
メーカの定義って
2018年11月19日
早嶋です。
今朝の日経にあった記事に「ロングセラーという定番商品に淘汰の波が」がありました。例に出しているのは森永のチョコフレーク。2019年夏に生産修了するようです。
生産修了の決定した理由は次のとおりです。
・PB商品の対応
・消費者の嗜好の多様化
チョコフレークは1967年発売のロングセラー商品です。しかし最近5年で売上はピーク時の半分になり、生産中止を決定しています。50年間の定番商品だったのです。実際は、上記2つの理由よりは、メーカーそのものが今のチャネルシフトに対応出来なかったことが原因だと思います。
国内菓子市場の現状は、量販店が5割、コンビニが3割です。更に、量販店の販売は頭打ちでコンビニでの売上にシフトしています。コンビニはとにかく売れ筋商品しか扱わないで、商品カテゴリで1位、2位の商品しか棚に並べないし、入れ替わりも1日単位で行います。
この傾向は、2000年頃より観察でき、将来、量販店が顧客情報や購買体験を軸に、メーカーの空いた資産を借り、独自の企画でPBの生産依頼をする。そしてそれによって、メーカーは小売がNBの販売先でもあり、PB商品を作る得意顧客でもあり、そしてNBの競合にもなるという微妙な関係が続きます。
その時期に、1)製造に徹してブランドはエンドにゆずる。2)メーカーに徹して、ブランド価値を上げるための仕組みをとる。3)本来の製造小売に徹するため、小売に参入する。のどれかを明確に打ち出せたはずです。が、状況変化に対応せずにズルズル10年、20年と経過。結果、今でも企業は製造に徹するのか、製造小売を続けるのか、ブランド価値を高めるかが不明なままです。
現在大手コンビニのPB比率は食品で4割から6割を占めます。そしてNBに類似するPBを揃えます。戦略としては、NBよりも容量を減らし価格を半値くらいにすることで、顧客の購買を促します。PBはそもそもチャネルを抑えているために、顧客が店舗まで足を運びます。そしてNBの選択肢に加えてPBを置くことで、利益を得るモデルを作り上げます。NBは小売りを自分たちで持たず、多くのNBと店舗内で競合するためテレビCMなどの従来のマス広告に莫大な広告費をかけて、ブランドの認知に力をいれます。
しかし、スマフォ時代の到来によって、顧客情報を管理して、顧客の購買行動を分析することが実は要であることに気が付かず、昔から変わらず飛び道具であるマス広告に莫大な費用をかけていきます。一方小売は、継続的に店舗に来た顧客が再来店して購買単価を増やすように、顧客のデータを蓄積して分析活用することに重きを置き始めます。
市場が成熟した現在、新規市場に対して商品を投入して、広告費をかけて販売を換気するモデルは時代遅れです。既存の顧客に対して、リピート、紹介をいただくような策を行うような、既存の購買を深める取り組みがポイントになります。
しかし、本日記事で紹介されているようなメーカーは、その傾向を認識していても、従来の物を作り大量に広告費をかけて認知を得るという取り組みを継続してしまったのです。
ーーー
日本は明治から欧米に対して追いつけ追い越せで、明確に目指す対象がありました。国民の特性か、答えがあるもの、形が見えるものに対して習得することに長けています。しかし、正解が見えなくなり創り出すことが求められる昨今、急に力を落とし始めています。
企業は未だに新入社員を一括で採用して、新人教育、そして配置と昔ながらの励行を繰り返します。戦略のギャップを埋めるために、イノベーションや過去はマーケティングと言っておきながらも採用戦略は普遍です。100人の新人を採用するのではなく、その投資額をIoTやAIのスキルを持つ人材に投資して10人の採用にするなど、ギャップを埋めるための行動と伴っていません。過去の考え方、労働組合の反対、変えることができない仕組み、戦略と切り離された人事部のKPIと、トップが口述する内容と現場の行動が一致しません。
世の中がこれだけ目まぐるしく動き変化していても、一度大企業に入った人材は、過去の学歴と数年間程度学習した僅かな知識を小出しにして変化しません。継続的に社会に変革を興すような学びと実践を行うということが極端に少ないのです。
業界は確実に変わります。ハードの電子化は、AIとIoTとクラウドと通信などのテクノロジーの融合になって自動化が標準になります。これまで当たり前のように人を介していた仕事が一新され業界構造が全く違う形になるでしょう。
そして追い打ちをかけるように我々の先は100年時代。60とか65で定年を迎えて80頃までと考えていた人生設計が崩れ、80からの20年をどうするのか。多くの人々が不安を抱え、蓄えている消費を更に冷え込ませる結果になっています。信長の頃は人生50年で捉えていましたが、その2倍。個人資産がどんどん膨れていく理由も、実際は不安で不安でしょうがなく消費をすることが怖いのだと思います。
このままのテクノロジーの深化を鑑みると2040年±5年前後でシンギュラリティがやってくるかもしれません。コンピューター>人間の時代です。仮に来なくても、多くの人間が行っていた仕事がコンピューターに代替されて、人は圧倒的な自由を手に入れる一方、圧倒的に暇な時間がありあまります。
2020年に生まれた人が今の延長の教育を受けて二十歳になった頃、昔の発想で仕事をしようとしても、そもそも人間が行う仕事は全てなくなっているかもしれません。国語算数理科社会ではないですが、昔と変わらない方針とカリキュラムで詰め込んで答えありきの学問に時間を費やすことに価値があるのでしょうか。
