早嶋です。
新型コロナの影響下、コンビニとスーパーの需要に大きな変化があります。そもそもコンビニやドラックストアにスーパーは押され気味だった背景は、少子化であったり核家族化であったり、もっと言えば食の個食化にあったと思います。それが緊急事態宣言とともに、スーパーでまとめて買うという昔のような消費者行動が戻ってきたのです。
全国スーパーマーケット協会の統計によれば2020年1月まで実に15ヶ月連続のマイナス成長です。消費税の軽減税率なんて全く関係なく業界全体で低迷が続いていました。それが2月は5.5%増、3月は7.4%増、4月は緊急事態宣言と共に2桁増のスーパーが続出しました。
この感覚は実際に生活していても感じます。普段のスーパーと明らかに人の混み合いが違います。はじめは休日だから混み合っていると思いましたが平日でも基本スーパーは混み合っていました。
外出が自粛され家族が集まるため、スーパーでまとめ買いする消費者行動が定着しているのです。対してコンビニは単身世帯や独居、そして家族住まいでも個食を対象としていたため、2月頃からの世帯の消費者行動の変化に対応ができなくなっているのでしょう。
コンビニは、立地がよく利便性が高い一方、定価に近い価格で販売するビジネスモデル。しかし、この状況下、少しでも現金を手元に残そうとする消費者心理はやはりスーパーに向いたのでしょうね。考えて見れば当然の流れですね。
コンビニの中で最も苦戦している戦略は、オフィス街に積極出店した店舗でしょう。都内の従業者だけでも900万人のポテンシャルがあった街のコンビニ需要は外出を控える一連の動きで打撃が大きいことは予測できますよね。特に、近年は彼ら彼女らのランチの需要まで取り込んでいましたからやはり直近付きの売上は軒並み前年付マイナスですよね。
特にファミマは積極的にオフィスや駅前の都心部に出店をしていたため最も売上減少が大きく15%近く下げています。一方でセブンは首都圏の住宅地の近くに立地を展開していたためコンビニ3社の中で最も減少幅が少ないです。それでも5%減少ですから業界的にいかにダメージが大きいかわかります。
今回の落ち込みは一時的なものではなく、継続すると考えると、コンビニは立地戦略を見直す必要がでてきますね。それから商品の品ぞろえもです。
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スーパーとコンビニ
エンゲル係数の増加
早嶋です。
コロナ前後で変化する指標にエンゲル係数があると思います。みなさんは、エンゲル係数が今後どうなると思いますか?
エンゲル係数は、1世帯あたりの全消費に占める食費の割合です。つまり、以下の数式で表現できます。
エンゲル係数 = 食費 / 1世帯あたりの全消費
エンゲル係数を上げるための取り組みは、①分子である食費を増やす、②分母である全消費を減らす、の2つの方向性が考えられます。エンゲル係数は、ドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲルが1857年の論文で発表しています(※1)。エンゲルによれば、エンゲル係数の数値が高いほど生活水準は低いとされます。食費は生命維持と直接関係があるので、嗜好品や娯楽品と比較して削られる可能性が極めて低いです。
そのため、景気が良いときは②の食費以外の消費が増え結果的にエンゲル係数が下がる。景気が悪いときは②の食費以外の出費が抑制されるため結果的にエンゲル係数が下がる。というものです。この数値は世帯構成や生活習慣によって多少は頃なり地域や国によるバラツキはあるようですが、概ね経済の指標として受け入れられる。という学びを経営修士の経済学で学んだことを思い出します。
戦後からバブルまでの日本の同指標はまさにエンゲルの指摘通りになっていました。戦後間もない頃のエンゲル係数は60%台と非常に高く、その後の復興、そして経済成長とともに数値が減少しました。2000年代前半には20%台前半の数値を示すようになります。
当時のエンゲルの前提に、巣篭もりやリモートワークという概念はなかったと思います。新型コロナウィルス対策のため、このまま休校からリモート学習、リアル出勤がへりリモートワークが定着するとどうなるでしょう。これまで自宅にいる時間が増えるので、水道光熱費やトイレットペーパー代など家族と共有する時間は増えることが考えられます。そして同様に食費も増えるでしょうね。
実際、ここ1ヶ月、スーパーが去年の今頃と比較して常に混んでいると感じるのでは無いでしょうか。巣ごもり前は、昼の食事は外や会社で食べ、夜も会食があり、自宅で食事をする機会は少なかったと思います。出張等で他のエリアにいる場合は、食事を外で食べざるを得ませんよね。しかし、リモート、外出規制があることで食事は皆で家で食べるようになると当然食材を買う回数も量も増えるわけですから食費は増えるのです。4月7日の2月の統計調査では食費は7.5万円と昨年の数値と比較して4.2%も伸びており、4%を超える伸びは7年ぶりだそうです(※2)
