早嶋です。
法人顧客が提供している商品は、そのメーカーや商社が実際に販売している商品そのものではなく、対応している顧客(法人)の商売が上手くいくお手伝いです。
例えば、クライアント先で肥料を提供している会社があります。この法人のクライアントは農家を顧客にする小売店です。すなわち法人営業で形態はBtoBtoCです。
肥料提供会社(B)⇒小売店(B)⇒農家(C)
上記の例に例えると肥料提供会社が提供している商品は肥料そのものではありません。小売店が農家に対して事業を展開するお手伝いをすることです。つまり肥料提供会社が提供する商品(肥料)を小売店に卸すことで、小売店は農家への販売が容易になり、更に農家の収入が増えることが言えればすべてがハッピーになります。
例えば、肥料提供会社の社員に対して商品(肥料)の特徴を効くと次のように回答があります。
1)肥料をコートしている素材が特殊
2)肥料は一定期間の間同じように土壌に染み込む
3)初期の根がある時期に効果が高く収穫まで持続する
等々です。これは確かに商品説明としては正しいですが、肥料提供会社が説明すべきは、小売店が農家に販売できる理由です。つまり顧客のメリットを最大限明確にする必要があります。この時の顧客は、小売店と農家を分けて明確に示すことがポイントです。
実際のクライアントの商品は上記の1)から3)のような商品特徴がありますが、他社の肥料を100とした場合、クライアントの肥料は250の価格です。クライアントの営業はその価格差2.5倍に対して説明が出来ず、高いから売れないといいます。
しかし、例えば標準的な畑で1から2反程度の畑できゅうりを栽培しているとします。通常の肥料だと、その畑で10袋分の肥料を使って、収穫できるきゅうりは15〜20トンです。そしてクライントの肥料を使えば、同様の規模だとやはり10袋必要ですが、収穫できるきゅうりは25〜30トンです。
通常の肥料は10袋で20,000円程度に対して、クライントの肥料は10袋で50,000円します。これまで商品説明をしても小売店には納得されず高いと一蹴されていました。しかし、一方でその肥料の良さを理解して農家に販促している小売店もいたのです。
その理由は、単位面積当たりの肥料の量やまく回数は同じでも、収穫できる作物が通常の1.5倍〜2倍になるという実績を知っているからです。普通の相場でのきゅうりを考えると、20トン程度の売価は500万円程度ですが、これが30トン収穫できると750万円程度の売上を確保できるのです。
つまりエンドユーザーへの顧客のメリットは十分にあるのです。肥料は3万円の価格アップですが、売価のギャップが250万円もあることを考えると非常に投資効果が高い肥料と言えるのです。
一方で、小売店にもメリットがあります。通常の肥料は20,000円で販売しても小売店に残る利益は1割り程度の2,000円程度です。しかしクライアントが販売する肥料は2割程度の利益があるため、同じ10袋の販売で小売店は5,000円から10,000円の益を獲得することができるのです。
総合して考えると、見た目のコストは高いのですが、小売店にとっても農家にとっても非常に割の良い商品だということがわかるのです。それでもクライアントの営業は、はじめは値段が高いから売れ無いと思っていました。
しかし、実際は商品知識だけ、あるいは技術的なことは理解して営業されいましたが、小売店の実態やそのさきの農家の収益までを言及して考えていなかったことで、販売ロスを過去から繰り返していたのです。
商品説明では売れません。法人営業が顧客に提供する商品は、商品そのものではなく、顧客の商売繁盛なのです。
2020年3月2日 のアーカイブ
法人営業の商品は顧客の商売繁盛
第1段階の顧客モニターマーケティング調査(解説)
原です。
今回は、第1段階の顧客モニターマーケティング調査(テキスト分析)を事例により解説します。
事例内容は、料理スクールビジネスをスタートして間もない中堅の食品小売業の調査です。新規顧客の集客に向けたニーズ把握を目的に、顧客モニターマーケティング調査を実施しました。
1回目顧客モニター5名は、安心安全の食材や料理に興味がある方を募集したところ、20代の大学生から40代主婦やOLの女性が集まりました。
モニター体験とグループインタビューは、依頼企業の店舗内で実施しました。
調査当日は、企業担当者から料理スクールのコンセプトを説明。モニター参加者からの質疑応答を終え、実際に1時間のスムージー作りを体験して頂きました。その後、モニター参加者5名と弊社司会者によるグループインタビューを2時間実施しました。
以下に、1回目グループインタビューからのテキスト分析を説明します。
(1)語の出現回数
