早嶋です。
本日は、パソナテックのBI講座の基礎編、第一回でした。参加者の方々、お疲れ様でした。
さて、昨日に続いてセグメンテーションについてです。顧客を同一セグメント内で同質的に、似たような特徴を持たせるようなわけ方はどうすの?
マーケターにとっても常に試行錯誤を繰り返す課題です。セグメンテーションを行うためには、マーケティングの知識はもちろん、市場を読む視点や世の中の変化や仕組みを捉える力と視点が必要です。この力や視点は一夜で身につけることはできませんが、繰り返しトライすることによって徐々に身に着けることができると思います。
セグメンテーションを行うための知識として顧客を分けるための視点が存在します。これらの視点は主に消費財で用いられます。
■デモグラフィックス(人口統計的要因)
年齢、性別、家族数、所得、職業、学歴、社会的な階層などです。よく、30代独身OLなどというセグメントわけがありますが、これはデモグラフィックスでセグメントを行った結果といえます。
■ジオグラフィックス(地理的要因)
地域、都市の規模、人口密度、気候、国内と海外などです。国内だけでも地域が変わると味覚が変わったり、考え方が変わったりする場合、ジオグラフィックスによるセグメンテーションは意味があります。
■サイコグラフィックス(心理的要因)
ライフスタイル、性格、趣味、嗜好などです。デモグラフィックスやギオグラフィックスと違って定義が曖昧なためデータを集めるのが難しい分、マーケティングを行ううえでは有用なデータとなります。したがって、マーケターは好んで使うセグメントの視点です。
■購買行動
購買シーン、購買頻度、使用者の状態、購買単価、購買点数、ロイヤリティなどです。こちらのデータも収集するためにはコストがかかりますが、その分、マーケティング情報として有益です。近年はハウスカードやポイントカード、クレジットカードにおけるデータ収集が容易になったため、購買行動にかかわるデータは取得しやすくなりました。また、購買行動と他のデータの相関性から関連を考えるデータマイニングもよく行われています。
分けるのはわかったけど、でも、これらの視点をどう使うの?こちらについてはまた今度。
2008年8月 のアーカイブ
セグメンテーション②
研修報告
早嶋です。
本日は小田原の富士フィルムの研修センターでマーケティングの研修でした。参加者の方々、お疲れ様でした。本日のワークで行ったウーロン茶とヘルシアウォーターについてコメントしたブログ「快楽主義VS禁欲主義」を参照ください。
セグメンテーション①
早嶋です。
30代・独身・OL。さて、皆さん、どのような方を想像しますか?
マーケティングを考えよう!ということで、「やっぱりターゲットは30代の独身OLだね!」なんて会話、よく耳にします。このように、顧客を共通の特徴で分けて、特定することをセグメンテーションとターゲティングといいます。
マーケティング戦略を考える上で市場が同質的でないことを理解することは重要です。例えば、友人一人一人個性があり、好みが違っていることと思います。同じように個人の集団によって形成される市場も同質ではないことは容易に理解できることでしょう。
これはBtoBのビジネスであっても、BtoCのビジネスであっても同じです。買い手が企業の場合、やはり企業によって個性があり、他の企業と違う特徴を持っているでしょう。
じゃ、個々にソリューションを提案すれば?と思うかも知れません。しかし、それぞれのニーズに個別に対応しようものなら資本がいくらあっても足りないことでしょう。もしくは、企業に利益を残すためにもものすごい高いソリューションになるでしょう。
そこで、個人や企業の個性や特徴に着目して、何らかの特徴に注目しながら似たような塊を見つける方法が考えられます。これがセグメンテーションです。
そこで、冒頭の30代・独身・OLに着目してみましょう。このセグメント、一見、同じような特徴を持っていると思うかもしれませんが、10人の方に聞けばバラバラのイメージがかえってくることでしょう。ここにはセグメントの落とし穴があるのです。
続きは明日。
セミナー報告
早嶋です。
本日は、福岡の某企業でマーケティングの研修でした。参加者の皆様、お疲れ様でした。今日は、その足で福岡→羽田→品川→小田原→大雄山と移動が続きます。
No.1の特徴
早嶋です。
本日は、福岡で終日マーケティングの研修後、その足で小田原に移動しています。結構な移動でした。
さて、ブログ「Eating the Big Fish」でリーダー企業の優位性についてコメントしましたが、今回はあえてネガティブな視点を2つ考えて見ます。
