『自社の進むべき方向性』 経営戦略3/4

2008年5月25日 日曜日

早嶋です。



経営戦略について2000字×4回セットでとある媒体に投稿することになりました。ドラフトであらい内容ですがブログで先行して公開します。OLと講師の掛け合いを想定して書きました。フィードバックをいただければ、実際の原稿の修正に活用します!





講師

今回は、自社の進むべき方向性についてお話します。○○さん、戦略ってどのような事を考える事だったか覚えていますか?



OL

はい、確か、「長期的な視点で企業活動全体の方向つけを行うこと」でした。



講師

良く出来ましたね。その長期的な視点で企業活動全体の方向つけをするためには、長期的に企業が成長する事業分野を探して選択することが大切です。この時に有用な考え方が2つあります。成長マトリクスとライフサイクルです。それぞれ見てみましょう。



アンゾフ成長マトリクスとは、企業が進出すべき事業分野を単純化するために市場と製品・サービス(以下、商品)の互いに交差する軸に対して、それぞれ既存と新規と分けることで出来る4つの分類を指します。このマトリクスを使って長期的に成長する事業分野はどの象限になるのかを考えていくのです。



市場浸透:既存市場において既存商品の市場シェアを伸ばすことができるだろうか?

市場開拓:既存商品を新しい市場で販売する事ができるだろうか?

商品開発:既存市場において、新しい商品を開発することによって成長の機会はあるだろうか?

多角化:新市場に向けて新しい商品で勝負できるだろうか?



OL

確かに、このように考えるとスッキリして、どこに進出していけば良いか、それぞれ考えやすくなりますね。これが「全体から考える」発想なのですね。ところで、それぞれの分類に対して特徴とかあるのですか?



講師

そうですね。市場浸透を図るためには市場が成長していることが前提です。自社の市場シェアを保つことが出来れば、市場の成長に合わせて自社の成長も達成できますからね。



市場開拓は、現状の商品を新しい顧客へ広げながら成長を図ります。市場開拓は新しい顧客を作るというより、これまでの顧客層として考えてこなかった方に対して新たに買ってもらうことをイメージすると考えやすいです。

例えば、缶コーヒーのターゲットは労働者の男性でした。しかし、徐々にネクタイを締めたおじさんや、女性に対しても商品を訴求していますよね。最近のゲーム機なんかは、大人やおじいちゃんが対象になっていますね。ゲーム=子供としないで、市場を大きく捉えて自社の成長を図っているのです。他には、男性化粧品、女性用のかつらなど。発想を柔軟にする事が大切です。



商品開発は新しい商品を現在の顧客へ提供することで成長を図ります。商品に関連するオプションを導入する、新しい機能を加える、全く新しい商品を開発するなどがありますが、既存顧客への販売を目指すものです。



OL

車やパソコン、ファッションや缶ジュースまで。多くの企業が商品開発を繰り返しながら成長していますよね。



講師



最後の多角化戦略。商品、市場ともに現在の事業と直接関連しない新しい分野へ進出して成長を図る最もリスキーな戦略ともいえます。

花王やユニチャームなどのペット業界進出などがこれに当てはまります。多角化で重要なのは企業とその事業のフィット感です。自社の経営資源を活かしてシナジー効果が出るような多角化は成功している事例が多いです。



成長マトリクスは単純な4象限からなりますが、自社の進むべき方向を考える際にとても使い勝手の良い考え方です。自社の事例を当てはめて是非、考えて見て下さい。



ライフサイクルそして、もう一つ自社の進むべき方向性を考える場合に有用な考え方を紹介します。それは、ライフサイクルという概念です。ライフサイクルを意識する事によって常に時間の概念を意識する事ができます。



OL

なんだか、赤ちゃんからおじいさんまで、人間のようですね。企業にもライフサイクルがあるんですね。



講師

その通りです。そして、ライフサイクルを考える場合は、「業界」「事業」「商品」と柔軟に考える事がポイントです。自社が進むべき方向の成長が見込めなければ、或いは、既存の事業成長が鈍ってくる前に新しい事業を始めなければ継続的な成長は難しいですよね。



ライフサイクルにおいて、ざっくり今、どのフェーズかを判断するためのポイントは次の通りです。

スタートアップ期。まさに、始めての進出で周りに競合もいなければ購買者も少ない時期です。成長期。市場が成長すると、その魅力度に応じて他社の新規参入がはじまります。成長後期。一通り市場が大きくなると、企業間で価格競争が始まります。成熟期。この時期には、企業の低価格化が進みます。そして、衰退期。価格競争によって体力がない企業は撤退を余儀なくされます。



重要なことは、企業の中で営んでいるそれぞれの事業がどのフェーズに位置しているか判断して、次の手を打つための判断材料としておくことです。例えば、成熟期になってから策を考えるのでは手遅れになりますので、成長後期には次のアクションを考えておかなければなりません。



講師

長期的な視点で企業活動全体の方向つけをするために、成長マトリクスとライフサイクルの概念を用いてどのように進むべき方向性を見出すか?についてお話しました。最終回は、企業の競走場の優位性を明らかにする事、経営資源を有効に配分する事についてお話します。



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