高橋です
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、数回に分けてお伝えしています。
今回から数回、BBモデルについて説明します。
BBモデルというのは、営業プロセスの基本の流れを、BB=ベースボールに例えて理解していただくものです。
野球でも「勝利の方程式」と言いわれるように、BBモデルは営業における「勝利の方程式」です。
野球をご存じない方は少ないと思うのですが、念のために、ポイントを説明します。
野球では、ヒットを打つと、まず一塁を目指します。
そして、一塁がセーフになると、二塁。二塁がセーフになると三塁。三塁がセーフになると本塁に帰ってきて得点です。途中の塁を飛ばすとアウト。逆走してもアウト。と、順に段階を踏まないといけませんよね。
ここがBBモデルのポイントです。営業活動もプロセスを順序だてて、確実に一つずつステップを踏むことが重要なのです。
野球ならわかりきったことなのに、営業となると順番が毎回異なったり、しなければならないポイントを飛ばしていたり、行ったり来たりしている方が本当に多いのです。本人は気付いていませんが結果に現れます。
では順に各々進塁するために必要な営業のプロセスを解説します。
BBモデルの一塁は、「お客様と良い関係を築く」ことです。良い関係が築ければ、一塁セーフです。
深い人間関係を作るというような仰々しいものではなく、「この営業マンは感じがいいな」とか「話しやすいな」と思っていただく関係性です。
なぜお客様と良い関係を築くことから始まるか?良い関係が築けると、お客様が「あなたにだったら」と色々話してくださるようになるからです。営業パーソンが質問をしても答えていただかないと、お客様が抱えておられる問題がわかりません。問題が分からないと、どのような解決策を提案すればいいのか分かりません。つまり成果(契約)につながりません。
親しみもない、好感も持てない人に、自分の問題(ニーズ)を話す人はいません。
人と人が接するところで営業活動が行われるわけですから、最初から悪い印象では次のステップに進むことは到底かなわないことは、誰しも買い手として経験されていることでしょう。
ではどうすれば一塁セーフになるか、お客様に好印象を持っていただき良い関係を築くことができるか。
まずはビジネスマナーを守ることは当然です。
時間を守る、身だしなみを整える、あいさつや言葉遣いなど、今さらと思われる内容ですが、案外ベテラン営業パーソンが落とし穴に落ちいる部分でもあります。
長年担当したお得意様に対して、つい慣れや甘えが生じ、時間がルーズになっていたり、言葉遣いが親しみの度合いを超えて横柄になっていたりしがちです。営業パーソンにしてみれば親しみのつもりでも、お客様の捉え方は別と心得るべきでしょう。
また既存の得意先企業において購買担当者が変われば、やはり最初から一塁を狙う、つまり関係性を築くところから始めないといけないでしょう。
競合会社はいつも間に割って入って新契約の機会を狙っています。競合会社はビジネスマナーをきっちり守り、一塁を目指してきます。そんな時に、長年取引があるからとあぐらをかいた態度でお客様に接すると、いつ一塁アウトになってもおかしくありません。
「釣りバカ日誌」の浜ちゃんが営業パーソンに人気があるのは、あのように営業マンとお客様が友達のような関係になれたらいいのになあ、という現実にはなかなか叶わぬ願いを反映させているように私は思います。
営業パーソンとしては、あくまでビジネス上の関係であると心得、親しき仲にもビジネスマナーありを常々忘れるべきではありません。
次回も引き続きBBモデルの一塁、お客様との良い関係を築くポイントを解説します。
営業プロセス、営業研修、経営戦略などにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
2020年11月 のアーカイブ
勝利の方程式 BBモデル ➀
思考の強化の方法
早嶋です。
ヘンリフォードは「考えることは最も過酷な仕事」というような言葉を残しています。経営している側の人間からすると納得する部分が多く、会社に務めている側の人間からすると、かなり違和感が残る言葉だと思います。