1つ目。通常の業界ではある程度シェアがおおきくなればさまざまなメリットが生じることは先般コメントしたとおりです。但し、デメリットも生じるでしょう。業界で高いシェアを獲得していれば、ある程度までの顧客獲得は低いコストで達成できるようになるでしょう。そのためシェアが増えるにつれて利潤も増えるでしょう。しかし、ある臨界点を超えて高いシェアを狙うには利潤を犠牲にする場合があります。
例えば、判官びいきの存在です。なぜか、1位やトップを嫌う人々です。巨人が強いから阪神ファンみたいな例です。仮に、リーダー企業がこのような人々にまで何か商品を購入していただこうと考えたら、予想外のコストがかかることでしょう。
2つ目。シェアを1位として存続するのが難しくなる場合です。例えば技術革新によって既存の大規模な生産設備が陳腐化したり、長い時間かけて培った経験効果が失われたりなどです。ここは、企業の規模が大きければ大きいほど注意を要すると思います。
ハードディスクドライブがもし、フラッシュメモリーにとって変わるような事があれば、ハードディスクドライブの技術的なシェアが陳腐化していくことが予測できます。
カラオケを以前作っていた企業は映像を手がける企業が多かったです。これは、カラオケは映像を見ながら歌う!というルールが当時存在したからです。しかし、技術の進歩によって、ネット配信ができるようになるとカラオケはとにかく新しい歌、インディーズでも何でも歌えたほうがよい!というルールに変更していきます。すると、当然、カラオケの機器でトップシェアを維持してきた映像機器メーカーは技術についていくことができず、シェアを落とすどころか、現在では業界からも姿を消しています(ブログ「パラダイム」「パラダイム進化論」を参照)。
とは書いたものの、やはり1位のメリットは魅了的です。一度トップに躍り出れば諸費者の頭の中にはNo.1ブランドのイメージが残ります。流通や小売もトップ企業に有利に動いてくれるでしょう。規模の経済が効いて安く作れるようにもなるでしょう。シェアを維持する経費も2番手以下よりも少なくすむでしょう。やっぱり魅了的です。
チャレンジャー企業がリーダー企業に対してその座を奪おう!と果敢に挑戦するのはそれなりの理由があるのです。但し、物事を考える場合は、両方の視点を一様もっていることも大切ですね。
「見える化」の次は「掘り下げ」
早嶋です。
ブログ「不満足の行動」でもコメントしましたが、不満を持った顧客の96%は企業に対して何も言わないといわれます。自分が何らかの不満を持ったときに、店員さんやお店の人に何も言わないことを考えると、この数字は感覚的に納得できるでしょう。
そこで、企業としては顧客の声を見えるようにする事はとても重要なことになります。そのため、近年、顧客の声を見える化する活動を行っている企業が多くあります。IT化の波に乗り、比較的顧客の企業を見える化できた企業は多くあります。但し、またここに問題が生じます。
見える化が本当に企業の改革や改善成果を生むかどうかは、顧客の声の真の原因を特定して対策を打っているか?ということにかかっているのです。多くの企業では顧客の声の収集に成功して、そして誰もが見える形の見える化は成功しています。しかし、その声に対して真の原因を見極め深堀を行いながら対応策を打っている企業はまだまだ少数だと感じます。
08年9月号の日経情報ストラテジーに、上記に関連した記事、「顧客の声の見える化だけでは不十分 声を掘り下げてこそ要望がわかる」というタイトルでカルビーの事例が掲載されていました。
カルビーも04年からVOC(ボイス・オブ・カスタマー)委員会を社内で組織化して、お客様相談室を積極的に活用する方針を打ち出しました。スナック菓子を主力とするかルビーにとって顧客一人ひとりの声に耳を傾け、要望を見える化して対応することが不可欠だと判断したのです。
プロジェクト発足後、多くの声が集まり見える化に成功しました。しかし、実際に集めて見ると、顧客の声から改善につながる有効な情報がほとんど集まらなかったのです。むしろ情報量が増え、声を分析する要因の苦労が増すばかり。
見える化を実現させたことによって、上記のような問題に直面した企業は多くあると思います。現在、仕事をさせていただいている地方都市のデパートでも同様の問題に直面しています。そして、そのキーとなる問題は、顧客の声を見える化することは仕組み上できていますが、実際に顧客の声の掘り下げ方ができていないで、本当の要望を聞きだせずにいるの、です。
例えばカルビーの事例では、「○○はおいしかった!」という声がたくさん寄せられます。これに対して、オペレターは顧客にお礼を言って通話を終え、そのような声が月に何軒あったか集計をとって終わりです。
