(平成25年厚生労働省)
その対策として、企業が実施しているのは①職場での意思疎通の向上 ②教育訓練の実施・援助 ③採用前の詳細な説明・情報提供 ④仕事の成果に見合った賃金 ⑤職場環境の充実・福利厚生の充実 ⑥時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励 ⑦昇格・昇進基準の明確化 ⑧仕事と家庭の両立支援 ⑨配転・勤務地等人事面での配慮等実施しています。
一方で採用時に欠かせないのがアセスメントです。離職防止として採用や配属のミスマッチングを防ぐためには人材のテクニカルスキルとともにヒューマンスキル、コンピテンシーや適性・資質を重視しなくてはいけません。コピンテンシー・適性・資質の判断には、主観的な面接を補完するためのアセスメントツールによる客観的な分析は必要です。アセスメントでは、仕事に対する潜在的なモチベーション、約束を守れる、ストレス耐性、職種の適性、向上意識が強いか、周りの環境に順応しやすいか、独立心が強いか、トラブル要因をもっているか等が把握できます。
また、人間の本質を長所と短所かの両面から分析、両面から見ることで本質を判断することができます。長所は、積極性・協調性・指導性・創造性等、短所は、攻撃的・依存的等16の座標軸により個性を視覚化されます。他、主要な性質(対人関係・行動特性・業務対応・環境適応・情緒及び精神面)をタイプ別に理解できます。
そのアセスメントの結果を元に、キャリアカウンセリング、メンタリングを実施し、個人のキャリア開発だけでなく教育訓練を通して、離職防止だけでなく、異動・配置などでも活用し人材育成を促進していきます。
人材開発、人材育成に活かす外部キャリアコンサルタントによる企業内キャリアコンサルティング、組織にキャリアコンサルタントを養成したいなどのご相談がありましたら、弊社にご相談くださいませ。
M&Aの失敗理由
2018年5月29日
早嶋です。
海外M&Aの成功率が37%。今朝の日経新聞にこのような見出しがありました。デロイトトーマツコンサルティングが実施した調査で、海外M&Aを実施した日本企業のうち成功と回答した企業の割合が1/3だったという記事です。
日本経済は成熟。その中で成長戦略を目指すためには、異業種に参入するか、地理的エリアを拡充するかの選択肢になります。時間とノウハウを取得する手法として、必然的に大企業はM&Aが一つの選択肢として選ばれるのです。
同調査のサンプル数は、昨年10月から12月に実施した経団連加盟企業を中心とした145社。買収目的の8割以上を達成した場合を成功と定義しています。調査では成功は37%、失敗が21%です。どちらとも言えないが実に42%。
このような記事の場合、M&Aの重きを買収後の活動、つまりPMIにおいている場合が多いです。失敗の原因を買収後の統合作業としているのです。成功と答えた企業と失敗と答えた企業に対して、買収前調査時期にPMIを検討している企業は成功の確率が高く、一方で考えていない企業はその確率が低くなっています。
M&Aは戦略は目的ではなく手段です。自社の事業領域を保管する目的か、地理的なエリアの拡充か、異業種や新規事業への参入か。戦略を練る際にいくつかの大きな方針を明確にして、それを実現するための手段としてM&Aがでてきます。したがって、はじめから目的がない企業はどんなに良いM&Aを行ったとしても、成功と失敗の判断基軸が難しい。
調査にあったどちらとも言えないという企業が4割もあることからM&A以前の企業戦略の欠如がM&Aそのものの失敗要因ではないかと感じました。
早嶋はJMAA日本M&A協会の理事をしています。企業でM&Aに携わるけれども、知識や経験が乏しい方は、ぜひ、こちらの講座をご検討ください。毎月都内で2日間の実践的な講座を実施しています。
M&A養成開業講座
医者になりたい人とその後を考える人
2018年5月20日
早嶋です。
小さい頃、二人の友だちがいました。どちらとも共通点は医者になりたいと言っていたことです。
A君はとにかく医者になるために、偏差値を上げることが大切だと、ガリガリ勉強して、当時は珍しかった塾にも早い時期から通っていたと思います。部活も学校の用事にも興味がなく、ただ単に全国模試の順番と自分の偏差値に多大なる興味を費やしていました。
B君も同じです。ただ、B君は医者になってどうするかをよく語っていたと思います。医者になることを前提に、このようにして医療を変えたい、こうして人を救うことができれば嬉しい、楽しいだろうなと。
考えると、そのころからA君のゴールは医者になることで、B君のスタートは医者になることでした。A君は結果、医者になることを諦め別の道を歩んでいます。B君は医者になりましたが、基本的は皆が羨むようなというよりも、医療が不足している地域に積極的に趣き、地位や名誉も関係なく、社会貢献を継続している状況です。