それよりも、コンピュータが比較的苦手な、先を創ること、考え出すこと、生み出すことにフォーカスしたトレーニングがもっともっと大切になると思います。これらは単に考え方といいましょうか。自分で考えて、自分で行動して、自分で楽しむ。人から与えられて、命令されて動くのではなく、自分が中心となってインプットとアウトプットを繰り返す。そんな教育が社会全体に求められるはずなのに、周りを見ても何の備えもない。
うーん、驚異的な未来がやってくるのは間違いないと考えてしまいます。
人事の方針
2018年11月17日
早嶋です。
日本は明治から欧米に対して追いつけ追い越せで、明確に目指す対象がありました。国民の特性か、答えがあるもの、形が見えるものに対して習得することに長けています。しかし、正解が見えなくなり創り出すことが求められる昨今、急に力を落とし始めています。
企業は未だに新入社員を一括で採用して、新人教育、そして配置と昔ながらの励行を繰り返します。戦略のギャップを埋めるために、イノベーションや過去はマーケティングと言っておきながらも採用戦略は普遍でした。100人の新人を採用し続けるというのは、戦略ギャップは埋めれません。例えば必要とされるIoTやAIのスキルを持つ人材にフォーカスして100人分の採用コストと人件費を10人の人材に集中しても、このような人材は10倍以上どころか100倍、1000倍の効果を企業に与える可能性があります。
言いたいことは、なぜ昔の通り、かわらず新人を採用し、一方で20年から25年も一緒に仕事をした同士や仲間を早期退職として切るのかが、合理的ではないと思うのです。一切企業の戦略を埋めるような人事戦略が取られていないと思います。理由も推測できます。過去の考え方、労働組合の反対、変えることができない仕組み、戦略と切り離された人事部のKPIがずれているのでしょう。そのためトップが口述する内容と現場の行動が一致しません。
世の中がこれだけ目まぐるしく動き変化していても、一度大企業に入った人材は、過去の学歴と数年間程度学習した僅かな知識を小出しにして変化しません。継続的に社会に変革を興すような学びと実践を行うということが極端に少ないのです。業界は確実に変わります。ハードの電子化は、AIとIoTとクラウドと通信などのテクノロジーの融合になって自動化が標準になります。これまで当たり前のように人を介していた仕事が一新され業界構造が全く違う形になるでしょう。
そして追い打ちをかけるように我々の先は100年時代。60とか65で定年を迎えて80頃までと考えていた人生設計が崩れ、80からの20年をどうするのか。多くの人々が不安を抱え、蓄えている消費を更に冷え込ませる結果になっています。信長の頃は人生50年で捉えていましたが、その2倍。個人資産がどんどん膨れていく理由も、実際は不安で不安でしょうがなく消費をすることが怖いのだと思います。
このままのテクノロジーの深化を鑑みると2040年±5年前後でシンギュラリティがやってくるかもしれません。コンピューター>人間の時代です。仮に来なくても、多くの人間が行っていた仕事がコンピューターに代替されて、人は圧倒的な自由を手に入れる一方、圧倒的に暇な時間がありあまります。
2020年に生まれた人が今の延長の教育を受けて二十歳になった頃、昔の発想で仕事をしようとしても、そもそも人間が行う仕事は全てなくなっているかもしれません。国語算数理科社会ではないですが、昔と変わらない方針とカリキュラムで詰め込んで答えありきの学問に時間を費やすことに価値があるのでしょうか。
それよりも、コンピュータが比較的苦手な、先を創ること、考え出すこと、生み出すことにフォーカスしたトレーニングがもっともっと大切になると思います。これらは単に考え方といいましょうか。自分で考えて、自分で行動して、自分で楽しむ。人から与えられて、命令されて動くのではなく、自分が中心となってインプットとアウトプットを繰り返す。そんな教育が社会全体に求められるはずなのに、周りを見ても何の備えもない。
うーん、驚異的な未来がやってくるのは間違いないと考えてしまいます。
指示待ち人間
2018年11月10日
早嶋です。
指示待ち人間とは、上司や上長からの指示通りに動き、特段何も無ければ行動を起こさない社員やスタッフのことを言います。一見、もともとその社員やスタッフがそのような姿になったと考えられますが、はじめから指示待ちは少ないかもしれません。
例えば、上司が部下の行動や作業に、いちいち細かいフィードバックをしていけば、部下は自分の行動に対して、合理的に考えずに、怒られてしまったと捉えるかもしれません。それが度重なると、せっかく自分で考えて動いても、最後は上司の一言でひっくり返され、無駄になってしまう。だったら、上司が言われる通りに行動したほうが得だ。という思考回路になります。
すると、はじめは自発的に自分から行動をして思考して動いていた部下も、最後には指示待ち人間になってしまうのです。
結局は、上司が部下とどのように接するのか?に対して、部下の行動は全て上司の鏡になっていると考えると良いのかもしれません。付かず離れずという距離感をどう保つか。マネジメントの難しさでもあり、楽しさでもあります。
ビジネスと美意識
2018年11月5日
原です。
成熟化していくこれからの時代、精神的な充実を求める声が一段と強まり、物質主義は後退するでしょう。
私は、今年の4月に地元が山崩れ災害に遇い、幼馴染や知人を失いました。お盆の3日間に心の安らぎを目的に夏の風物詩「風鈴」を飾る企画を実施しました。
おかげさまで、複数の新聞社からの取材依頼もあり、「鎮魂の風鈴」という内容で記事掲載を頂きました。更に、多くの方から災害に対する支援金や応援のメッセージを頂きました。