しかし、なぜ、企業に電話をかけてまでこのような声を発しているのか?それによって、その商品をもっとよくできたり、他に活用できることは無いだろか?というヒントにつながることがありません。これこそが、顧客の声を見える化することは仕組み上行っていますが、実際に顧客の声の掘り下げ方ができていないで、本当の要望を聞きだせずにいるの、です。
これを解決する取り組みが「なぜなぜ5回で顧客の問い合わせを掘り下げる」です。これに関しては、ブログ「クリティカルシンキングwhy」でもコメントしていますが当にトヨタ自動車の改善活動をヒントにしています。
見える化が行えて一安心!では、せっかくの見える化が意味を成しません。ぜひ、一歩踏み込んで、声の深堀を行ったうえで、真の原因を突き止めて改善策を打つことまで行って見てください。
バケーション
早嶋です。
先週1週間、休暇を利用して奄美諸島の沖永良部島でキャンプをしていました。起業する前はよく離島でのキャンプを行っていましたが、今回は久々です。なんといってもPCとネットワークの無い世界でしたのでキャンプ2日目頃から仕事と離れすっかりリフレッシュすることができました。ちなみに、島にいたときのブログのアップは予約機能です。便利です。
子供の頃、誰もがロビンソン・クルーソー (岩波文庫)や十五少年漂流記 (創元SF文庫)を熟読されたことと思います。
父親の言いつけに背いて船乗りになったロビンソン・クルーソーがカリブ海らへんの無人島に難破してたどり着きます。絶望に陥りながらも努力を重ね、島の生活を豊かにして、人食いの野蛮人、フライデイをも善良化していく話です。また、十五少年漂流記は、些細ないたずらをきっかけに漂流してたどり着いた無人島で生きていく少年たちの姿を描写しています。
両著とも冒険ストーリーですが、もっと深いメッセージがあるようです。たとえば、ロビンソン・クルーソー。人種差別的な側面やカニバリズムを悪として裁くことが是なのか?などを描写しています。あたかも人間が神に変わって人を裁くことがよいことなのかということをです。十五少年漂流記でも大人社会の管理を批判することなく善と捕らえています。そして、これに対してあたかもアンチテーゼを投げかけているようです。
無人島や島にもともとあった文明やしきたり。それを外からやってきた人々が変えていくことはいいことなのか?どちらの作品も植民地支配の思想を無意識か意識的に刷り込んでいるのでしょう。
レクサスの差別化戦略
早嶋です。
企業がとるべき戦略は3つに集約できる、と言うことで以前ブログ「3つの競争戦略」でコストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略を紹介しました。その中の差別化戦略では、何らかの差別性を企業が訴求して、それを顧客が感じ取ってくれる重要性を強調しました。
トヨタ自動車のプレミアムカーラインであるレクサスの競合者は皆さんご存知の通り、強力なブランド力を持つベンツやBMWです。レクサスはこれらのブランドに対抗するために、そして顧客の認知を獲得するために差別化戦略を取ってきました。
レクサスのブランディングをすすめる上で、レクサスがどんなに頑張ったとしても欧州車の歴史は無いといった事実を受け止めていました。そして、この認識を前提にレクサスの差別化戦略が考えられます。
トヨタは製品開発からサービス提供に至るまで、企業が顧客に価値を提供する一連の流れ、つまりバリューチェーンにおいて性能、デザイン、仕様、専門部品などの500項目についてレクサス・マスツ(LEXUS MUSTs)という商品化の基準を設けました。
この基準の特徴的なところは、ブランドを確立するためのアクションを具体的な方法や基準にまで落とし込んでいる点です。例えば、意匠のマスツでは、レクサスの売りのポイントである静かさのために、空調、ファン、モーターの音量を数値で規定しています。例えば、新技術時間差展開のマスツでは、新技術の採用はレクサスからはじめることに決めている。などです。
ただ、実際はレクサス・マスツの大半は非公開です。公開するとその部分を模倣される。しかし、公開しなければ、顧客にレクサスのすごさが伝わらない。きっとレクサスはこのようなジレンマを受けながらブランド化されたのだと思います。
それと北米での展開と日本での展開でも異なっています。どちらかといえば、500のこだわり!といえば日本人は飛ぶ着きそうですが、北米の人は関心を示さないでしょう。彼らが実用主義者が大半だという仮定です。実際、北米のレクサスのHPではレクサス・マスツに関する情報公開はほぼゼロです。
レクサスであっても差別性を顧客に認知してもらい、ベンツやBMWと違うポジションを感じてもらうために、随分苦労があったのだと思います。差別化戦略と言っても、重要なのは顧客の認知。企業本位の満足では全く意味がないのです。
思考の特徴
早嶋です。
お盆休みの時期ですね、皆さんはいかがお過ごしですか?
