新規事業の旅91 アパホテルのプライシング

2024年1月7日 日曜日

早嶋です。
アパホテルはダイナミックプライシングを導入して、資産稼働率を最大限に活用している。一部屋の金額は6,000円から12,000円がベースで需要に応じて3万円前後まで変動する。もし6,000円の部屋が1.5万円を提示された場合、顧客は疑問を呈するであろうが、その際あなたはターゲットではないと言うことだ。

アパホテルの対象顧客はビジネスパーソンで一定の層だ。特徴は、自分でお金を払わないで、法人が支払うということだ。マーケティングにおけるターゲットは特定の個人を指す場合が多く、法人ターゲットの場合は組織を分析する必要がある。例えば次のようになる。

宿泊する人:実際に出張等でホテルを利用する社員
お金を出す人:法人、もしくはその社員の上司や経理
情報提供する人:宿泊する人に影響力を与える有人知人雑誌メディア等

アパホテルが提供する価値は、確実にその立地条件に泊まれることだ。主要な都市を歩いているとアパホテルの立地は良い。部屋を常に定価で提供した場合、ターゲット外の顧客が気ままに時折のイベントなどで利用し、空室と満室のギャップが想定外に発生する。通常は、値段が安いからそのホテルに泊まると考える顧客はいるだろうが、その場所が良いから泊まるという顧客は少なくなる。しかも多少高くても、その場所に泊まりたいという顧客は更に限定されるのだ。出張等でホテルを利用する社員の中には、一定のルーティンを満たしたい顧客もいる。そのような顧客が一定数確実にいるのだ。

更に、法人の場合、お金を出すの人は泊まる人と異なるのがポイントだ。社員からすると急な出張を命じたのは会社だから問題ないと考えるだろう。自分の財布が直接痛むわけではないので、非常に合理的な判断が可能になる。個人事業主や小さな会社の経営者だと、その立地が便利だからといって通常1万円で泊まっている部屋に3万出すくらいだったら、別のシティホテルや更に程度の良いホテルを候補にあげ探すだろう。そこまで一つのホテル銘柄にロイヤリティは無いし、身銭を切る感覚があるので選択肢を広げるはずだ。

更にだ。アパホテルは宿泊する人にポイントが付与される。しかもそのポイントは宿泊価格に連動する。極端な話、急に出張を命じたのは会社だし、皆が遊んでいる時に仕事をしているのだから良いだろう。という感覚と同時に、ポイントという効力が働いているのだ。ポイントは、個人の付与なので会社の管理下にもなく、会社も黙認する。

たかがポイント侮るなかれ。アパホテルのWebサイト(2024年1月7日時点)によると、以下のように解説がある。

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①現金に換える【アプリ会員、アパカード会員】
「アパ直」経由の宿泊予約で、アパポイントを5,000ptためると5,000円をアパホテルフロントでキャッシュバックします。※アパ直参画ホテル、佳水郷、海外は、キャッシュバック対応はできません。

②宿泊料金につかう
「アパ直」経由の宿泊予約で、アパポイントを宿泊料金に充当できます。※100ptから100pt単位で利用可能です。1泊1室あたり1,000ptが利用上限となります。
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かくしてアパホテルの超合理的な戦略は今後も邁進するのだ。

(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。

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