交渉を優位に進めるものは?
BATNA。つまり、交渉が決裂した時の代替案です。
交渉を進める前に、その交渉が自分に取って重要な交渉か?相手との関係性は重要か?を考えます。双方が重要であれば、1)Win-Winの交渉をする。どちらかが重要であれば、2)Win-Loseの交渉になる。どちらも重要で無ければ、3)交渉をしない。これは戦略です。
次に交渉のゴールを設定します。この時のポイントは幅で考えることです。つまり、自分の最高のゴールと最低のゴールです。同時に相手の最高のゴールと最低のゴールも推定します。この時点、互いのゴールを重ねた時に、重なる部分があれば、それが譲歩できる部分になります。
そして、最後にBATNAの有無を考える。自分にとってBATNAがあれば強い交渉に臨めるし、相手がBATNAを持っていれば、強い立場で交渉を進めるでしょう。
例えば、どうしても欲しい商品があるとします。1)その商品以外に代替する商品が無い。2)別の商品でもかまわないが、その商品だとベター。3)別の商品でもかまわない。1)から3)では、交渉が決裂した場合でも、BATNAの度合いによって交渉の仕方が異なることが理解できると思います。1)は最も弱い立場で、3)であれば強気の交渉ができるからです。従って、双方のBATNAを知り理解することは大切なのです。
何より、BATNAを理解することで心に余裕がでます。決裂した場合でも別の案があることを考えると、無理に交渉を進めることが無くなります。勝者の呪いがあります。交渉を進めると、いつしかその商品がどうしても欲しくなり、後が引けなくなる状態です。オークションで価格がどんどん高騰する理由もこれで説明がつきます。皆、BATNAの存在を忘れてしまっているのです。
BATNAを理解していれば、自分にとって絶対に不利な交渉結果になり得ません。交渉が進んでいっても、その条件が自分のBATNAと比較してどうなの?と判断するからです。交渉決裂ではなく、その交渉はそれ以上進めても自分にメリットがない。と判断出来ればスッキリします。
2012年2月 のアーカイブ
BATNA
iTunesイン・ザ・クラウド
アップル社の音楽配信サービス、iTunesイン・ザ・クラウド。しばしの間、日本ではクラウド型の音楽配信における著作権の線引きが曖昧な状態でした。しかし世の中の傾向をようやく理解したのでしょう。
あたらしいサービスの内容です。iTumeストアで購入した音楽をアップルのサーバーに保存。その後、iPhone、PC、iPadなど様々な機器で自由にきけるというサービスです。普通のクラウド型のサービスですが、クラウド!と技術や難しい概念を一切説明せずにサービスインしているところが素晴らしいですね。
こちらのサービス、海外では一足先に始まりました。日本が出遅れた原因は前述した著作権問題。国内の著作者の権利を守る日本音楽著者権協会(JASRAC)がしぶっていたのです。
世の中の傾向を見ると、世界の音楽配信市場は日本を除けば拡大基調です。国際レコード産業連盟によると、2010年は2009年と比較して8%の増加。音楽産業に占める配信の割合が約30%を占めています。そして、昨年の米国では初めて配信による売上高がCDによる販売額を上回りました。
一方で日本では2011年の配信市場は2010年比で16%ダウン。2年連続前年割れを続けます。この背景は、携帯電話への配信市場を引っ張ってきたソニーミュージックエンタテイメント等が機種によってはスマホ対応出来なかったことです。ガラケーからスマホのシフトを考えると、この傾向はまずい、そう感じたのでしょう。
アップルがiTunesストアを日本で解禁した時期にも同様の遅れがありました。日本の音楽業界が1曲100円という難色を示したときです。しかし実際は、日本市場だけが特有のガラパゴス化。そして音楽産業全体が縮小する結果になりました。
