ロジカルシンキング(論理思考)で最初に学んだ基本的な考え方にMECE(ミッシー)があります。
MECEは、「モレなくダブリなく」と訳します。物事を考える時に1つではなく、3つの領域で考えてみるのです。
具体的に言いますと、経営資源では、人・モノ・金。経営分析では、自社・競合・市場。問題をさらに深く分析にする時も、「なぜ?」を繰り返し3つに分解して原因を探求していきます。
3つの領域で考える理由は、1つの領域のみでは、モレが出てくる恐れがあるからです。経営資源を人だけで考えていては、モノや金に関しての領域にモレがあります。
あるいは、アンケート調査などで、子供・大人・高齢者だと、大人と高齢者にダブリがあり、データの信憑性が低くなります。
では、なぜ2つではなく3つなのか。人は2つのことに関しては考えつきますが、3つ目が考えられないという傾向があります。理由の1つに対局で考える癖があるからです。
例えば、賛成と反対。右と左。前と後などです。
結論を出す時に、賛成か反対だけの選択しかない考え方と、賛成・反対の他に、代替案を出す選択肢があれば、お互いの納得感が高まることもあります。
ビジネス交渉では、勝ち(得)負け(損)で商談取引などの交渉に望む方もいますが、お互いの問題を解決するという考え方やお互いの得について対話する交渉方法の選択肢もあります。
3つで考える習慣が身につけば、思い込みを防ぐことにもつながります。選択肢の幅を広げることでアイデアや解決方法などの視野が広がります。代替案を考えられることで、リスクヘッジにもなります。他人から異論を主張された場合も感情ベースで反対するのではなく、異論に対して冷静に対応することができるようになります。
3つで考える。お薦めの考え方です。
2015年10月7日 のアーカイブ
物事を3つで考えてみる視点
ストレスチェック制度義務化
ストレスチェック制度は、法律による義務化ですので、どこの事業場も「実施すること」
に力点を置かれているのは仕方がないのですが、本当に大事なのは「実施した結果をどのように
活かすか」ということが大切です。
ストレスチェック制度の目的は、3点あります。
①自らのストレスの状況に気づくこと、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減すること。
②検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善
につなげることで、ストレスの要因も低減させること。
③メンタルヘルス不調のリスクの高い人を早期に発見し、医師による面談指導につなげることで、
労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することです。
ストレスチェック制度の流れは、こちらをご参照ください →http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/pdf/roudou_anzen201410-2.pdf
この背景は、以前ご案内したとおり、新型労災(セクハラ・パワハラ、長時間労働)から精神疾
になり、自殺・重篤な病状から労災認定が増え、企業にとっても生産性低下に繋がっていること
があります。
従業員50名未満の事業場は努力義務になっておりますが、時間外労働、パワハラ、セクハラ問題が原因で精神疾患等・自殺の問題になった場合は、労働契約書第5条(安全配慮義務)、民法715条(使用者等の責任)にもかかってきます。また、企業における従業員のメンタルヘルスの状況と企業業績の研究では、「2004年から2007年にかけてメンタルヘルス休職者比率が上昇した企業の2007年から2010年にかけての準備は、その他の企業と比較して悪化している」という実態が明らかにされました詳細はこちらを参照ください。http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/14j021.html
ストレスチェック制度は、実施することだけで終わらず結果をどう生かしていくのか、衛生委員会で審議して審議して反映していくことが必要です。
逆張りのマーケティング
ものが溢れている時代に、ものが足りていない、手に入りにくい、欲しいけど中々買えない。これまでのマーケティングでは、増産再生を整え、流通店を増やして販売機会のロスを無くす方向に動いたでしょう。しかし、逆張りで、敢えて不足の状態を維持。敢えて顧客が買い求めにくくする動きをしている。あえいて生産量を需要よりも少なめに提供する企業があります。
みんなが知っているが、持っている人が少ない。これまでのマーケティングではプロモーションの目的が購買を促すことでした。従って、その商品の特徴や販売先、場合によっては商品と価格を表示することが良しとされていました。しかし、ただ単にイメージを示して、商品の情報や販売先の情報など何も載せない企業があります。
そのような企業が提供する商品は非常に高価。しかし、誰も知らない商品を、一部の人が持っていても、それはその人の中での価値はありますが、やはり周りの人が知っていて、高いものを持っている、希少なものを持っている、と感じてもらったほうが嬉しいでしょう。そのために認知はどんどん増やし、一方で所有を減らすという逆張りを行っているのです。
顧客は王様で顧客の声に耳を傾けることで製品を改良して良い物を作るという取組がマーケティングの中で重要な活動とされていました。しかし、あまりにも顧客の要望を聴き過ぎると平均的な商品になり、その商品そのものの特徴や機能が失われてきます。標準を目指すと尖ったものが良い人は離れ、標準的なものは他との違いがなくなり価格の勝負に陥ってしまいます。尖ったモノを求める人は価格よりもその商品や企業にロイヤリティを感じる場合が多いので価格競争から逃れることができます。
そのために顧客の声をあまり気にしないで自社の「らしさ」を徹底的に追求する企業が逆に一部の信者から信奉される現象が観察されます。今回のVWの問題に対して、フェラーリやポルシェは環境に配慮をすると言っていますが、ランボルギーニーは、これまで通りの速いクルマを作ることを重視し排ガス規制は守らないことを公言しています。
商品は全てにおいて完璧を目指すのではなく、ある程度の欠陥があるから特定の信者には受け入れるというのがあるのです。従って、そのような企業は他の企業のファンなどに目もくれず、ひらすらに自社の熱狂的な顧客層のみにフォーカスして、自社の「らしさ」を貫いた商品を提供し続けていきます。
上記のような取組は、一部のラグジュアリーブランドが行っている戦略です。従来のマーケティング手法からすると全く正反対で逆張りですよね。しかし、考えて見ると従来のマーケティング手法は世界であるいは、日本でシェアが1番から数番目くらいの企業には活用できますが、それ以外の企業は基本的にSTPを徹底してもうまいポジションは作れません。
であれば、極端にラグジュアリー企業の考え方やフィロソフィーを更に参考に、自社の戦略を立て直すというのもありです。ポイントは、一つの視点にとらわれないで、自社の方向性を考えた上で幅を持った思考があることが大切ですね。
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