近年、脳についての研究が進み、これまで良く分かっていなかった脳のメカニズムが明らかになっています。これによって、思考についても体系化して整理することが出来るようになっています。
人が考えるという行動は、経営戦略を考えたり、マーケティングを考えたりと、何をするにも切っては話せない関係にあります。今回は、思考の特徴として、5つに絞って紹介します。
1)一時的に1つのことに関心する
何かに集中すると周りが見えなくなる、一度考えたら思考の枠が出来てしまって中々新しい発想が出来なくなる、などです。これは、ニューロンネットワークの研究が進んだことより明らかになっています。脳を効率的に働かせるために、脳はあたかも他のことを考えないように制御しているのです。これがもとでアンカリング効果が起こるのです。
と言うことは、このことを意識することによって回避できるのでは?例えば、ある情報inputに対して、1つの視点から思考している場合、「待てよ、今、脳が1つのことに集中しているな!あえて別の視点からも考えてみよう。」といった具合です。
2)既成概念に捉われ易い
これもニューロンネットワークの影響が大きいようです。ニューロンが活性化されている状態に刺激を受けるとより敏感になるそうです。そして、このパターンを繰り返すと脳みそがかってにショートカットしてある思考パターンをつくりだします。毎回、あるプロセスを踏んで考えるよりも早くなるからです。しかし、時間が早くなる一方で毎回、同じような思考パターンになるのです。
と言うことは、このことを意識することによって回避できるのでは?例えば、クリエイティブシンキングを意識的に行うなどです。
3)似たようなものを同一視する
ニューロンは同じパターンの活性化領域をどんどん作り出して思考のショートカットを行います。これも脳を効率よく使うためのメカニズムなのでしょう。しかし、このお陰で脳はあるインプットに対して似たような別のインプットを同一視して知覚するというのです。つまり、慣れ親しんだモノ・コトに対しては益々新しいアイデアを生み出すのが困難に成るのです。
と言うことは、時々、全く違うはじめての経験をつんだり、知識をインプットしたりすることによって思考を変えていくことが出来るのではないでしょうか?或いは、1人で出来ない場合は、自分と全く違う思考パターンの人と話をしたりすることで、自分の思考パターンを破壊することも考えられますね。
4)過去の経験が思考に大きな影響を与える
つまり、過去の経験が思考に影響を与え思考のクセを形成するのです。ニューロン間の結合度合いは過去の活性化状態で受けた刺激の回数によるといいます。
5)「感情」といった脳内の科学的なバックグラウンドの変化が思考に影響する
脳が楽しい!とポジティブに受け取っているときと、不快だ!とネガティブに受け取っているときでは思考の仕方が異なるというのです。そして、ポジティブな状態のときの方が思考に良い影響を与えるとか。
と言うことで、やはり楽しいこと、興味のある事を増やすことや、仕事自体を好きになることが大切なのですね。趣味は生き生きとして、仕事はねーと言う方。あなたの人生から仕事を取ると寝ている時間を除いて1/3程度しか残りませんよ。
と言うことで、脳の仕組みを理解しながら、そこに打ち手を考える。そして、自分に有利なように脳をコントロールすることが出来るのではないでしょうか?