日本レコード協会によれば、2011年のCDの生産額は2010年比で6%ダウンの2084億円。13年連続で前年実績を下回っています。日本レコード商業組合に加盟する音楽CD店は2011年4月時点で635店舗で、この10年間で1/3の水準になっています。
海外の音楽大手は、この傾向をいち早く察知してYoutubeに無料で音楽映像を流し広告で稼いだり、ライブ集客や関連グッヅの物販を増やすことで音楽ビジネスの収益化に取り組んでいます。
世の中の変化を敏感に察知し、自らのビジネスも変化させる。旧来のモデルにしがみついて行く業界は突然死を迎える。一方で、iTunesを更に進化させたプラットフォームを構築するアップル。iTunesイン・ザ・クラウドの日本におけるサービスインは、ネアンデルタール人とクロマニヨン人が交渉をしていたかのような取引だったのかも知れませんね。
大量生産におもう
日本のモノ作り、大丈夫でしょうか?何がかと言えば、顧客が必要としない機能満載の商品作り。口では顧客志向と良いながらも実際はかなりの技術志向。もしくは徹底的な低価格競争。
日本の有力な会社の多くは前者にのめり込んでいるように感じます。顧客にとって良いものとは、売り物(商品と価格)だけではなく、その売り方(流通や販促やサービス)も含んでいます。良いものの定義を今一度企業で考えたほうが良いと感じます。
後者はユニクロに代表されるコストリーダーシップを徹底する企業。そこまでする?というぐらいの徹底ぶりは素晴らしいですが、多くの商品を購入しても何となく満足感より残念感が残ります。かといって買わない訳ではないのですが、購入した後に「こんなに買っちゃった」と。何となく安いものを買った、価格に負けたという感情を抱きます。
良いものを安く。は素晴らしいですが、良いものはある程度金額を払わないと満足感も得られません。皆賀競争をしても、ハッピーになるヒトは少ないと思います。
何が何でも安く売る。そのためにコストを削減する企業努力は素晴らしいと思いますが、その努力が褒めた耐えられる世の中ではないような気がします。その日その時のイベントに応じてメリハリを付けて消費をする。我慢する時は我慢して、ハレの日はパッと使う。
企業努力で大規模経営をすると確かにモノは安くて良いものが提供できるでしょう。でも、小規模経営にしか出来なかった味のある商売を駆逐することになります。生存競争に生き残れないのは生涯ない、と一蹴するのは残念です。
何でもかんでもやりすぎない。ほどほどだから美しい。ほどほどだからまた、次に行きたくなる。欧州の国々には、いまも小さな町が自分ができる範囲で商売を続け、昔と変わらない生活をしている地域があります。そこに住むひとの表情がなんとも幸せそう。
大量製造、大量販売、大量消費。この文化はいつから生まれたのでしょうか?
名刺を整理して顧客の意思決定のプロセスを整理しよう!
B2CとB2Bの最大の違いが相手が個人か?組織か?ということ。相手が組織である場合、組織の中でどのようなプロセスで意思決定をされるのか?は法人企業を相手にする企業に取って重視するポイントの一つです。例えば、一人で購入する場合と、十人で購入する場合を比較して下さい。後者は意思決定を行うために複数の利害関係者がかかわることから、そのプロセスもとても複雑になることでしょう。そう、複雑だからこと時間がかかります。
ってことは、B2Bの特徴は、顧客である組織の意思決定プロセスを押さえることでかなり効率的なマーケティングが出来るということが言えます。そのためには、こちら側も組織で対応することが重要です。
しかし、実際は法人企業に対して、営業パーソン任せで独りで営業しているB2B企業が目立ちます。従って、相手の意思決定のプロセスが個人の営業パーソンの頭の中にあり、暗黙値となり共有されることもありません。それを示す証拠は名刺の管理です。多くの企業では、営業パーソンが持つ名刺は個人で管理され、チームで共有されることは少ないのでは無いでしょうか?