仕事を通じて、違和感があったり、顧客と接するときにその反応から新たな対応を思いついたり。常に仕事を通じてアタマをフル回転していると毎回新鮮な気づきがあり、常にバージョンアップすることができてきます。しかし、そのような気付きの多くは、その瞬間に思考停止に陥り、その思考をバージョンアップして次のステップに進めることは訓練が必要です。或いは、そのような瞬間になっても一切なんの疑問も持たずに考えることすらしない人が殆どなのかも知れません。実際、そんな感じでしょうか。思考とは実に面白いもので、考え始めると止まらなくなり、何も考えないと何も進まない。まさにニュートン力学のようですね。
「全ての物体は、外部からの力を加えられない限り、静止している物体は静止を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける。」
ここから言えるように、思考力を強化するための最も単純な、そしてパワフルな方法は自ら考えることなのです。これを聞いて、「なんのこっちゃ?」とい言う方は、思考が常に静止している状態にあるため、大きな外圧が必要な方でしょう。その外圧は、強制的に従来の環境がリセットされ、何も使い物にならない状態に陥ることかも知れません。敢えて自分を学びの環境に入れ、矯正的に学び考える必要性をもたせる事かもしれません。いずれにせよ、思考を強化させるためには結構な環境変化を自分に課して、どうにかして思考を続けない限り、なかなか自走する状態にはならないのです。しかし、一度でも等速直線運動の状態になれば、後は自然となんの外圧もなくしても、勝手に思考に勢いがついていくのです。
思考をする中でよく言われることは「問いの発見」です。そして、その問は、有りたい姿と現状のギャップから見いだされます。有りたい姿が既にある場合は、現状を徹底的に調べれば、必ず有りたい姿と現状において、ある時間軸でのギャップが生じます。そして、そのギャップがずばり問題、自分自身に問うべき問になるのです。もし、現時点で何らかの有りたい姿がない場合、これまでの自分の過去から現在、そして今の環境を過ごした場合の延長上で、自分が行動した場合、どのような将来の自分を獲得するのかなどを鑑みながら、本当にその状態が望ましい姿なのかとか自身に問いながら、将来の有りたい姿をつくり出していきます。将来の有りたい姿を問い続ける、見つけ出す作業は企業で言えば戦略そのものです。ここから先、自分たち、自分たちの組織をどのような方向性に導きだすか?を決める作業ですがから最もワクワク、そして辛い作業の一つになります。
因みに、前者のように既に有りたい姿が見えている場合は、そこにたどり着くルートを探せば良いので、現在問題として扱います。現在問題の場合は、その問いの具体的な意味や、そのギャップが発生しているメカニズムを抑えて解明する中で、自身が取り組むべき行動のヒント、つまり課題がはっきりして来ます。しかし、将来の有りたい姿が見えない場合は、その有りたい姿を創ることから始めることになるので将来問題として扱います。将来問題の場合は、解くべき問を探す前に、導く方向性を見出す必要があるからより行動な思考になることは想像できますよね。いずれににせよ問いを明確にするためには、現在と有りたい姿の2地点をクリアにすることが、まずのヒントになるのです。思考において、この問を自ら問い、その解決に向けて動き、考え、検証する。この繰り返しを行う過程で思考はガンガンに強化されていき、等速直線運動の状態に自らを導くことができるようになるのです。
因みに、この作業は子供の頃は皆、当たり前に行っていた思考です。それが大人の階段を登って行く内に徐々に、本来の当たり前の思考プロセスをだめにされてしまったのです。例えば、考えてみてください。子供の頃は、「なんで?」「どうして?」「えっ、どうなってんの?」という感じで、常に物事に対して一定の好奇心があり、常に「その先を知りたい!」「そのような状態になりたい!」という問を問い続ける思考があったことでしょう。