風鈴は、情緒ある夏の風物詩として知られていますが、現在のマンションなど都会で暮らす人が増え、風鈴を屋根の軒下に飾る風景は田舎のごく一部となっています。同時に、風鈴を購入する人も減り、風鈴職人や専門店が大幅に減少している状況です。
しかし、風鈴の音による涼しさへの連想という機能性だけでなく、「鎮魂の風鈴」、「お守り風鈴」、「魔除け風鈴」などの思いを込めれば共感力は高まり、夏以外でも購入者が増えるのではないかと考えます。
このように、機能性だけでなくデザイン性、更には思いを込めたストーリー性を追加することで、物や企画への共感力や価値は高まります。
ビジネスでは論理的に立案された経営戦略も必要ですが、企業のミッションやビジョン、商品などのコンセプトを知ることで、自分も企画に参加したい・商品を購入したいと思わせるような「真・善・美」がなければ、顧客の心を動かすことはできません。
人に共感してもらうには、自分も共感力を高めることが必要です。
共感力には、ストーリーや世界観が必要です。
機能性の差別化は、いつかは真似されるかもしれませんが、ストーリーや世界観は真似されない、その企業や人にしかない「強み」になります。
この強みを論理的に立案された戦略に追加することがブランドになるのではないでしょうか。
私は、以前、狂言を習うなど日本文化や伝統の美に興味は持っていましたが、この風鈴プロジェクトをきっかけに、再び、美意識にスイッチが入った気がします。
最近、私は日本庭園に興味を持ち、書籍を読み現物を見学し、実際に素人ながら庭園づくりに取り組んでいます。
目的は、美意識を鍛えることです。美的センスが向上しているかどうかは分かりませんが、美に対する意識は高まっていると実感しています。
私を含め誰もがアーティストになることは難しいでしょうが、常日頃、芸術作品や文学などを見たりするなどアートにふれるだけでも美意識は誰でも高まります。
美意識を鍛える習慣を実践していきましょう。
やる気充満企業の作り方
2018年11月5日
安藤です。
世界調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことがわかりました。調査した139か国中132か国中と最下位クラスでした。また、企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達しました。(2017年5月26日)
問題なのは「不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%と高く、周りに悪影響を及ぼしているということです。
そして、事故や製品の結果、顧客の喪失、職場風土の問題など会社にとって問題が起きる場合、多くはそういう人が関与している可能性が高いとういことです。
ギャラップは、下記の9つの項目に対して「仕事にやる気がある会社員」「仕事への意欲が低い会社員」で何が違うのかを調査しました。
・顧客評価(customer ratings)・利益性(profitability)・生産性(productivity)・離職率(turnover)
・安全に関する事故(safety incidents)・減損(盗品)(shrinkage<theft>)・欠勤(absenteeism)
・医療安全に関する事故(patient safety incidents)・製品・サービスの質(quality)
そして、調査で得られた「やる気度係数」によって、上位4分の1(やる気の高い会社員)と下位4分の1(やる気の低い会社員)を比較した際の、各9項目における差というものを報告しています。
それによると、9項目で明らかに優劣の差がみられました。
たとえばやる気の高い会社員は、やる気の低い会社員と比較したときに、顧客評価を約10%、利益性を22%、生産性を21%引き上げ、離職率、欠勤、安全に関する事故の減少、不良品といった項目に関しても大きく差が出たとのことです。
「やる気度」を高める施策は企業にとっても死活問題だと考えます。
ギャラップでは次の5つを提言しています。
(「The Worldwide Employee Engagement Crisis, A.Mann & J. Harter, GALLUP, January 7,2016」より)。
1.「やる気」対策を会社の人事戦略に組み込む
2.「やる気」を科学的に評価できる方法で測定する
3.会社が現在どこにいて、将来どこに向かおうかということを理解する
4.「やる気」をひとつの構成概念として見る
5.「やる気」をほかの業務優先と整合させる
“やる気” は目には見えませんが、リーダーのモチベーション力、個人のモチベーション力が「やる気の出る社風」をつくっています。社員の本音を漏れなく聴くことで “見える化” し「やる気度」を高める施策につなげ “エンゲージメント”を高めることが、これからの組織に必要なことだと考えます。
ダナン・ホイアン情報 2018年10月
2018年11月2日
早嶋です。
10月30日から11月2日、実質2日間でダナンとホイアンに弾丸視察。目的は、ダナン及びホイアンエリアのお土産需要と立地確認。その際の備忘録です。記述している情報は現地での感想や主観を含む。長文です。
◾ベトナム基礎情報
面積は約33万km2、日本の9割程度の大きさ。南北に長い。中国、ラオス、カンボジアと国境を接し、東側が東シナ海。首都はハノイ。宗教は仏教、カソリック、プロテスタントなどが主流でイスラムやヒンドゥーに加えて新興宗教のカオダイ教など。ただ習慣的にお寺に行く人が多く8割り程度が仏教。街中には線香をいたるところで焚き、花を添えた信仰が生活に根付いている(ダナンとホイアン)。