しかし、相手が組織である場合、誰がキーパーソンで、そのキーパーソンは誰の意見を尊重するのか?誰が決定権を持つのか?誰が?・・・ということを徹底的に分析することが大切です。これが組織の意思決定を分析することです。最も簡単な方法は、顧客組織の名刺を一同に集めて、誰がどのように繋がり、決定までにどのようなプロセスで意思決定を行うか?を考えることです。皆で集まってカルタを行うようにわいわいがやがや。意外と重要な情報が個人の頭の中から引き出され、チームで形式化されますよ。
中国の農業ビジネス
先日、中国での農業事情について意見交換する機会がありました。当たり前ですが、中国での人口増に伴い農業はビジネスチャンスです。
中国経済はニュースで報道されるように毎年10%近いGDPの伸びを示しています。それに伴い物価も上昇、5年でおよそ2倍近く跳ね上がっています。当然、人件費も高騰しており中国に進出している海外メーカーからの悲鳴は良く耳にする話です。中国政府の発表では、2012年から5年間も毎年13%平均でGDPが上昇すると試算しています。うーん、すごい。
これに伴い沿岸部など中国経済を牽引して来た地域では人手不足が慢性的な問題になっている用です。そのため、中国でも人の手で何かするより機械化を進めている話も最近では当たり前です。2008年より不動産は高等を続け、2010年に政府が介入したためバブルはいつはじけてもおかしくない状況です。そのため資産を持っている方々は次の投資先を躍起になって探しています。一昔は一攫千金を狙えた鉱山開発も国有企業に集中しているため財を成すことは難しいようです。
今年より中国政府はトップの交代があります。そのために政策の転換が考えられます。その時のポイントは、かなり内需にフォーカスしています。当時ヒアリングした内容では、農業に関するポイントが5つありました。
1)外需から内需への転換
トップの交代によって、まず大きな方向性の転換は内需へのフォーカスです。これまで6割を外需に頼っていました。それを13億人の内需市場を取り込むことがメインになります。
2)農業ビジネス
中国人に占める農村の人口は6億から7億程度でほぼ半数以上が占めます。そして都市部の人口と農村部の収入格差は開くばかり。この格差を解消しなければ暴動がおこる恐れが考えられます。従って、農業に力を入れることを急務としています。中国政府は、2004年から8年連続で農業にフォーカスしています。近年の中国内部のメディアでも農業がキーワードになっています。そして毎年麦代が補助金が農業関連についています。中国政府も地方も補助金の約6割を農業関連に充てていることを見ると今後の政策の本気度が伺えます。聞く所によれば、農業関連の貸し出しは金融機関も優先するように、政府からの通達が出ているそうです。
3)本物志向への変遷
中国の消費者は本物志向に変遷しています。一瞬、そうなの?と思いますが、経済の成長と収入の増加を考えると偽物に興味が無くなるのもうなずけます。農産物に関しては、日本産の地域ブランドが中国の高級スーパーで飛ぶように売れている話は有名です。
4)食品の安全
本物志向とともに、食への安全志向が目立って来ています。ある程度の所得がある人の話では、中国産は怖くて食べられない。高くても日本産を買うようにしているよ、と。しかし、大陸での多くの食品はまだまだ日本の安全性の域に達するまでは時間がかかるでしょう。例えば、日本で牛乳の賞味期限といったら1週間程度でしょうが、中国では6ヶ月。何がはいったら、そんなに持つの?と疑問を投げたくなるような設定です。新鮮な牛乳は市場には殆ど出回っていないのです。おいうことは、今後、このような食の安全を支援して行くインフラや施設がどんどん整備されていくのです。
5)自然派と郊外派
北京や上海の都市部は環境が悪く渋滞がひどいため、郊外に観光農園などに行って余暇を楽しむことがブームになっています。自然志向が強くなっているのです。なんだか不思議な話ですね。