Kaizen
早嶋です。
先日、トヨタ自動車の人事部の方々とお話する機会がありまして、そのときに伺った内容を基にトヨタの強みについてコメントします。
KAIZEN
改善は既にビジネス用語として浸透していますね。意味は、「常に進化、確信を追及し、絶え間なく改善に取り組む」です。トヨタ自動車でのKAIZENは、大きく3つのテーマに分かれているようです。1)改善、改革の追及、2)リーンなシステムの構築、3)組織的学習の徹底です。
1)改善、改革の追及
改善、改革の追及は、「絶え間無い改善」「創意くふう、ベンチマーク」「ブレークスルーの追求、タブーの排除」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。
「絶え間ない改善」
絶え間ない改善とは、一時の成功に安住しないで、より高い挑戦目標を掲げて絶え間ない改善を実施することだそうです。
実際、トヨタの人と話すと分かるのですが、「・・・・なるほど、素晴らしいですね」と話すと必ず、「いや、まだまだですよ」とかえってきます。絶え間ない改善は日常の会話にも染み入っていました。
「創意くふう、ベンチマーク」
常に智恵とくふうをこらすことの徹底です。誰の発案かに拘らず、卓越したアイデアを社内外に広く求めて研究すること、社内外との比較を通して自分の力を把握すること。創意くふうとベンチマークを一緒に行うことが素晴らしいと感じます。No.1でありながら、社内外から多くのことを学び取ろうとする謙虚な姿勢は、トヨタの方々と話をすると伝わってきます。
「ブレークスルーの追求、タブーの排除」
これは、前例やタブーに囚われずに不可能だと諦めない。そして創造的なアイデアによるブレークスルーを目指すことです。これに関しては、『何も変えないことが最も悪いこと(奥田碩氏:97年社長就任時のコメント)』という発言が有名ですね。
2)リーンなシステムの構築
リーンなシステムの構築は、「原価低減による利益追求」「ムリ、ムダ、ムラの排除」「後工程尊重、ジャストインタイム」「問題の顕在化、自動化」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。
「原価低減による利益追求」
価格設定においては、マークアップ方式、いわゆるコストに利益を乗せて価格を決定する方法、競合他社との相対間で価格をつける方法、そして市場の値ごろ感で価格をつける方法の3つがあります。トヨタでは値ごろ感を更に一歩踏み込んだ価格設定を行っています。市場が売値を決める中で、最高の品質と効率を追求して、中長期的に原価を低減させることによって利益を生み出すことを目指しています。トヨタの方々が、製造業の利益は原価を低減してころ得られる。かかっただけの原価に利益を上乗せして値段を決定するような原価主義の考え方は縁がありません!と口をそろえて話されていました。
「ムリ、ムダ、ムラの排除」
これは、強烈でした。ずばり、付加価値を生まない活動や事象であるムリ、ムダ、ムラを徹底的に排除する!ということです。これはトヨタ創立時に豊田喜一郎氏がコメントした『一本のピンも其の働きは国家につながる。各自の業務に無駄あるべからず』の精神ですね。
「後工程尊重、ジャストインタイム」
全ての工程において、後工程をお客様とみなして、必要とされる質、内容のモノ、サービスを必要なタイミングで必要なだけ提供することです。ここは、云う易しですね。これに関しても豊田喜一郎氏のコメントに、『作業の手順や部分品や材料の授与において、時間の遊びを出来るだけ省略して行くものですが、これは全ての連絡の基本的信条としてジャストインタイムということを遵守してゆくつもりです。品物の授与において早すぎたり遅すぎたりしないようにするのが其の原則です。』が有名です。
「問題の顕在化、自動化」
ポイントは、現場に権限を与えていることだと思います。現場で判断可能な業務は、自立型ユニットを独立させ、権限委譲を行い、ユニット毎に問題の顕在化と対応の早期化を促進することです。この背景は、問題が管理監督者の知らない場所で繕われていてはいつまでたっても改善は進まないし原価も安くならない、です。異常があれば機械を止めるということは、問題を明らかにするということ。問題がはっきりすれば改善も進む。製造業において、機会をとめるとそのまま生産効率のダウンになります。しかし、根本的な原意をそのままにしては将来的な利益をついばむという、まさに原価低減による利益追求とリンクした行動です。
3)組織学習の徹底
組織学習の徹底は、「状況の共有化」「失敗からの学習」「成功の標準化・横展」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。
「状況の共有」
状況の共有を行うときも目で見えるツールを活用して関係者間での状況認識の共有化と気づきを促進することです。
「失敗からの学習」
失敗を隠蔽せずに迅速に正し、個人的な過誤のみを責めないで常に構造的な問題を探し出して対策を打つことです。
「成功の標準化・横展」
成功のプロセスを標準として採用して、横展開し、組織内に定着するように努めることです。そして、外部に対してはデファクトスタンダード化を目指すのです。
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