ですが、小さい頃に、そのような思考のエンジンを強制的に止められる体験を繰り返す中で、考えては行けない。と暗黙に思考を諦める結果になってしまったのです。義務教育という時間により、強制的に自由な思想をカットされたのです。意味の無い数字を繰り返し暗記して、自分で問うことを忘れさせられます。絶対的な権威が与えた一つの解決方法を暗記するかのごとく、似たような類題を同じパターンで早く正確に解く訓練を繰り返されます。誰しもが自由な問をする時間を剥奪され、やがて考えることが悪かのように、そして事前に与えられた一定の範囲内で解を出すことが偉いんだという誤った思考が産み付けられるのです。
「いやいや、それはないぜ!」と本来の思考をガンガン回す脳みそにリセットすることが大切です。論理思考ではゼロベース思考なるキーワードで言われますが、過去をすっかり忘れて、「あれ、なんだろう?」と純粋な気持ちで周囲を観察するだけでOKなのです。そうは言っても、実際は思考が止まる瞬間が多々ありますね。
例えば、子供をみていて、思考する勢いは在るのですが、思考が実際は止まっている場合があります。例えば、思考する対象についての知識や視点が乏しい場合です。当然、そのような状況下ではどうやって調べれば良いか、どうやってその思考を進めればよいかの当たりが付きません。
リベラルアーツの重要性は、そんなときに考えるヒントやきっかけを与えてくれます。人は無意識に全く異なる分野や知識から無理くり探してくるのです。自由になるための学問というナイスなネーミングは、このよな背景が在るのでしょう。私は子供には普段から様々なことに思考を向けさせるように体験させ、知識のインプットも偏りをなくし雑学のようにバラバラにインプットできるように工夫しています。
しかし、これは我々大人にとっても同様の効果がでるのではと感じています。様々な分野の知識や問い、そしてそれを解決する事例をアタマに入れることで、考えが強化されるのです。
次に、問いに対して思考を進める事ができても、答えがわからないというケースも多いに訪れます。その場合のヒントは抽象化です。概念を単純化してシンプルに問う技術を磨くのです。
仮説思考のトレーニングの一つにフェルミ推定があります。これまで考えたことが無い、計算したことが無い、知らないことを、自分の知識を依り何処として、問いを単純化してモデル化して推定する方法です。難しいことを難しく考えるのではなく、単純に、時には大胆に考えることで、とりあえずの答えを自分なりに出します。当てズッポではなく、自分なりのロジックを使って、思考の筋道を残した上でのとりあえずの答えを出します。これを繰り返しながら徐々に前提条件を複雑にして問に対しての思考を深めていきます。このフェーズに入れば常に考えを進めている状態になり、最終的には何らかの合理解にたどり着く可能性が高くなると思います。
最後に最も厄介な状態が、わからないことがわからない状態です。自分が何がわからないかがわからないのです。不思議の国のアリスでは、アリスが地下道で迷っている時にアリスがチシャ猫と会話する下りが有名です。
アリス:私はどこに行けばよいの?
猫:あなたはどこに行きたいの?
アリス:それがわからないから聞いているの。
猫:だったらどうしようも無いですね。
ソクラテスが、街なかで神の真理について探求しているとき、ソフィストと問答をするシーンです。ソフィストは全てを知っているという傲慢さから、ソクラテスの問答にハマってしまい、最後は思考が詰まってしまいます。知らないことを知らなかったのです。
実際、わからないことを言語化できない状態に気がつくととても辛い感じです。しかし、その違和感を持てば、自分から思考を始める準備が整っったと思えば、後は上述した要領でじわじわと考えることをスタートすればよいのです。思考する中で、自分の中に願望が芽生え、有りたい姿が見えてきて、その結果もっと好奇心が湧いてきます。
止まっている物体に外圧がかかれば、後は動き続ける。そしてうまく重力に打ち勝って動き続ける事ができれた思考がまさる状態になるのです。そのきっかけは何でも良いと思います。最終的に物事を追求している人は分野や役割が変わっても、その思考が多方面に応用できるようになるのです。しかし、その状況が続き、最終的には持久戦になる。これをフォードは過酷な仕事と捉えたのかも知れません。
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