結局、成長を遂げている国でも実際の経済の伸びと農業にはかなりのギャップがあるのです。工業が進んで行く一方で、環境や自然、農業をないがしろにしていてはまずい!というのが本音でしょう。従って、農業ビジネスへの投資は自然と増えて行くし、日本の技術に注目が集まるというシナリオです。
きっと、次のようなキーワードに絡んだ日本の企業は、今後の中国の波に乗っていくことでしょう。
◎ 食品の加工技術や加工の機械化が得意な企業。この分野は世界でも日本が一番であり中国は興味を持っている。
◎ 日本の畜産技術。具体的には肉牛と乳牛。特に日本の黒毛和牛は注目されている。年間に15万トンの肉牛の需要がある程度で今後うなぎ上りに上昇する。牛肉一般を見れば、まだまだ品種が悪く畜産技術も悪い。背景は、多くが原始的な育て方なので、肉質が改善されていない。ここは農家の教育レベルや畜産レベルや技術が低いことも理由。日本で注目されていない肉牛や乳牛の技術は、中国ではダイアモンドの原石のように重宝されるでしょう。
◎ 中国では乳牛の安全性も低いようです。上述したように添加物が沢山はいっていて長い保存期間です。これは日本と違って常温流通をしているため限界があるのです。郊外から都市に流通が整備されると流行って行くでしょう。ということは冷温流通の技術は今後中国でも普及して行く、そこに対しての技術提供は価値がでてくるでしょう。
◎ 農機具市場。農業投資に関連して農業技術にも注目が集まります。大企業はもちろん、日本の中小企業の農機具メーカーも進出のチャンスです。
◎ 種と苗にも注目が集まります。日本の品種改良の技術はトップクラスです。特に、トマトといちごは良い技術を持っています。
◎ 園芸。近年、個人需要に加えて、政府の需要が高まっています。2008年のオリンピック、2010年の万博から都市建設に対して園芸が求められるようになっているのが理由です。それに比例して個人消費としての贈答品市場も伸びています。これは上述した自然回帰の兆候でしょう。日本と同様に郊外の自然はレストランには連日都会の金持ちで長蛇の列になっています。
◎ 植物工場。莫大な胃袋を満たすためにはこの技術も書かせません。技術的には日本が優れているので注目は集まっています。
うーん、農業ビジネス。あつい!
韓国企業の文化輸出大作戦!
一昔前まで韓国製と聞いてもパッとしたイメージが湧かなかったと思います。しかし、近年はそうではないですね。寧ろ親近感まで抱くかたもいるのではないでしょうか?その裏には、韓国政府が主導している国家戦略である『文化輸出戦略』があります。
当時、韓国文化を世界的なブレンドにする公約を掲げた李明博大統領は、大衆文化を有力な輸出コンテンツとみなして、海外進出を加速させました。そして現在では、同産業では外貨獲得に貢献するまでに成長しています。始めは冬ソナに代表するテレビドラマが中心でしたが、ジャンルが広がり近年はK−POPと幅広いコンテンツがあります。地域も日本だけではなく中国、台湾などの東アジア。そして近年は欧米諸国や中南米まで広げています。
この効果、何がすごいのか?例えば昔の日本製品のように「悪かろう、安かろう」というイメージが韓国製品にもあったと思います。しかし、いまでは韓国文化浸透のおかげで、クールなイメージが定着しつつあるのです。知人が話をしていました。ベトナムではサムスンはかっこいい!とイメージが強い一方で、日本製品は年寄りが使う製品のイメージと。
日本が粛々と20年の時を過ごしている最中、隣国韓国では戦略的に国のブランディングに取り組んでいたのです。韓国貿易協会が日本や中国、台湾やベトナムなどから韓国に訪問するバイヤーに対して実施した調査によれば、回答者の8割以上が『韓流ブームが韓国製品の購入に影響を与えている』と答え、4人に3人が実際に韓国製品を購入しているとあります。更に同協会は、今後のK−POPやドラマを通じて、韓国製品の露出を計り、加工食品や化粧品、そして衣類などの輸出にも影響を与えるだろうと分析しています。
韓国スターの創出⇒韓国製品のテレビの露出⇒韓国製品の販売増加⇒韓国ファンの増加というサイクルを有機的に活用して、世界的に共感される韓国ブランドを創出しているのです。あっぱれです。
相手のビジネスを考えることがB2Bのマーケティング!