ベトナムの正式名称はベトナム社会主義共和国。したがい社会主義国。マルクスの主張通り、「資本主義は貧富の差を拡大する」ということから財産などは集権される仕組み。徴兵制をしく。現在、社会主義国は他に中国、キューバ、カンボジア、ラオスなどがある。
ベトナムは地理的条件から漁業と農業といった一次産業が盛ん。加えて現在では鉱業も栄えている。石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に加えスズなどの金属を採取し海外に輸出している。輸出と輸入を見ると、縫製の材料や布地、機会部品、鉄鋼などを輸入し(2,110億ドル)、縫製製品、ケータイや部品、PCや電子部品、機械設備を輸出(2140億ドル)している。付加価値の低い一時品や軽工業品を輸入して付加価値の高い機械や設備などの資本財を輸入する貿易構造を取る。
◾生活事情
家庭にはキッチンが無い家が多く、屋台や食堂で食事を買い、自宅へ持ち帰り食べるスタイル。人件費が安いため自分で調理するとかえって高くつくらしい。近年これに加えて海外の出入りが盛んなため外食産業は実に多国籍で多種多様に栄えている。
平均の賃金は150〜200ドル/月。1食数十円から100円程度で食べることができる。娯楽はテレビ。特にサッカー観戦が好きなようだ。若者のファッションに費やす金額は3,000円〜5,000円/月程度。ケータイが1万円前後で、バイクは10万〜15万円程度。男性的4種の神器はWife,Children,Floors,wheelsと言われる。
◾経済成長
ベトナムは共産党の一党独裁。基本は財産管理を国営で行うことで貧富の差をなくす考えだが、1986年のドイモイ政策により自由主義経済を取り入れ、外資企業の経済参入を許容した。
90年後半より徐々に成果が出始め、GDPを経済成長率も着実に向上している。外資企業の参入は韓国を筆頭に日本、台湾、米国、ドイツ、フランスなどが相次いだ。
2000年に入ると中国リスクを懸念する企業が東南アジアに拠点を分散することで、チャイナプラスワンの筆頭にベトナムが上がり経済が更に加速。現在は50年の期限付きで土地やマンションなどの不動産を持つことが可能になり経済自由度が向上。
国策でIT産業を促進しているため成長は著しい。韓国を中心とした外資企業の進出に伴い、ベトナム人IT人材は質を上げている。また韓流の露出戦略が随所に見られ、TVやCMなどでその影響を若者に与えている。
現在、GDPは2,235億ドル、人口9,370万人、一人あたりGDPは2,385ドル。なお、平均年齢は28歳。統計ではまだ人口ボーナスの恩恵を受け、2040年頃までは成長が続くと思う。現在の成長率は6.81%(2007年からの平均でも6%台)で1995年の比較でおよそ10倍の経済規模になっている。
現地でコンサルをしている人曰く、2012年頃はまだ車がほとんど走っていなかった。ヒュンダイやフォードすらも無く、あってもどれも型落ちの車。今はベンツやレクサスなどもちらほら見かけるようになり、バイクも品質の高いものや大型クラスのものを見かけるようになったと。所得が上がっている証拠だろう。
通りのバイクと車
◾政治的特徴
政治的なリスクとして政府の権力が最強である。ダナンでは少ないようだが、何かの理由で警察に目を付けられることもあるとか(現地人談)。それから法律や規制が頻繁に変わる。
ちなみに2017年APECがダナンで開催され、そのために増員した警察官が過剰状態で、いたるところで交通や軽犯罪を取り締まっているため運転も穏やかで非常に安全だ。
◾通貨
単位はdog(ドン:VND)200VNDから500,000VNDの紙幣が流通しているようだが、5,000VND以下はあまり見ない。ホテルやレストラン、お土産店ではUSドルも併用されている。両替やATMが充実していて、クレジットカードもそこそこ使えるので不自由は無い。
◾ダナンの立地と気候
ダナンは、ハノイとホーチミンの中間に位置する都市でベトナムの主要な港湾都市。西側(ラオス側)が山に囲まれ、東側は南シナ海に面している。
ベトナム全体が高温多湿で熱帯モンスーン気候に属す。ただ南北に細長いためエリアによって気候がことなる。ダナンは9月から3月が雨季(今回は珍しくからりと晴れて涼しい)でオフシーズン、4月から8月が乾季で観光客が押し寄せるピークシーズン。10月と11月は特に台風があるが、来なければ今回のような過ごしやすい気候となる。1月と2月は日本の秋くらいの感じでやや肌寒いという。オフシーズンはホテル全体のレートが良く世界遺産巡りを楽しう場合は今からの時期がおすすめだ。
実際、今回はオフシーズンで観光客はまばらで、レストランも多くは閑散としている。気温は年間を通して平均が25度前後で10月、11月の今回はとてもラッキーだったか、涼しく晴れ間の雨季だった。通常のうきはシトシト雨ではなく、毎日1時間程度のスコールがありその後晴れる。
ダナン中心部に国際空港があり、市街までは3キロ程度とアクセスが非常に良い。東シナ海側はビーチリゾートとして人気があり、近年急速にその開発スピードが増している。ダナンからホイアンにかけて海側は、現在も多くのホテルやリゾート施設が建設中。ハイセンス、ラグジャリーなホテルやリゾート運営会社の投資が尋常ではない。
ベトナムでも人気のダナンは街並みは極めて清潔。ハノイとダナンを行き来している邦人曰く、ダナンは匂いがしないそうだ。2017年のAPEC効果もあり、歩道や道路が整備され、さらに安全になっている。街並みも急速に成長しているため道路の作りが広く計画的な作りになっている。ちなみに夜でも女性や若い人たちが街並みを歩いており、実際に街の中は危険な匂いはほとんどない。
観光スポットでもあるダナン大聖堂