2020年2月のエンゲル係数が34年ぶりに25%台になったそうです。実に1986年以来のことだとか。さて、エンゲルが示したように日本は貧しくなったのか?という解釈ですが。巣ごもりによって①分子である食費は確実に上がっています。豊かな家庭は、この機会にお取り寄せを増やしたり、テイクアウトを楽しんだりと家での食事を充実させていることでしょう。食品会社の方々から話を聞くと、法人向けの飲食需要は減少しているが、家庭向けの食品が急増していると。従い、いってこいの稼働状況だが、利益率は下がっていると。法人向けが大容量で出せる分、利益が載せられるのは推測が付きます。話を戻しますが、①の分子である食費はやはり上がっているのです。
次に、②の分母の全体の消費です。巣ごもりによって、クレジットカードの請求が急に減ったと思います。あるいはスイカのポイントの入金等も。当然、ネットで通販消費は幾分増えているでしょうが、全体としては減っていますよね。移動における交通費がほぼゼロになっていますよね。そうすると、本来使っていた消費が減ることで、そもそも消費しない状態。あるいは、それを別に振り返る。でも外に行けないので結局食費や家庭内を充実する支出に変えていく。という行動が起こるでしょう。
一方で、生活が不安だと感じる家庭は、逆にその資質をセーブすることとなり、結局は②の食費以外の消費が減る分、分母全体が減ることになります。個人事業主などの場合は、3月の後半頃から急激に家庭の収入が激減していることを受け、やはり一時的に食費などの生命維持に欠かせない出費以外は抑えざるを得ない状態になっていると思います。
巣ごもりの前提を仮にエンゲルが入れていたらどうでしょう。最終的には不安が無くなった場合でも、外出そのものができにくい状況が続き、収入がこれまで通り安定しているという安心感がある状態になったとしましょう。すると人の消費は、内の投資にむくでしょうか。つまり、家の投資であったり、車の投資であったり、あるいは衣類やアクセサリーや化粧品などの投資です。
家や家具の投資は考えられますが、既に機能は満たしているので急激に投資をすることはきっと私は考えにくいと思います。車に対しては、外出したところで行動範囲が限られているので、最低の機能で良くなるので高い投資は控えるのでは無いかと思います。移動の制限によって、他者に見せる、触れさせる、他者をみて好奇心が湧く。という欲求がそもそも下がると考えられるからです。
当然、SNSによって他者のきらびやかな生活を見ることで物欲は枠でしょうが、それでも半径30cm程度を充実させて、そのフリを演出することは十分に可能です。Zoomで会議をしても、これまで通り上下をおしゃれにする必要ななくなりました。下半身は結構ゆるゆるのスタイルが多いのではないでしょうか。
となると最終的には食べるとか、寝るとかの充実は高まりますが、やはり毎日の出費が連続的に増える部分に食費が高まるという結果になるのではないかと思います。従って、極端に戦後の頃のうように60%台になることは考えにくいですが、25%〜30%程度に上がることは間違いないのではないかと勝手に推測した次第です。
※1:Wikipediaより参照
※2:日本経済新聞 2020年4月28日 オカネのトリセツより参照
中小企業M&Aガイドライン
経済産業省が、中小企業におけるM&Aの更なる促進のため、平成27年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂した「中小M&Aガイドライン(2020年3月31日)」の紹介と概説です。早嶋が20分くらいでガイドラインの目的と全体像を説明しています。
また、早嶋が理事を務める一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会でも、代表理事の大原、専務理事の松原、早嶋の3人で少し詳しく「中小M&Aガイドライン」についての紹介と解説をしています。
ーー以下、経済産業省のWbページより抜粋ーーー
後継者不在の中小企業にとって、M&Aを通じた第三者への事業の引継ぎは、事業承継の重要な手法の一つですが、中小企業経営者の中には、M&Aに関する知見を有しておらず、長年経営してきた自社を第三者に「売る」ことを躊躇する者も存在します。また、中小企業におけるM&Aが円滑に促進されるためには、仲介業者や金融機関などのM&A支援機関が、適切に支援を実施することが重要です。