法人向けにビジネスを行っている企業をB2Bと称した時に、良く聞く言葉。マーケティングの考え方はB2Cであって法人向けに活用出来ない。果たして本当か?早嶋は否と否定します。
現に、数十億円の産業材の販売支援を行っていた時の教科書はスターバックスの事例であったり、コカコーラが行っているマーケティングでした。そしてB2Bに対してコンサルティングを提供させて頂く場合、B2BとB2Cの違いを確認しながらも両方の事例を参照に戦略を立案して行きます。
マーケティングで大切にしている要素の中で、ベネフィットがあります。これは、顧客が買う理由です。なんでその商材を買うのか?に対する答えです。B2Cの場合、これが良く分からないというのが正直なところだと思います。顧客の95%の消費が無意識に行われているからです。いや、顧客はアンケートに理由を添えて書いてくれるよ!と思うかもしれませんが、その時は企業が問うから、その時に考えた、というのが正しいでしょう。
何故かったの?と言われても良く分からないけれども、良く分からないと書くと、バツが悪いから、最もらしい理由を書いておこう。場合によって、自分が考えていることを正確に言語化できることも難しいと思います。そんな訳で消費者向けのマーケティングにおいてベネフィットを特定する作業は極めて難しく永遠の課題になっていくとおもいます。
でも、B2Bは違います。確実に買う理由があります。その商材を使って自社のビジネスを更に行いやすくするためです。つまり、長期的な利益を上げるための仕組み作りに貢献することが出来れば、B2Bに対しては買う理由を提供できたことになります。これを考える場合は、その企業が最終的にどのようなビジネスを行っているのか?全体像を把握する事が大切です。
クライアント企業で法人向けに電動アシスト付き三輪車を提供している企業があります。この企業が売っている商品を自転車と捉えると金額が高い!と思われるでしょう。実際に、法人向けの提示価格は1台あたり20万円から30万円程度です。商品についてフォーカスするとかなり高い印象をうけるでしょう。しかし流通業界が直面している課題を解決するものと提案した場合は急に魅力的な商品になるのです。
改正道路交通法の影響で流通業界は集配効率が著しく低下しました。これまで路駐して荷物を集配していたのに、それが出来なくなったからです。始めのうちはバイトをトラックの助手席に乗せていて停車の状況を作っていましたが、人件費が2倍になるため、長く続きません。次に、100円パーキングを利用して、そこを機転に荷物を集配するようにしましたが、100円パーキングが常に空いている訳ではないので、効率が悪いままです。
そこで比較的に人口が密集している地域では、1階のロードサイドに面する建物を借りて、そこを中心に荷物を運ぶ動きが定着しました。そして、その時に運ぶ手段が台車です。1日あたり、一人の担当者が集配する荷物が平均して140個前後。これまでのようにトラックを使っていても12時間程度の時間がかかっていました。それが台車を使うことで効率が一気にながし14時間を楽に超えるようになります。
そこで電動アシスト付き三輪車の登場です。道路交通法上、軽車両という位置づけですので荷物を集配する時に歩道に停車していても一定期間は問題ありません。台車付きの自転車ですので荷物も効率的に集配できます。この自転車を使うことによって、これまでの平均的な集配時間である12時間を達成てきます。
つまり、荷物の集配効率を14時間から12時間に短縮できるためのツールになったのです。例えば、集配するための人件費が1000円/時間だとすると、1日あたり2000円のコストを削減できる商品なのです。1ヶ月では30日なので60,000円。つまり、3ヶ月で十分に基が取れる商品なのです。耐久年数が2年程度なので、このように企業の使い方や使途を提案することが出来れば、企業にとってはものすごくありがたい商品になるのです。
この発想自体は、顧客のベネフィットを徹底的に考え、その解消を商品として提案するです。これは最も基本的なマーケティングの発想です。また、相手の法人企業のビジネスをやり易くすることを考えると、その企業が最終的にどのようなビジネスのスキームで利益を上げているのか?を理解することがとても大切なことが理解できます。B2Bのビジネスにとって、提供する企業はクライアント企業の仕事がやり易くなることを提案できたらいいのです。
