『経営資源の有効配分』 経営戦略4/4

2008年5月26日 月曜日

早嶋です。



経営戦略について2000字×4回セットでとある媒体に投稿することになりました。ドラフトであらい内容ですがブログで先行して公開します。OLと講師の掛け合いを想定して書きました。フィードバックをいただければ、実際の原稿の修正に活用します!





講師

戦略の最終回である今回は、企業の競走上の優位性を確保する事、経営資源を有効に配分する事について紹介します。



OL

1回目は戦略についての大局的なお話をしてもらい、2回目からは戦略の立て方について説明してもらいました。今回の内容で、経営資源を有効配分するのはイメージ出来るのですが、競争優位性の確保って難しいですね。そもそも、どうして競争上の優位性を確保する必要があるのですか?



3C講師

良い質問ですね。では、順に説明していきましょう。先ず、企業は顧客に対して何らかの価値を提供することによって収益を得ています。しかし、世の中には顧客と企業以外に、必ず競合他社が存在します。顧客はこの環境下で、より自分にフィットした価値を求めて商品を選択し、その対価を企業に支払っているのです。



OL

なるほど!だから、対象となる顧客にとって自社の価値を明確にするためにも何らかの優位性を持つ必要があるのですね。



講師

その通りです。競合他社が存在するため、顧客に対して競争優位性を確保する必要があるのです。

そこで企業がおかれている業界全体の構造を把握することによって、自社の優位性を確保しやすくなります。そのときのツールとしてファイブフォース分析が有用です。



five forceファイブフォース分析とは、業界を取り巻く5つの力、つまり、①業界内の競合、②新規参入、③代替品、④買い手、⑤売り手、が業界に対してどのように影響しているのかを考えることです。

ソニーのウォークマンにとってアイポットは代替品の脅威でした。電力の自由化によって民間の新規参入が始まっています。量販店は大量に仕入れを行うことで商品の値引き交渉を行います。インテルは性能の良いチップを供給できるためメーカーに対して強い交渉力を持っています。

このように業界全体の構造を把握する際、競合に加えて、他の4つの力を見ることによって大きな視点で業界を捉えることができるようになります。



OL

へー、こんな見方があるのですね。確かに、何も意識しなければ、代替品の脅威なんか考えつかないですが、ファイブフォースに当てはめて考えると、私でも発想が広まりますね。



講師

そうですね。他社よりも魅力的な特徴を特定するためにも大切な視点です。

次に、この視点を背景にどのように競争優位性を発揮していくのかを考えます。これに対しては、3つの基本戦略を使って考えます。



競争戦略3つの基本戦略は自社の競争優位性を差別性、コスト優位性にもとづいて、全体の市場に提供するのか?特定の市場に提供するのか?を決めていくことです。

例えば、全体の市場でコスト優位性を取っている企業にユニクロがあります。ユニクロは衣料品市場において子供服から大人服まで価格の安い商品を提供しています。単に安い商品を提供するのではなく、安い商品を提供しても十分に利益を得られるコスト体制を構築していることがポイントです。

○○さん、ユニクロのように何か事例を考えて見てください。



OL

そうですね、子供服の西松屋は特定市場のコスト優位性になるかしら?子供服に限定してロープライスの商品を展開していますよね。それに、ファッションセンターしまむら。こちらも、若い女性をターゲットにロープライスの商品を展開しているわ。あとは、ヘルメスとかルイヴィトンなんかは差別化戦略になるかしら。



講師

随分、よく出ましたね。ヘルメスやルイヴィトンのような差別化戦略のポイントは、顧客の視点から何らかの差別性を感じていただくことです。



それでは最後に経営資源の有効配分について見ていきましょう。○○さん、経営資源ってどのようなモノを想像しますか?



OL

はい。ヒト、モノ、カネ、情報!です。これ、企業研修で習いました!



講師

良く出てきましたね。お金や人材、モノや情報は、企業の中では限られていますね。企業が競争優位性を発揮するためには、これらの経営資源を有効的に使う必要があるのです。そのために、ずばり、しないことを決める!のです。



PPM考え方として、先ず、現在の事業ポートフォリオを作成します。これは、横軸に相対的なマーケットシェア、縦軸に市場の成長率を取ったマトリクスで表現できます。このマトリクス上に現在の事業をプロットしていきます。この時、丸の大きさを売上の大きさと比例すると分かり易くなります。すると次のように4つの象限に分かれます。



金のなる木:相対シェアが高くて市場の成長率が低い。ライフサイクルで見たように市場が成熟して低成長になり新規の参入は少なく、事業投資も既に回収されていることが多いです。相対シェアが高いので最も高い利益を稼ぎ出す事業ですが、衰退する可能性もあります。



花形:相対シェアが高くて市場の成長率が高い。市場が成長しているため、他の企業の参入が多く、事業投資が必要な場合が多いです。そのため、あまり利益は出ませんが今後の成長の鍵を握る事業です。



問題児:相対シェアは低くて市場の成長率が高い。企業の相対シェアは低いですが、市場の成長率が高いため、設備投資等のお金が出て行きます。この事業は将来、花形になる可能性が高いので育てていく必要があります。



負け犬:相対シェアは低くて市場の成長率も低い。撤退の対象となる事業です。ただし、徹底した合理化で他社の徹底まで生き残れれば金のなる木になる可能性もあります。



OL

戦略って、なんか楽しいですね。マトリクスを使って大きく捉え、する事としない事を決めていく。うんうん・・・。



講師

そうですね。事業ポートフォリオが出来たら、しない事を決めることが大切です。一般に事業は問題児から始まり、花形、金のなる木を経て負け犬になるといわれます。ただ、冒頭で説明したように企業では経営資源が限られていますのでメリハリをつけてどの事業を伸ばして、どの事業を撤退さえるかの明確な意思決定も必要なのです。



4回にわたって戦略の流れを説明しましたが、あくまで考え方の一つです。企業経営に正解は存在しないので、自分にとって理解しやすい大きな流れを掴み、自社の特徴や業界の特性に応じてカスタマイズしていくことがポイントです。



OL

はい!



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