どちらが素晴らしいかは一概にいえないです。しかし、何かを志す場合、その地位や立場になることをゴールと捉えるか、スタートと捉えるかによって、その後の取組も全くことなるのだなと、改めて思いました。
生きがいと脳の活性化
2018年5月19日
シニア・コンサルタントの原です。
人は、人生や仕事の目的・生きがいを持つと脳が活性化されると科学的に検証されています。米国シカゴのラッシュ大学の研究によれば、より大きな社会的な意義のある「人生の目的」を持っている人は、そうでない人に比べて2.5倍以上もアルツハイマー痴呆症になりにくいことが検証されています。つまり、人生や仕事の目的(ミッション)を持っている人は、脳機能の衰えが低いのです。
最近、私は大手子会社の役員10名を対象に、企業のミッション、ビジョン、バリュー作りのファシリテーションに取り組んでいます。
役員10名が楽しみながら笑顔で対話を繰り返し、次々にアイデアを発散させ、ミッション・ビジョン・バリューを真剣に考えています。役員の皆さんの脳が活性化されているのが、私にも伝わってきます。
ミッションとは、「使命・目的・存在意義・大義名分」のことで組織の結束力を高めます。
ビジョンとは、ミッションを実現化させた未来像のことで、組織に希望を与えモチベーションを高めます。
バリューとは、ミッションやビジョンを行動する判断基準(価値)のことです。
ミッション、ビジョン、バリューは自己の欲望ではなく利他の願望が必要です。自己の欲望とは単なる金儲けや出世欲などのことです。一方で利他の願望は、「お客様に喜ばれたい。地域を活性化したい。安心安全な世の中にしたい」などです。
自己の欲望では脳の活性は低く広がりのパワーも低いでしょう。一方で、利他の願望は脳の活性が高まり多くの人々を巻き込むパワーとなります。
だから、ミッション・ビジョン・バリューを考え浸透させている企業や組織は、脳を活性化させたマンパワーにより、困難を乗り越えながら業績を好調させることができるのでしょう。
皆様の企業では、「ミッション、ビジョン、バリュー」はつくられていますか?または見直しは必要ではないですか?
ミッション、ビジョン、バリューづくりのご相談は弊社までご連絡お願いします。
社長候補
2018年5月19日
早嶋です。
外資コンサルから転身、アパレル企業のターンアラウンドマネージャーとして仕事をされてた彼は、そのままオーナーに気に入られその企業の社長に。そしてリスケが終わる直前に解雇。ということで、久々にゆっくりと互いの情報をアップデートしました。
話は、外部から社長を選ぶ際の留意事項。企業規模がある程度大きく、社歴も長い場合、従業員とマネジメント層の関係性が悪くなると、特に日系企業はその後のマネジメントが極端にしにくくなります。従ってヒューマンスキルは基本的な要素として重要です。
しかし、世の中様々なスペックを持ち合わせている人材はどの業界でも引く手数多であり、事業再生をしたくとも、M&Aをしたくとも、現在の社長を変えたくとも中々次の人材が見つからない、見つかってもパーフェクトではない、という悩みを良く聞きます。
例えば、商社出身の社長候補。一概に言えませんが傾向として上から合理的な指示を出すタイプが多いと感じます。大企業や外資であればまだ問題ありませんが、中堅規模の企業や地方の企業は、社員が肩書や経歴にビビってしまい。初めから言うことを聞かずに、時間と給与ばかりが出ていきうまくいかないケースを良く観察したり、聞いたりしました。
例えば、コンサル出身の社長候補。社長としての実務の経験が乏しい場合、口先ばかりで行動を伴わないと社員に思われがちです。それこそ優秀なスタッフや右手、左手が揃っている規模の会社の社長であれば、明確な方向性と指示を入れることで会社は大きくかわります。しかし、中堅、地方の企業は、指示を理解出来たとしても、次の行動の一歩を一緒に歩み出すことをしないと動けない社員が多いのです。
例えば、業界のスペシャリスト。社員は、完全に身構えます。中堅、地方の会社の社員からすると、その業界の先行事例を沢山聞かされても、それは知っている。でも、俺達は1流の企業でもなければ、そのような資産も人脈も設備もない。と直ぐに否定する思考に陥ってしまいます。重要なのはそれを受けて、その企業に置き換えて、はじめの一歩をどのように踏み出し結果を出すかなのです。
では、誰が良いのか?ということですが、経営者としての基本的な能力があることが前提で、相手を慮れる人間性を備えている。もちろんドラスティックな判断をする場合は、それを無視しなければならない時もあるでしょうが、基本的に相手から嫌われない人間性は大切です。そして、不安定な環境下において現状や過去からの経緯を把握して、その上で対局を掴んで先を示し意思決定する力を持ち備えることです。
うーん、いないよね、そんな人材とやはり思ってしまいます。
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