クライアント企業がB2B向けのビジネスを行っていたら、最終消費者のことまで考えて提案することが最も効果的な提案になります。そこまで自分たちのビジネスを考えているのね?と顧客は相当に喜んでくれることでししょう。これぞ究極の顧客志向と言う訳です。
緻密なB2Bのセグメンテーション
顧客ターゲットを特定する時に、セグメンテーションは重要です。これまでのリクツでは消費者は自分が商品を購入する理由を明確に分かっている、を前提に、顧客の購買プロセスを分析してマーケティングのシナリオを考えていました。しかし、実際、顧客にヒアリングをするから、購買した理由をその時に考える、という考え方もあります。また、消費者の購買の95%は無意識に行われている、という研究結果もあります。
例えば、自分が何か購入するとき、何故買ったかは明確にわからないけど、後で理由付けをすることは多々あります。感情で買って、あとでリクツを考える。です。しかし、法人企業が何かを購買する時は違います。理由は、購買対象が組織であり、その商品を使って自社のビジネスをやり易くする、或は長期的な利益を追求していくために購入するからです。
ということは、B2Bのマーケティングは、B2Cと比較して顧客のベネフィット(購買するための理由)が明確であるということが言えます。セグメンテーションという作業は、自分たちがビジネスを行い易いように、顧客のベネフィットを軸に様々な市場を切り分けて分析する作業です。B2Bのセグメンテーションは、以前示したように、企業毎に大きく分けたあと、重要顧客については組織を更に分けて行く緻密な作業が可能です。
その時に、今度は組織からヒトにフォーカスすることも可能です。消費者の場合は、何故買うのか?は分析しにくいですが、相手が法人の場合、その理由が明確だから、逆に組織に属する個々人のベネフィットも明確に抽出することが可能です。
例えば、役割の違い。役割が高いヒト、通常社長や事業部長など、会社側の人間の購買する目的は会社のベネフィットに従います。従って、商品の購買を通じて利益を追求することを第一の目的とするでしょう。しかし、役割が低くなると様子が異なります。現場にいるヒトは、自分の仕事がより楽になればいい!と考えるでしょう。中間管理職としては、現場からの情報と上からの指示の板挟みにあります。従って、どちらの満足も満たしながら自分の仕事がこなし易くなることを望むでしょう。
このように組織を分析したあと、今度はそこにいる個々人レベルを分析することで、よりマーケティング活動をしやすくなるでしょう。役割の違いによって決算権限や決済金額も異なります。大企業といっても部長クラスではそんなに大きな金額の決済権限を与えられていません。
例えば、リテラシーの違い。リテラシーとは、その仕事内容に精通しているか否か、などと捉えると良いでしょう。役割が高いからといって、その業界のことを良く知っているとは限りません。サラリーマンですから異動があります。部門のトップに立つ役割のヒトであっても、全く違う分野で成績を上げたヒトも多々います。もちろん、叩き上げでその地位を獲得したヒトもいるでしょう。
従って、リテラシーの度合いを観察しておくことは大切です。仮にリテラシーが高いヒトは、ある程度自分が考えているようなシナリオで企業の長期的な利益を高めて行きたいでしょう。その場合のB2Bマーケティングのポイントは、そのヒトの意向を最大限に引き出しながら提案に組み入れることでしょう。逆に、リテラシーが低ければどうでしょうか?ヒトにもよりますが、丸投げニーズが存在するかも知れません。この場合は、B2Bマーケティングのポイントは相手を慮りながらも、こちらのベストな提案を見せてあげれば良いと思います。ただ、丸投げニーズがある場合は、自分の保身には関心があります。そのため、過去の導入実績や大手との取引、自社のブランドなど、この企業に任せておけば大丈夫!という感情的なベネフィットを全面にだすことも大切です。