こうした現状を踏まえ、経済産業省では、昨年12月20日に策定・公表した「第三者承継支援総合パッケージ」に基づき、平成27年策定の「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し、「中小M&Aガイドライン」を策定しました。
ーーー
中小M&Aガイドラインは3月31日に国から出されたガイドラインです。
9月入学
早嶋です。
コロナウィルスのWWCの期間を地球全体のリセット期間として、小学校から大学、あるいは企業のスタート時期を9月にリセットするのはどうか?という議論が出ています。
4月のはじめにFBで高校生の投稿を見て、その後2週間後くらいから政治や企業や多方面で議論がでてきています。そして首相や都知事や大阪府知事も言及する状況です。
9月をスタートにすることで、欧米などの9月入学に合わせることができ、日本から海外、海外から日本の学生の交流がかなりやりやすくなります。当然、これまでの習慣が変わるのですから、物議が出てくるのは当然です。しかし、3月4月の時期の桜以外に、合理的なデメリットが見えてきません。
例えば、
・企業の採用日程
・公務員試験等各種国家資格の日程
・入試の日程
・運動会や体育対大会の日程
・各種教育期間の日程
といを上げている方がいますが、既に3月、4月、そして事実的に5月はズレが出ています。この3ヶ月間でズレをそのままにするよりも9月にリセットして再スタートするほうが合理的です。
入試に関して、7月、8月の入試はどうするのか?という議論に対して、9月がスタートとした場合、2020年4月から8月はカウントなしとして、9月スタートに合わせて、入試の時期を調整することで済みます。つまりこれは日程調整の話です。
家庭の負担をどうするのか?とい議論もあります。8月で卒業して入社が次の4月。いやいや、企業は必要な人材は関係なく採用するし、企業も9月に入社式を変えた方が国際基準になり都合がよくなります。ということでこの発想も杞憂だと私は思います。
幼稚園は?という話題もありますが、この時期に全てをかえるという議論を行っています。従い、全ての教育期間と企業が連携しやすいチャンスです。この期間に国際化できなければ、もうその機会はないでしょうね。
そもそも日本は、明治維新で西洋の教育が一度導入され、高等教育は9月入学が主流となった時期があります。それが明治19年に国も会計年度を4月から3月にしたことで、当時の文部省の指示で高等師範学校は4月入学になりました。当時の理由は学校運営に必要なお金を政府から調達するためには国の会計年度の始まりに合わせないと不都合。とする考え方からでした。
そう、デメリットが無いと私は思うのです。むしろメリットしかありません。
WWC
早嶋です。
一連のパンデミックは、過去にも多くの人が予測したものです。映画の世界にもなっていますし。多くの政治家から個人レベルまでその認識はあったと思いますが自分も含めて、誰も予測ができなかった危機という解釈をしています。そう理解することで自分を安堵させているかもしれません。
過去には、SARS、H1N1型インフル、MERSなどがあり、それは十分な警告で、その事例を自分ごと捉えて準備をしておくべきでした従い、今回の一連のコロナウィルスは起こるべくして起きた危機だと捉えられると思います。しかし、世界を見渡すと、と言ってもニュースやWebで見るだけの情報ですが、国によって対応がバラバラ。というかその国を納めている政治家の様子がはっきりと投影されています。
イタリアやスペインは今回のコロナの影響というよりは、その因果はもともとの医療体制や福祉体制の脆弱さが露呈されていると思います。これはフランスも同じです。台湾や韓国は先のウィルスに対して準備を行っており対応は正しく他の国々と比較して初動は早くうまく対応していると思います。米国やブラジルはやはりその統治スタイルで軽視しすぎていた結果が露呈しています。中国は今後四面楚歌になるのではないか?というほど、あるいみらしい行動です。はじめは情報を隠蔽。やばいと思ったら資源を総動員してことを収めて、自分たちの勝利を祝っています。
世界の傾向は、今後は融合するのかと言えば、無いでしょうね。よりポピュリズムが強くなり、しいては独裁主義のカラーがつよくなる。そして米国は以前のロシア(旧ソ連)を中国にシフトしてこれまで以上に激しくぶつかると推定できます。それぞれの国は、ロックダウンした政治家はその影響よりも自分たちが取った成果をアピールすることでしょう。社会的な距離を取ってコロナを収めた政治家は、他の国を批判して自分たちの行動を正当化するでしょう。
最後に地球が矯正リセットされた時期を第二次世界大戦としたら、今回はこれまで史上はじめて地球全体がリセットされる出来事です。その意味で、コロナ世界大戦(Worl War C)という言葉が既に生まれています。そして2020年、ひょっとして2021年はコロナ前、コロナ後でBCとACと表記されるくらい劇的に全てが変わると思います。