グループインタビューよる発言キーワードからは、「体験」、「参加」といったワードの出現回数が多いです。次いで、「材料」、「作業」、「美味しい」「表示」が多く、新サービスのことを話すうえで、これらの語にグループインタビューに参加したモニターの関心が高いです。
語の出現回数(図)
(2)共起ネットワーク
共起ネットワークからは、「体験」、「参加」、「作業」、「材料」などの単語と共起しているグループの存在が確認されます。
(共起ネットワークのグループごとの解釈)
共起ネットワーク(図)
(3)テキスト分析からの課題
①「体験」、「短時間」、「帰れる」、「特典」が共起されており、コンパクトでお得感のある体験が求められる。
②「参加」、「子供」、「作る」、「企画」が共起されており、子供を交えた企画も求められている。
(4)課題からの短期的改善策
・作業の役割分担、流れが明確で円滑なイベント進行。
・交通アクセスの確保(アクセスしやすい人、またはアクセスを気にしない人を対象としたイベント開催)。
(5)テキスト分析結果からのターゲットを絞った展開
③「体験」、「短時間」、「帰れる」、「特典」が共起されており、コンパクトでお得感のある体験が求められる
④「参加」、「子供」、「作る」、「企画」が共起されており、子供を交えた企画も求められている
⑤ビューティ企画は華やかなイメージ
⑥「作業」、「流れ」、「役割」、「分担」が共起されており、イベント時の円滑な進行が重要
⑦「駐車」、「車」、「無料」、「広い」が共起されており、交通アクセスが重要
■上記③から⑦のメインターゲット層イメージ
●食の安全と健康への関心がある層
・リタイア後の男性(60代~)
・20代後半から40代の幼児を育てるママ
●自己投資に関心がある層
・美意識の高い30代以降の独身女子
以上、第1段階の顧客モニターマーケティング調査分析結果から、短期的な改善策「料理体験での作業の役割分担、流れが明確で円滑なイベント進行」を取り入れ、第2段階の顧客モニターマーケティング調査でテストすることを検討しました。
心の理論・メンタライジング
安藤です。
ここ数年前から人事担当者から相談を受ける中で一番多いのは、職場内でのコミュニケーションの問題です。 そこで、今回は、「心の理論・メンタライジング」についてお書きします。
『心の理論』とは、他者の行動の背後には「心」の存在があるとする理論です。Premack&Woodruff(プリマックとウッドラフ)が示しました。彼らは、チンパンジーが餌を持っていないように振る舞う欺き行動から 「心の理論」の存在を仮説化していきました。つまりは「心の理論」とは、ヒトや類人猿などが、他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念、推測などを推測する心の機能のことです。他者の目的・意図・ 信念・推測などの内容が理解できていれば「心の理論」を持っていると見なします。
Dennettは子供が「心の理論」を持つと言えるためには、他者がその知識に基づいて真であったり、偽であったりする志向や信念をもつことを理解する能力、すなわち誤信念を理解することが必要であると指摘しました。これに基づきWimmer&Perner(ヴィマーとパーナー)は心の理論の有無を調べるための課題、すなわち誤信念課題(False-belief task)を行いました。この課題を解くためには、他人が自分とは違う誤った信念(誤信念)を持つことを理解できなければなりません。
また、「メンタライジング」は、自己と他者の精神状態に注意を向けることを指します。
Allenら(アレン)は、「行動を、内的な精神状態と結びついているものとして、想像力を働かせて捉える・ 解釈すること」としています。自分や他者の精神状態に注意を向け、その精神状態についての認識を心にとどめおいて、考えたり吟味したり感じたりすることであり、この自分自身や他者の感情について注意を向けて考えている時(精神状態を認識している時)に「メンタライズしている」と表現します。
①「心で心を思うこと」②「自己や他者の精神状態について注意を向けること」③「誤解を理解しようとすること」④「自分自身をその外側から眺めること、他者をその内側からみつめること」⑤「(何か/誰かに)精神的性質を付与すること、あるいは精神的に洗練させること」などが重要とされています。