企業を大まかにセグメンテーションした後は、組織を切り分ける。その中で意思決定のプロセスを分析して、最後は個人レベルまで考える。B2Bマーケティングの場合、購買プロセスの中で誰に対してどのような情報提供を行ったほうが良いのか?いつのタイミングで誰に提案したほうが良いのか?組織の意思決定の流れに加えて個人レベルのベネフィットや権限や力関係を理解しておくことができるのです。B2Cよりも緻密に戦略が立てられるのです。
B2Bセグメンテーション
マーケティング活動において重要な作業にセグメンテーションがあります。顧客や市場を同質と捉えずに、異なるニーズやウォンツを持つ塊と過程して、そのニーズやウォンツによって様々に分ける活動です。市場をセグメントに分けることによって、ターゲットを絞り易くなります。
細かく分ければ分けるほど、その顧客セグメントが持っているベネフィットを提供しやすくなるでしょう。顧客を良く知り、顧客のベネフィットを満たす商品を提供する。結果的にその顧客セグメントから指示されるメリットがあります。
B2Cのセグメンテーションでは、人口特性や地理特性、感情的な分け方や地理的な特性で分けてることが多いです。しかしB2Bのセグメンテーションは実は結構複雑に分けることができます。その理由は相手が組織であるということ。更に、その組織は明確な購買理由を持つために、通常のエンドユーザーよりもベネフィットの抽出が良いであるということ。
実際、B2Bでセグメンテーションを行う時は、先ずは企業レベルでざっくりとわけ、その次にそのセグメントの中の重要企業に対しては更に組織をセグメンテーションしていきます。
企業レベルで分ける場合の切り口は、業種や規模、そして所在地などがあります。業種によって求められるベネフィットやそのレベル感がことなります。以前仕事をさせて頂いたたまごの卸売りの場合、食品メーカー、外食産業、ベンダーなどに分けていました。食品メーカーに対しては液卵、冷凍卵、乾燥卵など卵を素材と位置づけた商品を提案していました。外食産業では卵を加工食品として提案し居酒屋やレストランにはデザート用のメレンゲとしての提案でした。
B2B企業に対してコンサルする場合もざっと分けていきます。例えば同じメーカーでも化粧品などを作るメーカーとバイクなどを作るメーカーでは大きく異なります。どちらの会社も営業利益率が8%から9%程度でした。化粧品メーカーの売上に占める原価の割合は25%程度、販管費が65%程度です。これは、いかに売ることにフォーカスした活動に力を入れているのか?が良く分かります。一方、バイクを作っているメーカーは、売上に占める原価の割合が80%程度で販管費の割合が10%程度でした。こちらの場合は、いかに作ることに力を注いでいるのか?が良く分かります。
ターゲットは中小企業!という場合もまだまだ乱暴です。中小企業庁のデータによれば、いわゆる中小企業は日本に430万社も存在します。これを全てターゲットにするというのはやや無理があるでしょう。そこで、中小企業も10人未満とか30人未満とか50人未満のように、先ずは幾つかの切り口で大きく分けて分析することが出来るでしょう。
儲かっている会社と利益が出ていない会社でも、企業の行動に大きな変化があります。前者は節税のためにある程度の投資をしたいでしょう。後者は経費を少しでも減らす提案が欲しい所でしょう。
決算の時期によって区分することもできます。例えば3月決算4月はじまりの企業であれば、10月ころより来年度の予算を考え始めます。従って10月から12月頃までにある程度の予算の枠組みが出来ています。そして1月から2月にフィックスさせ3月末に発表して4月からスタートする。こんなサイクルになるでしょう。もし大きな投資提案を行う場合は、当たり前ですが9月から10月頃に企業にアプローチできていなければ交渉のテーブルにつくことができないのです。
企業レベルで大きく分けた後は、こんどのその中の主要顧客に対しては部署レベルに分けて分析します。企業は組織に役割を与えて個々に活動を行うので、部署によってもベネフィットが異なってきます。そしてそのベネフィットは多くの場合、どの企業においても共通の項目を観察出来ます。