無形資産へのシフトの結果
早嶋です。
事業買収を行う場合、実物の有形固定資産に対しては明確な記述対象となるけれども、その他の顧客との信頼関係やブランドの価値や製造ノウハウや集客ノウハウなど、実際に事業に必要不可欠な資産は表現がむずかしい。それらを認識して資産と上げると無形資産となります。
例えば、ある会社を現金1,000で買収します。資産や負債の正味の時価が600でした。通常のれんは差額で算定されるので、無形資産の認識がなければのれんは400です。一方無形資産が300だと認識されていれば、のれんは100です。
国の勢いや状況を示す国内総生産GDPは、消費、投資、政府支出、純輸出の価値の合計で、最近まで全て有形資産でした。しかし経済は有形資産よりもソフトや企業間の取り決め事項や社内のノウハウの蓄積など無形資産に価値がシフトしていると思います。これらは1960年代とか70年代にアルビン・トフラーがポスト工業化で非物質的なモノが経済にインパクトを与えることを推定していたこともあり、当時から広く受け入れられた概念だったようです。
2000年頃より始まったIT革命、2007年頃より始まったスマートエコノミー。実態経済だけでは記述ができない新たな経済空間に対して大前さんはニューエコノミーという概念を提唱しました。当時、企業の研究者だった私は、なんとなく研究アイデアや特許のことを言っているのかな?と思った程度だったのを思い出します。
無形資産に対して、他の文献や書物を読んでいると、メリーランド大学のチャールズ・ハルテン氏が2006年のマイクロソフト社の研究をした話がわかりやすかったです。当時の市場価値は2500億ドル。バランスシートでは総資産700億ドル。うち600億ドルが現預金や金融資産でした。工場や設備などの伝統的な資産は30億ドル。
同氏はマイクロソフト社の帳簿を分析精査して無形資産を特定したのです。それらは製品開発や研究開発に投資して生み出したアイデアやデザインやブランド価値や社内の仕組みや研修で得られた人的リソースなどでした。その際、彼は無形資産を3つに分けています。
1)コンピューター情報、2)イノベーション財産、そして3)経済能力でした。これらの分類をすすめる中で、無形資産を生み出すための無形投資について、従来の有形投資との違いがいくつか整理されました。「無形資産が経済を支配する」の著者ジョナサン・ハスケル他は、その特徴が4つあると言っています。そのなかで3つのサンクコスト、スピルオーバー、そしてスケールはピンと来ました。
1つ目は、無形資産はサンクコストが多いことです。M&Aなどでもよくありますが、店舗を居抜きで譲渡する場合と営業権を付けて譲渡する場合では価値が異なります。有形資産だけで考えると、什器や店舗の造作や車両などは一応市場で売買することができます。しかし、一定期間経っても営業権付きで売買できない場合(そもそも無形資産的な価値はなかったかも!)も多々あります。
実際、その店舗独自の運営マニュアル(あるいは考え方)や顧客対応術などを他社が価値を見い出さない場合もあるからです。これらはサンクコストとなり、回収が実際に難しい手の資産への投資はデットでの資金調達はかなり弱いです。その理由も、何かあったときに資金が回収できないからです。
2つ目は、スピルオーバー、つまり波及効果です。コンサルティングの商売ではじめて知った意味のある言葉「ぱくって、ぱくって、おりじなる(PPO)」です。なんとも含蓄のあることばですが、まさにスピルオーバーです。無形であるがゆえに、開発者以外も基本的には容易に活用することができます。
アイパッドもアイフォンも、今となっては殆ど同じような商品を他社がガンガンだしています。その御蔭で一般ピーポーは経済合理性が高くなっていることもありますね。
3つ目は、スケーラブル、つまり拡張可能性です。ウーバーなどの事業がピシャリです。あるエリアや国でアプリを開発して事業モデルを確立すると、アプリはiOSかアンドロイドに乗せると事実世界中に。そして、そのビジネスモデルは国や地域の規制はあるものの、一気に横展開が可能です。無形固定資産で売上を立てる場合は、売上を倍にするためには投資も2倍でしたが、無形資産の場合は拡張の自由度が全くことなります。
当然、誰かがスケールが大きな事業を行うと、2つ目のスピルオーバーが効いてきて、模倣が始まります。ウーバーに対してはグラブが相当します。結果、かなり激しい戦いが生じて、世界に数社の企業が生き残るという結果が見えてきています。
最後はシナジーです。これは無形を組み合わせることで威力を発揮するという話ですが、固定資産においける事業においても同様なので、私はジョナサン・ハスケル氏にここは共感できませんでした。
