マーケティング活動において重要な作業にセグメンテーションがあります。顧客や市場を同質と捉えずに、異なるニーズやウォンツを持つ塊と過程して、そのニーズやウォンツによって様々に分ける活動です。市場をセグメントに分けることによって、ターゲットを絞り易くなります。
細かく分ければ分けるほど、その顧客セグメントが持っているベネフィットを提供しやすくなるでしょう。顧客を良く知り、顧客のベネフィットを満たす商品を提供する。結果的にその顧客セグメントから指示されるメリットがあります。
B2Cのセグメンテーションでは、人口特性や地理特性、感情的な分け方や地理的な特性で分けてることが多いです。しかしB2Bのセグメンテーションは実は結構複雑に分けることができます。その理由は相手が組織であるということ。更に、その組織は明確な購買理由を持つために、通常のエンドユーザーよりもベネフィットの抽出が良いであるということ。
実際、B2Bでセグメンテーションを行う時は、先ずは企業レベルでざっくりとわけ、その次にそのセグメントの中の重要企業に対しては更に組織をセグメンテーションしていきます。
企業レベルで分ける場合の切り口は、業種や規模、そして所在地などがあります。業種によって求められるベネフィットやそのレベル感がことなります。以前仕事をさせて頂いたたまごの卸売りの場合、食品メーカー、外食産業、ベンダーなどに分けていました。食品メーカーに対しては液卵、冷凍卵、乾燥卵など卵を素材と位置づけた商品を提案していました。外食産業では卵を加工食品として提案し居酒屋やレストランにはデザート用のメレンゲとしての提案でした。
B2B企業に対してコンサルする場合もざっと分けていきます。例えば同じメーカーでも化粧品などを作るメーカーとバイクなどを作るメーカーでは大きく異なります。どちらの会社も営業利益率が8%から9%程度でした。化粧品メーカーの売上に占める原価の割合は25%程度、販管費が65%程度です。これは、いかに売ることにフォーカスした活動に力を入れているのか?が良く分かります。一方、バイクを作っているメーカーは、売上に占める原価の割合が80%程度で販管費の割合が10%程度でした。こちらの場合は、いかに作ることに力を注いでいるのか?が良く分かります。
ターゲットは中小企業!という場合もまだまだ乱暴です。中小企業庁のデータによれば、いわゆる中小企業は日本に430万社も存在します。これを全てターゲットにするというのはやや無理があるでしょう。そこで、中小企業も10人未満とか30人未満とか50人未満のように、先ずは幾つかの切り口で大きく分けて分析することが出来るでしょう。
儲かっている会社と利益が出ていない会社でも、企業の行動に大きな変化があります。前者は節税のためにある程度の投資をしたいでしょう。後者は経費を少しでも減らす提案が欲しい所でしょう。
決算の時期によって区分することもできます。例えば3月決算4月はじまりの企業であれば、10月ころより来年度の予算を考え始めます。従って10月から12月頃までにある程度の予算の枠組みが出来ています。そして1月から2月にフィックスさせ3月末に発表して4月からスタートする。こんなサイクルになるでしょう。もし大きな投資提案を行う場合は、当たり前ですが9月から10月頃に企業にアプローチできていなければ交渉のテーブルにつくことができないのです。
企業レベルで大きく分けた後は、こんどのその中の主要顧客に対しては部署レベルに分けて分析します。企業は組織に役割を与えて個々に活動を行うので、部署によってもベネフィットが異なってきます。そしてそのベネフィットは多くの場合、どの企業においても共通の項目を観察出来ます。
B2B企業に何かを提案する場合、その企業の部署がどのように連携してどのように意思決定を進めるのか?そのプロセスを整理します。そして、そのプロセスを頭に入れながら先手先手の交渉を心がけます。また、意思決定の重要なプロセスにおいては、事前にB2B企業が検討しやすいように資料を提出しておくことや、優位な情報提供をしかるベキタイミングでしかるべき担当者に提出することも大切な活動です。
これまでの経験でだいたい以下のような部署とベネフィットの関係があります。経営企画は会社全体の利益に興味がある。費用削減や資金繰りの改善など常に頭を抱えている。開発の部隊は、自分たちの開発の効率化が中心で、営業やエンドユーザーからの情報をどのように共有するのか?という課題に直面しています。生産部門は、リードタイムを短くすること、在庫の歩留まりをなくすこと、安全性を維持することがもっぱらの焦点です。広告宣伝を中心におこなう部隊は、自分たちが作ったプロモーションがどの程度の効果を上げるのか?に頭を悩ませています。営業は売上ノルマの達成と顧客のクレーム処理対応、効果的な営業の方法についていつも考えています。総務は、社員の満足度や働く環境を良くすること、人員の確保や離職率を低減することなどの興味があります。経理はコスト削減。近年では不正経理をどのように防ぐのか?も課題の一つとして取り上げられます。最後にシステム部門。彼らの興味はセキュリティー対策やシステムの安定性が大きな課題です。
このようにB2B企業をセグメンテーションする場合は、まずは大きく古いにかけるように会社をわけ、その後、その会社の部門ごとの力関係やベネフィットを整理する。そして意思決定のプロセスを考えて、どのようにアプローチを行うと効果的な提案ができるのか?を考えていくのです。
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B2Bセグメンテーション
2012年2月9日 木曜日
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