もうお分かりだと思いますが、「心の理論・メンタライジング」は、人が円滑な社会的生活を営む上で重要な能力です。メンタライジングの始まりは、乳児期初期の社会的知覚だと考えられています。すなわち、人に対する志向性から始まり、母子関係に代表される二項関係、さらに第三者もしくは対象物を含む三項関係の成立(共同注意などがその代表的現象です)、そして他者の誤信念を理解する「心の理論」の成立へと続いていくとされています。上記の①から⑤が不足すると基本的な人と人関りが苦手になり、他者とのコミュニケーションが円滑にいかないことに繋がっていくと考えられます。
キャリアドッグ,EAP,心理学を活用したコミュニケーション研修,EQ研修,メンタルヘルス研修ご興味・ご関心がある方は気軽に弊社にご相談くださいませ。
一回の顧客を一生の顧客に
高橋です
毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。
今月のテーマは「一回の顧客を一生の顧客に」です。
今回は、カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)のシステムを開発している企業の社長との会話から、お客様とのつながりについて紹介します。
その企業は医院に特化したCRMを開発していますが、そのシステムを導入した医院はとても繁盛しています。それは一度診療した患者に定期的に来院していただく「仕組み」、一例を挙げると定期健診のお知らせ、毎月ニュースなどの情報発信、バースデーカードなど、を作り上げるからです。しかもシステムのおかげでスタッフの負担を極力かけずに済むので、その分本来の医療に専念でき、さらに顧客満足度が向上し、また来院するという好循環が生まれています。
その社長とお話しをしていると、これからのマーケティングに必要なことが明白でした。新規顧客を開拓するコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われます(1:5の法則 ベイン・アンド・カンパニー、フレデリック・F・ライクヘルド)が、日本は人口増による高度経済成長の右肩上がり時代は終わり(デービッド・アトキンソン著「日本人の勝算」)、今後国内市場の先細りを考えると、既存顧客との関係・維持強化に重きを置くのは当然でしょう。
経営コンサルタントの小宮一慶さんは著書「小宮一慶の実践!マーケティング」の中で、リレーションシップマーケティングにおける顧客の6段階分類を紹介しています。
●最初の段階は「潜在客」商品・サービスを買ってもらう前の段階
●そこから、商品・サービスを買うと「顧客」となり、
●さらに、商品・サービスが良いということで頻繁に買ってくれるようになると「得意客」となる
●さらに、「ここの商品しか買わない」という人は「支持者」と呼ばれ
●さらに、「あのお店はいいから行ってみたら」と人に勧めてくれるのが「代弁者」
●さらにその上に「パートナー」と呼ばれる人。その会社のファンで手弁当で手伝ってくれたり、「一緒にやりたい」と代理店になってくれる人
このように、「潜在客」→「顧客」→「得意客」→「支持者」→「代弁者」→「パートナー」と顧客との関係性をいかに深めていくかが企業にとって重要になります。
では、どうすれば顧客との関係性が深まるのか、方法はいくつも考えられるでしょう。「予想を上回る」と言いますが、まずは自社の商品・サービスに満足していただくことは当然の前提として感動のレベルまで高めることができれば「代弁者」「支持者」になってもらうこともできるでしょう。
また顧客から信頼され「心の距離」を縮めるためには、コミュニケーションの回数を増やすことが効果的です。心理学で人は接触回数が多いほどその相手に好感を持ちやすいことがわかっています(ザイオンス効果)。その上で「あなたは特別だ」と一人ひとりの顧客を特別扱いするコミュニケーションができればファンになってもらうことも可能でしょう。
多くの顧客がいるのに、そんなに頻繁かつ個別対応できないと考えられる方もおられるでしょうが、そこで最初に話した企業が提供するCRMなどのIT化・AI化で可能な範囲が大きく広がり成果を生み出しています。昔は大企業にしか使えなかった高価なコンピューターや特殊なシステムが、いまでは安価に手軽に手に入る時代です。クラウドを利用すれば、常に最新のシステムが安全に使用できますし、ビッグデータも無料で使えるものがたくさんあります。中小企業にとって戦いやすい時代になりました。私共もこのチャンスを逃す手はないと考え、自社にもクライアントにも積極的にCRMやリレーションシップマーケティングを取り入れてまいります。
「一回の顧客を一生の顧客に」
セールスプロセス、営業研修、経営戦略、CRMなどにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
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