高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は「『量』問題を解決する探客スキル」というテーマでお届けします。「探客」とは、読んで字のごとく「お客様を探す」ということで、新規の見込客と戦略的に会うことを言います。前回に引き続き、営業パーソンが営業目標達成のために必要な考え方をお伝えします。
前回は、目標達成のためには営業活動の「質」と「量」の二つの問題があるということでした。そのうち特に新人の営業パーソンは「量」を増やすことを心掛けてほしい、そのために何をそうすればいいのか、が今回の内容です。「量」を増やすためには、新しいお客様にたくさん会わないといけないですものね。
コロナ禍の影響でなかなか人に会う機会、特に新規のお客様を見つけることに困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このような状況で、基本的な活動をこれまで以上にしっかりすることと、このような状況だからこその新しい方法を試してみることの2段階の取り組みが必要だと考えます。
まず新規のお客様を見つける基本は、誰をお客様とするか決めることです。自社の商品サービスがどのようなお客様のニーズを満たすのか、絞り込む必要があります。個人か法人か、地域、年齢、年収、売上規模、等々セグメントに分け、買っていただける可能性が高そうなお客様の特徴を特定します。その際、最も大切なことはやはり、顧客の想定ニードです。
ニーズのないところに商談は起こせません。(お客様の内でニーズが潜在化している場合もあります。それを掘り起こすことも含めてニーズがないとセールスは不可能です。)例えるなら、魚のいない池にいくら釣り糸を垂れても絶対に釣れません。魚を探す前に、池を特定するわけです。ターゲッティングと言いますね。
私のクライアントで大学生の就活支援をする会社があります。この場合、大学生が顧客になるのですが一言で大学生と言っても色々です。大学によって就職に強い大学もあればそうでない大学もあります。また学部によっても企業からの求人数に大きな差があります。つまり就活支援のニーズがある学生(就活に苦戦しそうな学生)と、就活支援のニーズのない学生(自力で就職先を決めてこられそうな学生)がいるということです。よって、九州の就職に弱い(と考えられる)A大学とB大学に絞り、さらに文系の学部に絞って大学生にアタックしています。
ターゲッティングに基づき顧客リストを作成するわけですが、顧客を絞るとリストの質が向上します。絞り込むことにより顧客のニーズに合わせた訴求や解決方法を示唆することができるようになり電話やメールでのアポイントの獲得確立が上がります。また広告を打つにしても、一般的な文言ではなくそのターゲットに向けた刺さるキャッチ―な表現とすることができますので、反響率が良くなります。
よって、まずは自社の商品サービスが役立つ顧客はどのような方々かを明確にし、絞り込むことが「量」を増やすことの基本です。
次はリストアップした顧客群にどのような方法(経路)で接触をするかということが問題です。そこは旧来のやり方に加え、コロナ禍ならではの新しい方法が活かされる場面でもあります。
次回はこのリストへの接触方法についてお伝えします。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
2022年6月1日 のアーカイブ
『量』問題を解決する探客スキル
「○○○」は見えますか? 〜ビジネスチャンスが見える人〜
◇ビジネスマンの注意力テスト
原田です。
まずはビジネスマンに必要な注意力のテストを試してください。
下のリンクの動画に、6人の男女が登場します。この6人は2チームに分かれています。それぞれ黒い服、白い服を着ています。彼らは、バスケットボールを持って、パスを交換しはじます。
白いチームが何回パスを交換したか?その回数を数えてください。黒いチームと白いチームの人の立ち位置が入れ替わるので、結構難しいです。正解したらビジネスマンとしてかなり優秀な注意力です。
ビジネスマン注意力テスト
◇テストの結果
さて、この動画ですが、まず答えです。パス交換は15回です。しかし、ここでは答えはどうでもいいのです。何より重要なことは…。
ゴリラは見えましたか?
実は動画の途中から、ゴリラ(着ぐるみ)が登場します。一瞬だけ出てくるのではありません。画面の中央でどうどうと胸を叩いたりしています。長い時間しっかりと画面に映っています。
なんと多くの人がこのゴリラに気がつきません。正式なテストの結果では、おおよそ半数から3分の2が気がつかないそうです。気づかなかった人は安心してください。
ゴリラに気づいた人、テストをやらなかった人は、そんなバカなと思うかもしれません。なので誰か他の人に試してください。たぶん多くの人が気がつかないと思います。
ただし、あまりやると嫌がられます。マウントになる恐れがあります。ゴリラ扱いされますよ。
◇人の知覚はアバウトで優秀
人の知覚システムは、かなりアバウトにできています。一方で、人には、特定の注意を払っていることに意識が集中すると、他の情報はフィルタリング(排除)されるという便利な機能がついています。
視覚の情報処理は、やはりかなりアバウトです。我々が何か見たと認識するとき、その情報を一時的に保存する脳の容量はとても少ないです。だいたい3〜5程度の情報しか保持できないようです。また、我々が目にしている景色のかなりの部分は脳が勝手に解釈して作っているものです。さらに我々の知覚システムには、必要がない情報をフィルタリングするという素晴らしい機能があります。
人の知覚システムを考えると、このゴリラのテストは特別なシチュエーションではありません。我々は日々のビジネスの現場で同じことやっています。バスケットボールのパス交換を目で追って数えるように、特定の数字やKPIなどを追っていないでしょうか?組織から与えられたタスクを果たすだけで精一杯ではないでしょうか?