ダナン中心にハン川が流れていて、その両サイドが観光エリア。海側と街側で若干の雰囲気が異なる。ここ10年程度で急速に街に投資が進み、ビジネス目的の在住外国人も増えており、不動産バブルが起こりつつある。ビーチサイドは、上述した通りダナンからホイアンに向けて、相当数の規模でホテル建設が進む。
ハン川
ダナンの位置づけはビーチリゾートとしての印象が強いが、ダナンを起点に古都ホイアン、ミーソン遺跡、フエの建造物郡、そして若干遠くなるがフォンニャ洞窟がある。ホイアンは40分程度、ミーソン遺跡は90分程度、フエは2時間程度なのでダナンを起点にビーチリゾート以外の観光も楽しめる立地条件だ。
◾交通事情
観光客の足はほぼタクシー。初乗りは10,000から15,000ドン(50円から80円程度)。従って遠くまで行っても気にならない金額。スマフォを使えるのであればGrabが使える。2018年3月にGrabがUberを買収したため、ベトナムでは圧倒的なシェアでほぼどこにいてもすぐに車を捕まえることができて便利だ。
ちなみにGrabをやってるドライバーもまだ半数は資本家が車を運転手に提供しているようだ。
空港から市内のホテルまで5万から7万ドン程度だった。
◾インバウンド事情
韓国籍の工場がダナンやその近郊に集積していることもあり、近年のアウトバウンドの外国人比率の内5割が韓国、1割強が中国、日本人は5%程度。韓国からは直行便が1日15便前後出ており、ピークシーズンは30便まで増える。
街中の外国人向けのレストランやお土産屋さんでは圧倒的にハングルが多く、通りを見ても多くの韓国人観光客で溢れている。ちなみに半数以上が団体旅行で、個人で旅行をする韓国籍はまだ少ない。
◾観光都市としてのダナン
近年、20代〜30代日本女子の二人旅、カップル、ファミリー層に人気が出ている。成田と関西から直行便が出たことも起因する。目的はまだビーチリゾートだが徐々にホイアンなどの世界遺産へ足を伸ばすようになり、ここ最近の日本人観光客はダナンからほぼ100%ホイアンに行っている(旅行会社談)。
旅行の基本パターンは3泊5日でダナンに滞在。日本や韓国からの飛行機は夜にダナンに着く便が多く、ダナンを出発する便は深夜便が多い。ダナンに基本連泊して近隣都市は日帰りで観光するのが最も多いパターン。現在、定期便に加えて年末年始、盆とGWは臨時便を出し、この時期は仙台、名古屋、福岡からも臨時直行便が出ている。安全な観光地でビーチと世界遺産のセットで老若男女から徐々に人気が出始めており、旅行会社もPRに力を入れている。
HISはワタベウェディングと協業でウェディングサロンをダナン支店に併設。ホイアンの途中、ダナンから15分程度の位置にある高級リゾート施設、ナマン(naman)リゾートで挙式を上げるプランを押している。
namanリゾート
2018年の第一四半期のダナンへの観光客は約170万人で前年同期比で35%増。内約82万人が外国観光客。細かい統計はわからないが、現地旅行会社曰くインバウンドの5割は韓国人。
ダナンは投資誘致に成功しており、企業の積極的な課題解決やインフラ整備などの展開を実施している。現在。ダナンへの直行便は31路線で1週間に270便の発着がある。
現地旅行会社の感覚では外国人観光客が訪れるベトナムのエリアとしてハノイが4割程度でダナンとホーチミンは同数程度まで伸びているということ。
◾ダナンのお土産
比較的安価な料金でのスパが充実しているため、最終日は空港に行く前にスパを楽しみ送迎してもらうというスタイルを多くのショップが提供している。スパの質はおしなべて高くない。
ダナンのお土産はチョコレートやコーヒーが主流。後はアジア雑貨がいろいろあるが、あまり心踊る商品は少ない。もともとベトナム自体の生活を支える小売が充実しているため、ナショナルブランドやチェーン展開をする企業の参入がまだ少ない。特にダナンは個人商店が並んでいる。通常は差別化をして皆工夫をするはずだが、そこは社会主義。同じような店で、同じような商品が乱立する。
中心地にハン市場とコン市場があり、多くの小売はそこから仕入れている。金額はどこのお店もさほど差がなく、路面店でも空港のショップでも同じような商品は金額にそんなに差がない。
ハン市場の写真
少し探せば、フランス人や日本人がオーナーで、感じの良い現地のお土産を開発しているが、今後の観光需要からするとまだ圧倒的に少ない。いわゆるダナンエリアに今後増えるであろう20代から30代の女性が期待するような商品が極めて少ない。
ダナンの空港の免税店もあまり商品がない。同じようなベトナム雑貨や特産品を扱う店が入っているが、特に心踊るものは無い。
◾観光地としてのホイアン
ダナンから車で40分程度の距離にある古都ホイアン。保存エリア一帯は、黄色い壁、赤い屋根、ブーゲンビリアの木々に覆われ、中国と一部日本の建築様式を残す街並みが広がる。
黄色の壁と茶色の屋根とブーゲンビリア
こちらはダナンと異なり、コンパクトな街並みに昔の景色と時間がつまっている。アジアの観光客はダナンに宿泊して日帰りでホイアンに行くが、欧米の観光客はホイアンに宿泊してのんびりと過ごしている。
朝から昼にかけては人通りが少なく、17時前後から一気に夕暮れの景色と雰囲気を楽しむ日帰り観光客がダナンから押し寄せてとても賑やかになる。古都にはノスタルジックな提灯が所狭しとぶら下がっており、街全体を幻想的な雰囲気にかえるのだ。ただ、このランタンの取り組みはかなり後付で、夜の雰囲気を彩る戦略としてダナンエリアを盛り上げるために考えられている。インスタ映えする景色が随所にあるので町おこしの成功事例として参考になる。