B2B企業に何かを提案する場合、その企業の部署がどのように連携してどのように意思決定を進めるのか?そのプロセスを整理します。そして、そのプロセスを頭に入れながら先手先手の交渉を心がけます。また、意思決定の重要なプロセスにおいては、事前にB2B企業が検討しやすいように資料を提出しておくことや、優位な情報提供をしかるベキタイミングでしかるべき担当者に提出することも大切な活動です。
これまでの経験でだいたい以下のような部署とベネフィットの関係があります。経営企画は会社全体の利益に興味がある。費用削減や資金繰りの改善など常に頭を抱えている。開発の部隊は、自分たちの開発の効率化が中心で、営業やエンドユーザーからの情報をどのように共有するのか?という課題に直面しています。生産部門は、リードタイムを短くすること、在庫の歩留まりをなくすこと、安全性を維持することがもっぱらの焦点です。広告宣伝を中心におこなう部隊は、自分たちが作ったプロモーションがどの程度の効果を上げるのか?に頭を悩ませています。営業は売上ノルマの達成と顧客のクレーム処理対応、効果的な営業の方法についていつも考えています。総務は、社員の満足度や働く環境を良くすること、人員の確保や離職率を低減することなどの興味があります。経理はコスト削減。近年では不正経理をどのように防ぐのか?も課題の一つとして取り上げられます。最後にシステム部門。彼らの興味はセキュリティー対策やシステムの安定性が大きな課題です。
このようにB2B企業をセグメンテーションする場合は、まずは大きく古いにかけるように会社をわけ、その後、その会社の部門ごとの力関係やベネフィットを整理する。そして意思決定のプロセスを考えて、どのようにアプローチを行うと効果的な提案ができるのか?を考えていくのです。
B2BにもQCD
B2B企業にとってのベネフィット。mROI。B2B企業が商品を購入する理由は、自社のビジネスを通じて利益を長期的に上げるためです。目的が利益ということですので、B2Cのベネフィットよりは明確だと言えるでしょう。
とは言え、B2B企業の全体像を捉えてマーケティング活動する企業は意外と少ない。多くの企業が自社の商品の特徴を言っておわり、つまり顧客志向と良いながら本質はまったく内向きになっています。そんな時、例えば顧客にとってのQCDを考えるのはどうでしょうか。自社の商品を活用して頂くことでB2B企業の利益貢献にどれだけ近づくかを質、コスト、納期にフォーカスして考えるのです。
品質。もちろんこの場合、自社の提供する商品にフォーカスするのではなく、その商品を使うことによって、B2B企業のビジネスがどのように質を高めるのかを提案するのです。ここで大切なのは、自分の立場より顧客の立場。自社の商品がどのように顧客のビジネスに価値を生み出すのか?顧客のビジネスの全体像を捉えた上で提案することがポイントです。
コスト削減も同様。自社の安さを強調するだけでは能がありませんね。顧客の商品全体をみたとき、自社の商品がどのようにコスト的にインパクトを与えるのかを提案することが大切です。例えば、商品が高くても、顧客が独自で行う場合より自社商品を活用したほうが良い場合、結果的には顧客のコストが削減できる場合もあります。また、現在、顧客が行っている手法に変わって、自社の商品を活用することで、全体的な顧客のコストが削減する場合もあります。全体を捉えることが出来ているのに、提案する時は自分たちの商品の話ばかり。これだったらB2B企業は興味を持たないのも当然です。でもどうでしょう。全体として話をされると、自社にメリットがある!と思えばどんな方でも話に食い入ること間違いなしです。
そして納期。顧客にとって、発注から納品の時間を短くすることはメリットです。また指定した日時に納品できることや、安定して供給することだってメリットです。もし、提案する商品がB2B企業にとってなんらかの納期メリットが言えたら、ここを訴求しない手は無いでしょう。
QCDのフレームワーク。旨い!安い!早い!吉野家のようなB2C企業でなく、本質はB2B企業にもインパクトを与えることができるツールなのです。
最新記事の投稿
最新のコメント
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月