ただし、上記の3つの特徴は経済や社会に対して、一般人からするとより便利に、そしてより安価に利用できるようになる一方で、長期的な投資が抑えられるという現象も観察されるようになります。その実態はカネあまりにも代表されます。世界中のお金は、より効率的でよりリターンの高い事業に投資されます。これまでは、投資と比例してリターンが補償されていました。しかし、上述した事例によって、無形資産での事業はある一定の投資額は必要になりますが、固定資産を主体とする事業から比較すると小さな投資額で大きなリターンを埋めるようになります。
そうすると、実は利益を得た後に再投資するとなっても、投資する先が無くなってくる。という現象が起きるのではないかと思います。この状態が続くと、お金は余っても使う対象が少くなるので結果低金利の状態が発生します。固定資産主体の経済学、つまりオールドエコノミーでは、お金の調達コストが下がれば投資が増えると考えるでしょうが、これが無形の実態がない経済、ニューエコノミーでは金利を下げても投資先がそもそも無くなっている。あるいは、既に投資は十分に行われている状態になってしまっているのです。
逆に、直近の数年はITカンパニーのジャーゴンに騙されて、そこらへんのIT会社に対して分けのわからん金額をぶっこむ投資家が増えていましたが、この現象も理解できます。無形資産への投資は、リスクが有る分、そのスケール感が従来の投資よりも半端なく大きいから投資家はなんとなくお金を出してしまっている状況が続いていたのです。
もう一つ。無形資産で収益を上げる企業は、ますますスケールするので、そのレバレッジを生かして実態経済の会社をガンガン資本傘下におさめて行きます。GAFAに代表される企業が稼ぐ収益が半端なく、従来の企業の殆どを彼らでまかなってしまう現実です。
参照:無形資産が経済を支配する 東洋経済新報社 ジョナサン・ハスケル他著
アップルとグーグル
早嶋です。
アップルとグーグルが一連のコロナの濃厚接触者の検出通知におちて共同開発する発表をしています。5月にその機能の第一弾を各国の公衆衛生当局に向け提供するようです(※1)。
仕組みは次の通りです。スマホが持つブルートゥースを使って互いの識別情報を端末に保存していきます。新型コロナの感染が見つかった場合、本人の同意を得ることを前提に、過去14日間の蓄積した近隣のスマホの識別情報をクラウド上に共有するシステムです。これによって濃厚接触の可能性がある人を通知ができるという発想です。
さてこれに対しては議論が分かれると思います。個人情報です。しかし、感染者は社会に対して、それ以上感染を広げないようにする義務もあると考えると、私は開放すべきだと思います。当人も、そもそも意図して感染しているわけではないので、一定の倫理があれば当然だとも思います。
一方で、感染経路不明には2種類いて、本当にわからない人と、実は自分の行動を隠している人です。前者がこのような仕組みを活用できれば、濃厚接触者への連絡が今よりも確実に行えるようになり、感染を抑える効果は高まりますよね。一方で、今のような有事の時に後者の言動や行動については、一定のペナルティが合っても良いのではとも思います。
さて本題の個人情報についてです。そもそも個人情報とは、誰のモノでしょう。多くは一瞬で、それは自分のモノでしょう。と答えるところですが、実際にそうでしょうか。私は、事実からすると反すると思う部分もあります。それは2つの理由からです。
1つ目。個人情報は物理的な存在が無いことです。個人情報は単に情報であって記号です。2つ目。確かに我々は固有の名前があります。住所、年齢、職業等々。しかし、これが意味するのは自分以外の他者に認知されてからです。個人情報はしたがって、他者に認知されて初めて存在することに近いのです。ここは明らかに個人の所有というのは違うのかなと思う理由です。
実際、この議論を突き詰めると誰のモノでも無く、社会のモノだという結論が出ると思います。となれば、本ブログで議論している濃厚接触者のデータは社会のために活用できるのであれば個人の主張ではなく、社会の約に立てるべきだと私は思います。
上記を敢えてクリアにした上で、グーグルとアップルが抽出して整理してデータに対しての管理に対しては厳重に注意する必要があると思います。そこにはプライバシーの保護、データ独占による不当な富の独占の排除。そしてデータ独占による不当に強大になった、あるいはなり得る社会的影響力の排除です。これらは、蛯原健著書の「テクノロジー思考」を一部参考にしています。
プライバシーの保護についてです。突き詰めると、この議論はイデオロギー闘争に発展して、対局する保守とリベラルに分かれるでしょう。正解は無く、どちらの割合が大きいか、どちらにふれているか、という感じで行き来しているのです。ただ、今この瞬間は、保守よりはリベラルにふれる傾向が強いと思っています。