ナイトツアーは観光客が集中するため、夜ご飯難民がでるそうだ。旅行会社はレストランを確保したり、ミールクーポンを配布して予防するなど結構大変だ。知何に朝から夕方まではレストランもガラリとしてゆっくり過ごせる。多くの店でハッピーアワーとして10時から17時となっている。一瞬まじか?と思ったが、それほど昼と夕方以降の込具合が違うのだ。
◾ホイアンのお土産事情
上述の通り、多くはダナンから夜の雰囲気を見に来る目的が多い。保存エリアはレストランとお土産ショップが多く並んでいるが、やはり昔の名残で店ごとに代わり映えが市内商品が並ぶ。革製品やオーダーメードの洋服、雑貨などは目を引くが、なんとなくダサいものがあり、ちょっと工夫が必要だ。
が、数店はデザインや商品セレクトをこだわり、観光客で賑わっているところを見れば、こちらでのお土産需要に対応できていないお店が多いことがわかる。
◾ホイアンの歴史
16世紀頃より中国、日本、ポルトガルなどの各国と貿易が盛んになる。日本は鎖国政策を行う前までは、朱印船貿易を通じてホイアンとのつながりがあった。当時、ピークの時期には1,000人程の日本人がホイアンに住み日本人街が誕生している。ちなみに現在ダナンに住んでいる日本人が300人から400人程度なので、その2倍から3倍の人が400年前に住んでいたのだから驚きだ。
ホイアンのアイコンの一つで、2万ドン紙幣のモチーフにも使われている来遠橋(別名日本橋)は1593年に日本との友好関係を象徴してかけられたらしい。そう考えると、遠くから来たという重みを感じる。
日本橋
ホイアンの街並み
18世紀、タイソンの乱で街全体が全焼しているが後に再建される。19世紀に川の流れの変化から川幅が変化して港から街までの船舶の行き来ができにくくなる。また船舶が大型化して、貿易港がダナンに移った。
昔ながらの水路の景色
ホイアンはベトナム戦争の影響を免れベトナム政府は木造建築の景観と歴史を保存すべく日本に協力を要請して保護に至る。1992年ホイアンは世界遺産に登録され観光都市としての発展を遂げる。
◾その他現地ローカル情報
日本からの観光客も今は成田、関西からがほとんど。旅行会社は直行便を飛ばしたいが、ベトナムから福岡、名古屋、仙台が定期便を飛ばしても埋まらないので航空会社はまだ臨時便しか出したがらない。従って、日本の地方からの集客はまだ時間がかかる。
ホイアンやダナンはベトナムの中で特に治安が良い。スリが出て、街中総出で捕まえたなどの話を良く聴く。政府や市が観光の街として力を入れている成果もある。
ハノイは中国に接しているため、真面目で細かく、しっかりしている。昔から国境に面しているので、外国語も堪能で優秀な人材が多い。
一方南のホーチミンはルーズでゆるくフレンドリー。日本の沖縄のような感覚だそうだ。
ダナンは人柄も中間地点。経済的には田舎で、ベトナムの状況を知らない人が多い。性格は両方のいいとこ取りで仕事がしやすいそうだ。ハノイの金持ちがセミリタイアしてダナンに住むケースも多いという。
日経企業はベトナムの学生にとって人気が高い。第二外国語で日本語の選考が多く、近年は中学校から習い始め、高校では必須になるところもある。インターンでは日本語を上達させたいという学生が多く来る。外資系で人気な国は、日本、中国、韓国の順番。
地震はないのだろう。建物の基礎が細くて薄い。
街中は専門店が多く、大型の小売が少ない。また、ナショナルブランドやチェーン展開をする企業の出店もこれからだろう。
リース業界概況
2018年10月27日
早嶋です。
リースビジネス。業界としては、銀行系と商社系のリース会社が経営統合等を行い再編が進んでいます。そして、その銀行商社系の大手は、メーカー系のリース会社を傘下に収め、事業拡大を狙っています。
リーマンショック以降、民間設備投資は回復していますが、リース利用率が低下しています。理由は、
1)会計基準が見直され、リース資産・債務のオンバランス処理がはじまる
2)減価償却制度の見直しにより、購入の税制メリットが拡大される
3)IT関連設備投資においてはハードの単価が下落し、リースの魅力が薄れている
4)資金調達コストそのものが低下しており自己資金購入にシフトしている
の点が考えられます。
そのような中、大手リース会社は、市場低迷にもかかわらず概ね業績を拡大しています。オリックスは、非リース事業を強化して、金融系はリース事業を拡充するという戦略です。いずれにせよ、その戦略の行使はM&Aによる買い増しが主です。上記より、一般的なリース事業における課題は、リース事業においては新たな需要の開拓、そして、非リース事業においては、サービス開拓があります。
リース事業の開拓は、個人リースの方向性と法人リースの方向性に分けることができます。個人リースは中古マーケットが存在する分野の進出で新需要の開拓は見込めます。法人リースはこれまでの動産(事務機器、精算機材、ソフトなど)に加えて不動産などにフォーカスがあたるでしょう。
非リース事業の開拓は企業や個人が持つ管理資産に目を向ければ可能性は広がります。それぞれの資産が生み出す価値を最大化する提案と資産の維持管理を最小化する提案の2つの方向性があります。
立場と役割が人を変える
2018年10月21日
早嶋です。
立場と役割が人を変える。毎年、この時期に戦略会議という合宿をする企業A社があります。A企業の経営を一緒に議論させて頂いているなか、A社の主力事業をB社として分社しました。そしてA社の専務は、B社の代表者に就任。
戦略会議を初めて数年立ちます。今回の合宿はB社の今後について、これまで議論していた内容を社内の主力メンバに共有させ、不足する部分の議論を詰めることが目的です。これまでもA社の専務(B社の社長)も合宿に参加していましたが、今回は人が全く変わりました。トップとしてのリーダーシップや部下を配慮する気持ちと焦り。将来に対しての不安と期待が見て取れるようにわかります。そして、それらのギャプを埋めるために本気で議論を回しています。