こういうシチュエーションで、新たなビジネスチャンスの発見や、イノベーションのヒントを得ることができるでしょうか?
◇イノベーションの機会と「予期せぬ成功」
有名な経営学者のドラッカーは、イノベーションの一番の機会は、「予期せぬ成功」(あるいは予期せぬ失敗)だと看破しました。昨今のビジネスの世界で、イノベーションは盛んに論じられています。しかし、そのなかで「予期せぬ成功」が取り上げられることはほとんどありません。僕が思うに、多くの人がこの「予期せぬ成功」についてピンときていないのだと思います。イノベーションとは天才のひらめきで世界を変えるものだという思い込みがあるのではないでしょうか?
この「予期せぬ成功」は端的に言うと、「イノベーションの舞台となるマーケット(市場)を自らの力で変えるのは難しい。しかし、マーケットの変化に気づくことはそこまで難しくない。マーケットは日々変わっている。それに気づいて対応するだけ」ということです。以上は、あくまで原田の解釈です。
多くの創業者が、マーケットの些細な変化をとらえ、成功に結び付けています。SONY、松下電器、ケンタッキー、マクドナルド、スターバックス、IKEAなどなどいくらでも出てきます。また、ビジネスの世界だけでなく、科学的な研究の世界でもこうした些細な変化、あるいは予期せぬ出来事に気がつき、成功へつながった例は、枚挙に遑がないです。
◇ゆく河の流れは絶えずして
我々が「室見川」だと名付け、そう認識している自然の構築物は、常に変化を続けています。そこに流れる水も、海底の砂も、生息する生き物も決して同じではありません。水面に反射する光もナノ秒単位で変わっています。
でも我々は、昨日の「室見川」も、今日の「室見川」も同じものとして認識します。当然、20年前の「室見川」でも同じです。しかし、その「室見川」を構成する様々な要素は逐一変化しています。同じものはありません。
ビジネスの世界でも、よく〇〇市場、○○業界、〇〇層などと捉えますが、その内容は逐一変化しています。それでも我々はその○○市場が同一普遍性を持つことを前提としています。概念上の〇〇市場を分析の対象として、何やら答えを捻り出そうと賢明になっています。これではビジネスチャンスに気づくのは難しいです。
ドラッカーは、「予期せぬ成功」を見逃さないために、通常の報告システムへの組み込みなど、いくつかの解決策を提案しています。しかし、現代の組織で、実行されることはほとんどありません。代わりに、KPIはあっという間にビジネスの世界に広まりました。
◇些細な変化に気付く人
勉強もせず、訓練もせずマーケットの些細な変化に気づける人がいます。それは誰でしょうか?
それは創業者です。多くの場合、マーケットの些細なシグナルを捉え、成功に結びつけるのは、創業者(あるいは実質的な創業者)です。なぜ創業者がこうした変化に気がつけるか? それは「ビジネス=自分自身」だからだと思います。
ビジネスが自分の分身であるからこそ、自分のビジネスそのものに非常に興味を持っています。常に頭の中で自分のビジネスのことを考えています。自分のビジネスが広がることが世界をよくすることだと信じています。さらに、そのビジネスについて絶対的な権限があります。なので、マーケットの些細なシグナルに気づき、すぐにアクションへ移すことができます。
◇組織はどうか
一方で、組織の勤め人のなかで、自分のビジネスそのものに興味を持っている人は極めて少ないです。これは間違いなく、びっくりするくらい本当のことです。しかし、面白いことに、多くのビジネスの現場で前提となっていることは、組織のメンバー全員が自分のビジネスに興味があるということです。これが不思議といえば不思議です。まあ、「実は私は、自分のビジネスに興味がないんですよ」、「興味あるのは私の待遇だけですよ」と言ったら、大変なことになりますね。
多くの場合、人は、自分のビジネスそのものにほとんど興味がありません。それよりも、組織における自分自身の評価と待遇に興味を持っています。これは社会的な人間として仕方がない特性だと思います。そして、評価を得るために、バスケットボールのパスの数を性格にカウントするような仕事を遂行することが求められます。
ビジネスそのものに興味を持っているマイノリティ(少数者)が、それなりの地位に就くことは少ないです。多くの場合、とんちんかんな言動をする空気の読めない人扱いになっています。多数決を良しとする日本社会では日の目を見ることは少ないです。
◇予期しない出来事にきづくために
ここで私ごとです。一昨年に、アニメーション動画制作の会社を立ち上げました。2年が経ち、少しずついろいろなものが見えてくるようになった気がします。もちろん僕の目などまだまだ節穴です。それでも昔にくらべ様々な変化に気付くようになりました。今も新たなビジネスチャンスを発見し、自分のビジネスを組み替えています。もちろん検討外れかもしれません。それでも、体感としてマーケットの些細な変化を察知できるようになった気がしています。
マーケットの些細な変化、予期しない出来事が見えるようになるためには、自分のビジネスを持つことが一番の処方箋だと思います。自分のビジネスとは、まず自分でアイデアを出している、あるいはそのビジネスに参加することを自分の意思で選択していることです。そして、そのビジネスに裁量があり、権限があることです。
全体像が見えない組織の業務ではなく、小さなプロジェクトで十分なので、何か自分でやっている、あるいはチームでやっているという実感が持てる仕事を持つことが重要です。その仕事が組織の部門、あるいは企業の垣根を超えていればなおいいと思います。それがビジネスにおいて知覚システムのフィルタリングを払い、世界のあるがままを見るための方法だと思います。
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