データ独占による不当な富の独占の排除ですが、提供する組織が国家であるため、その可能性は相当に低いと考えて良いと思います。この前提がなければ、国家としての機能はすでに失われているからです。
今、我々はある種のエポックメイキングな瞬間を皆で戦っていると思います。リアル空間を強制的にリセットする原体験に加えて、個人情報の所有についての議論。毎日新しい議論とこれまで創造できなかったテーマが次々に湧いています。世界は乗り切る方向に向かっているのは嬉しい視点です。
※1:2020年4月11日 日本経済新聞
緊急事態宣言発令の意向
安倍総理は先程、緊急記者会見で7日の緊急事態宣言発令に向けて準備する意向を示しました。実際の会見によると、
●緊急自粛要請を出しても、海外のようにロックダウンにならない。交通機関は動き、食品の販売も行う。理由は強制力が無いからです。ここは国民の協力が必要。
●総額108兆円の経済対策を実施。
●東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県で1ヶ月程度の期間。
実際の内容は、総理の動画を確認ください。
メルカリの動き
早嶋です。
コロナ前と比較してメルカリの書籍の動きがまた活発になっています。仕事がら複数の本を定期購読、あるいは買い漁り、不要なものは捨てていますが、再利用できる書籍に関してはメルカリにアップしています。
コロナ前と比較して動きが顕著に現れたジャンルは、ビジネスと料理です。ビジネスはコロナ前も動きはありましたが、週末の動きが活発になりました。特に新著に近い書籍は定価とほぼ変わらない価格で動いています。
例えば、1,300円の本が1,200円など。これまでの経験から、交渉が入ったり、コメントが入ったりする方は、意思決定が遅く、100円とか50円単位で交渉する割には購買まで至らず。という感じでしたが、コロナ後は100円引いていただいたら即購入します。などと言った交渉です。
アマゾンで購入すると1,300円の本は次の日か、その次の日に到着しますが、アマゾンプライム等に入っていないと送料がかかる人もいるのでしょう。メルカリで定価の9割引きくらいだったら新品を買うと良いのにと思うでしょうが、メルカリの場合は殆どが送料が込です。
同様に動きが顕著なのが料理の本です。中でも、作り置きできるレシピの本は新旧関係なく動きが出ています。
上記、全て肌感覚ですが、なんとなく今の時勢を鑑みると動きの背景を推測できますよね。
アフター・コロナ
早嶋です。
米国のコロナウィルスの感染拡大も止まりませんね。日本時間で16日の17時時点で3,100人の感染、60人に死者です。トランプ大統領は13日に国家非常事態宣言を出しています。か悪地域や国への渡航規制も強くなり欧州の過去14日間滞在の外国人の入国禁止阻止などで、週末の米国主要空港は欧州からの帰国者で大混雑でした。
入国審査で帰国者は至るところで濃厚接触になっていると思います。これが引き金になって、今後2週間で更にアメリカ内での感染爆発が引き起こるのでは無いかと思います。この意思決定を行ったトランプ政権は結構ピンチだと思います。もちろん正解は無いのでしょうが。イタリアの感染の広がりを見ると、米国の今後の広がりは人口比でざっと5倍くらいです。米国でこの数値の感染者と死者が出るとインパクトは大きいと思います。
一方、中国政府の対応は世界中から避難の的になるのではと思います。なぜか勝利宣言なんぞを出して、今や中国は安全だ。他の国や地域からの入国を拒否する。などと言っています。ことの発端は中国なのに、その責任をあたかも他国になすりつけるかの言動です。そして少し怖いのは、ウィルス持ち込み責任をアメリカだと言っている点です。
米国では、きっとここ2週間で急激に感染者数が増えると思います。その時期になれば、確実に米国民の怒りが中国に向かうでしょう。これまでの米中関係なんかかわいいモノでしょうね。今回の中国政府の対応に対して、少なくとも他の地域や国に対しての対応を見ている限りでは、誰もが「ふざけるな!」と思うでしょう。中国は他国からの関係や様々な圧力との戦いを今後は背負う必要が出てくるでしょうね。
参考:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56817890W0A310C2000000/
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59678
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