私も、弊社株式会社ビズ・ナビ&カンパニーを共同で設立しました。当時は、3人ではじめ、パートナーの長田が代表でした。そのときは、取締役という肩書ながらも、実際は経営のことをあまり考えることなく、自分たちが実現したいアイデアを形にして顧客に届けることに集中するばかり。将来の種を仕込むことや、不足する能力を今から補うこと、将来に備えて不足するかもしれない資金の目処を付けておくことなど、今見えない部分に対しての取り組みを今行うことが経営者。が、そのようなことはどこか代表がやってくれるだろうと思い、行動することはあっても、取り組みレベルと気持ちが圧倒的に低かったことを思い出します。
実際、本の知識ではなく、経験として社の代表が行うべき仕事を実感したのは、長田が代表をおり、その後を継いだときからでした。役割としては取締役として同じように考えるべきなのですが、小さい会社。代表が色々とやってくれるという思いがどこかにあったのです。役割と立場を人が変える。そして人を育てる。
マネジメントのトレーニングをしている際も強く感じることがありました。マネジメントに就任した時頃から、あえてワークショップや合宿を行うことで本来の役割と考えている取り組みや行動に圧倒的にギャップがあることを考えて、気づいていただきます。いちスタッフではなく、トップのビジョンと戦略に対して、部下を導き、育てていく仕事です。単なるプレーヤーとして数字を作るのではないのです。昨日まではスタッフ。でも今日からマネジメント。肩書が変わるとやはり人の考え方や立ち振舞、そして言動も変わっていくのです。
歴史は真実か。
2018年10月19日
早嶋です。
勝てば官軍。歴史の中に出てくる言葉ですが意味深いです。世の中の歴史は強いもの或いは、群衆を味方にしたものが結果的には作っています。真実か、否かは、それぞれの立場によって異なるのかもしれません。
ある地域の話です。もともとはA君の志で事業が始まりました。A君のネットワークや知恵でその事業は少しづつ形になりはじめ、やがてB君が加わります。A君は表に出ることは得意ではないけど、全体の構想や先のビジョン、主要メンバの人材ネットワークが恐ろしくあり、そして全体の仲間のことをいたわる人物です。B君は外に対してのPRが上手く、A君から誘いがあって事業を立ち上げる仲間の一人に加わります。やがてその取り組みは地域から全国クラスになります。
企業においても同じように、立ち上げ時期を共有した仲間は、はじめは皆が志を1つにして、誰が何かの役割をすることが無く、それぞれに形づくるために協力して動きます。ただでさえリソースが少ないので、この時期にチームが作れなければ、そもそも事業として成り立ちません。この時期は創業者と数人のネットワークのみが事業の機動力となり動きます。アイデアはあっても、形にするには時間がかかり、形が無いから構想力の無い外野は冷ややかにみます。従い、お金やモノなどの資源が常に不足します。
事業が立ち上がり成長の兆しを見せると、必ず今まで遠目に見ていた外野が徐々に仲間に加わります。リスクを取らない分、ムーブメントや波にのることが上手な人たちです。ただ、事業を大きくするためには、そのような仲間をチームに加えて加速することが必要です。初期のメンバだけで取り組むと時間、リソース、人で、お金が常に不足するからありがたい話でもあります。
企業であれば、基本的にその事業のアイデアは資本家の持ち分になり最終的な配分が分けられます。起業であれば経営者や役員が株式を保持して、利益の配分を仲間や将来の事業に投資する意思決定をします。したがってアイデアや誰が肝を握っているかは常に明らかです。しかし、地域を興すような事業は、資本をベースにする会社組織のような形もなく、ボードメンバのようなガバナンスもありません。あるのは一過性の取り組みと、表現巧みなパフォーマンスです。志があればよいのでしょうが、見せかけの志が多く、人気のピークがくる前に、さっと曳き波のようにいなくなります。人間関係も軽薄な場合が多いのです。
取り組みが大きく注目を集めると、また、そこに波及的に人やメディアが殺到するようになります。すると、当初の目的や志はどこかに行き、その波に乗っかりたい人が勝手に過去を解釈して、取り組みを美化していきます。本来の取り組みができていないなということでA君はそのエリアを離れます。A君はまたゼロからスタートして志をつづけます。B君は、そのエリアの主要人物になり、新たにやってくる相談を一気に引き受け、注目を集めるようになります。
でもB君はもともと構想力も無いし、ネットワークも乏しい。他にPRすることはできるけれども、そもそもキャパオーバーな相談を受けるるたびに自分たちのスタッフや仲間が疲労困憊していきます。そんなときは夜な夜な夜型のA君のところに行き相談します。A君はいつも快くB君の相談に乗り、いつものように采配をして、不足する人脈やマンパワーを惜しみなく提供します。そしてB君はいつものように何くわぬ顔で問題を乗りこえ、また周囲から、その取り組みとアイデアと行動を称賛されるようになります。
B君はメディアに乗っかることは上手な人物。注目を集めるたびに露出も増えていきます。でもB君は常に自分の手柄のようにコメントしてA君の存在を表に出しません。B君のスタッフも仲間も知りません。そんなときB君は急な病に倒れます。初めてA君とB君が出会って10年以上は経過しているでしょう。B君の周りには、事実を知らない仲間が集まり悲しみます。残されたスタッフはB君を仰ぎますが、後手後手の取り組みと後処理を任されるばかりで何のノウハウも教育もされていません。B君がいなくなった今、残るものは何もありません。再現性がきかないのです。右腕も左腕もいないので、仲間や見せかけのチームは山のように居るけれども皆が方向性が無い、主体性が無い、志がない、烏合の衆とかしただけなのです。
せめてA君の存在を知らせておけば、B君の周りに残されたスタッフも露頭に迷うことはなかったのに。それどころかB君の周りに集まる人達は急に現れたA君をとても煙たく思うのです。何も知らないから、それは当然だと思いますが、散々な状況です。
物事の本質は、登場人物の数だけ正解があるでしょう。正しく言えば、それを判断する人の数だけ正解が存在します。マジョリティを取り、その考え方を正しいと思い込ませることができれば、それが世の中では事実として受け取られます。そのような世の中に嫌気を刺すA君のような人材はきっと過去から現在において、多数いたことでしょう。そしてB君のような存在に影響を受ける人はもっと大多数いたことでしょう。重要なことは事実を知り、本質を見極めることです。流行りに乗ってなんとなく乗っかる行為は、基本的には長続きしないし、結果的にはそのエリアを急速に滅ぼす方向に導くだけだと思います。
メーカの今後
2018年10月17日
早嶋です。
メーカーは原材料を加工し、製品を生産提供する産業です。鉱業や建設業とともに第二次産業を構成する大きな分野です。工業というくくりは重工業から軽工業まで幅広い分野があります。現在の多くのメーカーはものづくりのフォーカスから脱却できずに、顧客との接点を活用できず、更に顧客フォローを行えずに苦しんでいます。
メーカーの上流工程はサプライヤーで部品や原料をメーカーに提供する企業がいます。メーカーはこれらをベースに加工と製造を行います。メーカーの下流にはその商品を仕入れて販売、或いはフォローする企業がいます。メーカーによっては、上記のサプライチェーンをすべて自前で行う企業もいますが、全体としては、調達、加工製造、販売とフォローの3つに分かれるサプライチェーンのうち加工と製造に力を入れているのが多くのメーカーです。
当初、メーカーは顧客のために、顧客が直面する何らかのペイン(問題やニーズ等)を解消する目的で何らかの商品を考案しました。しかし、問題を解決するための商品化までは、実際、結構な時間が必要でした。メーカーの通常のバリューチェーンは、上流工程から研究や開発、調達や製造、販売やアフターサービスです。企業の中でも上流工程で時間がかかってしまい、そのため顧客に提供する組織を販社や代理店に任せる企業が出てきたのです。
市場が成長していた頃は問題ありませんでした。需要と供給のバランスで、圧倒的に需要が多く、商品そのものが飛ぶように売れたからです。しかし、現在はそのバランスが崩れ顧客も情報化に寄って知識武装しています。そのため商品が良ければ売れるという時代でもありません。
これまで流通チャネルを広げることでものを販売してきたメーカーにとっては非常に厳しい時代です。結果的に小売業が直接消費者と接してきて、そこの購買行動からその後のフォローをデータを活用しながら実施し始めたからです。情報化の時代、一度この取り組みを始めた企業は加速度的に成長します。
それもそのはず、小売業が直接顧客IDを持っているので、個々人に対してきめ細やかや購買体験を提供できるようになったのです。しかも、その後の購買後のフェーズまで各種IT機器の連携や支払い情報を組み合わせることでよりくっきりと企業が知ることができるようになります。
流通業は、1つの商品だけではなく、消費者が生活の中で必要となるあらゆる商品の販売を提供しようとします。そしていつしか、詳細な顧客情報をもとに、上流工程のメーカーに商品の企画を持ちかけ、自ら企画して商品を開発委託するようになりました。
メーカーも、高度成長期に合わせて増設したラインが今は動いていないため、流通向けに工場を稼働し始めます。ここに皮肉なことが起こり始めるのです。メーカーは、直接顧客の情報を握っていないため、卸や小売を使って昔通り販売します。そして流通店の棚の前で消費者に想起してもらうために、あいかわらずマス広告に多大なるマーケティングコストを費やしています。
かたや小売業は自ら企画したPB商品を自前の棚に置くだけで売れるようになるのです。その理由は、その店舗までは顧客が足を運び、メーカーが販売する商品の隣に置くことで類似品としての認識をたかめ、ブランドに拘らない合理的な顧客にPBを提供する仕組みを作ったからです。メーカーはマーケティングコストをかけて作っていますので、流通点に並んだ商品はPBと中身は同じでも価格が高くなります。一方、PBブランドはそのようなマーケティングコストが乗っていないため通常よりもうんと安く提供しても、利益をしっかりと取れる商品を揃えてしまったのです。
メーカの今後の選択肢としては、これまで通りマーケティングコストを支払って高く売り続けるか、流通の工場となって高い利益をあきらめるか。或いは、自分たちで直販の仕組みを持ち、顧客IDを獲得して仕組みをゼロから見直すかです。整理すると、どのオプションを持っても今より上手く行きにくい選択肢です。
メーカーが過去に構築したビジネスモデルは成長期に通用するモデルだったのです。
最新記事の投稿
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2025年8月
- 2025年7月
- 2025年6月
- 2025年5月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月